1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 わが寺が、年の初めに水子供養法要を行なっている理由。この法要は、様々な意味合いを含む供養にて。

2023-01-24 05:21:29 | 法話
30年程前から、わが寺では1月に水子の法要を。当初は200人以上参列していた檀家さんも、昨今では100人以下に。参列者が減少した理由は、非常に明確にて。水子さんがおられる檀家さんが、この世から旅立って逝かれた事と、結婚しない、彼氏、彼女がいない若者、が増加した事が、要因の1つなのかな、と。

昭和23年7月から、母体の生命、健康を保護する為の法律『母体保護法』が。所謂、中絶が合法化に。この法律が施行されて、時代背景もあって、昭和の時代だけで、数千万人の赤子が中絶されたとの事。令和に入ってからも、年間に約15万人が中絶されているとの事。拙僧のお寺にも、数年に何組かの若いカップルが、中絶した水子供養の依頼で足を運んで来られる。その中には、2度、3度の者も。供養する理由の大半が『祟られたら、怖いから』との事。そのカップル達に拙僧「満年齢は生まれた時を0歳とするが、数え年は懐妊と同時に命と考え、10月10日を経て生まれてくる事より、生まれた時を1歳とする。自分は産んで育ててもらっておきながら、我が子は闇から闇に。確かに、人がそうするからには、そうするだけの事情がある。事情の塊が人間だからね。が、自らで我が子の命を奪っておきながら、今度は化け物扱いかい。中絶された赤子は恐らく、そこまでの寿命なんだとは思うが、せめて『祟られたら、嫌だから』の心じゃなく、親としての心を手向けなさいや。親を祟る水子も、子供を祟る先祖も、おらん。失礼な心を、愚弄する心を、持ったらあかん」と。厳しく言って聞かせるは、同じ過ちを繰り返させない為。人間は受けた恩を、失敗した事を、覚えてるうちは、同じ過ちはしないもの。が、忘れた途端にまた、同じ過ちを。わが寺が年の初めに水子法要を行うは『忘れちゃならんものは、忘れちゃならん』を心に刻む込み事も目的の1つ。無論、流産(授かりたいのに、失った赤子)は別義だが。こうしたご縁で、生きる姿勢がガラッと変わった我が子(中絶カップル)を見て親が『牛に引かれて善光寺』で、わが寺の檀家になったも、数例。

先日1月22日の日曜日、わが寺では水子の法要が。その時、法話で「10年でも、20年でも、この世に生存していたら、様々な人達が覚えてくれていて、心を手向けてくれますが、水子さんに限っては、親が忘れてしまったら、誰も供養(心)を。今年も1月初めに、水子さんに関係する相談が。不思議とこの時期(水子法要前後)、この様な話がお寺に。偶然だとは思いますが。供養と言えば以前、この様な話が。檀家の子供(20代男性)が『婆ちゃんに俺、あの世なんて、先祖なんて、ほんとにあるのか。なんで、見えもせん、聞こえもせんのに、そんなものを信じるんだ、と聞いたんですが。住職はどうよ』と。『じゃ、あの世もない、先祖もおらん、という証拠を君は持ってるんかい』『いや、ない』『お互いに証拠がないんなら、自分の主観を押し付けるのは、やめたらどうだい。婆ちゃんにとってみたら、産んで育ててもらった恩を、命を繋いでもらった恩を、供養という形で返しているだけ。第三者から、とやかく言われる筋合いはないわい、大きなお世話たい、と思っとりゃせんかな』と。『そう思ってるんだ、婆ちゃんは』『かな』と。これ、考えさせられる話でしょ」と、法要参加者に。

10年程前、四国巡拝である若者と遭遇。彼が「あんた住職か。世の中には、勘違いしてる連中が多過ぎると思わんですか。銀行は、一般人がお金を預けてやってるから、運用して飯が食えてんだろ。医者は、一般人が病気になってやってるから、高額な給料を貰えてるんだろ。警察は、犯罪を犯す人間がいるから、仕事があるんだろ。あんたら坊主(住職)は、一般人が死んでやってるから、お布施が入るんだろ。少しは感謝しろってんだ。日本国の事をボロカスに言う奴がいるが、他の国と比べてみろや。至れり尽くせりのの恩恵を受けておきながら、何の不満があるんや。してもらって当たり前が、当たり前になったら、感謝の心がなくなるわい。欲は叶えば、エスカレートするばかりや。国も国民に対し、してやり過ぎの姿勢を改めた方がいい。過保護では、人材は育たん」と。この若者の怒りを聞きながら『ほう、ほう、久々におもろい人材に遭遇したわい』と黙って聞いておりました。この若者に対し、突っ込みどころは、満載ではありましょうが、いつも言ってる様に、否定から入ったら、得るものは何もないですもんね。受け取り方次第では、この若者の言葉、自身の反省材料に。

 
次回の投稿法話は、1月30日になります。