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2/11の意見広告



 「思想家の中沢新一さん、内田樹さん、作家のいとうせいこうさんが呼びかけ人となった「意見広告を出す市民の会」が、11日付毎日新聞朝刊に「私たちは原発のない日本をめざします」と脱原発を宣言する意見広告を出した。中沢さんは「潜在的な人々の意思が、新聞を通じて可視化されることに意義がある」と話している。
 意見広告には文化人や音楽家を中心に若い世代も含めた約150人と約20団体が賛同した。同会は今後も同様の活動を続けるといい、いとうさんは「未来に対する倫理として、方向を変えなければいけない。若い世代も意見広告を出せると伝えたい」と話した」(毎日JP)

 毎日新聞の読者である私は、紙面でこの広告を見た。賛同者の名前が列挙されている中に、坂本龍一の名を見つけた。
「教授って今、日産の電気自動車のTV・CMやってるよな」
「リーフでしょ・・」
「原発の9割が停止している現状でも、節電で何とかやりくり出来てるけど、もし電気自動車が普及したら電力不足になるってことにならないか?」
「詳しいことは分からないけど、電力会社はそう言うかもね・・」
「そうだよなあ・・。釈然としないよなあ・・」

 『石油は間もなく枯渇する。しかも石油を燃やすことで排出されるCO2で地球環境は悪化する。だから、クリーンな原子力発電で安定した電力供給を!』そうした謳い文句で、日本中に建てられたのが原子力発電所だ。それがとんでもない呪文で、暴走したら止められない災厄だったのを身に染みたのがこの1年だった。こんな危険な原子力発電所など、なくさねばならないのは誰の目にも明らかなはずだ。しかし、そのためには、「原子力発電所がなくなったら電力不足になる。あなたはそれに絶えられますか?」という脅しに屈しないだけの覚悟を私たち一人一人が持つ必要がある。「電力の使用量を何%か減らして下さい」とのお達しがあれば、すぐに「了解!」と言えるだけの備えがなくてはならない。そうした根本を押さえた上での意見でなければ、この意見広告に賛同したとしても独善に過ぎない。そういう意味で、電気自動車のCMに出ている坂本龍一の名前をこの意見広告の中に見つけたのは、大いに違和感を持った・・。

 もちろん彼なりの理屈があっての出演であり、この意見広告と何らの矛盾はないとの見解を持っていることだろう。私にしても、この広告の意義を否定するつもりは全くないし、できれば賛同者に名前を連ねたいとさえ思うが、軽々に扱うことのできない問題だけに、賛同者にはより峻厳さが必要であると思うがゆえに、あえて苦言を呈したいと思って・・。
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