「しんぶん赤旗」11日付は、スウエーデンのストックホルム国際平和研究所の2018年に関する世界の武器製造企業トップ100社の実績を9日、公表したことを報じました。 同研究所の「報告書」では、トランプ米政権の軍拡政策の下で、人類の貴重な人的知性、資金と資源が戦争のたの武器・軍需品に変えられている姿を明らかにしています。 以下、同紙の記事を紹介させていただきます。
「世界の武器製造企業トップ100社による武器の総売上高(2018年)が前年比4.6%増となったことを明らかにしました。 全体の6割は米企業によるもの。 米企業の比重がますます突出している背景にトランプ政権の軍拡方針があると分析しています」
「報告書によると、100社の総売上高は4200億㌦(約45兆6000億円)に上りました。 このうち59%を米企業が占めます。 米企業の総売上高は前年比7.2%増の2400億㌦(約26兆7000億円)でした」
「100社中43社は米企業です。 今回は比較可能なデータのある02年以降初めて、トップ5社を米企業が独占。 同5社だけで100社の総売上高の35%を占めます」
「17年に発足したトランプ政権は『力による平和の維持』を掲げ、中国とロシアへの対抗を念頭に、米軍の再編・強化に着手しています。 国防総省が18年に発表した国家防衛戦略でも、兵器やシステムを含めて米軍の最新鋭化を進める姿勢を打ち出しました」
「SIPRI報告書は政府の軍拡方針を受け、米国の大手武器製造企業が契約を結ぶうえで有利な立場に立とうと合併や買収に乗り出していると指摘。 SIPRIの軍事費部門を率いるオ―デ・フローラン氏は『米企業はトランプ大統領が発表した新たな武器最新化計画に向けて準備している』と述べました」
「報告書によると、100社の総売上高に占める各国企業の割合は、ロシアが8.6%で2位、英国が8.4%で3位、フランスが5.5%で4位でした。 中国はデータ不足のため調査対象に含まれていません」
「日本からは6社が入り、総売上高の2.4%を占めています」
日本企業の実績は以下ようになっています。
▼ 25位 三菱重工業 36億㌦ ▼ 48位 川崎重工業 23億ドル ▼ 72位 富士通 13億㌦ ▼ 82位 IHI 11億㌦
▼ 97位 三菱電機 9億㌦ ▼ 99位 NEC 8億㌦
安倍政権がトランプ大統領に要求されるままに、F35の「爆買い」に乗り出しています。 導入予定機数は147機、イギリスの138機を上回り世界第2位の規模です。購入額6.7兆円に上ると言われています。米国の導入機数は2456機とに及びます。 これらの製造会社が世界トップの軍事企業ロッキード・マーチン社です。 同社の18年の売上高は473億㌦で世界トップの軍事企業です。
しかし、米国内からも、こうした大軍拡、巨額コスト負担について批判の声が上がっています。
「朝日」紙11月22日付は、次のように報じています。
「まず、問題になっているのはコストだ。 米政府機関を監視する政府監査院(GAO)によると、米国が導入する予定の合計約2500機だけで、開発から生産、維持、廃棄に至るライフサイクルコストは総額1兆㌦(109兆円)超と見積もられている。 特に高いのは維持費で、全体の約7割を占めるという」
「GAOによれば、年間50~60機だった生産機数が130まで上がったことは別の問題につながっている。 飛行機は安全性の確保のため、スペア部品を事前にそろえる必要がある。 しかし、GAOが4月に公表した報告書によると、F35は生産機数を増やしたことで、スペア部品が追いついていない」
「この結果、昨年5~11月は必要な飛行時間のうち約3割が実際には飛行できなかった。 スペア部品の供給は即応態勢にかかわる。 GAOの防衛能マネジメント部門の責任者で、報告書を執筆したダイアナ・マウア―氏は『大きな問題だ。 日本などでも同様の問題が起きる恐れがある』と語る」
「GAOは安全性をめぐっても、重大な危険を及ぼす恐れのある『カテゴリー』の欠陥が17件あったと指摘した。 マローン氏は『我々は欠陥を把握しており、問題修復のために取り組んでいる』と語った」
オスプレイもF35戦闘機にしても、欠陥だらけの高額な武器、それらの購入財源は国民の税金、こんな大軍拡、戦争への道に未来を託すことはできません。