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開運ブレスレットの行方

 「戯れに妻を背負いて そのあまり重きに耐えかね 三歩歩まず」

 日曜の夜、うどん屋まで歩いて食事に行った帰り、千鳥足になった妻に「おぶってやるよ」と言ったものの、全体重を支えきるのは私の体力では叶わず、思わず倒れ込んでしまった。
「わあああ」
と叫びながら、それでも何とか衝撃が少ないよう必死で踏ん張ったお陰で、妻も私もゆっくり地面に転がった程度ですんだ。しかし、どういう拍子か、左手にはめていた「開運ブレスレット」が外れてしまった。
「ない、ない」
と慌てて探し始めたが、転んだすぐ側には見つからなかった。転がった妻も、
「どこどこ?」
と言いながら探してくれたが見つからない。
「おかしいなあ・・」
と道路の隅々を探したがどこにもない。家の近くだったため、妻が懐中電灯を取りに行ってくれて、それで照らしながら探しても見つからない。
「もう諦めて明日にしたら?」
「そうだけど・・。川に落ちたかなあ・・」
と道路の横を流れている川を照らしてみたが、はっきり見えない。
「今夜はおしまい。帰ろう」
と妻が盛んに促すから、仕方なく言葉に従った。

 で、翌月曜の朝。起きてすぐに現場に行って、一通り道路を探した後、川をのぞいた。
「あった!!」



 あれだけ探して見つからないから、残すは川の中だけ、と思ってはいたが、実際川の中に見つかってみると、何でそんなところまで飛んで行ったのか、皆目理解できなかった・・。とは言え、見つかったのは喜ばしいことであるから、早速長靴を履いて、川の中に取りに行った。

 今は無事私の左手にはめられているが、よく考えてみると、この開運ブレスレットが私と妻の身代わりになって吹っ飛んでくれたためアホな夫婦が無傷で済んだような気がして、「ありがたや、ありがたや・・」とこのブレスレットを大事にしなくてはいけないなあ、としみじみと思った。

 ちなみに川から私たちが転がった道路を見上げると、こんな感じ。




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