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祝・麻生太郎自民党新総裁誕生☆けれど、総裁選も総選挙も政界再編も手段であって目的ではない!

2008年09月23日 22時36分50秒 | 日々感じたこととか


◆総裁選<9・22>の意義
麻生太郎自民党幹事長が総裁選で圧勝しました。巷では、結果の分かりきった<シラケタ総裁選>の予想通りの結果と揶揄されている勝利ではありますが、来るべき総選挙の結果にかかわらず、この勝利は保守改革派主導の政界再編、而して、「麻生→小池→中川酒豪→第二次安倍」と続くであろう保守改革派の長期安定政権体制に向けて貴重な「圧勝」ではなかったか(尚、<9・22>自民党総裁選の意義については下記拙稿をご一読ください)。

・「結果の見えた総裁選」は角度を変えれば見所満載、
  それは日本政治の画期となりうる総裁選だ!
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-423.html


すなわち、麻生閣下の圧勝は、①「自己責任の原則」が貫徹される、かつ、志と誠実さと勤勉さとを備えた敗者には「何度でも勝負する機会」を与える、<フェアで堂々たる敗者>に優しい活気溢れ社会、および、②伝統文化の恒常的な再生、蓋し、日本社会統合のための<政治的神話>として「日本=皇孫統べる豊葦原之瑞穂國」のイデオロギーを常に同時に拡大再生産する社会、更には、③そのような日本社会を統合する<政治的神話>を認めリスペクトする限り、能力ある善良なる外国籍日本市民を排外することのない、「八紘一宇」の理念が機能する開かれた社会、而して、④これらの前提あるいは帰結としての、地方再生にプライオリティーを置く日本社会再構築の一歩(福田康夫首相が足踏みさせた小泉・安倍の保守改革派路線を更に進める一歩)ではないでしょうか。

そして何より、麻生閣下の勝利は、⑤国防と食糧、歴史認識を巡るイデオロギー戦を含むあらゆる部面での<国の安全保障>において、自国は自国で守る意思と技と力の涵養を怠らない国家、他方、⑥プラグマティックでタクティカルな行動選択を躊躇しない、しかし、その根本においては国際法と確立した国際政治の慣習を遵守する国家、内外の法治主義を尊重する理性的な国家の再構築。畢竟、そのような保守改革派的社会思想からのこの「国の形」の再構築の嚆矢となりうる圧勝ではなかったか。そう私は考えています。


◎保守改革派的社会&国家思想と政策コングロマリット

・構造改革の更なる推進-自己責任の原則が貫徹する社会
-堂々たる敗者が再チャレンジ可能な社会の構築
-国際競争力の不断の維持向上

・伝統と文化と歴史を社会統合の基盤とする社会
・八紘一宇の理念が機能する社会
・地方再生に最大限の政策プライオリティーを置く社会
-道州制導入
-農業の国際競争力向上とソフト&ハード両面での観光資源整備
-日教組・全教の粉砕&公教育の分割民営化を端緒とした教育制度の再構築による労働力商品の付加価値の向上

・自国の安全と誇りは自分で守る、独立自尊&独立自存の気概を堅持する国家
-同盟国アメリカ、日本の生命線にして日本の運命共同体である台湾、東南アジア等の潜在的諸友好国との同盟強化、ならびに、グローバルにも地政学的にも利害が錯綜するロシアとの関係の合理化
-同盟国との信義を遵守し、かつ、裏切りに対しては残忍な報復を躊躇わない「ゲーム理論におけるティット・フォー・タット戦略=目には目を、歯には歯を戦略」を外交の指針とする道義を重んずる凛とした国家

・国際法と確立した国際政治の慣習に従って紛争を解決する理性的な国家
-世界標準の民主主義と人権に価値を認め、かつ、それらを日本の国情に合わせながら、しなやかに、そして、したたかに運用していくマチュアーな国家
-自国民の人権侵害と領土の簒奪侵犯、あるいは、国家の生存と正当性を脅かす他国の行動に対しては、自衛権の正当なる行使として国際法が厳に認める「敵基地への先制核攻撃や報復核攻撃」を含む武力の行使を毫も辞さない、国際正義を重んじる国家
-現行憲法と安全保障関連諸法規の改正を速やかに断行できる、また、随時&適宜、憲法と関連諸法規の再改正の必要に目配りできる、(憲法も諸法規も社会工学的と外交的の国益維持増進のための道具と看做す)狡猾かつ透明性の高い国家



大東亜戦争後から小泉改革までの日本では、「あるべき国の姿」は外部状況から供給されていて、日本の政治家はwhat to doについて悩む必要はなくHow to doだけを語っていればよかった。その点では(もちろん、彼等のwhat to doは間違った歴史認識と国際関係認識の上に編み上げられた蜃気楼にすぎないことは言うまでもないのですが)、共産党と公明党だけが曲がりなりにも「まともな政党」だったのかもしれません。いずれにせよ、(そして、来る衆議院解散→総選挙の結果にかかわらず)幸か不幸か、いよいよ日本でもメジャーな政党が「まともな政党」に変わらなければ生き残れなくなってきているのではないか。55年体制下の政治家のメンタリティーの権現と評すべき「福田康夫首相」の退陣と、保守改革派の切り札-麻生太郎総裁の登場という事態はその徴候と言える。そう私は思っています。


【麻生太郎新総裁決定記念動記・水銀燈】






◆総裁選<9・22>総括
1年前の自民党総裁選。町村派(中川鬼瓦周辺)がリークし、ワイドショー専門の(国際法も憲法も知らない)自称国際政治アナリストの青山繁晴氏等が垂れ流した「麻生クーデター説」は現在では嘘八百だったことが分かっていますが、それも後の祭り。前回の総裁選では福田康夫氏の前に我らが麻生閣下は一敗地に塗れた。

而して、今回、朝日新聞等々は所謂「福田→麻生禅譲説」を執拗に流した。要は、「禅譲説」で(町村派内の麻生支持勢力の動きを抑制して)麻生潰しが成功すればそれでよし、成功しなくとも、町村派中の森-安倍ラインが麻生支持で動いたことを状況証拠に麻生内閣に「密約内閣」のレッテルを貼り麻生政権の正当性を毀損できればそれもまたよしという所だったのでしょうか。

蓋し、そんな朝日新聞等による狡猾な麻生叩きが巧妙に行われ始めた頃、ちょうど一週間前に私は今回の総裁選の結果を次のように予想しました。政治評論家の小林吉弥氏の予想(夕刊フジ9月11日号)と併せて再録しておきます(数字はいずれも、予想した「国会議員票, 地方票, 得票合計」、【実際の結果との得票合計の誤差:実際の数値-予想数値】)。


●KABU予想
麻生:223,107,330 【21】
小池: 64, 23, 87 【▲41】
与謝野:42, 1, 43 【25】
石破:28, 10, 38 【▲13】
石原: 29, 0, 29 【8】

●小林吉弥氏の予想
麻生:218,100,318 【33】
小池: 25, 15, 40 【6】
与謝野:96, 11, 107 【▲41】
石破:23, 5, 28 【▲3】
石原: 25, 10, 35 【2】


而して、無効票2票を除くその実際の結果は(数字は「国会議員票, 地方票, 得票合計→地方票確定のための公選投票総数」)、

●総裁選<9・22>投票結果
麻生:217, 134, 351→416,497
小池:46, 0, 46 →74,820
与謝野:64, 2, 66→41,506
石破:21, 4, 25 →32,887
石原:36, 1, 37 →60,395


麻生閣下と小池姫の国会議員票が予想より少なかったのは、町村派の票が予想より多く小池姫から麻生閣下その他の候補に流れたことと、すでに派閥による系列化が進行している無所属議員を含め政匪・古賀誠と国賊・山崎拓の影響下にある議員の票が予想以上に石原と与謝野両候補に流れた結果でしょうが、要は、地方票の予想がデータと全然違う! 

蓋し、地方票の投票先をドント式で決めるのか1位候補の総取り方式にするのか、各候補とその与力国会議員が地盤とする都道府県の自民党員&党友の人数の偏差等々という最初から分かっていたファクターを捨象するとき、予想と結果の落差の原因は、(イ)投票率の低さ、(ロ)自民党党員&党友総体における支持率と、実際に投票した党員&党友における支持率の差異、加えて、(ハ)予想を上回る麻生閣下の集票力だったと思います。


今回の総裁選の構図を、ばらまき派の麻生-財政規律派の与謝野-構造改革堅持で(地方の痛みの治癒は税収増で賄う)上げ潮派の小池-構造改革堅持で(地方の痛みの治癒は公務員制度改革で賄う)行財政改革派の石原、そして、経済政策では麻生に近いが安保・外交問題を前面に出した石破の争いと整理したマスコミ報道が多かった。

けれども、現在の景気減速局面を鑑みるとき、1-2年の短期の経済政策としては「目的と成果を明確にした財政出動」を避けてはおそらく誰も政権を維持できない。また、長期的にはプライマリーバランスの改善、更なる構造改革の推進と地方再生を避けてはマクロ経済の破綻は必定。ならば、中期的には公務員制度改革と税の直間比率の見直しを行った上での(あるいは、課税対象品目から食品・医療・介護を外した上での)消費税の大幅アップと法人税・所得税の大幅引き下げも必然。要は、総裁候補間の経済政策の違いなど現実的には皆無であったとさえ言えるのではないでしょうか。

蓋し、構造改革は手段であっても目的ではない。平成の大宰相・小泉純一郎元首相が断行した構造改革は、2001年時点ではプライオリティーが最上のものであったが、現在は、それと地方の再生の同時推進のプライオリティーが高い。念のために言えば、現在、構造改革と地方の再生の同時推進等のゆるい政策を唱えられるのも、それは小泉構造改革の遺産あってのことなのです。

畢竟、中長期的観点からは構造改革と地方再生の同時推進。私は誰が宰相の任に就こうとどの政党が政府与党の座を占めようと、これから10年の日本の進むべき道はこれしかないと考えています。けれど、その間の各々3-4年間については、構造改革と地方再生の優先順位は入れ替わりながら、それこそ二重螺旋構造的に推移していくしかないだろうとも。


いずれにせよ、私は「誰か1人の政治家にすべてを期待する」ことはない。この点、贔屓の小泉元首相にせよ麻生閣下にせよ例外ではありません。他方、同時に、「理念を掲げ理想を降ろすことなく、一歩でも半歩でも現状を改善すること、そのために戦略的に妥協を積み重ねること、而して、そのプロセスの中で1%でも2%でも理念を実現する」ことが政治の営みだと私は思っています。政治は妥協の芸術であり言論で多数派を形成するゲームとその営みである、と。ならば、「ネジレ国会」は国政の停滞を回避するためには少々筋が通らない離合集散&合従連衡も世間的に許される、寧ろ、政界再編の好機である。蓋し、ドラスティックな政界再編が起きない限り、最短でも2013年までは続く「ネジレ国会期間」は、逆に言えば理念と政策を結集軸としたドラスティックな政界再編の絶好の機会ではないでしょうか。

畢竟、総裁選も総選挙も、否、政界再編さえも政治の手段であって目的ではありません。そして、言葉の正確な意味での保守主義とは、教条に走ることなく、また、自分達と異質な価値観や文化的背景を抱える人々を排除することもなく中庸と漸進を最良の政治の方策と見る美意識の体系に他ならない。麻生新総裁にはそのような保守政治の王道を歩んでいただき、保守改革派的社会思想からのこの国の形の再構築に尽力していただきたいと思います。而して、保守改革派の同志の皆さん、麻生閣下のサポートに各自の持ち場で微力を尽しましょう。共に闘わん。




【麻生太郎自民党新総裁誕生記念・世情】







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