うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

ダンスはうまく踊らない(第2話)&アニメイトカフェ出張版に行ってきました!(*^-^*)ゞ

2024年06月22日 21時33分05秒 | ノベルズ
「フンフンフ~ン♪」
ラクスは上機嫌で鼻歌を歌いながら、メンチカツとエビフライを揚げる。
そしてバンズとサラダ、それからデザートの果物も一緒にバスケットに詰めて。
「確か…このあたりでしたわね。」
そう言って壁面を叩くと現れた、先ほどの隠し階段を静かに降りていく。すると彼女の目に映ったのは、いつの間にか運び込まれていたのか、それとも元からここにあったものなのか、床にはダンベルや太いスパイクゴムといった筋トレグッズが散乱し、その中で
「何をしている!このくらいで根を上げるなんて、オーブ軍の新人隊員よりも弱いぞ!」
仁王立ちの鬼教官の怒鳴り声と、そして床に大の字に転がったままの最愛の彼。
「まぁ!大丈夫ですか?キラ。」
「ラクスぅ~もう疲れたよ…」
ようやく上半身だけ気力で起こしたキラを、駆け寄ったラクスが支える。そんなキラを見降ろすようにして、カガリは首にかけていたタオルで額の汗を軽く拭いながら嘆く。
「全く、この程度でついてこられないんじゃ、安心してお前にラクスを任せることなんてできないぞ?」
カガリの申し出はありがたいが、流石にキラがダウンしている以上、助け舟を出さねばならない。ラクスは慌てて間を取り持った。
「カガリさん、今日は初回ですし、程々にして一旦お休みにいたしませんか?さぁ、お昼を作ってまいりましたから、一緒にいただきましょう。」
「そうか、もうそんな時間だったのか。やったー!お腹減っていたんだ。ラクスの手作りランチが食べられる♥」
すっかり機嫌を直したカガリ。キラがラクスを見れば、軽くうなずいて見せる彼女。ラクスはカガリのご機嫌の取り方までしっかりと習得したようだ。
「はい!カガリさんのためにも、今日も腕によりをかけてご用意いたしましたわ♪」


―――続きはこちらから。


***


先週に引き続き、SSの方を更新しました。
双子姉と弟夫婦、めっちゃ仲良くイチャイチャしてます♥(笑)
あの『SEED GP2024』キャラ部門の1・2・3位ですからね✨ イチャコラさせてあげたくなります。可愛いんだよ。双子と義妹w

で、ようやくダンスっぽい話が出てきましたが…アスランは何やっているんでしょうかね? まだ出てこない。劇場版の1時間くらいしてようやく登場したときみたいです(苦笑) きっと今頃ズゴックでぶっ飛ばして来ているんでしょうね!

―――話は飛びまして。
今日は午前中に別の病院に行かねばならず、ほぼ週2,3回の通院にも大分慣れてきましたけど、出先のメイトで、昨日から『ガシャポンフラット』の『SEEDFREEDOM第2弾』が始まっていたので、「推しが二人でハウメアと指輪の見せ合いっこ♥」しているポスター狙ってガシャッてきたんですよ。
かもしたは色々ランダム関係は運がない方で、推しを引けないことが多いんですが、何故か…本当に何故か、この『フラットガシャポン』だけは推しの引きが強い。第1弾も、namco限定バージョンも、一発で推しを引けたので、今回はどうだろうと思ったら…
やっぱり一発で来た!✨\(*´▽`*)/✨
何故だろう…本当に謎なんですが、16種類もある中で一発引きできたのは、本当に感謝です(ー人ー)
この二人のシーンの公式グッズ、持っていなかったので、凄く嬉しいですv
それこそ、人気投票の描きおろしイラストのもあったので、引けるかな…と思ったのですが、これはグッズ買い占めたので、ここは止めおきました。

そして午後から地元でやっていた、例の『ガンダムSEED FREEDOM アニメイトカフェ出張版』に行ってまいりました。
地元、と言っても車で早くて40分くらいかかるのですが、この出張版でしか飲めない『キラ&ラクス愛の絆ドリンク』というものがございまして、「だったら飲むしかないじゃないかぁーーーーっ!」とばかりに行ってきました(`・ω・´)ゞ
なんですが、今日に限って道路がどこも滅茶混みで💦 予約時間完全に間に合わず💧orz
ですが、来場者が少なかったみたいで、「全然大丈夫ですよ~v」と皆さん優しくお出迎えくださいました( ;∀;)✨感涙。
あの池袋で売り切れていたアクスタやコロッタの第2弾も沢山あって、(池袋で予約しなくてもよかった気が…)と思いましたが、折角なのでアクスタ3つ、「ハインラインさん、ハインラインさん!ハインラインさんが来ますように!!!(>人<)」って必死に願いながら選んでみました。あといつも通りクッキーとかも買ったら、店員さんが「あと400円でコースターとステッカーとブロマイドが2枚ずつになりますが、いかがしますか?」と言われたので、あんまり選ばなかったコロッタを一個だけチョイス。
そしてキララクドリンクをまずは味わいました♥
アクスタ一緒に連れて行ったのでw一緒に写メ📷✨
受け取った時は、下がピンクで上が水色の、すごくキレイな二層だったんですよ!でも、飲める場所まで移動しているうちに混ざっちゃった💧;つД`)
羽はホワイトチョコなのですが、ラクス様のあのパイスーを思い起こさせられます(笑)ちなみにお味はカルピスでした。多分キラもラクスもカルピス系のものだったのではないかと。珍しく甘すぎないで、飲みやすかったです♪ 赤い粒粒が何なのかは、ちょっとわかりませんでした。多分ドライフルーツっぽかったのかな。小さかったので、味までははっきりとつかめず。

さて、先ほどのアクスタ第2弾を開封。
ここでも「ハインラインさん!」をしつこく願いながら、ガシャポンの運が続くことを願って開けたら、一個目がキラ。二個目がムゥさんが来たので、「だったらマリューさん、マリューさん!マリューさんで!!!(>人<)」と急な変更をお願いしたら、ハインラインさんがご機嫌を損ねたのか、それともマリューさんが怒ったのかわかりませんが、
ムゥさんが二人来ちゃったよ💦
「マリューはやらん!(#^ω^)」ということでしょうか。とりあえず池袋で予約した分、マリューさんが来てくれたら万々歳です!( ー`дー´)キリッ あ、もちろんハインラインさんをお待ちしております<(_ _)>

そしてコースター関係ですが
「何でアタクシはディアッカばっかり来るんだろう…(遠い目)」
池袋でもステッカーがキラとディアッカだったし。コースターもディアッカだし、シュラは2枚目だし。
バースデーブロマイドは、「どちらか選べますよ♪」ということで、ノイマンさんとカガリ様♥ カガリは何枚あってもよし!
ディアッカじゃありませんが「グレイトゥッ☆」ってやつですw

そして、家に帰ってから、そういえば忘れかけていたコロッタを開封してみたところ―――

不機嫌極まりないアスラン(笑)が来ました!
ズゴックアスランですね~もうこの顔がスクリーンに映った途端、いつも笑いをこらえるのに必死なんですが、まさか毎日笑えるように来てくれるとは思わなかったよ(爆!)
叶えばカガリがルージュの中で祈っているシーンのコロッタが欲しかったんですが、あれも1/20くらいの確立だったので、アスラン来てくれたならよかった♥
もうこのムスッとした顔を和ませるために、けもポンアスランに抱っこさせてますよw

ということで、意外と出張版でも満喫できました。
むしろ人があんまりいなくて(田舎なうえに、交通の便が非常に悪く、車でないと絶対いけない場所なので)、渋滞にはまった時は「間に合わない💦」と焦っていたのですが、お陰様で帰るときにはマッタリとできました。

さて、この次は何が出るかな?
シネコンはチケット買えなかったので、グッズは通販やってくれるかなぁ…
せめてクリアファイルだけでも手にしたいです!
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ダンスはうまく踊らない(第1話)

2024年06月16日 21時56分53秒 | ノベルズ
アカツキ島にあるアスハ家の別荘。
ファウンデーションとの戦いの直後、キラとラクスは行方をくらまし、今はこうしてカガリの庇護の下、ヤマト夫妻共々この別荘で静かに暮らしている。


そう、「静かに」暮らしている「はず」だった。


それはキラとカガリの誕生会から一か月ほど経ったある日の朝、カガリが突然襲来…いや、訪問してきたのだった。
「おはようカガリ。どうしたの?こんな急に。」
驚きながらもどこか嬉しそうに片割れを出迎えたキラだったが、金髪を深くかぶったキャップに隠し、赤いTシャツにカーゴパンツという、どう見てもオーブ代表首長とは誰もわからないであろういで立ちで、キラと同じくにこやかにしていたカガリの口からは、キラの想像の斜め上の発言が発せられた。
「おはようキラ。さ、これから特訓始めるぞ。ちゃんと朝飯は食っただろうな。」
「は?」
いきなり何を言い出したのか、キラがカガリの言葉を消化し理解する間に、カガリはキラの横をすり抜け、とっとと「お邪魔するぞ」と別荘に上がり込んだ。
そして、同じく驚くカリダやハルマにサクッと挨拶だけかわすと、持ち主だけあって勝手知ったる別荘の奥―――壁にしか見えない場所をノックすると、隠し扉が開き、そこに突如現れた地下に向かう階段を降りかける。と、カガリはキラが来る気配がないことに気づき、歩みを止め、振り返った。
「何をしているキラ。ほら、行くぞ。」
「い、行くってどこに?いきなり上がり込んで、僕の家の中を勝手に―――」
「“私の”別荘だが。」
「…」
御尤もである。キラが二の句も告げずにいると、キッチンからピンクのエプロン姿のラクスが現れた。
「あらあら、カガリさん。おはようございます。」
何故か別段疑問も感じないように、こちらも笑顔で挨拶するラクス。
「おはようラクス。時間が限られているから、早々にキラを借りるぞ。」
「はい♪」
一欠けらの疑いもなくにっこりと返答するラクスに、キラが慌てる。
「ラクス、カガリが来ること知ってたの!?」
「知っていた、というよりは、先日おっしゃっていたので、そろそろお見えになる頃かと。」
「先日?言っていた?」
未だに理解不能のキラに焦れたのか、カガリがやや口を尖らせて告げる。
「いいからさっさと来い、キラ。例のものもちゃんと持って来いよ。」
「例のもの、って―――」
キラが後方でほほ笑むラクスと、さっさと階段を降り始めるカガリの双方をキョロキョロと見比べていると、ラクスは一枚のカードをキラに差し出した。
それを見たキラが慌てる。
「…え、これって―――本気だったの!?」
それは一か月前の誕生会で、カガリがキラ専用に、とプレゼントしてくれた例の『体術修練回数券』(※詳しくは5月18日UPの「君に笑顔のプレゼント」をご覧ください<(_ _)>)だった。
「当り前だ。無駄になるものを私が渡すわけがない。ちゃんと利用価値のあるものでなければ意味がないだろう。」
降りてこないキラを訝しんで戻ってきたらしいカガリが、今度はむんずとキラの首根っこを掴む。
「さぁ、行くぞ、キラ!」
「ちょっとまって!心の準備が―――」
「必要ない。お前が準備中だからと、敵が待ってくれると思うのか!?」
そうカガリに言われながら、キラは抵抗空しくズルズルとカガリに引きずられていった。
その様子を楽し気に見送るラクス。
「あらあら。これはきっとお腹が減るでしょうから、お昼は揚げ物を沢山用意しないといけませんわね♥」


―――続きはこちらから。


***


久しぶりにSS更新です。以前UPしました双子誕生日記念SSの続編となります。
今回のテーマは”ダンス”です。
と言っても現段階、ダンスの「ダ」の字も見えてきませんが、そのうちそうなってくるはずです。多分…

とりあえず第1話での犠牲者はキラ・ヤマトくん。…ご愁傷さまです(ー人ー)チーン
配信見ながら、キラは自分の誕生日辺りで催されたであろう、剣の勝負やファウンデーションの夜会で、なんでこんな罰ゲームみたいな誕生日を迎えなければならなかったのだろう、と、見ているこちらまでしょげてしまいます(ノД`)・゜・。
オルフェとラクスのスタンダードワルツは、プロの舞踊家さんペアにモーションキャプションを付けてもらって踊っていただいた解説がありましたが、ヨーロッパ風の上流階級のお家柄なら、ダンスも習得していて当然な世界なんでしょうね。となると、ラクスはもちろんですが、もっとお姫様なカガリは当然習得しているであろうと思いまして。すっごい嫌がりながらで、マーナさんがほとほと苦労した光景が勝手に目に浮かびます(笑)
そういえば、運命の時、セイラン家に入ったカガリが作法をユウナの母親に仕込まれているシーンで「ドスドス」歩く感じで、ユウナに笑われていましたね。何ならアニメイトのグッズの特典ブロマイドで、あんなヒールを履きながら大股で歩くカガリ様(苦笑)もいらっしゃいました。でもおそらく「やればできる子」なんですが、「そうはいくか!」という反発込みだったんじゃないかと。
ダンスのシーンはこの先おいおい書いていくとしまして。
ちなみにカガリの剣技はどうなんだろう…。軍事教練を受けていますが、公式でも長剣を扱うシーンは全くなかったので、もしかしたらカガリも触れる機会はなかったかもしれませんが、細身の剣でレイピア、あるいはサーベルなんかを操るカガリがいたら、すごく凛々しくてカッコいいだろうなぁ♥(´∀`*)ポッ
案外、アスランが手ほどきしてたかもしれない。手取り足取り、ウフフフフ♥(*´艸`*)
ただ、あのアルテミスでズゴックリモートでミサイル打ち込んでストレス爆散(※よく見ると、ちゃんとキラたちがキャバリア―から飛び降りるところを、敵の視覚からミサイルの爆風で隠すようにして撃ち込んでいるんですよ!流石は姫様✨配信万歳w)させたり、インジャ弐式を操縦してシュラに完全不意打ち食らわせた戦い方を見ると、アスカガ二人でシミュレーションしたんじゃないかな♪ 公然イチャイチャしながらw
SEEDは初代のオマージュ作品ですから、最終回のアムロとシャアがサーベルで戦っているシーンがあるので、是非ともアスランの剣技は見てみたいものです。多分何を与えても器用にこなす男なので、そのくらい屁でもない気がします。

キャプションはこのくらいにしておいて(でないともっと長く語りだす^^;)、今日はシネコンの申し込みがありましたね。
かもしたは「メタルロボット魂インフィニットジャスティス弐式」が欲しくて、シネコンの抽選に申し込んでいなかったんですよ。何分どちらも5桁の金額ですので、流石にこれ以上散財は厳しくなってきたので、我が家にいるメタルビルド『ストライクルージュ・グランドスラム』と並べて置きたかったんですよ!もし今後、キャバリア―が出ることもあったら、両機に乗せたくて♥
なのに5分で完売💧
だったら、今日のシネコンに申し込んでみよう!と、朝9:50には準備して、昼の部のお支払い画面のところまで行ったんですよ!
「勝った!ヽ(^o^)丿」
…って思ったら
『しばらくお待ちください』って切り替わって…
・・・
・・・
・・・
「切り替わった!」と思ったら、
最初の申し込み画面に戻る。
そして下には「空席無し」のーマークがΣ( ̄□ ̄|||)💦
何故じゃぁああああああ!!(ノД`)・゜・。
いや、本当に「どうして??」ですよ。あそこまで行って、ダメ出し食らうなんて。ちなみに時刻10:01でしたよ?一瞬じゃん!
でも先行抽選が2回もあって、枚数が一人4枚までですから、そりゃあっという間に埋まりますよね( ;∀;)
…でも本当に、最近のかもしたは「SEED運」が一欠けらも無くって、みんなお友達の力を借りてイベントは参加(2月のイベントは自力で取れた)している感じですから。グッズもロボ魂隠者ダメでしたし💧orz
悲しくはありますが、もしかしたら「鬼滅の刃」のシネコンみたいに、配信か特典で見られるかもしれないので、期待しておとなしく待とうと思います/)`;ω;´)



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見つめていたい

2024年06月01日 20時50分11秒 | ノベルズ
それは午後のほんのひと時
彼女は執務室の机に伏したまま、安らかな寝息を零していた。

窓辺から入ってくる、柔らかい風が心地よい。
細い金糸を優しく撫ぜ、ほのかに潮の香りを纏わせ、カガリの鼻を擽る。
(気持ちいい…)
次から次へと続く慌ただしい日々に、気の休まる隙はない。
だけどこの一瞬、つい気が緩んでしまった。
誰もいないのをいいことに、少しだけ緊張を解けば、あっという間に瞼が重くなった。
浅い眠り。時々跳ねた後れ毛を撫ぜ上げるようにして払ってくれる、温かな感触を覚える。それがくすぐったいはずなのに、何故かすご心地よいい。
彼女に与えられたわずかな猶予。
きっと瞼を開けたら、たちまちこの部屋は、また戦場のような忙しさに見舞われる。
(頼む。もう少しだけ…)
今少しだけ許してほしい。そう願うと、また温かな感触が、そっと髪に触れて。
それが凄く安らげる。もっと深い眠りへと誘われそうなほどに。
(いかん、誘惑に負けるわけには)
重い瞼を何とか自力でこじ開ける。
「ん…」
薄く開かれていく視界。少しピントが合わずにボヤけていた世界が次第にはっきりとしてくる。
机の周りに積み上げられたままの決済書類と、置きっぱなしのボールペン。
そして―――机に片手で頬杖を付きながら、優しく微笑みながら穏やかな光を放つ碧い瞳。
「―――って、アスラン!?」
慌ててガバッと起き上がるカガリ。アスランは机に頬杖をついたまま。
「おはようカガリ。」
口角を緩ませながら、サラリとそういってくれる彼。
逆に慌てるカガリの血圧は、ガンガン上がっている。
「お、お、お前、いつからそこに!?」
「そうだな…多分かれこれ10分前程…」
「何、そんなに長い間見てたんだよ!///」
起こしてくれればいいのに! 緊張の抜けた寝顔を、しかも間近で観察されてしまうなんて!
カガリが顔を赤くして問い詰めれば、彼はこともなげに目を細めて答える。
「カガリがあまりにも気持ちよさそうで、起こせなかったんだよ。君は忙しいからな。それだけでなく、常に人からの視線を浴びているから、心の隙も見せられないだろう。」
「…」
常に傍にいるわけじゃない。それでも彼はカガリを見ていてくれる。そして内に秘めたままのプレッシャーも、さりげなく気づいて。
するとアスランは、左手をそっとカガリの頬に伸ばしてくる。指先が頬に張り付いたままの金糸をそっと払ってくれる。
その温かい感触…風だと感じていたそれは、まぎれもなく彼の指先だ。
(くっそ~~!他者の侵入を、こうも易々と許してしまうとは!!しかも触れられても気づかなかったなんて!)
悔しくて、カガリの口がへの字になる。
「なんかご機嫌斜めだな。寝起きが悪いのか?」
そういってカガリを揶揄うアスラン。
「当り前だろう!この私が他者の侵入を許すとは。まぁ、お前は潜入調査も軽くこなすくらい、気配を消すのが上手いからだろうけどさ。」
「そんなことはないだろう。寧ろ、君が起きなかった訳は…」
「…何だよ。」
「いや、いい。」
アスランがごまかすように立ち上がる。彼の表情が仕事モードに変わった。
「寝起きのところ悪いが、先日頼まれていた情報を持ってきた。」
そういってカガリのデスクにメモリーを一つ置く。ついでにコートのポケットからも写真を数枚、トランプのように並べて見せた。
カガリも瞬間、凛々しいオーブの代表の姿に戻る。
「そうか。やはり情勢は続いているようだな。」
「あぁ、プラントもユーラシアも、未だ混乱は続いているようだ。特にユーラシアの自治区とブルーコスモスの新たな盟主の動きと人物像をこちらに入れてある。」
「わかった。いつも済まない。」
「それから―――」
アスランがさらに続けようとしたとき
<プルルル>
カガリのデスクの上の内線が鳴った。
「モルゲンレーテからだ。」
「時間がかかりそうか?」
アスランが少し歯痒そうに尋ねてくる。彼とて世界のあちこちを飛び回り、忙しい身の上だ。コーディネーターとはいえ、疲労だって溜まるだろう。
カガリは受話器に手を伸ばしながら、隣の部屋を指さした。
「きっとエリカからだろう。少し時間をくれ。隣の応接室に、備え付けのコーヒーや紅茶があるから、適当に飲んで待っていてくれ。」
「わかった。」

そう言ってアスランはさっさと隣室に移る。
少し気分を損ねたのは、カガリとの会話を断たれてしまったことだ。
あのまま、もうちょっと彼女の傍に近づいて、寄り添いながら報告したかったのに。
(でも…)
大きめのソファーに腰を下ろすと、自分の指先をじっと見つめる。
「柔らかかったな…」
執務室に到着したとき、ちゃんとドアもノックした。反応がないので不在かと思った瞬間、ドアの向こうで
「ん…」
コーディネーターがようやくとらえる程の小さな吐息。覚えている―――間違いなくそれは彼女のもの。
「カガリ?」
ドアを開ければ、誰もいない部屋で一人きり、彼女は机に伏せっていた。
最初は具合が悪くて倒れたのかと、顔が青くなったが、近づいてみれば穏やかな寝息を立てていた。
「フーっ…全く。」
心配したじゃないか。だがその不安も彼女の安らかな寝顔を見たらこれまで溜まっていた疲労も、一気に吹き飛んでしまった。
代表として凛とした姿勢を崩さない彼女。その一瞬、緊張が解けたようなあどけなさを残した寝顔が可愛くて。つい口元が緩んでしまう。
「これは役得だな。」
小さく自分に囁くと、自然と指が彼女に伸びる。
窓から流れてくる風に弄ばれる髪を、そっと直して触れてみて。
それでも眠り姫は全く目を覚まさない。
自分の存在が気づかれないのも少々気になるが、それ以上に自分が隣にいても、安心して眠れるほど、カガリは自分に心を許してくれている。そう思うとこれ以上の喜びはない。
(そういえば…)
以前キラが言っていた。
(―――「カガリは僕に良く抱き着いてきたんだよね。」)
アスランのカガリへの感情を知っている上での自慢なのか、嫉妬なのか、あるいは…天然?なのか。
いや、多分カガリは本能的に、キラをきょうだいと感じ取って、気心を許しているのだ。
だが自分にはまず自ら抱き着いてくるようなことは無い。それは逆に自分を意識してくれている、ということだ。
恋の初めなら、きっと緊張から、直ぐにカガリも気配に気づいて起きたはず。
しかし、二人は一度距離が離れたことで、再び互いへの思いを確信した。
カガリが起きなかったのは、緊張が解けてもいい場所だと、アスランを認めてくれているということだ。
それはきっと、恋が終わり、愛へと成熟した証。
「だったら今度は…」
腕の中で眠りに落ちていくカガリの、あの寝顔を隣でずっと見ていたい。
幸せなその寝顔を見ながら、自分も眠りに落ちていく…

そんな日が、いつか、きっと・・・




「アスラン、待たせたな―――あれ?」
思わず話が長くなってしまった。時間にして15分少々かかっただろうか。
同じく分刻みで仕事に奔走する彼の時間をこうして束縛してしまい、申し訳なさがカガリの歩みを早めた。
慌ててドアを開ければ、座っていると思われたアスランの姿がない。
「アスラン…?」
キョロキョロと周囲を伺うと、アスランは冷めかけたコーヒーを前に、ソファーで横になっていた。
ソロソロとカガリが歩み寄ってみると、彼は見事に寝入っていた。カガリが傍に近づいても、その瞼はピクリとも動かない。
「全く…お前はいつも私の前では平然と寝られるよな。」
腰に手を当てて苦笑する。

そうだ。敵として出会ったあの島でも、彼は縄を解いた私を置いて、一人うつらうつらと寝入ってしまったのだ。
あの時はすっかり嘗められた、と思ってしまったが。

カガリはアスランが横になっているソファーの傍らに座り込み、両手で頬杖をついて、じっとその安らかな寝顔を眺める。
時々濃紺の後れ毛をそっと払ってやりながら、それでも彼の翡翠の光は瞼の奥に閉じられたまま。
「要はお前は、私の傍なら安眠できるってことか。」
初めて会った時から、見えない何かが二人を繋げていた。
赤い守り石、赤い石の指輪、そして―――赤い糸。
カガリはどこかまだあどけなさの残るその寝顔を見守りながら、自然と笑みが零れる。
(起きたとき、私が目の前にいたら、お前はどんな顔するかな?)
毎朝、アスランの綺麗な翡翠に、一番最初に映るのが私だったらいいな。
瞼が開いたとき、お前がちゃんと生きているって、喜びたい。
そして「おはよう」って笑いあって始まる一日。

そんな日が、いつか、きっと・・・


・・・Fin.

***

突発SSです。
いつものごとく。

今日の突発は、あの『かどきゃら』のFREEDOMバージョンのアスカガを見ていたら、もう可愛くって可愛くって(*´Д`)ハァハァ♥♥
二人して、頬杖ついて、ニコニコしているんですよ\(≧▽≦*)/
なんか、並べて置くより、ずっと向かい合わせで見つめ合わせ続けたいっ♥♥

無印のかどきゃらのアスカガは、二人で並んで話している感じがたまらなく好きで、自由のアスカガは頬杖ついて見つめ合っているの。
たまらんぜよ!!✨
かどきゃら、セットで買うと、意外と高くって渋っていたんですが、こんなに可愛いなら払ってよかった!( ー`дー´)bキリッ
どうする!?朝目が覚めたら、この二人がこんな風に頬杖つきながら相手を見合っていたら!優しい目をしているんですよ、二人とも♥♥
もうPC周り、アスカガだらけですが(苦笑)これは朝一、目に付くところに置くことにします!けもポンと共に朝一から愛でるぞ☆



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君に笑顔のプレゼント

2024年05月18日 00時00分13秒 | ノベルズ
オーブ・アカツキ島の昼下がり。
<ブロロロロ―――ッ、キキィーーーッ!>
島の外周に設けられた私道を、漆黒のガルウィング・スポーツカーが駆け抜けていく。
ハイスピードも華麗なるドライビングテクニックで、軽々とカーブをすり抜けていく。
ハンドルを握る黒髪の男性と、そしてその隣には長いストレートの栗色の髪をなびかせた女性が一人。
次第に減速した車が、隣の女性に負荷をかけることもなく、道路の終点で静かに止まる。
道の終着点は白い砂浜の広がるタキツヒメ海岸。その浜辺にたった一軒、木造の別荘がこじんまりと佇んでいる。周りには建物もなく、人の手が殆ど入っていない、静かな波打ち際とともに、自然のゆったりとした空気が包んでいる。
栗毛の長髪の女性が先に車から下りる。すると待ち構えていたように、一人の女性が現れた。
「お待ちしておりましたわ。さぁ、中へ。」
ピンクの髪を後ろで一まとめにした彼女は、ラクス・クライン。
プラントの歌姫であり、指導者であり、先月までは世界平和機構コンパスの総裁でもあった人物だ。
「一か月ぶり、かな?…元気そうでよかった。」
海風にあおられる長い髪を抑えながら、女性はアルトの声で答えた。
ラクスはコンパスの総裁だった頃より、随分と顔色がよくなった。あの空色の優しい瞳にも輝きが戻ってきている。
女性は人心地、安堵したように、ラクスに招かれるまま別荘の中へと足を踏み入れた。
中に入るとすぐに待ち構えていたのは、ハルマ・ヤマト。深々と頭を下げる彼に彼女は頭を上げるよう告げると、ラクスに案内され、そのまま一番奥の部屋へと案内された。

そこには広めのベッド。そしてテラスにつながる窓は解放され、砂浜につながるウッドデッキには一組の男女が海に向かうようにして座っていた。
「お見えになられましたよ。」
背にかかる柔らかなラクスの声に、最初に顔を上げたのは女性のほう―――カリダだった。そして驚きのあまり目を見開き、悲鳴を抑えるように口を両手で覆う。
「…ね、姉さん!?」
栗色の長い髪、微笑む口元も、鼻筋も、まるでカリダの中にある記憶、そのままのヴィアが目の前に立っている。
母の異変を察知したのか、反対のロッキングチェアに深く座り込んでいた男性がようやく上体を起こす。
「母さん?どうしたの…―――!」
彼こそ世界が認める最強のパイロットであり、コンパス実働部隊隊長のキラ・ヤマト。その彼も目の前に立つ女性を見て、たちまち紫の瞳を見開いた。
「あ…貴女は…」


―――続きはこちらから。


***

それでは毎年恒例の―――

「双子、お誕生日おめでとう!!🎂\(≧▽≦)/🎊」
(※ケーキは私の誕生日と一緒のでゴメン💦)
ある意味、劇場版で現在の時間軸になったので、今年は20歳の誕生日っていうことですね!
日本ですと成人年齢18歳(※飲酒とタバコは20歳から)ですし、もっと言えばコーディネーターは15歳成人でしたっけ。ですから二人とも既に大人ってことですが、それでも20歳って何か特別な気持ちになりますね♥
劇場版では双子の絡みが一切なくって(哀)、カガリが「キラはそんな奴じゃない!」と叫んだり、ルージュの中で「お父様、民をお守りください・・・キラ!」ってカガリからのキラを語る台詞はありましたけど、キラからは無かったので・・・寂しい💧
まぁ、ラクスのことでキラはいっぱいいっぱいでしたでしょうし、カガリにはアスランはじめ、メイリンやミリアリア、サイたちがいてくれるから、ラクスに一直線になれたんでしょうね♥

本日劇場で双子誕生日の舞台挨拶がありますけど、森さんが登壇予定にまだないので、サプライズ登場されないかな~✨
ビデオメールとかでもいいなぁ~
石田さんから、双子にどんなお祝いメッセージ来るかな~♥
かもしたは舞台挨拶落選だったのですが、お知り合いさんが被ったのをお譲りしていただけることになったので、今日は思いっきりお祝いしてきます!

ちなみに、今日劇場3か所回ってアフターエピソードカードゲットしてきたんですが、ものの見事にキララクばかりで、アスカガの影も形もありませんでした(ノД`)・゜・。
今回のこのアフターエピソードカードの効果か、どこの劇場も完売で、日曜日まで残っているかな~??
最後の一回、アスカガが降臨してくれますように!!(>人<)
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SEEDFREEDOM、最後の特典「アフターカットポストカード」の小話問題

2024年05月14日 21時56分58秒 | ノベルズ
=「ただいま!」=

レクイエムは破壊され、アコード達の母艦であるグルヴェイグは轟沈した。
これによりファウンデーションとの戦闘は終結した。
ミレニアムから上がる帰還の合図の信号弾。
まもなくアカツキに続き、インパルスとディステニーガンダムが帰還した。
「おい、アグネス。一体今まで何やってたんだよ!?」
ヘルメットを放り投げ、キャットウォークの上でルナマリアの腕をとったまま離さないアグネスに、シンが文句を垂れる。
「何って、そりゃ決まっているでしょ!?総裁がファウンデーションのシャトルで脱出したんだから、後を追って当然よ!」
さっきまで敵に寝返っていたのに、さらっと言い訳するアグネス。命がけに加え、己の(男性に対する意識の)尊厳をかけて戦っていたとは思えないほどの回復ぶりに、ルナマリアは辟易する。
(はぁ~総裁じゃなく、本当は男について寝返ってたって、どうやって報告すればいいのよ…)
悩めるルナマリア。そんな彼女を渡すものかとばかりにシンがルナマリアの腕を引っ張る。
「え!?シン!?///」
「お前が無事だったのはいいけど、ルナと戦っていたってことは、敵に寝返ってたってことだろ!?そんな奴がルナの腕をとるなよ!」
必死なシンに、ルナマリアは思わず嬉しさと照れくささが綯交ぜになる。勝手に赤くなっていく頬をごまかそうとするルナマリアの右腕を、更に引き寄せるアグネス。
「何言っているのよ!この山猿!!ちょっとばかりブラックナイツやっつけたくらいで調子に乗らないでよ。アンタ、何も考えずに戦っていたんでしょ?脊髄反射で生きてるようなもんだものね!」
「何を~~っ!!」
「まさかと思うけど、アンタが隊長とかだったら私は絶対反対よ!ルナマリアが隊長だったらついていくわ♥」
「俺は隊長に「ミレニアムを頼むよ」って言われたくらいだぞ!」
「あ~ぁ。いい気になっちゃって。豚もおだてりゃ何とやら、ってやつ?」
「アグネスーーっ!!」
ルナマリアは頭を抱えたいが、両手を引っ張り合われて身動きさえできない。
ヤマト隊長だったら、ここできっと止められるんだろうな、この二人を…
自分が隊長に向いているか否かはともかくとして、今はこの二人を止めないと
(も~~!!こういう時どうすればいいのよ~~!?)
すると
「シン!ルナ!アグネスーーーーーっ!!」
キャットウォークの向こうから、大勢の声がする。
整備班の皆が手を振って、ヴィーノが飛びつかん勢いで寄ってくる。
「みんな、どうしたのよ。」
呆気に取られているアグネスに、ヴィーノは涙を浮かばせながら満面の笑みで言った。
「お帰り!」
見ればみんなが顔中クシャクシャにしている。
「お帰り、シン。」
「ルナマリア、お疲れ!」
「アグネス、お帰りなさい!」
3人がキョトンとしていると、シンがようやく口を開く。
「どうしたんだよ、泣くことかよ。」
「だって…だって、生きて帰ってきてくれた…」
ヴィーノが涙を拭う姿を見てシンとルナマリアはハッとする。

そうだ。前回の大戦で、決戦時、ミネルバは轟沈し、みな救助艇で脱出したのだ。幾人もの仲間を失って。
そしてシンとルナマリアもまた、取り残された月面で、終結の信号弾を仰ぎ見ていた。
負けた…でも生き残れた…
必死に戦い続けてきた結果の無慈悲さに、ただ涙しか出てこなかった。そこに手を差し伸べてくれたのはアスラン。

あの時は言えなかった―――「ただいま」って

シンとルナ、そしてアグネスは顔を見合わせると、一時微笑み彼らに言った。

「「「みんな、ただいま!」」」

笑顔に包まれるミレニアム格納庫。
「あ、でもやっぱり私はシンとは組まないからね。」
先ほどの続きとばかりにアグネスがまた強気に出る。何しろ整備班には彼女のファン(というか手名付けたw)が多いのだ。背に応援を受けて、アグネスがまた噛みつく。
「アグネスなんて、ルナにも負けてるじゃん!やっぱり俺の方が隊長に向いてるって!」
「やめてよ!だったらやっぱりルナマリアが隊長でいいじゃん!」
「もう…あんたたち…」

ため息交じりのルナマリア。
そんな彼らの様子を、遠くからヒルダが見守る。
「マーズ、ヘルベルト。…あのひよっこたちの面倒を見なきゃならんから、まだまだお前たちのところには行けなさそうだ。」
苦笑するヒルダの背をそっと押すような感覚。
(大丈夫ですぜ、姉さん!)
(姉さんの背は、これからも俺たちが見守ってますって!)

あの3人に自分たちの昔を重ね、ヒルダは満足そうに微笑んだ。


=勝利の女神=

「キャバリア―アイフィリッド2、着陸します。」
慣れ親しんだCICミリアリアの声に、カガリはストライクルージュのグリップをオフにした。
地を踏みしめた感覚がMS越しに伝わってくる。
「さーて、まずはアレから片付けるか!」
拳にした右手を左掌で受け止め、カガリは視線を再び戦闘モードに移行する。
先ほどはつい微笑んでしまった。
オーブに帰還中、右についたキャバリア―0とインフィニットジャスティス弐式。
真っ先にモニター回線を開いてきたのはアスランの方だった。
ヘルメットを取ったその翡翠は、先ほどまで死闘を繰り広げていた男のものとは思えないほど穏やかで。
そっと守り石を見せながら、口に出さずに思いだけを告げてくる。
―――「石が守ってくれたよ。」
その微笑みに、今は最大の「お疲れ様」を込めて、カガリも「お守りの指輪」を見せて答えた。
だが、本国に戻ったら先ずは真っ先に問いたださねばならないことがある!
(―――「神聖な戦いの場に何と破廉恥な!!」)
あのシュラとかいう男は確かにアスランをもしのぐほどの最強の戦士だった。
戦いの前に綿密に作戦を立て、読心術を逆手にとって彼の不意を衝く作戦をアスランが指示した。
「カガリ」―――その名を読んだ時が合図。リモートに切り替える瞬間、遠隔操作がバレないようにと、アスランがカガリをイメージする何かを想像する、ということまではカガリも頷いたのだ。
だが、飛び込んできたのは

―――「破廉恥な!」

オーブ代表の破廉恥な姿など、まさかあの、まじめなアスランが考えるなんて!
「一体私の何を考えたのか。降りたらすぐに問いただしてやる!」
ステップを下降させ、オーブの地に降り立つ。
そこは砲弾の後も、瓦礫もない。
レクイエムの脅威から、無事に国を守れたのだ。
その安堵が先立つ。とその先に、見慣れたパイロットスーツの彼がいた。
(見つけた!)
カガリは走り寄る。するとそんなカガリの気持ちを知ってか知らずか、アスランはやや俯いていた。
(反省の色は、一応あり、か?ならばしっかりと反省を弁じてもらおうか)
「アースーラーンッ!!」
彼の目の前に仁王立しようとした瞬間、
(え…?)
体がふわりと宙に浮く。
次に下半身を支えられている感覚に、カガリが下を向けば、アスランが満面の笑みでカガリを抱き上げていた。
「カガリ、よく頑張ったな!」
アスランがこうしてあからさまに人を褒めることは滅多にない。
カガリを抱いたまま、嬉しそうにくるくると回る。
「お、お、おいっ!ちょっと待て!」
回る視界をよく見れば、メイリンは恥ずかしそうに目を覆いながらもしっかり指の隙間から、二人を目に焼き付けており、ミリアリアは「広報に使うわよ!」とばかりカメラを抱えている。サイまで楽しそうに笑っている。
(こんなに皆に見られてるじゃないか💦)
慌てるカガリは、怒るタイミングをすっかり失ってしまった。
何よりこうした行為を見られることを、一番嫌うタイプじゃないのか、この男は!?
「おい、アスラーーー」
だがカガリは言葉を閉じた。
何より自分を見つめるアスランの瞳があまりにも嬉しそうで。

あのシュラとの駆け引きは、あの瞬間、文字通りカガリがアスランの命を握っていたのだ。
負ける算段はしない男だ。それでもたった一瞬自分の命をカガリに預けたのだ。
目の前で自分を抱え上げるアスランは、自分が守ったのだ。
するとカガリの中に、怒りを通り越した安堵が溢れてくる。
「アスランが生きてくれてよかった。それだけじゃない、オーブもみんな無事だ。」
傷一つ負うことなかったオーブ。目の前で自分を抱き上げてくれるのは、国とまた別の意味で一番大事な男性。
カガリの大事なものが一つとして欠けることなく残った、込み上げてくる喜びで、カガリはアスランに笑いかける。
アスランは頷く。
「そうだ、君が守ったんだ。君を中心に人が集まった。そして皆が力を合わせて守り切ったんだ。」
アスランはカガリを抱え直しながら、カガリの視線を外に向けさせる。
すると
「代表ーーー!」
「やりましたね!」
「オーブが勝ちましたよ!」
「アスハ代表、万歳!!」
オーブ軍の兵士が、国民が、いつの間にかカガリを中心に輪を作って歓声を上げている。
目の奥に熱いものが溢れてくる。

2度の砲火に晒され、またこうしてレクイエムへの脅威にさらされながらも守り切った国と人々。
カガリは涙を止めることなく手を振る。
ずっと遠くの皆にまで手が届く様に、思いっきり。

ひとしきり落ち着くと、アスランはカガリをゆっくりと下ろそうとする。
その瞬間、ほんの一瞬、アスランの囁きが耳を擽った。

「ありがとう、俺の…俺たちの”勝利の女神”」

そして甘い囁きを告げた唇が、誰にも気づかれないように、そっとカガリの頬に触れた。



=静かな夜に=

波の音だけが静かにさざめく砂浜。
小さな家の明かりがぽつんと一つある以外、浜を照らすのは満天の星々。
「静かだね・・・」
「えぇ。」
つい先ほどまで、激戦を戦い抜いていたとは思えないほどの穏やかな空間。
見上げると、いくつもの流れ星が降り注いでくる。

それを見ると少しだけ、キラは切なくなる。
流星は宇宙に散った残骸が、地球の重力に引かれ、大気圏で燃えているもの。
その残骸の多くは・・・おそらく、今日の戦いで散った多くの命と兵器。
「大丈夫ですか?キラ。」
彼の足にそっと手を添え、ラクスが心配気に覗き込んでいる。
彼女はあの時を思い出したのだろう。
第二次ヤキンデューエ戦。あの大戦でようやく終結を見たが、まだ混乱も戦乱も収まらない世界で、キラは自分の戦ってきた意味をずっと自問自答し続けてきた。
疲弊しきった精神は気力を削ぎ、ただ海を眺めて過ごすだけの日々だった。
その心の傷もまだ癒えない内に、ラクスはデュランダル議長に命を狙われ、カガリは自分の身を犠牲に国を救おうとした。
キラは自分が動かなければと、癒えない傷を抱えたまま、また戦場に戻ったのだ。
そしてディステニープランを否定し、その先の自由な未来を作る責任を一人で抱え込み続けた彼の苦悩。
計り知れない傷を負っていることを、ラクスは知っている。
だが、そんな彼女に手に自分の手を重ね、キラは微笑んだ。
「大丈夫だよ。今の僕にはラクスがこんな側にいてくれるから。」
「キラ・・・」
ラクスの肩を抱き寄せ、ラクスは甘えるようにキラの肩にもたれる。
その細い肩を抱きながら、キラも思う。
こんな華奢な双肩に、苦悩―――アコードという事実を抱え込んだ彼女を。
守りたい。ただラクスを。
「僕は欲張りすぎたのかな。」
キラは自分の手をかざして見せる。
「僕がやらなきゃって思ったんだ。ラクスを笑顔にして、沢山大好きな歌を歌える世界にするんだって。」
「私も思っていました。キラを早く自由にしてあげたい、と。」
「何で自分でやらなきゃって思っちゃったのかな。僕の手はこんなに小さい。あれもこれも、全部抱えられるわけないのに。」
そう言ってキラは苦笑する。
「私もです。ラクス・クラインは世界を導いてくれる・・・一体誰がそんなことを望んだのかと。違ったのです・・・私が本当の自分の想いに気づいていなかったからだ、と。」
ラクスの望みはたった一つ―――「キラの側に居たい」だけ。
アプリリウスではあんな大きな家に二人きりで住んでいたのに、今の小さな家で、こうしてただ二人でいられる時間がこんなに大切で、温かくて、愛おしかったなんて。
欲しかった願いはこんなにも小さかったのだ。
外にばかり、上ばかりを見続けて、本当に大切なものはすぐ目の前、足元にあったというのに。
でももう気づいた。
だからもう迷わない。
忘れていた大切なものがここにあるから。

「私は、貴方に会えて、幸せになれました。」

いつか言ってくれたあの言葉を、ラクスは再び口にする。

「僕も、君に会えて、こんなに幸せになったよ。」

隣には君、そして後ろで優しく見守ってくれる両親。
これだけあれば、世界は十分。

ラクスが口元をほころばせる。
「どうしたの?ラクス。」
「いえ、ようやくキラが微笑んで下さいましたものですから。」
「取り戻せたのはラクスのお陰だよ。」
キラはラクスに囁いた。
「あの曲、歌ってくれないかな?」
「キラからのご希望であれば喜んで。」
キラは目を閉じ、その柔らかな歌声に聴き入る。

静かな この夜に
貴方を 待っているの

あの時 忘れた
微笑みを 取りに来て

あれから少しだけ時間が過ぎて
思い出が優しくなったね

星の降る場所で 貴方が笑っていることを
何時も願ってた
今遠くても また会えるよね


・・・Fin.


***

今日も突発でSS書いてます。
というのも、アレですよ!
遂に劇場版ガンダムSEED FREEDOMの上映最終週の特典が発表され、劇場のアフターエピソードのイラストに加えて裏面に小話が入っているという豪華な特典✨ 

ですが何とここに来て、3種ランダム配布という、ここまで来てこんな宿題落としていくんですか、公式!?(゚Д゚;)
って泣きたくなるような嬉しいような悲しいような、何とも言えない感情が渦巻いてます( ;∀;)
もう地元の劇場じゃ、一日1回、しかも殆どレイトショーなので、絶対全種類は手に入らないだろうなって・・・💧
いつもですと「アスカガが来れば―――!」と思うのですが、30回以上上映を見てきた身としては、「この3組のエピソード、全部読みたい!!」ですよ。
なんで三点セットにしてくれないかな~(´Д`)ハァ…

なので、手に入らないであろうことを含めて、勝手に自分で補完させてみました(哀)
多分17日に実物手にして「全然違うじゃん!」って思うこと99.99999・・・%なんですが、手に入らない以上は妄想するしかないじゃないですか!←アスランの破廉恥妄想も、今なら応援できる気がする!( ー`дー´)キリッ

ちなみに18日の双子誕生日舞台挨拶は、見事に落選したのですが、お知り合いさんが見事に当選されて、被った分を回していただけることになりました✨(T人T*) 神引きできる人って、本当に何でも確実に引くんですね・・・かもしたには一生縁がないです。

とりあえず、最後の特典はどこまで揃えられるかわかりませんが、せめて一枚だけでも手にしたい現在です💦
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