安倍政権は今月13日、2019年度補正予算を閣議決定しました。 補正予算については、財政法第26条で次のように条件が設定されています。
①法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補う場合、②予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出または債務の負担を行うために必要な予算の追加を行う場合、を挙げています。
補正予算案では、台風19号などに伴う被害対策などの関連経費として、防災・減災対策として、河川の水位上昇を防ぐ川底掘削や堤防強化などに2兆3080億円などが計上されていますが、なぜ、4,287億円もの軍事費が計上されているのか。 国会での徹底した審議を強く求めたいと思います。
「しんぶん赤旗」14日付によれば、4,287億円の内訳は次のようになっています。
①台風19号に伴う装備品損傷の復旧など災害対応― 344億円
②弾道ミサイルや巡航ミサイルに対処する「総合ミサイル防衛能力」-1,456億円
③航空機整備などー2,327億円
④燃料費ー160億円
①以外は、災害とは無関係の予算案となっていることは明らかではないでしょうか。
同紙16日付は、補正予算に軍事費を盛り込む異常な事態が第2次安倍内閣が発足後から増大していることを詳しく報じています。 以下、要旨を紹介させていただきます。
「安倍政権は、米国からの有償軍事援助(FMS)などによる高額兵器購入を推進。 これにより高額兵器の購入費を複数年で支払う『後年度負担』が急増しています。 支払い残高は19年度までで5兆3,613億円にのぼりました。 19年度の軍事費当初予算の総額を上回る水準に至っています」
「後年度負担は、毎年度の軍事費から『歳出化経費』という費目で返済に充てられていますが、この『軍事ローン』こそ、予算を圧迫しています」
「こうしたなかで安倍政権が”利用”し始めたのが補正予算です。 次年度以降に支払うべき『歳出化経費』を補正予算につけ回すことが常態化しています」
「安倍内閣のもとで、補正予算に盛り込まれた軍事費は、緊急性のない『歳出化経費』の割合が高くなっています。 18年度補正予算では、最新鋭ステルス戦闘機F35Aの費用など『歳出化経費』が7割に達しました」
「18年度軍事費の当初予算と補正予算の合計は5兆6,456億円でした。 当初予算の比較では前年度から1.3%でしたが、当初予算と補正予算の合計で比較すると、5%と伸び率が高くなっています。 19年度も、当初予算と補正予算を合計すると5兆6,861億円となり、18年度を上回ります」
「当初予算と補正予算の合計が、軍事費の実態を表しています。 当初予算に計上すべき経費を補正予算にもぐりこませることで、国会と国民の目をごまかす手法は、財政民主主義の規律をゆがめています」