山形の酒「出羽桜」を楽しむ
侘助 今日の酒は、誉れ高い山形県の「出羽桜」だよ。
呑助 山形県の地酒では最も有名な酒ですね。
侘助 そうかな。華やかな香りを売りに有名になった酒蔵の一つだったのかな。香りが鼻に突き刺さるような酒があった。
呑助 「十四代」も山形の酒でしたよね。
侘助 そうだよね。山形県には有名な酒蔵がたくさんあるかな。
呑助 「出羽桜」、「十四代」のほかにどんな酒があるんですか。
侘助 私の好きなお酒で言
うと山形市の「秀鳳」とか、酒田市の「上喜元」、鶴岡の「栄光富士」、東根の「六歌仙」、軽快な「鯉川」とか、ね。
呑助 そんなにいっぱいあるんですか。
侘助 山形というと、なんとなくダサいというイメージがあるでしょ。
呑助 そうですね。茨城の酒というのと同じですね。
侘助 茨城にも「武勇」とか、「霧筑波」、「一人娘」なんていうお酒があるけれども何となく泥臭い感じがあるよね。
呑助 どうしてなんですかね。
侘助 同じ東北でも秋田に行くとイメージが良いでしょ。お酒も美味しそうだしね。
呑助 その地域が醸しだすイメージなんですかね。
侘助 そうなんじゃないかな。秋田美人という言葉はあるけれども、山形美人という言葉は聞かないからな。
呑助 美人の多い地域の酒は美味しいのかもしれませんね。
侘助 そんなイメージがあるんだろうな。山形の蔵人たちは、そのイメージを払拭するのにホントに美味しい酒を造ったんじゃないかな。
呑助 ダサいイメージを払拭した山形の酒蔵が「出羽桜」だったんですかね。
侘助 そう吟醸香のある酒を造ったからね。
呑助 フルーティーな香りのあるお酒ですか。
侘助 そうなんだ。リンゴやメロンのような香りを吟醸香と言うんだ。
呑助 それで若い女性の間に人気が出たんですね。
侘助 そのようなんだ。お燗した日本酒のムッとする匂いが女性に嫌がられていたからね。それなのに飲んでみたら爽やかでフルーティーな香りの酒に若い女性がびっくりした。そんなお酒を最初に造った酒蔵が出羽桜だったのかな。
呑助 そのフルーティーな香りが山形のイメージを払拭したんですね。
侘助 そうなんだ。その後、新酒鑑評会や杜氏会品評会で香りより味に力点が置かれるようになると出羽桜の酒もまた味に力点をおくようになったから、今は香りにこだわってはいないようだ。
侘助 今年、ロンドンで開かれたIWC(インタナショナル・ワイン・チャレンジ)で入賞した「出羽の里」純米酒と純米吟醸「出羽燦燦誕生記念(本生)」を飲み比べてみようと思っているんだ。そのほかに「高千代」、「浦霞」、「普通酒」も唎いてみようとおもっているけれどね。
呑助 「出羽燦々」とはなんですか。
侘助 山形県農業試験場が1985年に開発した酒造好適米が「出羽燦々」なんだ。長野県が開発した酒造米、美山錦を品種改良した酒造米が出羽燦々なんだ。この酒造米が山形の酒を醸している。