うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

My mothers

2024年05月12日 22時13分50秒 | ノベルズ
=Campanula =

「母さん、これ…」
そういっておそるおそるキラが差し出したのは、青き花の集まった一枝。
カリダは目を見開き驚く。
「キラ、あなた、わざわざ探してくれたの?」
母は知っている・・・愛息子が偶然にして連邦軍の新型開発兵器だったストライクに搭乗してしまい、元々子供のころから穏やかで争いを嫌う息子は友達を守るために文字通り、命と心を削って必死に戦ってきたことを。そして今はまたファウンデーションから愛する彼女を守り、平和を届けようと身を削り、その心が傷つき見えない血を流しながら、ここに戻ってきてくれたことを。
一日ベッドに横たわり、動くことも、話す言葉も少なく、そんな息子をただただ見守ることしかできなかったカリダ。
母として、どうしたら息子の心を癒せるのだろう…
ずっと自問自答し続けた日々。そんな今日、初めてキラが差し出してくれた一輪の花。
アカツキ島は手つかずの森林がカモフラージュの役割をしてくれて、緑が濃い分、野生の花々は見つけにくい。
それを、体を動かすことさえ辛かったであろう息子が、服の端々に泥汚れを付けたまま、ようやく探して見つけてくれたのだろう。
「ごめんね。本当だったらカーネーションを贈れたらよかったんだけど…」
はにかみながら言葉を伝えるキラを、カリダは思いっきり抱きしめた。
「…母さん…?」
「ありがとう、キラ…すごく嬉しいわ」
「こんな野生の花なのに?」
「当り前じゃない!息子が想って贈ってくれたものを喜ばない母なんていないわ!」
カリダは涙を拭うこともなく、キラを抱きしめ続け、そして母も言葉を紡ぐ。
「何があろうと、世界が貴方を苦しめようと、私は最後まで貴方の味方よ。」
「母さん…」
キラの目に涙が浮かぶ。
「うちの子は、こうして優しく温かい愛情を持っているって!たった一つの花であっても、この花が何よりの真実だもの。世界が貴方を責めたら、私が声に出して言うわ。この花が何よりの証拠だって!」
しゃくりあげるように泣く息子を慰める母。
「母の日なのに、母さんを泣かせちゃったね。」
「いいのよ。これは嬉し泣きなんだから。」
「プレゼントも、カーネーションも贈れないのに…」
カリダは首を横に振って、すっかり自分より大きくなった息子を抱くようにして頭を撫ぜた。
「キラ、私たちの元に来てくれてありがとう。戻ってきてくれてありがとう。貴方が生きていてくれることが…コーディネーターであろうと何であろうと、貴方がいてくれることが、私への一番のプレゼントよ。」
花は本当はもっとあったはず。ただ、キラはきっとこの花を選んで探してきてくれたことが嬉しいのだ。
「感謝」―――その一言を告げてくれる、この花を。


=Muscari =

ラクスはおろしたてのピンクのエプロンを身に着けた。
「今日は母の日ですものね。私がカリダさんのお好きなものを作りますわ。」
そういってラクスはキッチンに立つ。もともと料理は好きなのだ。折角の母の日。キラと語らう嬉しそうなカリダに、喜んでもらう食事を作りたい。
「え~っと…コロッケと、唐揚げと、ハンバーグと…あらあら、キラの好きなものばかりになってしまいますわね。」
少しでもキラに元気になってほしい。
そして、カリダと共にキラを少しでも癒してあげたい。
テーブルにささやかな花を活けて、ラクスは忙しく動き回る。
「ラクスさん、貴女も無理はしないで。」
その声に振り返れば、カリダがエプロンを付けてキッチンに立とうとしている。
キラが落ち着いたのだろう。きっとまた眠っているのかもしれない。
だが、ラクスはカリダに言った。
「いえ、今日は母の日ですもの。私は動けますからおもてなしさせてください。少しでもキラに滋養を付けていただきたいですし、カリダ様のお手伝いができれば、私も幸せです。」
そういってにっこり笑うラクス。
その微笑に応えるようにカリダも微笑み返すと、瞬間、カリダがテーブルの上に飾られた、野草を見てほほ笑む。
「貴女もキラと一緒に摘んできてくれたのね。」
「はい…あまりこの時期いいお花が見当たらなくって…」
「優しい子ね、ラクスさんは。きっと貴女のお母様もお優しい方だったんでしょうね。」
「え…」
ラクスは言葉に詰まる。
本当の母は、私をアコードに作った。どういう意図でラクスを連れてメンデルから逃げ出したのかはわからない。
幼い頃覚えている母の面影は、穏やかな、優しい人だった。
しかしアウラからそう出生の秘密を聞かされた時は、何か足元が崩れていくような感覚に襲われた。
一番の信頼の基礎は母子関係。母との愛着ができてからこそ次の人間関係を結べるのだ。しかし、あの瞬間、母に裏切られた気がしたラクスは、不安と迷いに突き落とされそうになった。ただ一つの希望は「キラへの愛情」。それだけを糧に心を必死に保った。
振り切ったつもりでも、まだどこかにアコードという、母の呪縛が残されている気がしていたのに…
「私の母が、どうして優しいと?」
俯くラクスに、カリダは答える。
「わかるわ。だって私も母親だもの。自分で子供を産んだわけではないけど、それでも育ててきたからこそキラのことはわかるの。口にできない苦悩も。だからかしらね、」
カリダは微笑むようにして、ラクスに言った。
「貴方も私に甘えてきていいのよ。」
「え?」
ラクスが驚く。カリダは少しおどけるように言った。
「貴女も一人できっと言えないことを抱えているのよね。言いたくなかったら無理に言わなくてもいいわ。でもここにいる間は…いえ、これからもずっと、貴女の母でありたいと、私は思っているの。」
「…」
空色の瞳に涙が溢れる。カリダはラクスに首を垂れた。
「本当にありがとう。キラの傍にいてくれて。でも、貴女もずっと辛かったでしょう? 貴方の母には敵わないかもしれないけど、それでも私は貴女のことも大事にしたいの。」
「カリダさん…お母さま…」
「よく頑張ってきたわね。」
涙をたたえるラクスをそっと抱きしめる。
ラクスも堰を切ったように声を出して泣いた。
テーブルに置かれたムスカリの花。キラと共に懸命に探し出してきたのだろう。
この花言葉と同じく、二人が一歩を踏み出せる場所になればいい。
「明るい未来」に―――


=Carnation =

オーブの慰霊碑の前で、シンはただ一輪の花を捧げた。
(――「母の日」?」)
ルナマリアがシンから突然尋ねられ驚く。シンはオーブ戦で母どころか家族を失っているに、まさか彼の口から「母の日」という言葉が出るとは思わなかったのだ。
(――「うん。ルナはお母さんに何かあげるのか?」)
悲壮感はなく、むしろまるで母が存命しているかのように当たり前の口調。ルナマリアは一瞬不安は感じたものの、きっと乗り越え、今はあの悲劇と向き合えるようになったのだろうと、素直に答えることにした。
(――「一応赤いカーネーションは送るように早めに予約手配したけど…」)
(――「え!?予約しないといけないのか!?」)
驚くシン。ルナは慌てて叫んだ。
(――「ばか!みんな母の日には赤いカーネーション贈るでしょ!?今は戦後処理で花なんて手に入りにくいんだもん。それこそ争奪戦よ!!」)
慌てて探してみたがもう遅い。
「…オーブだったら残っていると思ったんだけどなぁ~」
考えてみれば、オーブもファウンデーションからレクイエムで狙われたり、緊急避難が繰り返されたりで、それどころじゃないのだ。
当たり前といえば当たり前。
「はぁ~俺って何でいつもタイミング悪いかな~」
売っていたのはたった一輪の、しかも白いカーネーション。
「これじゃ、なんか葬式に使う花みたいじゃんか。」
慰霊碑を前に、膝を抱えて顔を伏せるシン。
「そんなんじゃ、お母さんたちとお話しできないでしょ?」
突如背後から話しかけられ、ビクンと姿勢を正せばそこにいたのは
「ルナ、どうしてここに?」
「どうしてって、アンタと一緒にミレニアム待機だもん。モルゲンレーテで修理中だし、その間は陸上待機なんだから。」
「でもわざわざここに来なくても…」
「何かアンタがいそうな気がしたのよね。折角だからデートに誘おうかな、って思ったらもういなくって、街中に出たらアンタが一生懸命カーネーション探して、花屋さん駆け回っていたし。」
そう言って笑うルナマリア。シンは気まずそうに頭を搔いた。
「だってしょうがないじゃん。赤いカーネーションなんてどこにも売っていなくって、とにかくカーネーションありませんか!?って探したら、ようやく「これなら」って出してくれたのがこれ一本だったんだぜ。」
ルナマリアがシンが指さす慰霊碑を見れば、そこには白いカーネーションが、海からの凪いだ風に柔らかく揺れていた。
ルナマリアはそれを見て表情を明るくする。
「よかったじゃない。ピッタリだと思うわよ。」
「え?」
口元が明るくなったので、そのままルナが馬鹿にしてくると思っていたシンは、拍子抜けした。
「何で?だって葬式みたいじゃん。」
「そんなことないわよ。白いカーネーションの花言葉って知ってる?「私の愛は生きています」っていうのよ。」
「「私の愛は…生きている」?」
ルナマリアが頷く。
「そうよ。確かに亡くなった方に捧げる意味として「死んでも私は貴方を愛していますよ」っていうのもあるけど、生きていても亡くなっていても、ずっと大事に思い続ける、っていう誓いの花でもあるんだから。」
「そっか…」
シンはようやく表情を和ます。
「ねぇ、シンのお母さんって、どういう人だったの?」
「別に…普通の母親だったよ。優しいけど、マユと喧嘩するといっつも俺ばっかり怒ってさ。でもご飯はすっごく美味しかったし、テストでいい点とると褒めてくれたし。休みの時は父さんと色んな所に連れて言ってくれたし…」
「そうなんだ。うちのお母さんも同じよ。メイリンと喧嘩するとすぐ「ルナはお姉ちゃんなんだから」ってメイリンばかり可愛がってさ。好きでお姉ちゃんに生まれた訳じゃない!」って喧嘩したこともあったし。」
「わかるわかる!俺もそう!」
「あーやっぱり!お母さんって皆そうなんだね。」
二人は顔を見合わせて笑いあう。ひとしきり笑った後、二人は自然と慰霊碑を見つめた。
「母さん、喜んでくれたかな?」
シンがぽつりとつぶやくと、ルナマリアが頷く。
「きっとそうよ。こうしてシンの家族への愛は生きているんだもん。」
白いカーネーションは、愛の証。
「今度アスハ代表に言ってみようかな。ここをさ、白いカーネーションの花を植えたいって。」
嘗てのシンの口からは絶対聞けなかっただろうその言葉。
ルナマリアは満面の笑顔で頷いた。
「きっと代表なら言ってくれるわよ。「とてもいいアイディアだな」って。」
「よし!もう一つ目標ができた!」
シンは立ち上がる。
キラさんがいなくても、俺が代わりにここに花を植え続けるよ。
これからもずっと家族への、オーブへの愛は生きているから。


=Alstroemeria =

オーブの海岸を二つの影が並んで歩く。
海風を孕んだ金の髪を片手で押さえながら、足元の波が引くと同時に、カガリは屈みこんで抱えていたガーベラの花束を投げる。
波は優しく抱く様に花束を包み、沖へとそれを運んでいく。
「慰霊碑に捧げるのかと思ったら、海だったとはな。」
花がゆっくりと沖へと消えゆくのを見送りながら、アスランは呟いた。
カガリは立ち上がると、同じく視線を海に向けたまま、それに答えた。
「まぁな。本当は慰霊碑でもいいんだろうけれど、そこにいない人たちもいるから。」
「カガリの母親か?」
「私の実の母はここにはいないよ。あの後詳しく調べてもらったら、メンデルの遺伝子研究所を最後に消息を絶っているし。」
そう、たった一度だけその腕に抱いてくれた母は、この地球にはいない。
「育ての母、というか、お父様の奥方様はいらっしゃったみたいだけど、私が物心つく頃にはもう亡くなられていて、私には母親と呼べる人がいなかったからな。」
その告白にアスランは心が締め付けられる。
「ごめん。」
「何だよ?何でお前が謝る必要があるんだ?」
「その…カガリが二人も母親を亡くしているのに、俺は無神経なことを言って・・・」
「無神経も何も、今までお前に一言も私の母親についてなんて話したことなかっただろう?知らないのが当然であって、怒る筋合いないじゃないか。」
さっぱりとした表情で、カガリはアスランを見やる。
そんな彼女を見てアスランは切なくも思う。
なんで彼女はこうしていつも、広い心で受け止めてくれるのだろう。
「それに―――」
カガリは再び海を見つめる。
「私にはマーナがいてくれるしな。姫様姫様って行儀作法には滅茶苦茶うるさくて、いっつも反発していたけど、多分お母さんってあんな感じなんだろうなって思って。」
「そうか。」
アスランも思わず口元が緩む。一時SPだった時、カガリとマーナのやり取りを見ていたが、確かにあのドタバタを見ていると、つい昔を思い出した。
まだ幼少の時、キラがカリダさんに
(―――「もう、早く宿題しなさいって何度も言っているでしょう!」)
(―――「ほーら、おやつを食べる前に、まず手を洗ってきなさい!」)
その度にキラは剝れて「は~い」と渋々向かっていたが、それがマーナさんとカガリに重なる。
本当に離れていても、双子は双子だ。
「…何か可笑しかったか?」
カガリにいつの間にかのぞき込まれていたらしい。アスランは笑って「いや、昔を思い出して」とごまかす。すると
「なぁ、アスランのお母さんはどんな人だったんだ?」
カガリが不意に尋ねてきた。
「そうだな…」
アスランは心の奥に大事にしまっていた記憶の箱を、何年ぶりかにそっと開いて見た。
「俺は父親が厳しかったからな。その分母は優しかった。テストの点数でも、成績でもなく、俺が頑張ってくれたことを喜んでくれる、そんな人だったよ。もっとも、二人とも仕事でほとんど家にいた記憶がないから、寂しくても我慢していたほうだったな。」
こう思うと、二人揃って母親というものに対して縁が遠かった気がする。
「アスランのお母様は、キャベツの研究をしていたんだろう?みんなの下に、宇宙でも自給自足できるように。」
「あぁ。」
その農業プラント―――「ユニウスセブン」は地球軍の核攻撃で…
「…ごめん。」
今度はカガリが謝る。
「何でカガリが謝るんだ?」
「だって、その、辛いだろう?お母様が亡くなったこと・・・」
アスランが斜陽に目を細め、それでも落ち着いていった。
「確かにあの時は怒りと悲しみしかなかった。だからこそザフトに入隊する決心をしたんだし。…でも、こうしてカガリと会えた。」
戦場に出なければ、きっと出会うことがなかったはず。キラとの再会も。そして何より、あの時の母よりきっともっと大事にしたいと思うカガリと。
「お前のお母様は、その…私なんかがアスランの側にいて、喜んでくれる…かな?」
正直自信がない。女性としてアスランを幸せにしてあげることができるだろうか?
だがアスランは一度目を閉じてゆっくり呼吸すると、カガリに向き直り、その手を伸ばして抱きしめる。
「ちょっと、お前、いきなり―――」
「喜んでくれているよ。だって、今日海に花を捧げてくれたのは、俺の母のためでもあったんだろう?」
カガリが<ギクリ!>と体を震わせる。
「な、何でそれを―――」
「『ブレイク・ザ・ワールド』…ユニウスセブンの残骸は今は地球に落下して、多くが海の中で抱かれている。その中には、きっと俺の母もいるはずだ。世界のどこに落ちたかはわからないけれど、地球は全て海で繋がっている。だから、カガリは母の日の今日、こうして俺の母のことも思って、海に流してくれたんだ。」
「…」
そうか、アスランはとっくに気づいてくれていたんだ。
「アスラン。」
「どうした?」
「もうちょっと、このままでいてくれないか?」
「…」
アスランは言葉の代わりに、カガリを抱く手を強める。
カガリはそのまま目を閉じる。

静かな夕暮の浜辺には、どこかの親子連れだろうか。
子供を呼ぶ母親の声、そして家路に向かう人たち。

当たり前のこの光景が、つい1年前までは荒れ果てた戦場だった。
瓦礫と銃撃音と泣き叫ぶ声。
それが嘘のように今は穏やかだ。

目を瞑ったまま、カガリは呟く
「普通って、こんなに幸せなものだったんだな。」
「あぁ。失い続けてきた俺たちには、眩しすぎるほどだ。」
「私は諦めないからな。ずっとこういう時が続いていくことを。」
だから願いと誓いを込めて、花束を流した。
ガーベラ―――「常に前進」し「希望」を携えるその花言葉と共に。

「あ、そういえば、お前もさっき花束に何か入れてくれって言ってたよな。」
カガリが頼んだガーベラにアスランが「これも頼む」と入れてもらったのは『アルストロメリア』。
「確かにガーベラだけでもよかったけれど、少し違う花を入れてアレンジしてもらうのもいいかなと思って。」
「うん、お前にしてはなかなかのセンスだったと思うぞ。」
「…それは褒めてくれているのか?」
「無論だ。」
つんと澄ましながらカガリは告げる。
「いい花を選んだじゃないか。「未来への憧れ」だなんて。」
「似合うと思ったんだ。この前誓っただろう? キラとラクスに頼ることなく、今見えるこの情景を未来まで守り続けると。」
アスランがそういうと、カガリは力強く頷き、そして海に向かって祈りを捧げる。
多くの母親に、この願いが届きますように。

その横顔を眩しく見つめると、アスランは彼女の髪に隠し持っていた小さなオレンジの花をそっと挿した。
「アスラン?」
カガリがそれに触れる。
「今のカガリに似合うと思って、一つだけ取っておいた。」
「これってでも、アルストロメリアでもガーベラでもないけど、何だ?」
「それは…秘密だ。」
「何だよ!ここまで来て教えろよ!」
笑うアスランの背中をポカポカと叩くカガリ。
オレンジの花びら―――『ガザニア』が彼女の耳元で揺れて囁く。

―――「貴女を誇りに思う」と。


・・・Fin.


***


母の日を記念して。突発SS
母親の皆様へ―――いつもありがとうございます✨感謝を込めて<(_ _)>



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「好き」な理由(わけ)

2024年04月27日 21時26分19秒 | ノベルズ
オーブ行政府、代表首長執務室の午後3時過ぎ―――
普段は凛々しいアルトの声がする重厚なデスク。しかし今日は少し甲高い、声変わり前の少年の声が聞こえる。
「今日はご指導、ありがとうございました。」
そう言ってトーヤ・マシマが丁寧に頭を下げると、画面の向こうのメイリン・ホークは恐縮するように<いえいえ!>と片手で手を振る。
<今日と明日は、うちのボスが予定不在なので、緊急連絡でも入らない限りは私も時間がありますから。>
鬼の居ぬまのなんとやら。メイリンが椅子をリクライニングにして、片手でコーヒーの入ったマグカップを取ると、画面の向こうの少年も同じようにして、高級そうな茶器から紅茶をゆっくりと、口に含む。
「でもありがたいです。僕もザラ一佐やメイリンさんの様に、少しでもカガリ姉様のお役に立てることを探したいので、こうしてネットワークのことを教えていただけるだけでもありがたいので。」
静かにソーサーをデスクに置きながら、瞳をキラキラと輝かせてくるトーヤ。ルナマリアの妹であるメイリンにとって、普段味わえない、自分が姉のようになった気持ちになって、どこかくすぐったい。
頬を無意識に人差し指で搔きながら、メイリンは答える。
<お役に立つかはわかりませんけど、私で良ければ少しでも教えてあげられると思うので。でも・・・>
「はい?」
<トーヤ君は、本当にカガリさんのこと好きなんですねv>
ここまで一生懸命になれるのは、好きな相手だからだ。メイリンにも覚えのある感情をニッコリ笑顔で代弁すると、トーヤはたちまち赤くなった。
「え!?ち、ちがいますよ!/// 尊敬しているだけです!あの若さでこの指導力・・・オーブの中でも一際支持率が高いんですよ。僕も将来、カガリ姉様の様に颯爽と、しっかりした代表でありたいんです。」
<もう十分しっかりしていると思うけど・・・>
自分が14歳だったころを振り返ってみれば、姉の後を追いかけているばかりだった気がするメイリンは、心から感嘆する。すると今度はトーヤが慌てて手を振った。
「いえいえ、まさか!僕も思うんです・・・ザラ一佐の様に、明晰な頭脳とか、誰一人敵わない身体能力とかあれば、カガリ姉様をもっとお支えで切ると思うのに…」
<う~~ん…アスランさんは例外中の例外だと思うけど・・・>
本当に自分と同じコーディネーターなのか、と思う程、思考の回転の速さ、身体能力、そして戦闘能力・・・全てが規格外だ。メイリンが答えに詰まって苦笑するが、トーヤは更に興奮する。
「でもザラ一佐は凄いですよ。あれだけの力を持ちながら、決して驕ることもなく、優しくて理知的で、男の僕から見ても憧れるくらいですから、女性には凄く人気があると思うんですよ。」
<まぁ、確かに人気は凄いよ。ミネルバに居た時も、艦内の女性乗組員全員アスランさんのこと、興味津々だったもん!>
「メイリンさんも、ですか?」
<私?私は・・・まぁ・・・>
先ほど思い出したあの時の感情。あれは憧れであり、愛情だったかと言われると確証はない。それでもトーヤは見事に見抜いてきた。
「そのご様子ですと、メイリンさんも・・・ですね?」
<もう!年上を揶揄うもんじゃありません!///>
慌てて誤魔化そうとするメイリン。こうなったらたった2歳であろうと、年上の権利でこの場を凌ぐしかない。だが流石はオーブの五大首長家の一人。家柄もよければこの歳で女性への扱いも心得ている。トーヤは落ち着いて頭を下げた。
「これは失礼いたしました。・・・でも、今こんなにお近くで、一緒に仕事をされていて、ザラ一佐とは・・・」
<ないない!だってアスランさんが見つめているのは、たった一人だけ、だもん。>
更に力強く両手を振って否定するメイリン。
そう―――いい寄る女性は数多あれど、彼は全くよそ見をしなかった。彼の視線の先にあるのはいつだって・・・


―――続きはこちらから。


***


久しぶりにpixivにUPしました。
種自由時間軸での、アスカガほのぼの&イチャイチャ(笑)だけの話です。
前半はメイリンとトーヤが客観的に、そして後半はアスカガ本人たちが主観で二人の関係を思う形になってます。
キャプションの方に書きましたが、先週ティーチイン上映に参加しまして、アスカガの関係・・・主に指輪の件についての質問に対し、監督が回答してくださった話を基に書いてみました。
思うところはキャプションに解説を書きましたので、お時間ある方はご覧いただけましたら幸いです。

そして今日のかもしたは、値札を作って満足してましたw
一応こんな感じで最初は貼り付け型にしていたのですが、サークル主のお二方にご相談して、立体型に変えてみました。
・・・こんな感じで、当日並んでいると思いますので、お見掛けされた方は「あー、かもしたが作っていたやつだ(笑)」と笑ってやってください♪(^^ゞ

これでスパコミ当日用意できるものはできたので、明日発送しようと思います。
無事に届いてくれないと困るので、搬入ミスが起きないことだけをひたすら祈ってます(ー人ー)
明日はまた病院から宿題出されたので(まさか毎回こんなに宿題出されるとは思わなかったよ💧)やらなければ。
「深く考えないで答えてください」というのはわかるのですが、どうしても考え込んでしまう(哀)ちなみに前回「直感回答」の訓練をした時、思いっきり「ガンダムSEED FREEDOMのアスカガが好きです!」と叫んだあとで(やっちまった~~💦)と焦りましたが、先生から「好きなものがあるのはいいことですねw」とフォローしていただけました^^;
何でも一人ででも「好きなもの」があるなら、メンタルの逃げ道があることに繋がるので、精神的にはいいことだそうです。
ということで、双子誕生日も近くなったことですし、また妄想の時間にふけろうと思います♪
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記念写真♥

2024年04月15日 21時56分45秒 | ノベルズ
「カガリ様、どうぞこちらへ。」
秘書長がカガリを丁重に案内する。
「あ、うむ。」
今日の公務は終了。これからアスハ邸に帰宅しようとしていた矢先に、執務室に秘書長が現れ、恭しく頭を下げた。
今日の仕事は間違いなく終わっている。なのに、どうにも秘書長はいつも送迎車を付ける場所とは別のところに向かっている。
(何だ?またややこしい案件がモルゲンレーテから出ているのか?)
すっかりこうした突然のトラブルへの対応も慣れた。腹をくくって付き合うしかないと決めたカガリに秘書長は一室のドアを開ける。
「お入りください。」
普段ならしっかりと用件の報告をするのに、今日は一言もないのが不思議だが、それでも今まで一度も信頼を裏切るようなことはなかったので、カガリは
「・・・わかった。」
そう言って部屋に入る。

広いが、照明は一つだけしかついていな薄暗い空間。そこにはアンティーク調の椅子が一基、置いてあるだけだ。
「どうぞそちらにお座りください。」
「・・・」
カガリの表情が訝し気になる。椅子以外何もないこの部屋で、一体何をするのか?
すると
<パッ✨✨>
「っ!」
一気に着いた眩しい照明に、カガリが瞬間目を閉じる。すると―――
「カガリ、1位おめでとう!」
そう言って右から拍手をしながら現れたのはキラ。更に
「カガリさん、おめでとうございます!素晴らしいですわ。」
春らしいスーツに身を包み、左手から現れたのはラクス。
「え?は?」
キョトンとしたままのカガリに、二人は笑って見せた。
「何驚いているのさ。カガリ、この前連絡があったでしょ?」
「この前・・・私に何かあったか?」
「お忘れですか?カガリさん。『SEED GP2024』で、一位を取られたのはカガリさんですわ♪」
そう言いながら、まだ驚きを隠せないカガリに、ラクスはピンクのユリの花束を渡す。
「うわぁ、いい香りだ。・・・二人とも、ありがとうな。」
ようやくカガリの表情が緩んだ。だが
「でも、告知を聞いたときは驚いたけど、本当に私なんかがもらっていいのか?だって劇場版で大活躍したのは、むしろキラとラクスの方だろう?」
謙遜するカガリに、ラクスは首を横に振る。
「いえ、カガリさんは常に私たちを含め、皆を後ろから支えてくださいました。私たちの背を支え、帰る場所を守ってくださったのはカガリさんです。それがどれだけ心強いか・・・」
空色の優しい瞳がカガリに微笑む。
「それだけじゃないよ。」
「キラ?」
カガリが見上げるキラは、あの時苛まれていたような影はどこにもなく、どこまでも穏やかだった。
「物語の全ては「カガリから始まった」んだよ。カガリがカトウ教授のゼミに来なければ、僕はザフトの攻撃を受けても、あのヘリオポリスのドッグにはいかなかっただろうし、そうしたらマリューさんに会うことも、ストライクに乗ることもなかった。勿論、アスランとの再会もなかったんだよ。」
「キラがAAに居なければ・・・ストライクに乗らなければ、私はユニウスセブンで救命ポットに乗せられたまま、宇宙を彷徨って、あるいは今こうしてここにはいない命だったかもしれません。」
ラクスも言葉を添える。キラは頷く。
「それに、戦後カガリがデュランダル議長に会いに行かなかったら、アスランはミネルバクルーとも面識はできなかっただろうし、カガリがユウナと結婚しようとしなかったら、僕らもAAの皆も、立ち上がることはなかった。」
「今回も、カガリさんが『コンパス』を設立しようとしなければ、私たちは動くことなく、ファウンデーション・・・アウラをはじめとするアコードたちのたくらみに気づくことなく、世界はもっと混沌と差別と従属に染まっていたのです。」
ラクスが少し瞳を潤ませた。
「だから全てはカガリから始まっている。この物語を走り出せたのは、カガリのお陰なんだよ。」
「キラ・・・ラクス・・・」
カガリは二人を見上げ、目を潤ませる。
父の裏切りに反発し、ヘリオポリスから今度はアフリカの砂漠地帯のゲリラに身を寄せ・・・世界を動かした等と今でも思ったことはない。でもまさか自分が地に足を付けた瞬間、それは水たまりの波紋の様に広がって、この世界のストーリーを作り出していたなんて。
「カガリはね、旗を掲げてくれているんだよ。」
「私たちの目印です。始まりの場所であり、帰る場所でもある、と。」
キラとラクスがそう言って笑んでくれる。
「よかった・・・私の歩んできた道は、間違いもあっただろうけど、それでも皆を導くことができたんだな。」
「うん!」
「その通りですわ。」
そう言って二人が拍手する。カガリは思わず照れくさくて、花束で顔を隠す。すると
「そうだ、折角だから写真を撮ろうと思って。」
キラがカガリに顔を寄せる。ラクスも同じく屈んで
「そうですわね♥ カガリさんとキラと私で。」
「さっきから、僕の背中の方からなんかパシャパシャ音がしているんだけどさ。ちゃんと正面から撮ってよ?カメラマンさん。」
ね?とキラが笑顔で睨めば、カメラマンはやれやれと言わんばかりに正面に立った。
「わ、私が中心でいいのか?」
「当たり前でしょ?今日の主役はカガリだもん。」
「カガリさん、笑ってくださいw」
こうして3人寄り添って写真を撮る。考えてみたら初めてだ。
「なんか・・・記念というより、家族写真みたいだな。」
「カガリ?」
「お父様とは一緒に撮影したことは幾度かあったけど、本当の家族のお前と写真撮ったのってきっと初めてだ。」
「そうだね・・・」
キラもどこか遠い目をする。
もし、今、実の両親がここに居てくれたら、どんな顔をしてくれただろう。
カガリは背後の二人を交互に見やった。
「それにいずれは本当に「家族写真」になるぞ?『弟夫婦とその姉』という―――」
「か、カガリッ///」
「嬉しいですわ♥お姉さま。」
「ラクスまで・・・」
やれやれと肩をすくませるキラだが、まんざらでもなさそうだ。
「そうだ!家族写真、っていうなら、そこにいるみんなもどうだ?」
カガリは照明の向こうで見守る大勢に声をかけた。まさかの声に全員手首を横に振るが
「オーブの皆は私の家族だ!家族写真、というならみんなも入って当然だろう?ほら、メイリン、ミリィ、サイ、トーヤも!」
「は~い♥」
「いいの?本当に?」
「僕は別に・・・」
「お二方とも、代表がおっしゃっているんですから。」
進んで飛び込むメイリンと、トーヤに背中を押されて現れるミリアリアとサイ。更に
「シンとルナも!」
「え?俺たち関係ないじゃん!」
「いいんですか?やった!ほら、シン!」
尚もカガリは奥に手を振る。
「ほら、キサカ!皆連れて来いよ!」
「代表のご命令とあらば。」
そう言って周りの皆を捕まえてくるキサカ。
「じゃぁ撮りますよ。3・2・1!」
<パシャ>
そこには激戦を勝ち抜いてきた皆の笑顔が刻まれた。


「この後ささやかながら祝勝会の場を用意してますので、皆さん、移動してください!」
ミリアリアがテキパキと動き、皆がゾロゾロと室内を出て行く。
カガリは見送って、最後まで残っていた彼の側に近づいた。
「カメラマン、ご苦労だったな。アスラン。」
「全く・・・今回はいいように使われたよ。」
そう言って苦笑するアスラン。
「でも、あからさまに、私とラクスが収まるのに、キラだけ顔が写らない場所から撮るのはどうかと思うぞ?」
「アイツ「アスランは”4位”だから、ここには入れないからね♪」とかニコニコしながら言ってくるんだ。だったら細やかな反撃くらいしたっていいだろう。」
面白くなさそうに口を尖らすアスラン。
「全く、お前って本当に負けず嫌いだよな。」
カガリが花束を抱えながら笑う。と、
<パシャ>
シャッターを切る音。カガリが真顔になる。
「お前、今許可なく私の写真撮ったな!?」
「だって、一番いい顔をしていたから。」
そう言って微笑みながら、カメラを構えたアスラン。
「まさかと思うが公報に出すとかないよな?」
「いいや、これは俺だけのカガリだ。他にやつに見せる気は毛頭ないよ。」
ただ一人、カガリにだけ見せる彼の優しくやわらかな笑顔。カガリは赤らんでいく顔を隠すようにして俯く。
「・・・お前がいてくれるから、いい顔できるんだよ・・・」
ぼそりと呟いたカガリの小声を、コーディネーターの聴力が逃すはずもない。
「カガリ、今、何て言った!?」
「いや、何も?」
とぼけるカガリに、
「もう一回言ってくれ!」
と慌てるアスラン。
カガリはくるりと背を向ける
「いーやーだ!・・・でもその代わり―――」
もう一度くるりとアスランの方を向いたカガリは、彼の耳に唇を寄せて囁いた。
「・・・今度は二人の『家族写真』を撮ろう、な。」


・・・Fin.


***


いつも通りの突発SS(注:見直しすらしていない)です。
今日萌えたのは、本日発表になりました、SEED GP2024の1~3位のキャラクター部門&MS/MA部門の描き下ろしイラストが発表になりましたのを見て、キュンキュンしてしまいまして(笑)
「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024」グランプリビジュアル2024が公開!監督からのコメントも到着! | | 『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』公式サイト (gundam-seed.net)
 このイラストが可愛いんですよ(≧▽≦)b✨
サプライズプレゼントのカサブランカの花束を渡されて、驚いているカガリと、花束を渡すラクスと、それを見守っているキラの図。このイラストを見ただけで、3人がどんな会話をしているのか、とかシチュエーションが幾つも妄想で沸いてきますね!!(笑)
願わくば、キラも後ろ側じゃなく、正面から顔が見たかったな~
MSの方はもうフリーダム様が偉大で✨ そしてマイフリはともかくディステニーがなんか迫力ある描かれ方でカッコいい!!
カガリとフリーダムが1位だと、つい運命の時の「花嫁強奪事件」を思い出す(笑) 「あそこに映っているのが、1位と2位と1位か( ̄▽ ̄)」ってw
今度カガリがアスランと結婚するとなったら、マイフリが強奪しに来るのか!?「姉との結婚は認めない!」って。勿論ラクスもマイフリだから乗ってるし。そうしたらアスラン、あのズゴックで迫ってきたときと同じ表情・・・よりもっと鬼の形相で隠者弐式すっ飛ばしてきそうだな(笑) プラウドディフェンダー対策、どうするつもりなんだろう・・・きっとハインラインさんと結託して、無効化武器とか作っていそうで、そら恐ろしいですザラ一佐💧

それはともかく、あのビジュアル見て殆どの人が「これ撮影しているの、アスランだろう」「嫁しか撮りたくないんだよな」「キラにカガリばかり撮影しているのバレないように、あの角度から撮っているんだ」とか書かれまくっていて(笑) そのうち「カガリの座っている椅子が俺だ!」とか、意地でも映り込んできそうだw TVシリーズのアスランだったら、絶対そんなこと言わないだろうと思っていたけど、劇場版見たら何でもやりそうで、色んな意味で「不可能を可能」にしそう(※カガリ限定)

このイラストのグッズっていつ出るのかな?
多分クリアファイルとかだろうけど、姫様が幸せなものはいくつでも揃えたい人なので、ばっちり購入目指します☆









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SS「恋人つなぎ」&アスカガ香水が届きました✨

2024年04月06日 22時38分42秒 | ノベルズ
それはこの春、異動してきた秘書の、何気ない一言から始まった―――


「アスハ代表はザラ一佐とお付き合いされていらっしゃるって、本当ですか!?」
「プーーーッ!」
昼下がりのささやかなランチのひと時。カガリは飲みかけの紅茶を思いっきり噴き出した。
「ゲホッ!ゴホッ!」
「大丈夫ですか?アスハ代表・・・」
隣席に並ぶミリアリアが、ハンカチを差し出しながらカガリの背を撫ぜてくれる。
「ゴホッ、だ、大丈夫だ・・・」
口元を自前のレースのハンカチで押さえながら、カガリが新人秘書を見れば、彼女はキョトンと目を丸くしたまま。
「はー、一体そんな情報をどこから聞いたんだ?」
「えーと、この春、ここに異動になった時、先輩方がお話しているのを聞いてしまいまして…」
オフレコだったのか、と気づいたのか、新人秘書官は身を縮ませていく。そんな彼女に代わり、別の秘書官が彼女に助けの手を差し伸べた。
「でも確かに気になるんですよ。なんといってもザラ一佐ってカッコいいじゃないですか。しかも白兵戦でもMS戦でも誰一人敵うことない凄い強さで、でも決してそれを誇るでもなく、人当たりはいいし、穏やかで優しいですし。ギャップ萌えですよ!」
「その全女子のハートを鷲掴みにするザラ一佐を見たら、誰だって知りたくなりますよ!「ザラ一佐に彼女はいないか?」って。」
何故か秘書官・・・トーヤとミリアリアとサイ以外の乙女たちは、年齢に寄らず皆アスランの姿を脳裏に描いてうっとりしている。
「それで噂になっているのが、「アスハ代表が恋人だ」という話ですよ。でも、流石に代表に伺うことなんてできないじゃないですか。」
「いや、今聞いているじゃないか。」
カガリの人柄のせいだろうか。普通だったらプライベートの話などしないだろうが、オープンなカガリの対応に、休憩時は何時しか皆が和気藹々と恋バナを咲かせる空気を纏っていた。
「中には「アスハ代表だといえば、敵いっこないからあきらめよう」という先入観を持たせるため、わざと代表の名前を出しているのではないか、という人もいるんですよ。」
「・・・」
カガリは押し黙る。

―――続きはこちらから。

***

お久しぶりにSSを支部に投下してきました(`・ω・´)ゞ
相変わらずの馬鹿話です(苦笑)
キャプションにも上げましたが劇場版のアスランのあのセリフ「言葉にしないと、伝えられないこともあるから・・・」 に突っ込んでみました♥
多分、この作品の言わんとするところは、その後の小説版でのメイリンのツッコミそのものです。
大した内容ではないので、読み流していただけましたらありがたく<(_ _)>

話は飛んで―――
一昨日応援上映から帰ってきたら、家にアスカガの香水が届いていたんですよ!!✨✨\(≧▽≦)/
イベントでも展示されておりました、[primaniacs]の香水です。
少々お値は張りましたが、キャラクターイメージ香水って一度手にして見たかったので、迷うことなく買っちゃいました♥
ケースだけ見ると、シガレットサイズのチョコレートでも入っていそうですが、中身はとてもきれいなガラスの香水瓶に入っております。
香りの方ですが、アスランは
説明書きを見るとこんな感じですが、パット嗅いだ瞬間は、爽やかな甘い香りがします♥(笑)
で段々甘さも落ち着いた感じの甘さになってきて、なんとなく穏やか~な感じが続いてきます。
女性用でも男性用でも合いそうな香水の印象を受けます(男性だと、ちょっと甘すぎる、という人もいるかな?)

そしてカガリです。

付けた最初は、すっきりとした柑橘系の爽やかな香りがしました。いわゆる柑橘のあの酸っぱさの中の渋味みたいなのも感じるんですが、それが段々抜けていって安定した香りになりました。付けて10分くらい経つと、甘い香りが落ち着いてきますね。
アスランとカガリも最後は甘い香りが残るんですが、何といいますか、アスランは「明るい。軽い甘さ」で、カガリは「落ち着いたシックな感じの甘さ」が残る。
ブランド物の香水って購入したことなくって(概ねオーデパルファムばっかり)今回初めて購入しましたが、甘い香りでもこんなに種類があるんだな~って初めて気づいて感激しております✨

これ、どんなシチュエーションでつけようかな♪
アスランは軽い感じですから(おそらく劇場版の活躍がフリーダムだったこともあって、この軽さだと:笑)、遊びに行くときにつけて行きたいですね。
カガリは逆に、食事に行くとか、落ち着いた感じのお出かけの時につけたい感じ。仕事に行くときもいいかな。(※現在離職で内職中であるσ( ̄▽ ̄))
気分によって香水選べるのって、なんかいいですよね♥

ちなみに「移り香」がどうなるのかも実験してみました(笑)
結果———「双方甘いので、甘い香りが中和されて真ん中の甘さになった感じ」
・・・説明下手っ!Σ( ̄口 ̄|||)
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同棲中w&アーカイブが届いた!

2024年03月18日 20時04分09秒 | ノベルズ
アカツキ島地下ドッグ。カガリに呼び出されたアスランとメイリンは、そこで紅の機体とそれに接続された機体と対面した。
「これが『ズゴック』と『キャバリアーアイフィリッド0』ですか・・・」
メイリンがずんぐりとした赤いMSと、その上に装着された、巨大な円盤、というべきか何とも形容しがたい形状の支援機を下から煽る様に見上げた。
そんな彼女の隣でカガリがメイリンの肩にそっと手を置いた。
「これにはミラージュコロイドが装着されている。これに接続することで、ズゴックもミラージュコロイドが併用できるようになった。でもキャバリアーの一番の目的は「移動式指令室」といったほうがいいな。」
「『移動式指令室』か。確かに有事の時、砲弾を避けながら指示ができるな。」
アスランも並んで見上げると、カガリはちらとアスランを見やって頷く。
「先の大戦で、私がオーブを離れていたために、ユウナを拘束した後、直ぐに指揮に移れない事態になった。それに私が降り立ったことで、敵に指令室の場所がどこだか解析されるリスクも高まったしな。なので、量子情報処理のスパコンが整ったことを得て、こうした移動式指令室を用意したんだ。」
アスランがカガリを見やり、口角を上げる。
実はアスランが、この支援機についてエリカ・シモンズに相談したのがきっかけだった。
カガリは動くことのできる司令塔だ。ならばその強みを最大限発揮できる機体を作ってみてはどうか、と。
自身の意見が取り入れられたことは、カガリのためになると判断されたことが何より嬉しい。自分の力が彼女の助力となることが、今のアスランの最大の喜びであり、やる気の源だ。
カガリは尚も続けた。
「ズゴックは潜入調査しやすいMSを、ということで、エリカがハインライン大尉が設計していたものを基に作られた機体だ。アスランのスペックが最大限、活かせるようにしてある。」
「カガリ・・・」
こうして自分の力を発揮できるよう取り計らってくれた彼女の好意。何よりの信頼を感じ取れ、アスランはどこか心の奥にあった、彼女との心の距離を縮められた自信が沸いた。
「そこでだ。」
カガリは二人より一歩前に出ると、クルリと振り返って二人を交互に見やった。
「二人にはこれでターミナルへ出向して欲しい。キャバリアーはちゃんと個室もベッドもあってダイニングやリクライニングなスペースもある。勿論キッチンやシャワーもしっかり使えるぞ!」
アスランとメイリンは、同時に頭の上に「?」を思い浮かべる。
「あの、それってどういう・・・」
言いかけたメイリンに、カガリはにっこり答えた。
「ここを二人の生活の拠点にしろ、ということだ。」
・・・
・・・
「「はぁ!?(゚Д゚;)」」
同時に二人は叫んだ。
「そ、それって『同棲』ってことですか!?」
ドギマギしたように、でもどこか心の弾みが抑えられないようなメイリンの言葉に、アスランが血相を変えて彼女に振り向く。
「そうだが?」
キョトンと答えるカガリもカガリだ。
またも血相を変えたままカガリに振り向くアスラン。
既に顔色が真っ青になっている。
「ま、ま、待ってくれ!同棲って、一体どういうことだ!?!?」
「言葉通りだ。・・・だってお前たちは潜入捜査に入るんだぞ?入国してビザとって、ホテル、あるいはアパートを借りて滞在するには、一々手続きが必要だ。そんなの隠密行動になれないだろうが。足跡残しまくって。しかもいつまで滞在できるかわからないのに、宿泊代やら賃貸代、敷金礼金払っていられないだろう。それに情報がいつ入るかわからない。常に傍にいて、一人が動けない時はもう一人が動けるようにしたほうが、より迅速に任務を遂行できるだろう。」
カガリが手を腰に、高説を述べる。
・・・言われてみれば確かに。
だが未婚の男女が二人きりで、何か月も、いや下手をすれば何年も一つ屋根(?)の下で過ごすというのは道徳や倫理的にどうなのだろうか?
「私は大丈夫ですよ。だってザフトでも男女混合で生活したことありましたし。」
確かにそうだ。戦場に出れば男女なんて関係ない。それはアカデミーでも叩き込まれている。
「・・・」
アスランにしては珍しく、返す言葉もない。だがそんな彼を見やってか、カガリがアスランに真っ向向き合った。
「これはお前じゃないと頼めないんだ。」
「カガリ・・・?」
「お前は真面目だからな。間違ったことはしないと信じている。メイリンはルナマリアから預かっている彼女の大事な妹だし、私にとっても大事な存在だ。だからこそ、メイリンとパートナーを組ませるには、お前が一番安心なんだ。」
「な?」と上目遣いに金眼がのぞき込めば、もうアスランに勝ち目はない。
「・・・わかった。任務と併せてメイリンの安全は守るよ。」
ようやくアスランの表情が和らいだのを見て、カガリは頷く。
「勿論、個室は鍵がかかるし、24時間の監視体制でメイリンの安全を見守るから安心してくれ。」
「はい!」
「ちょっとまて。それって本当に俺を信頼して―――」
「じゃぁ、二人とも。よろしく頼むぞ!」
カガリはにこやかなメイリンと、また顔色を悪くしたアスランの肩を同時にポンポンと叩いた。


そうして、彼らが出向して数日が経った。
「二人とも、上手くやってるかな?」
正直年頃の男女を二人きりにして、カガリも心配がないとは言えない。全幅の信頼を置いている二人ではあるが、人の心はいつ何時、何がきっかけで変わるかもしれないのだから。
そんな時、キャバリアー0から通信が入った。しかも秘匿回線の緊急通信だ。
「どうした!?何かあったのか、メイリン!」
モニターに映ったメイリンは、エプロンをしたまま涙ぐんでいる。後ろには困り果てているアスランがいた。
「一体どうしたんだ、二人とも。」
<聞いてください、カガリさん。アスランさんが、私がせっかく作った食事、温かいうちに食べてください、って言ったのに「後でいい。冷めても構わないから」とかいうんですよぉーーーー!!>
「・・・は?」
話が見えないカガリの前に、アスランが割って入る。
<いや、だから今、手が離せないからと言っただろう。>
<でも冷めてもいい、なんて。だったら「後で温め直して一緒に食べよう」とか言ってくれたっていいじゃないですか!>
<二人並んで一緒に食事をとること自体、難しいと言ったはずだ。仕事の効率を図るには、どちらかが手早く食事を済ませておいた方が―――>
<でもでも!今日は特に腕によりをかけて作ったのに~~~!!>
「・・・。」
目の前の光景に、カガリは押し黙る。
「・・・(何だろう…この「社宅のお隣に引っ越してきた新婚夫婦の愚痴聞く隣のおばちゃん」みたいな状況は・・・)」

更に数日後
≪ピーピーピー!≫
「これはキャバリアー0から秘匿回線の緊急通信?今度は何が!?」
<カガリ、聞いてくれ!>
「アスラン?何が起きたんだ?」
<メイリンが・・・>
後ではメイリンが頬を膨らませてむくれている。
「何だ、またお前、メイリンの食事を放置したとか失礼働いたんじゃないだろうな?」
<違う!彼女がゴミの収集日を守らないんだ!>
「・・・は?」
またも話が見えないカガリに、メイリンは通信画面いっぱいに接近しながら訴えてくる。
<だってだって!女の子は男の人に見られたくないものが、ごみの中にだってあるからって言っておいたのに!カガリさんならわかってくれますよね?アスランさんたら、勝手に私の部屋のゴミ箱、空けようとするんですよ!デリカシーなさすぎです!>
<だったらきちんと指定日の前に、まとめて出せるようにしておいてくれ!分別もしっかりしていないし、これじゃ結局俺が中を見直さなきゃいけない状況になるじゃないか!>
カガリはまたも押し黙る。
「・・・(何だろう・・・この「必死に住人の言い訳を聞かされる、大家さん」みたいな心境は・・・)」

更に数週間後
≪ピーピーピー!≫
「・・・今度は何やらかしたんだ、あの二人。」
もはや慌てもしない。
チベスナギツネみたいな目になって、カガリがスイッチを押す。
<大変なんです、カガリさん!アスランさんが!!>
<メイリン!>
<あ、あんなものを・・・>
メイリンが珍しく口ごもる。加えてアスランまで俯きどこか苦し気に吐き出す。
<仕方ないだろう。その・・・一応俺だって男なんだから・・・>
<だとしても酷すぎます!あ、あんな・・・私・・・>
流石に今回はやらかしたのか!?
カガリは<バン!>と両手を机に叩きだし、モニターに向かって叫んだ。
「アスラン、お前、メイリンになんてことしたんだ!?」
<誤解だ!俺は何も彼女にはしていない!>
「じゃぁなんでメイリンがこんなに真っ赤になって泣きそうなんだ!?」
<私は・・・私は何もされていないんです。>
「え?」
またも話が見えない。しかしメイリンは目を潤ませて叫んだ。
<されたのは、カガリさんなんです!>
「は?私??」
<見てください!アスランさん、部屋にこんなにカガリさんの生写真貼っていたんですよ!>
そう言ってモニター越しに映ったのは、メイリンが掴んだ写真の数々。
<メイリン、それは私物だ!それに断じて俺はこの写真でやましいことなど―――>
<やましくないって言えますか?カガリさんのこんなプライベートな写真、凛々しい為政者の姿はもちろん、オフの日の伸び伸びしているところとか、美味しそうに食事食べているところとか、挙句、こ、こ、こんな寝顔までっ!>
<だからこれは―――>
<破廉恥です!こんな破廉恥なもので、私の憧れのカガリさんを汚さないで!!>
カガリは力が抜けたようにがっくりと椅子に座り込む。
「・・・((何だろう・・・この「部屋に隠してたエロ本を妹に見つけられて、必死に兄の弁解を聞かされる母親」みたいな心境は・・・)ていうか。メイリン。」
<はい!>
「アスランを殴ってよし!フライパンで。」
<わかりました!(`・ω・´)ゞ>
<ちょっと待てカガリ!何でフライパンなんて―――>
「普通の力じゃお前にダメージなんて与えられないだろう。思いっきりやってやれ。」
<いや、それはまずいだろう!?>
<いいですか、アスランさん!代表命令です!しっかり受けてください!せーの!>
<誤解だぁああああ>―――ブツッ←通信の切れた音。


「はぁ・・・うん、今日もいい天気だ。」
「カガリ姉様、どうされたんですか?」
「トーヤか。いや、ちょっとな。平和っていいな、と思ってさ。」


・・・Fin.


***


SS、という程のものじゃないんですが、なんか書きなぐりたくなったので、ちょろっとアップしてみました(笑)
『同棲中』というと、誰もが「キララク」のことかと思うでしょうが、アスランとメイリンですw
というのも、17日の静岡での劇場版種自由の舞台挨拶で、監督が「キャバリアーには生活空間があって、アスランとメイリンはそこで同棲している」という話があったそうで。
そういえば、昨日届きました『ガンダムSEEDFREEDOM キャラクターアーカイブ』のメイリンのページに「キャバリアーは生活スペースを備える」って書いてあったんですよ。

そもそものキャバリアーの目的って、「移動式指令室」だそうで、有事の時に固定された指令室だと、そこを攻撃されたらおしまいなので、移動型にしたほうが何かと都合がいい、という話を5ちゃんだかどこかでみかけました(ソースが思い出せない💧)。ということは、長期戦ともなれば、指令室の人員は皆そこで食事したり寝たり日常生活を送ることになる訳なので、生活空間はありき、なんですよね。しかもAAが轟沈したとき、乗員を避難させるのに結構な人が乗っていましたし(アカツキ島ドッグに降りるときにぞろぞろいらっしゃいました)、ズゴックがインジャ弐式を収納している<ズゴック自体が結構なデカさ<それを包み込んで浮かせるくらいキャバリアーはデカい、となるので、相当大きいんでしょうね。
加えて、上記のカガリの説明通り、任務の効率化や密偵任務の場合の拠点移動の手間を考えると、キャバリアーに住んじゃったほうが、確かに利点はいっぱい🌸 まぁ、カガリもそしてメイリンもアスランを信頼していないと、同棲なんてできないですけどね^^; 同棲、というよりは共同生活・シェアハウスみたいなイメージの方がいいのかな。監督がストレートかましてくれたので、みんな同棲=結婚前提の男女が一緒に住む、みたいなイメージになってますけど。
現実的に日本の海上自衛隊の潜水艦は、魚雷の上で寝ている、らしいので、せめてキャバリアーは弾丸の上じゃなく、ちゃんと個室で寝てもらえる仕様になっていて欲しいです(笑)
・・・それにしても、同じ舞台挨拶で、あの「全国ご当地SEEDフリーダム行きます」の静岡県が「イザアス」で、「茶畑でイザークが決済版持っている前でアスランがお茶飲んでいる」という物でしたが、監督曰く「イザークはお茶の生産効率とかチェックしに来ている。アスランは🍵飲みながら、カガリの妄想してます」だそうで( ̄▽ ̄;)
リップサービス(苦笑)だと思いますが、公式で発表しちゃうとアスランが本当に妄想間男状態ですね💦 いや、ちゃんと味の確認していると思いますよ。私は。
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