![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/eb/781c52f49f375c7196be31367b8727a8.jpg)
現在、KABUは来年度に向けて全国のFCスクール用のTOEIC対策クラスのカリキュラムを改編しています。そんなこんなで先日、同僚のアメリカ人や英国人にTOEICのオフィシャルガイドを解いてもらいました。
当然のことですが、教養ありビジネス経験のある(はずの)英語のネーティブスピーカーを:ここでは「教養ありビジネス経験のある英語のネーティブスピーカー≒大学院終了で職歴3年以上の方」としましょうか:その彼等がTOEICの本試験を受けた場合、リスニングのセクションで間違うことはまずありません。また、リーディングパート(Part 7)で落とすこともほとんどない。
彼等が落とすとすれば文法・単語・イデオムの正確な運用能力が問われるパート(Part 5とPart 6)に限定されます。もし、これ以外のパート(Part 1~4とPart 7)で教養とビジネス経験ある(はずの❗笑)英語のネーティブスピーカーが間違うとすれば、それはケアレスミスか二日酔いか出勤前に夫婦喧嘩(彼/彼女と喧嘩)してしまったのいずれかでしょう。そして、数回連続してPart 5とPart 6の二つのパート以外で彼/彼女が間違いを犯すとすれば、それは、経歴詐称があったか彼等のご親族に健康上の不安があるか、その両方かのいずれかだと思います。
ケアレスミスが連続して生じるということはそのケアレスミスを犯すについて構造的な原因があると考えられるからです。ちなみにテスト作成-テスト結果の評価システム作成を生業とする<職人コミュニティー>では、ケアレスミスというのは大体、「ある問題を正解するために必要な知識を既に持っており、その知識を解答時間内に運用するスキルも既に体得している被験者が不正解を犯すこと」と定義されています。閑話休題。
私自身はTOEICやTOEFLの問題を英語のネーティブスピーカーに解いていただく<実験>を過去に何度もやってきましたが、灯台下暗しでTOEIC Official Guide『TOEIC 公式ガイド&問題集』(国際ビジネスコミュニケーション協会)で<実験>したことはありませんでした。以下の5問がその結果ですけれども、見事にPart 5に集中してしまいました(★)。
★註:問題サンプル選定の手続き
・問題の対象は『TOEIC 公式ガイド&問題集』(Vol.1)の第6章「TOEIC練習テスト」の200問
・被験者は英語が母語である18人の同僚
・18名の一人ひとりについて、①間違った問題、②ご自分はたまたま正解できたが、「学部卒程度の職歴の乏しいネーティブスピーカーが10人受ければその内3人くらいは間違うかもしれない」と感じた問題に、各々5点と2点のスコアをつけていただき、
・その結果を18人で加重平均する:つまり、ある問題を2人が実際に間違い、6人が上の②タイプの問題とマークした場合、その問題の最終スコアは 1.22になります(∵ {2(人)×5(点)+6(人)×2(点)}÷18(人)=1.222222・・・)。
・最終スコアが1.00以上の問題が以下紹介する5問です;老婆心ながら、例えば、18人の被験者の中で2名が間違い他の4名がその問題を「学部卒程度の職歴の乏しいネーティブスピーカーが10人受ければその内3人くらいは間違うかもしれない」と感じた場合に、その問題は1.00になります。
・尚、ブログ掲載についてはETSと国際ビジネスコミュニケーション協会の著作権を侵害しないように(難易度と論点に影響を与えないよう配慮しつつ気持ち)語句を差し替えてました。
1)The employees were told that no ____ could be made on Friday evening because the canteen was too busy.
(A) delays (B) cuisines (C) reservations (D) violations
2)Initial ____ regarding the alliance of the two companies took place last Wednesday at the Asao Garden Hotel.
(A) negotiations (B) dedications (C) propositions (D) announcements
3)Will you ____ photocopies of all relevant documents to the office five days prior to the performance review meeting?
(A) emerge (B) substantial (C) adapt (D) submit
4)Dr. Miyuki Nakajima had no ____ how long it would take to drive downtown.
(A) knowledge (B) thought (C) idea (D) willingness
5)This new subway construction project will help the company ____ .
(A) diversify (B) clarify (C) intensify (D) modify
*Answers: 1) C 2) A 3) D 4) C 5) A
英語の母語話者と働いた経験のある方の中にはこの結果を意外と感じられた方も少なくないのではないでしょうか? つまり、Part 6(文法・語法問題が中心の正誤問題パート)に該当する問題がないのはおかしい、と。彼等は「英文法をこよなく愛する我ら大和民族と比べたら英文法の知識は極めていい加減じゃないですか」という声がネットを通して日本中というか(世界中から?)聞こえてきそうです。
しかし、結果は結果です。
きっぱり。
で、その理由は簡単・シンプル。要は、ここで紹介したサンプルはあくまでも「Native Speaker が間違う(/間違いかねない)TOEIC問題のサンプル」であり「Native Speaker が正解と不正解の理由を説明できない(/説明できにくい)TOEIC問題のサンプル」ではないからです。
彼等は、なぜ「A」が正解で「C」が正解でないのかを言葉で外国人に説明するスキルは持っていないとしても、「C」はほぼ絶対に選ばず「A」をほぼ確実に選択する。まあ、それがある言葉のネーティブスピーカーということなのでしょうし、その逆も真なりなのかもしれません。
昔、「天才的芸術家が必ずしも美学の教授には向かない」ことを指して、ある名門米国大学の学長曰く、「ライオンは百獣の王かもしれないが、ライオンが大学で動物学を講義できると考える者はそう多くはないだろう」、と。こんな箴言を思い出した、Native Speaker が間違う/間違いかねないTOEIC問題のサンプル抽出の実験でした。
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