それはアスランが、ターミナルに出向する数か月前のこと。
アカツキ島地下秘密ドッグで、赤いジャケットの女性が深紅の機体を見上げていた。
「どう?試験段階だったんだけど、貴方のことだからきっとターミナルにも持っていくことになるだろうからって、アスハ代表から言われて、全天周型のモニター式コクピットにしてみたんだけど。」
そういってエリカ・シモンズは、コクピットから降りてくる男性に向かって得意気な視線を送れば、近づいてきた彼の翡翠が細まった。
「確かにこの改良されたインフィニットジャスティスを持っていければと思います。シモンズ主任開発の『キャバリア―アイフィリット0』と共に使えれば、これに越したことはありません。ただ…」
「『ただ』?」
期待したほどの返事が来なくて、エリカはやや鼻白む。
彼、アスラン・ザラはその視線に応えず、今降りたばかりの機体を見上げたまま、粛々と考えを並べた。
「今現在の情勢下での運用は難しいと思っています。先ずは、この機体が核エンジン搭載機だということです。確かにオーブはユニウス条約に加盟はしていませんが、ターミナルの資質を考えると、地球上でこの機体での隠密性はかなり低くなります。それだけでなくとも、メサイア防衛戦で目にしている人も多いですし。」
はっきり言ってしまえば、インフィニットジャスティスはオーブ、いや、地球をレクイエムから救った英勇機だ。兵士はともかく一般人でもニュースで戦況を視聴していたなら、この機体に対する認知度は非常に高い。
それを誇らしく語るでもなく、控えめに表現するのは、彼の良いところでもあり悪いところでもある。
「それに」
アスランはなおも続けた。
「目下の調査対象となるブルーコスモスのミケール大佐は、ユーラシア近辺を中心に活動していると聞きます。そうなると潜入調査として有効な手段は海、あるいは川といった水中からの潜入です。」
3年前、ザフトでオーブに潜入した際も、海からだったことをアスランは思い出す。陸上の移動より、見つかりにくい水中からの方がリスクは格段に少なくなる。だが―――
「となると、ここで最大の問題が出てきます。」
「それは?」
エリカがやや気忙しく答えを求めれば、アスランは彼女に向き合って答えた。
「”水圧”です。」
「…。」
エリカは目を見開く。そういえばこの機体特性なら地上、および空中戦がメインだ。
アスランは尚も続ける。
「赤色は水深200mを超えると可視光線が届かなくなり、その分、赤が一番目立たなくなるので、機体の色は問題ありません。ですが、あくまで地上と宇宙を想定した機体なので、機体ごと潜入となると、装甲が水圧に耐えられるかどうか。それに機体の形状からいって、動水圧(※川のように流れる水から受ける圧力)どころか静水圧(※プールのように、動きのない水から受ける圧力)だったとしても、凹凸の多い機体ですから、移動時に機体周囲で対流が起こる可能性も考えられます。そうなると、かかる抵抗はことのほか大きくなると思われるので、そんな中、もし戦闘となると、機体操作は俺でも厳しいかと。」
アスランの指摘はもっともだ、とエリカも考え込む。
「でも、正直言って、オーブは海中用のMSやMAは開発が遅れているのよ。何分、貴方もご存知通り、うちの海軍は非常に優秀だから。」
するとアスランも頷く。
「ザフトでも、グーンをはじめ、いくつかの水中戦を想定したMSの開発はありましたが、流石にインフィニットジャスティスのような機能性はありませんでしたし。」
何しろこの機体は、キラがアスラン専用として設計してくれたものだ。基本的にはオールラウンドだが、近接戦闘に特化した高速機は、アスランでなければ扱えない。
だからこそ、あのシンのデスティニーを抑えることができたのだが。すると、
「機能性と隠密性ね。確かに…だったら設計した本人に聞いてみましょうか?」
「え?」
ことさらサラリと答えるエリカは、アスランを置いて、さっさと通信を入れた。
すると
<あ、インフィニットジャスティスですか? 確かに僕が設計はしましたけれど、実際に元々のジャスティスを作ったのはハインライン大尉ですし、僕はそこに更に機体性能を向上させるよう調整した形なので。相談するなら、ちょっと癖のある人ですけど、彼の方がいいと思うんで、僕から聞いておきましょうか?>
「よかったわ。よろしく頼むわね!」
あっさりとエリカとキラの間で交渉成立。普段から二人はOSの件でやり取りしているとは聞いたが、それにしてもこんなに簡単に?
アスランが驚いていた数分後、今度は初めて見る人物から通信が入った。
<先ほどヤマト准将からご紹介いただきました、アルバート・ハインラインです。>
コンパスきっての技術大尉、ということは技官としては一番階級も高い。ザフトでも機体設計で名前だけはアスランも聞き覚えがあるが、どういった人物かまでは流石に知らなかった。
「モルゲンレーテ開発部主任のエリカ・シモンズです。今回はあり―――」
<早速ですが、准将から伺っておりますので、後日そちらに向かわせていただきます。ブツッ>
「…」
「…切れちゃったわね。」
早口でまくしたてられた後、話したいことだけ話して通信を切られ、エリカとアスランは呆気にとられるしかなかった。
だがもっと呆気にとられることとなった。
通信を終えて18時間37分46秒後、
「改めまして、アルバート・ハインラインです。」
どデカい輸送機と共に、彼はオーブにやってきた。
「こちらこそ。エリカ・シモンズです。」
突如の来訪に、パニックになりかけた頭を整理して、挨拶するエリカ。続いてアスランも挨拶しようと右手を差し出す。
「私は―――」
「アスラン・ザラ一佐のことは存じてますので、以下略で。」
噂通り、本当に一分一秒、自分にとって無駄と思われる時間は作りたくないらしい。
握手のために差し出したアスランの手を、華麗にスルーしていった。
そのままドッグに入った彼は、深紅の機体を見上げる。
「インフィニットジャスティス…これを水中でも稼動させられるように、との准将からの説明でしたが。」
アスランが慌てて彼の隣に立ち、説明を加える。
「えぇ。潜入調査となると、どうしても水中での稼動の必要があります。そうすると水圧が影響しますから、装甲の厚さと形状が問題になると思われるので。」
「ふむ…」
ハインラインは顎に当てた右手の親指で唇を撫でると、10秒もしないうちにタブレットを開きながら、目も合わせず、突然アスランに問い質した。
「一佐の身長と体重は?」
「…え?」
「できましたら体脂肪率もお聞かせください。」
「えと、174㎝で体重は60㎏、体脂肪率は7%ですが。それが何か?」
アスランの疑問の声は彼の優秀な耳に入れなかったのか、ハインラインはキラ顔負けのハイスピードで入力すると、更に矢継ぎ早に質問を重ねる。
「握力、および背筋力は?」
「握力は右が72.5㎏ 左が71.8㎏。背筋は確か128㎏…」
「素晴らしい!」
「は?」
目を輝かせたハインラインは、先ほどはスルーされたアスランの手を握り締めてきた。
「若干の油圧調節が必要となりますが、それだけの筋力があれば、多少機体が重くなってもポテンシャルを維持することできます!」
そう言ってハインラインは、デカい輸送機から「もっと丁寧に、慎重に運び入れて下さい!そこ、ぶつからないように!」と檄を飛ばして重そうな機材を持ち運んだ。と、するやいなや
「一佐。私としては、このような感じで仕上げたいと。」
そういって手元のタブレットで何やら設計図らしきものを差し出し、アスランとエリカに見せつける。
どうやらインフィニットジャスティスに、外装を着ける方向性らしい。
アスランは目を見開く。
外装パーツとまでは考え付かなかった。
それで体脂肪、というより筋肉量を聞いてきたのか。外装の分、機体は重くなる。ましてや水圧に耐える重さでは、アスランの筋力もジャスティス操縦時の比ではなくなる。
そこまで考えてくるとは流石だ。キラが頼りにするだけのことはある。
「でもこのサイズですと、私どもの作ったキャバリアーへのセッティングがありますので、機体重量はこの辺にとどめ置いていただければ。」
今度はエリカの方が見せたノートPCの画面を見て、ハインラインの目の奥が輝きだす。
「ふむ。そうしますと単機で空中を飛ばす場合は、超高速戦闘対応型ウイングを外付けすれば、一佐のスピードを活かすに良いでしょう。」
「えぇ、それならM2X32E フォランテス をすでに用意しておりますわ。核エンジンから直結したバーニアで、ロスタイムはコンマ5秒、空中でのスピードも重力加速度9.80665m/s下で250km/hまでは十分可能です。」
同じくエリカの目も俄然輝き出す。
「なるほど。准将から聞き及んではおりましたが、なかなかやり手でいらっしゃる。シモンズ主任。」
「貴方こそ。ハインライン大尉。」
「「フフフ✨」」と笑いあう二人の背中からオーラが立ち昇るのを、アスランの目が見逃すはずがなかった。
エリカとハインラインはその場で役割を分担する。アスランはパイロットとして、二人に注文を付ける役割となった。
「そうなると、ザラ一佐。」
エリカがアスランを呼ぶ。
「あ、はい。」
「武器としては、インフィニットジャスティスをこのように改良しておこうと思うんだけど。」
ノートPCに表示されたそれを見て、アスランは面食らった。
「あの…これってほぼ『全身刃物』じゃないですか!」
見ればいつものビームサーベル アクータラケルタ以外、脚やらフォランテスやら、いたるところにレーザー刃の赤いマークがついている。
「でも貴方、ヤマト准将と同じくらい足癖悪いし、だったら両脚にトーニトゥルス ビーム重斬脚つけておけば、貴方なら使いこなせるでしょう?ついでにフォランテスの羽根に全部ビームライザー つけましょうよ。しかも前後変換式で!」
何でデスティーを倒したとき、足で蹴り飛ばした、ということをエリカは知っているのだろうか?
それとも機体に残った傷を見ただけで、名医のようにMSの不良部分も見極められるのか?
(そういえば、カガリから主任はコーディネーターだとは聞いていたが…)
MS開発に可能な物理の数式が、全て頭の中で暗算できているとしか思えない。だが、嬉々として、PCの設計図の中に武器を仕込んでいく姿は、技術士というより趣味を拗らせた職人としか思えない。
更に
<ガーーーーーーッ!>
「そこっ!コンマ2㎜の凹凸があります。気を付けて! …全く、わずかな凹凸がスピードに影響する以上、ミクロンの誤差も許せないというのに。」
重機音に負けないハインラインの愚痴兼、早口指示の効果か、いつの間にか足元にあったどデカい機材が、どんどん組み立てられていく。
既にインフィニットジャスティスの足元は分厚い同色の装甲に覆われ、その上にチューブ状の銀色のパーツが重ねられていた。すると、
「一佐。水中での可動として、希望されるスピードはどのくらいでしょうか?」
ハインラインがタブレットの画面を叩きながら、顔も上げずにアスランに問う。
エリカとハインラインの脳内に描かれているMSの完成図は、もはや操縦者であるアスランは半分置いて行かれている気がするが。
(だったら少しでも俺の意見を通していくしかないじゃないか!)
元々好きなものはマイクロユニットだが、技術職としてもポテンシャルは高い。負けてなるものか!
「でしたら、水中、淡水・海水の浮力差と、ほぼ流れのある場所になる筈ですので動水圧を考慮に入れつつ80.99kn台で。そのために極力ボディは曲線状にして。」
「了解です。」
そう言いながら、手元のキーボードを素早く打ち込むハインライン。
「できれば『カニ』っぽく。」
「『カニ』ですか?」
「えぇ。」
アスランは念押しのように強調する。
「カニの形は動水圧に最も負荷のかからない形と言えます。魚のように薄ければそれに越したことはありませんが、流石にインフィニットジャスティスを中に入れるとなると、魚類体形にするのは無理がありますし。」
「なんと、それは奥深い!地球上の生物は侮りがたし!これは研究に一見の価値ありです。」
左目側の赤いレンズをカチャリと指先で直しながら、ハインラインは感嘆の声を上げて再び猛然とキーボードを叩く。アスランは話を続ける。
「さらに調査対象の国の近海には、海底谷があることも想定して、水深200m、1961.3kPaに耐えうるように。」
「水中環境を利用しての設定ですね。了解です。」
「水流に対応可能な武器があれば、なお助かります。この形状ではサーベルを持ってもジャスティスほど可動域が広くないので、できれば直接腕に着けるブレードがあればいいかと。」
「わかりました。」
「あと、ソナー感知を避けるためのディフューザーを。先程のフォランテスへの接合信号はオートで10秒を切るように。 フォランテスとのアンリビカルケーブルはこの位置に。これならコンマ2秒で直接インフィニットジャスティスに接続可能です。」
「流石です。」
「それから装甲の色は、海底で最も目立たない赤色で。」
「成る程。それなら中のインフィニットジャスティスとも見分けが付きませんね。」
「パージの時は―――」
「敵に隙を突かれやすいですからね。爆発したように見せた光と煙幕を外装にだけ施そうかと。」
「お願いします。」
画面に見て、的確に指示を出すアスランの横顔を見ながら、ハインラインの口角が上がる。自分の話を分かってくれるのはヤマト准将だけかと思いきや、こんな場所にこんな面白い人物が2人もいるなんて!
それに、音に聞こえしモルゲンレーテの仕事の速さと丁寧さよ!
「これなら、私の願った通りの仕事ができる!一佐、」
「は、はい。」
「今、取り付けている外装は、ザフトで開発した私の最高傑作の水中専用MSです。ですが結局、実用化の前に戦争が終結を見ましたので、実際にこうして外装だけでも組み上げるのは初めてになりますが、私は自信をもってお勧めします。 故に、型式番号はザフトのものをそのまま流用しますが、よろしいでしょうか?」
「え、えぇ。今度出向するターミナルは、元々プラントも携わっていますので、問題ないかと。」
「かしこまりました。ならばこの機体、ザラ一佐専用MSとして登録します。型式番号『ZGMF-MM07』、その名も『Z’GOK』です!」
「『ズゴック』、ですか?」
「はい!私がかつて考えた『Z.A.F.T.'s God of Knight』の頭文字をとって命名したのですが、『Zala's God of Knight』として新たに命名しましょう✨」
両手を広げ、朗々と読み上げるハインラインと、テンションについていけず、ぽかんと口を開けたままのアスラン。
すると
「ザラ一佐。」
隙を見てエリカが呼ぶ。こちらもワクワクしていそうだ。
「今度は何ですか…」
「インフィニットジャスティス…いいえ、新たに改装した部分もあるから、『弐式』とつけておきましょう。この弐式に着ける武器を色々用意したんだけど―――」
「両足とウイングにビームまでは聞きましたが、それ以外にも、ですか?」
「そう!今レールガンとスコルピオとビーム砲と用意したけど、あと何が欲しいかしら?」
「その前に、重量は平気なんですか?」
「もちろん!制限越えたのなら、むしろキャバリア―に積ませておいて、必要時に換装できるようにすればいいだけだし。貴方ならいくらでも使いこなせると思うから、使えそうなのどんどん入れちゃうから♪」
ノリノリのエリカ。すると今度は突然、アスランの背後で悲鳴が轟いた。
「なんと!しまった、私としたことが!!」
振り返れば、頭を抱えて崩れ落ちるハインライン。
「どうしたんですか!?」
アスランが駆け寄ると、ハインラインは四つ這いになってうなだれたまま、フルフルと震えたままの右手を上げ、人差し指だけでその場所を示す。
「ズゴックの頭の…上?」
アスランが見上げると、そこには
「あの…”角”でしょうか?」
アスランも見覚えのない白い角を見て、ハインラインは嘆いた。
「水圧にも負けない、美しい流線形にするつもりが、あの角が!あの角だけがどうにも収まってくれない!!!」
「はぁ。」
動作確認の試乗者だろうか。ズゴックの大きな鍵爪で、頭の上の角をチョイチョイと突いている。
どうにも事前にキラから聞いていたインフィニットジャスティスの全長を見越して、ハインラインが持ち込んだ外装のズゴックの大きさが合わず、あの部分だけはみ出てしまうらしい。
嘆くハインラインが、縋るようにアスランに食って掛かる。
「どうしてあんな角が、あそこにあるんですか!?」
「と、言われましても…」
インフィニットジャスティスの時は、確かにあの角はなかったはず。となると付けたのは―――
「どうしても付けたかったのよ。折角の武装だから、あそこにもビーム付けようかと思って♪」
「シモンズ主任…」
アスランがため息交じりにその名を呼ぶと、今度はハインラインが彼女に向かって絶叫する。
「あれは何とかならんのですかっ!?あれがあることで、0.38の水流抵抗が出発生し、そうすると80.99kn、つまりは150km/hを目指していたスピードが、時間にして1.8秒/㎞の遅れが出てしまう!!」
だがエリカは挑発するように言った。
「あら、その遅れをどうにかして見せるのが、開発部の技術者じゃなくて?」
「ぐぬっ!」
心理を突かれたハインラインが悔し気に息を吞む。だが時間にしてわずか7秒で彼は立ち上がった。
「わかりました。そこまでおっしゃるなら、あの角を含めたズゴックの全身抵抗を算出し、水中でのバーニアをより強化させて見せましょう!」
そう言うが早いか、ズゴックに走り出すハインライン。
その背中を唖然と見送るアスランの肩を、チョイチョイと笑顔で突くエリカ。
「ザラ一佐、ちなみにあの『MA-F2002 スピッツェシュヴァート ビームホーン』はね、可動させるとビーム放出量が最大になるから、稼動中は他のビームライザーとかは使えなくなるおまけ付きなので、そこのところよろしくね!」
***
「―――と、いうわけだ。」
「というわけ、じゃないだろう!お前らウチの地下で、一体何やらかしているんだよ!?」
アスランがズゴックを前に説明する横で、カガリが思いっきり悲鳴にも似た叫び声をあげる。
ただでさえ核エンジンを搭載しているインフィニットジャスティス弐式が隠れるほどの装甲を付けたとはいえ、
・対装甲斬牙爪×2
・重粒子力線砲(メガ粒子砲) ×2
・頭部ミサイル
M2X32E フォランテス用武装として
・MA-M50E3F 高エネルギー長射程ビーム砲×2
・AIM-1913D 自律中距離空対空ミサイル スコルピオ×2
・MA-R259 ビームライザー×4
「ミノフスキー粒子もないのにメガ粒子砲ってなんだよ!? オマケにキャバリア―にミラージュコロイド付けてドッキングさせて『アメイジング・ズゴック』だと!?」
もはやユニウス条約どころか、加盟してなくとも、やっちゃいけない装備の集合体としか言いようがない機体を前に、カガリががっくりと膝を折る。
「カガリ…」
アスランがそっと慰める様にカガリの背を撫ぜる。
「大丈夫だ。潜入調査に最も適したMSを形にした結果、こういう状態になっただけだから。」
「いや、なっただけ、と言われても…」
アスハ家私邸の地下ドッグにずらり並んでいるMSを、カガリは改めて見上げると
・ストライクフリーダム(※新型が来るのでキラが置いていった。)
・デスティニーガンダム(※先の大戦での拾い物。シンがコンパス加入時のどさくさに紛れてオーブに持ち帰った。)
・インパルスガンダム(※上に同じくルナマリアの、以下同文)
これを見ただけでも卒倒ものだというのに、加えて
・一機だけ微妙なシルエットのインジャ弐式inズゴック(※インジャの、特に肩の部分は、一体どうやってあの中に入れられたんだろう?脚もがに股というか、インジャが無理矢理リーメンビューゲル着けられたみたいだ💧)
「…。」
カガリは項垂れ、もはや言葉も出ない。
確かにアスランは、目的さえ果たせれば、あまり自分の機体にこだわりは持たないタイプだ。
それは分かるのだが
「それに、見てくれ。」
アスランに促されてカガリが顔を上げる。するとオートで動かしているのか、ズゴックが鍵爪を
<チョキン、チョキン!>
「あの無人島で見た、カニみたいで可愛いじゃないか!まさしく、俺たちを象徴する機体だ。だからこそ、リモート操縦込みで、俺と君しか操縦できないシステムにしたんだ!」
少し頬を紅潮させるアスランの今の気分を代弁しているのか、シャカシャカと得意気にカガリに向かってポージングするズゴック。
そして、改めて満足げに見上げる技術者+パイロットの3人。
(駄目だ。アスランまで毒されてる💧)
カガリは思った。
これ以上、技術者(特にキラと、ラミアス大佐と、マードック軍曹)はこの地下に来させないようにしようと。
一方その頃、ミレニアム内機体格納庫にて、キラがパソコンを前に一人呟いていた。
「大量破壊兵器を破壊するなら、それ以上の破壊兵器を作るってなると、きりがないし、どうしたら…そうだ!だったら全部黙らせればいいんだ!なら全機能停止にさせる電撃を放つ『プラウドディフェンダー』(※傲慢サンダー)と、原子レベルで壊せる『ディスラプター』(※傲慢ビーム)を作ろう!ハインラインさんが帰ってきたら、さっそく取り掛からないと。ラクスも喜んでくれるかな♪ あ、試験使用で上手くいったら、アスランとシンにも作ってあげよう。勿論、製作費はモルゲンレーテ持ちでv」
↑双子姉、時すでに遅し!Σ( ̄口 ̄;)
・・・Fin。
PS:そして、ラクス救出のためにズゴックをリモート操作することとなったカガリ。アルテミス要塞内で暴れまくりながら一言。
「うん、可愛いじゃないか。カニみたいでv」←結局、気に入ったらしい。
めでたしめでたし♥
====
なんか急に書きなぐってみました、『ズゴック誕生秘話♥』
いえ、今インジャ弐式のプラモを組みたて途中なんですが、プラモの解説書によりますと、インジャ弐式は「カガリの依頼で、エリカが改修した」らしいので、きっとエリカさんがノリノリで「ザラ一佐ならこのくらい付けても使いこなすでしょ♪」な感じで作ったのかな、と。
で、対するズゴックの方ですが、型式番号がザフトのものなんですよね。一体これをどうして外装にできたのか。
フリーダムやジャスティスを設計して作ったのはハインラインさんだということは公式で判明しているので、だったらハインラインさんがザフトからガワだけ持ってきたと考えると自然だな、と( ̄▽ ̄)
オーブの秘密ドッグに、本来ハインラインさんはお招きはできないでしょうけど、同人だしギャグだしwてなことで、一緒に作ってもらいました。
エリカさんとハインラインさんが話が合ったら、ものすごい物作りそうですね!ここにキラとマリューさん(G開発技術者だった)も加わると、とんでもなくなりそうです。アスランはここでは出張ってませんけど、キラと一緒なら絶対なんかやりだしそう(苦笑)メイリンも加わったら、どこまで電子戦装備になるのか。
・・・アスハ家の地下が、とんでもワールドになっていそうで、カガリがきっと泣きそうです( ;∀;)
核が飛び交うCEですが、そこそこにしてあげてください。<(_ _)>
なんか『彼の秘密シリーズ』っぽくなりましたな(笑) かもしたの書くのなんてこんなもんです┐(´∀`)┌ヤレヤレ