息子は、ビニール製のボールを蹴りながら部屋の中をぐるぐるぐるぐる回っています。
何時間もそれは続いていて、私が何か言ったり、聞いたりすると、
「頭が動けへん。」
とか、
「ごめん、寝させて!」
などと言って、布団を敷いて寝転んでしまいます。
そうして、しばらくすると、
「ママ、来て!」
と、私を呼び、
「怖いから、横におって!」
と、腕にしがみついてきます。
「横におるから離して!」
と言って、私が息子の隣に寝転ぶと、私から体を離して手だけ繋いでいる状態になり、またしばらくすると手も放して一人で寝たり、寝ながらスマホを眺めたりするようになります。
そこで、私がそーっと起き上がって離れようとすると、
「どこ行くん?」
と、また私の腕にしがみついてくるので、 私が息子から離れられるのは、息子が寝てしまうか、息子の気持ちが落ち着いてからになってしまいます。
「向こうに行っても、家の中におるんやから、ここからでも見えてるやろ?」
と、私が言うと、
「向こうにおるママは、『概念』ちゃうかって、心配になってくるねん!」
と。
「概念?」
と、聞き返すと、
「本当のママじゃなくて、イメージみたいなもの。」
と。
だから、息子は、何度もぎゅーっとハグしにくるのかもしれません。
この2週間は部活がなかったので、前述のようなことの繰り返しの毎日です。
唯一、リフティングをしたり、走ったりは続けていますが、今日も息子の叫び声が家まで響いてきました。
「みんなに迷惑をかけてるのは分かってるし、正直申し訳ないとも思うけど、どうしようもないねん。
頭で体を動かせられへんから、声で動かすしかないねん!」
と、息子。
自分を鼓舞する声なのか?
私には理解出来ないけれど、そういうこともあるのかもしれません。
それが今の息子なのでしょう。
カウンセリングが休止中で、先生に聞くことが出来ないのが残念です。
部活がなかったお陰で、息子のエネルギー消費が少なくて、なんとか通信制高校に願書提出、また面接に行くことが出来ました。
作文があると思っていましたが、中学校からの進学する生徒のみだそうで、息子は面接のみで終わりました。
本人は、
「いらんことを言ってしまったかも・・・。」
と、心配していましたが、
「午後には合格通知を発送するから、心配せんでいいよ。」
と、先生に言われたので、通学の意思確認だけだったのでしょう。
部活に参加している週だったら、息子に外出する余力は無かったかもしれません。
放課後等デイサービスも長期休みにしておいて、結果的には良かったのでしょう。
まずは、週一回の登校を目指す!
私も一緒に電車通学することになりそうです。
概念とは言葉のまとまりによって意味化された質感を伴わない記号のようなもの。
息子さんにとって母親であるはずのあなたが、
母親という記号化された一般的な「モノ」に変容しつつあるということではないでしょうか。
本来息子さんにとって、あなたとの関わりは母親という手応えを伴った感覚的出来事として経験しているのであり、母親という我が身を伴った質、つまり「コト」として経験しているわけです。
思春期はコトからモノへの変容過程。
言葉による質への侵食によって傷つく過程。
「頭で動けないから声で動かす」
確かに成長中ではあるけれど、息子さんの葛藤がなんだか切なくなってしまいます。
コメントありがとうございます!
息子が「概念」という言葉の意味を正しく理解しているかどうかは分かりませんが、
実際に私に触れて、息子のすぐ傍に私がいないと落ち着かないようなので、
一種の退行なのかなと思っていました。
でも、そういう過程であるとも考えられるのですね。
息子が、もがきながらも前へ進もうとしていることは感じます。
走っていると、頭に浮かんでくる不安。
そのトラウマに負けると動けなくなってしまうから、
大声で叫んで振り払おうとしているのかもしれません。
私が息子のことをどれだけ分かってあげられているのか、
全く自信はありませんが、
息子の人生=私の人生ではないので、
私がどうこうしてあげられることなんてないんだなぁということは、
最近ますます感じています。
もしかしたら、私のそういう気持ちの変化を、息子は微妙に感じているのでしょうか?
心揺らぐ毎日ですが、親子ともにゆっくり成長していこうと思います。