1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 人にはそれぞれ、特徴がある。将棋も、王将ばかりが駒じゃない。歩のない将棋は負け将棋、と言う言葉も。自分の分を見極めるは、大事。

2023-01-03 18:07:08 | 法話
【 わが寺の檀家で、宮大工の棟梁(現在98歳)が「体の不自由な人が住みやすい家は、健全者なら、もっと住みやすい。常に弱者を基準に物事を合わせていけば、世の中も住み良くなろうに。ただ、わしは、バリアンフリーは、あまり好きではないな。家から1歩外へ出たら、バリアフリーなど、どこにもない。家の中で障壁があれば、足を上げて歩く訓練が出来ているから、外出しても多少は。車椅子の方がいるなら、別だが 」と 】

正月三ヶ日に参拝に来た、檀家の高校生が「住職は、法話をする時、何か気を付けてる事ってあるの」と。「どうしてだい」「今年中に、大人も子供も混じった中で、僕が話をする役目を」と。「嘗て、高僧がわが寺に来られた時、当時16歳だった拙僧に『息子(拙僧)さんな。わしが千人の前で話をしたとしよう。その話でわしが、言おうとしている意図を理解してくれる人は、半分もいない。その理解をしてない人達に、また後日、同じ話をする。その中でも、理解してくれる人は、半分くらいかな。その(理解度)割合は、場所によっても異なるが。この繰り返しが坊主の仕事。法話は、子供でも理解出来る様に、話さにゃならん。子供が理解出来る法話なら、大人だったら、もっと深く理解出来るはず。その大人が、子供並みの理解力じゃ、話にならんが』と。この高僧が言われている意味は、16歳の拙僧でも理解は出来たよ。が、何故、僕(拙僧)に今、こんな話をされるのかな、と当時は疑問に。が、その言葉が還暦を迎えた今でも、しっかりと耳に残ってるんだよな」と。

この高校生に「話をする題目は、決まってるの」と。「押しつけ教育への思い、みたいなの」「いくつか、面白い話を提供しようか」「うん、ちょうだい」「今から、50年程前の話だが、12歳の仲良し3人組の1人、裕福家庭勉強優秀君が、最新式空気入付自転車を購入。3人でサイクリングに。途中、その新式自転車がパンクを。『もう、帰れない』と泣く優秀君に、他の2人が『大丈夫、任せろ』と、近所の家からビニールテープを借りてきて、タイヤチューブを取り出し、応急処置を。この2人の対応力、社会人になった今でも。子供は皆、それぞれ得意分野が」「ねえ、その2人の内の1人って、住職でしょ」「おっ、ご明察です」と。

この高校生に「今1つ、面白い話がある。拙僧の知人男性が、外回りの営業中、公園のベンチで休憩している時、小学生達のこんな会話が耳に入ってきたそうだ。いじめられている弱々しい男の子をかばって、別の男の子がいじめっ子達に「お前ら、やめろ。貧乏なのは、こいつの責任じゃないだろ。お前ら金持ちの家は、親が金持ちなだけであって、お前らの力じゃなかろうが。子供の世界に親を持ち出すな」と言ってたそうだよ。この2つの話、使えそうなら、君なりに話として使える様に、アレンジしてごらん」と拙僧。