落葉松亭日記

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「島嶼問題を考える」シンポジウム

2014年03月21日 | 政治・外交
 春分の日
中共に尖閣を脅かされる日本、それと同様にベトナムやフィリピン、台湾も南シナ海で中共の侵略に苦慮している。
日本は日米安保条約があり米を頼っているが、米にしてみれば非常に小さい事案で温度差がかなりある。

「中国とアメリカとの関係が、知らない間に密接になり、通貨同盟体制が成立している。
集団的自衛権なるものも、いいかげんなもので、米の安保屋が利権確保のために考え出した。
本来は日本が独自の軍事力を持ち、国際社会の常識に従って米と相互安全保障条約を結べば、日米安保条約は不必要になる(日高義樹著:米の大変化を知らない日本人)」

そんな中、中共の横暴にどう対処するか、同じ立場の国々を念頭にシンポジウムが開催された。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成26(2014)年 3月18日(火曜日)通巻第4186号<前日発行>
http://melma.com/backnumber_45206/

「島嶼問題を考える」(尖閣、南沙・西沙諸島)シンポ、盛況裡に開催
  スプラトリー諸島を中国はいかように強奪したか、これは明日の「尖閣」だ


 3月14日、東京市ヶ谷の「アルカディア市ヶ谷 」において、「島嶼問題を考える」(尖閣、南沙・西沙諸島)と題しての緊急シンポジウムが「日本・ベトナム島嶼会議」(議長 藤井厳喜)主催によって開催され、およそ170名が参加した。
熱心な討論がつづけられ、参加者も克明にメモをとるほど、会場は満員となり、立ち見がでる盛況ぶり、関心の高さをうかがわせた。

 このイベントは宮崎正弘氏が司会をつとめ、冒頭の挨拶には、ベトナム視察から帰国したばかりの参議院議員浜田和幸氏から、いかに戦略的にベトナムが重要であり、またベトナム人が日本に抱く親近感などを紹介した。ベトナム経済の発展ぶりとその民族性からも、今後の日本ベトナム関係の緊密さが必要克つ重要であるかを訴えられた。
つづけて「中国軍の南沙侵攻の実態」を記録したドキュメント・フィルムが上映され、具体的な中国艦船の砲撃など衝撃の映像に参加者は慄然となった。
「これが明日の尖閣としないためにも」と宮崎正弘氏の司会により、会は緊急のシンポジウムに移って激論が展開された。

パネリストは有本香さん(ジャーナリスト)、佐々木良昭氏(中東研究者)、高山正之氏(コラムニスト)、藤井厳喜氏(政治学者)、シンポジウムの司会は水島総氏(桜チャンネル代表)だった。
ベトナムが中国に南沙諸島を侵攻されたのは26年前の3月14日。日本は尖閣、竹島、北方領土のことは知っていても、ベトナムの苦しみを知らない。
砲撃と機関銃によりベトナム人64名が犠牲となったが、ベトナム政府は中国に遠慮して、中越戦争を「北の国と戦った」とだけ教え、学生が抗議デモを中国大使館にかけると規制する。
しかしネットの発達によってベトナムの若者らの反中国意識は高まってきた。
このイベントでは、「南沙・西沙諸島問題を尖閣と絡めて考えてみよう」として大きな地図も演壇中央に添えられた。

  シンポジウムは佐々木良昭氏が口火をきった。
「これは新しいグレートゲーム。ウクライナ問題はクリミア分離独立に発展しているが、中東でも新しい動きがみられ、トルコのクルド自治区分割の動き、イラク、サウジアラビアの三分割などが観られるように、世界的規模でみれば南沙、西砂問題は共通の現象である」。

▲日本が放棄させられたが、帰属は決まっていない

藤井厳喜氏は「日本時代、『新南群島』として台湾高雄市の管轄下に南沙、西砂があるという行政区分だった。サンフランシスコ条約で日本は領土を放棄させられたものの国際法上、帰属は決まっておらず、日本がこの問題に絡むと対中包囲網を作れる。ベトナムは良きパートナーとなれる」と踏み込んだ発言があった。
さらに藤井氏は続けた。
「ベトナム人は羞恥心がある。同時に強靱で、げんにフランスも米国も叩き出した。いま海洋地政学で世界をみれば核戦略上からも中国は台湾をとらないと安心できない。尖閣諸島をおさえると中国軍は台湾へリーチをかけられる。ベトナムと日本はしたがって領土防衛という文脈から運命共同体であり、海洋地政学的にリンクしている」

有本香氏は「あの映像に衝撃を受けた。日本は島国といわれて教育され、島国根性とか批判されるが、さて日本には6852個の島々があることを教育されていない。有人の島はこのうちの445,のこりが無人島で、海の面積から比較すれば、日本は世界第六位の海洋国家だ。中国は経済大国となってからアジア太平洋を目指したのではなく、すでに毛沢東の時代から海へ出て行く企図があり、陸上での脅威が低下したら、中国は必ず海へでる。1988年に中央アジアとの対峙を終えて陸での安定を得たと認識してから中国は海洋に進出し始めたのであり、このことを認識する必要がある」と述べた。

高山正之氏は「何回となく、ベトナムを新聞記者時代に取材した。羞恥心のある民族だが、同時にハノイにはラブホもあるように、両面性がある。ベトナムと日本との絆は深く、阿倍仲麻呂が流されて時代までさかのぼらなくとも、両国関係は深い」などとして以下のように続けた。
「日露戦争に勝利した直後に東遊運動の指導者で『ベトナムの吉田松陰』と云われるリーダが日本に来た。かれは反政府運動家だったので上海で捕まるが、これを当局に通告したのがホーチミンだった。私塾の門下生にボーグエンザップ将軍がいた。このいきさつを知っているからこそ、ホーチミンはボーグエンザップに日本人を殺すなと命じた。マウントバッテン卿の回想録には『日本人のこころとベトナム人指導者とは心が通じていた』と書いているように、心が通い合える民族がベトナム人であるという、この民族の特性を知ることは重要である」。

映画監督でもある水島総氏は司会をされながらも、「かつてベトナム少女の映画をつくった。ベトナム人とは心が通じ合えるが、同時にしたたかな民族であり、歴史的にみてもシナからの圧力に耐え、中国共産党とベトナム労働労は『兄弟』の絆がある。したがって日本は『対等なパートナー』という認識をするべきである。ベトナムは経済改革開放を中国モデルにもとめて所謂『ドイモイ政策』に転じてきたが、中国の変容をみていて、『ドイモイ』路線を変更する可能性が高い。東南アジアを米国がどう扱うかという視点も見落とせない。そしてもし日本が尖閣諸島を失ったらアジア全体が変わる。今後の趨勢を決定づけることになり、尖閣をなんとしても阻止せねばならない」と訴えた。

佐々木良昭氏に再びマイクが戻され、「過去の事例をみれば米国は『油田のおいしいところ』をとる。だからリビア分割、トルコ分割を米国がのぞむわけである」と地政学的な資源戦争の関連性、列強の思惑を説いた。

▲ランドパワーはシーパワーにはなり得ない

藤井氏の追加発言は次の通り。
「シナの侵略と戦うためにベトナムとも組むべきであり、いまのオバマ政権は何もできないように、たとえマケイン政権となっても米国は何もできないだろう。ディエンビエンフーの勝利は背後に日本兵が残留してベトナムを訓練したからだ。インドネシアでも独立戦争のため二千名の日本兵が残留し、千名が戦死している。ベトナム戦争は、日本がまけたあとも闘い、民族解放、独立という意味で結局、大東亜戦争は勝利した。ベトナムの社会主義はおおいに問題だが、カストロのキューバとて第一義的に民族解放闘争だったのであり、ベトナム人はずるくてしたたかな側面がある。
長期的にいえばランドパワーがシーパワーをめざすと、ロシア、ドイツが失敗したように中国はシー&ランドパワーにはなり得ない」

有本さんの追加発言は以下の通り。
「シナは経済的にもいよいよ雲行きが怪しい。ともかく中国はずるくて汚い手段がもっとも得意技であり、諜報、謀略で日本は劣位にあり、プロパガンダ戦争の渦中にある認識が日本人には希薄である。シナの宣伝戦争ではウィグル人が『テロリスト』というイメージ、これでウィグルへの弾圧を合法化し、一般の中国人もウィグル人への差別が強い。民族を差別し統括しているのは米国がテロ戦争で中国を利用するためにウィグルの或るセクトをテロリストに認定してしまったことである」。

佐々木良昭氏。
「とはいえウィグルの若者がシリア内戦に参加している。ウィグル過激派の一部にアルカィーダとの連携がみられ、今後、イスラムの動きには注目しなければならない」

▲中国は新彊ウイグル自治区の資源とチベットの水を手放さないだろう

水島総氏。
「中国は偽装漁民をよそおわせて尖閣上陸を着々と美準備している。米国のアジア政策の中身は空白であり、中国はウィグルの資源、チベットの水を手放すことはないが、米国は中国とG2共存を考えているようでもある」

高山正之氏。
「米国の戦略とは仮想敵を徹底的につぶすのだ。リビアに5000回の空爆を行ってカダフィをつぶし、サダム政権を倒壊させてきたように、日本を脅威と認識すればつぶしにかかる。だから中国、朝鮮をたきつけて反日を展開させているように、アジアの安定を言いつのりながら、じつはアジアの不安的化をねらっている」。

 藤井厳喜氏がまとめた。
「尖閣を奪われたら、台湾へ、とアジアは『大中華経済圏』になるドミノ現象がおきる。日米が『奪回作戦』などと(とられることを前提に)軍事演習をするのはおかしい、日本はやはりまともな国ではないのではないか」。

 こうして熱心な討議が続き、最後に司会の宮崎正弘氏が領土防衛、アジア諸国との連帯を強調し、アンケートへの協力を要請して盛況裡に終わった。

ベトナムが中国に南沙諸島を侵攻されたのは26年前の3月14日
http://ja.wikipedia.org/wiki/スプラトリー諸島海戦

米「挑発的行動」と批判 中国の南シナ海漁船規制 2014/01/10 05:19 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201401/CN2014011001001281.html

 【ワシントン共同】米国務省のサキ報道官は9日の記者会見で、中国海南省が南シナ海で外国漁船による操業の規制を強化する動きをみせているとして「挑発的であり、危険な結果につながりかねない行動だ」と批判。米政府として中国側に直接懸念を伝えたことを明らかにした。  サキ氏は、海南省が最近、中国が近隣国と領有権を争う海域での外国漁船操業を制限する法的措置を取ったと指摘。「中国は国際法上の根拠や説明をなんら示していない」と述べた。  さらに「緊張を高める一方的行動を控えるべきだ。懸念している」と述べた。
南沙諸島:中国海軍がブイ投下…ベトナム海軍撤去 毎日新聞2014年2月8日(土)18:40
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/20140209k0000m030027000c.html

 【北京・石原聖】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海で、ベトナムが実効支配する南沙(スプラトリー)諸島の砂州「東景宏島」(中国名・染青沙洲)付近に3日、中国海軍の船が海面にブイを投下したが、ベトナム海軍が即座に撤去した。中国メディアが8日、ベトナムメディアの報道を引用して伝えた。
 中国は南シナ海の図面上に九つの破線「九段線」を記してほぼ全域に主権・主権的権利があると主張。今年1月からこの海域で操業する外国漁船に中国当局の許可取得を義務づけるなど漁業権の制限を強めた。直後には、中国の監視船がベトナム漁船を取り締まる事案が2件発生した。
 また、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあり、中国が最南端の領土と主張する南沙の暗礁「ジェームズ礁」(中国名・曽母暗沙)近海では中国の艦艇3隻が甲板の上で「主権宣誓式」をした。
 中国は管轄権を行使し、南シナ海の領有権主張を国内外に浸透させる動きを加速させている。