英語と書評 de 海馬之玄関

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図書館には英字新聞と英語の絵本を

2014年06月04日 16時18分55秒 | 英語教育の話題

 



私達の地元、川崎市麻生区の麻生図書館では英字新聞が閲覧できます。そして、相対的に多くの--横幅約120センチの棚3段、めいっぱいの--英語の絵本を備えてくれている。それに比べて、私達の郷里、福岡県大牟田市の大牟田市立図書館には英字新聞はなく、英語の絵本も棚1段分あるかないかのシャビーな状況。毎月の企画とか利用者へのケアとか大牟田市立図書館は素晴らしいパフォーマンスを発揮しているだけにこの点が少し残念。

(><)

人口比。あのー、麻生区は16万人、大牟田市は12万人。要は、4対3。つまり、棚に換算して3段と1段の差がつくほどの人口の違いはない。また、予算が乏しいのはいまどきどこの自治体も一緒。ならば、厳しく言えば、この3段と1段の差は「予算の傾斜配分の方針」が違うだけのことでしょう。

蓋し、衰退している地方都市の子供達や高齢者にとっては、見た目とは逆に、インターネットと英語は<都会>に対抗するための武器である。この現実は、例えば、多くの外国人区民の存在とか様々な文化交流イベントの開催等々、<都会>が英語やインターネット以外にも様々なメディア--実際、<都会>や<都市>自体が情報と文化の流通媒体という意味でのメディアでしょうけれど--を擁しているのに対して、インターネット以外のそれら他のメディアが絶望的に乏しい衰退する地方都市においては、繰り返しになりますが、<武器>としてのインターネットとそれをメディアとして使いこなすための英語スキルの重要性は相対的に大きい。と、そう私は考えます。

而して、インターネット環境の整備とPCリタラシーの獲得は、これまた厳しく言えば、自己責任というか、費用と時間の自己への投資に任せられるべき度合いが高い。けれども、英字新聞--この前帰省したとき吃驚したのですが、郷里のJR大牟田駅のコンビニには英字新聞が売っていませんでした!--はこれとはちと違う。そして、英語の絵本は決定的に違う。

例えば、現在、初対面の挨拶として英語のネーティブスピーカーが「How do you do?」などと口走ることはまずない。ほとんど100%、お互いに「Hi. I'm Abe.」「Hi. I'm Aso.」と言ってすましています。何が言いたいのか、英語自体--英語の語彙と文法と発音--は、それこそ今の時代どんな田舎でもやる気があれば、費用と時間の自己投資を行えば誰しもそこそこの技倆は身につけることはできる。けれども、「英語的には正しくともそんな英語はもう誰も使わない」というメタ情報を得るには英語自体を身につけるツールとは別のツールが必要ということです。

その意味で英字新聞は捨てがたい。もちろん、正直、私でもどうせ読んでせいぜい1日の紙面で2個か3個の記事しか読まない英字新聞は3日目からは廃品回収の日を心待ちにする捨てたい物体になる。つまり、英字新聞の情報媒体としての価値は--寧ろ、私もインターネットで同じ記事をダウンロードして読んでいるくらいですから--そう高くはない。けれども、どんな記事がどの紙面にどんな大きさで割り振られているか、どんな広告が掲載されているかというメタ情報を知る情報媒体としては英字新聞の価値はまだまだ低くない。

つまり、それは、ある語彙の意味を調べる上では電子辞書が圧倒的に便利だけれども、その語彙のご近所さんにも目配りしながら英語自体を学ぶには今でも紙の辞書が遥かに有効なこととあるいはパラレルなの、鴨。ならば、個人にとって3日目からは廃品回収の日を心待ちにする捨てたい物体の購読は、例えば、市立図書館といった公的施設で引き受けるのが合理的というものではないでしょうか。





而して、英語の絵本。それは子供達だけでなく大人にとっても--例えば、TOEIC800点程度までの方なら間違いなくほぼ全員にとって--「英語的には正しくともそんな英語はもう誰も使わない」というメタ情報を得る最適のツールの一つ。

まして、それは「コグ二ティブツール」(積み木や模型といった五感を通して言語を学ぶツール)でありユーザーフレンドリー。なにより楽しい。そして、楽しいから継続できる。と、英語の絵本には利点満載。ならば、乏しい予算の中、『デンマーク語入門』とか『フィンランド語の話』とかにむやみに手を広げるのではなくその分、1冊でも2冊でも英語の絵本を公立図書館は購入すべきではないか。と、私はそう考えます。

カミングアウトしますけれど、長らく英語としては英米法とか英米哲学の書籍を専ら読んでいた私は、当時の勤務先で全社員がTOEICを受験しなければならなくなったとき、例えば、「階段」「カーテン」「ガスコンロ」あるいは「大根」「カボチャ」「茄子」といった<普通の英語の語彙>が悲しいほど欠落していました。我ながら愕然。よって、最初に受けたTOEICスコアはまさかの725点。あのー、GMATとGREである年度の日本人最高点保持者の私が725点。ごっつあんです、の心境でした。


そして、その欠落を1~2カ月の比較的短期間でキャッチアップするに際して死活的に有効だったのが、コグ二ティブツールであり楽しい、そして、楽しいから継続できる英語の絵本でした。その結果、なんとか1年後には975点取れたものね。

б(≧◇≦)ノ ・・・懐かしい!
б(≧◇≦)ノ ・・・英語の絵本さんたち有り難う!




・英語の絵本--マイブーム紹介--
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/bf8988ec0bd52b282caa054c00122649



言うまでもないことでしょうが、英語は、その母語話者数では(広東語を含めた)中国語に大差をつけられての2位グループの一つにすぎません。けれども、母語話者数と公用語話者数の合算では英語は僅差ではあるが中国語を抜いて首位に躍り出る。まして、--英語が話せる日本人がすべてそうであるように--母語話者でも公用語話者でもない英語話者層を含めた英語の存在感は他の言語を圧倒しています。

更に、政治的・経済的・科学技術的により重要な情報が英語で発信されている度合いを睨むとき、英語の影響力は中国語やヒンディー語、アラビア語やスペイン語、ロシア語やドイツ語を遥かに凌駕している。このことは誰も否定できないことでしょう。

▼世界の言語--母語話者数上位10傑
01)中国語
02)英語
03)ヒンディー語
04)スペイン語
05)アラビア語
06)ベンガル語
07)ポルトガル語 
08)ロシア語
09)ドイツ語
10)日本語


ならば、衰退する地方都市において大人がその子供達にしてあげられることのなかで、乏しい予算を睨みながらも、<武器>としての英語の絵本の充実と英字新聞購読のプライオリティーはけっして低くないのではないか。そう私は確信しています。館長さんを始め大牟田市立図書館のスタッフの皆さんには是非ご一考をお願いしたいものだとも。また、麻生図書館の皆さんには愚直に既定路線を進んでいただきたいものだとも。

尚、麻生図書館と大牟田市立図書館については
下記拙稿も併せてご一読いただければ嬉しいです。



・三池炭鉱炭塵爆発史料展--大牟田市立図書館の企画には魂がこもっていた
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/bf1077277879ded354b69283b7110223


・ウォーキング de 我が街「新百合ヶ丘」番外編:麻生図書館雑感
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/46107ca5e6ed79fda732a9dcf8a9286d








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