落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

非正規雇用と所得格差

2014年10月04日 | 政治・外交
勤め人を止めて早15年。バブル末期、勤め先が分社化で自己退職、四苦八苦したが何とか年金生活に滑り込んだ。
贅沢しなければ食べて行けるのは真に有り難いことだ。
若いころは丁度高度成長時代で家電や自動車、繊維、軽金属など物作り産業が花形、真面目に働いてさえおれば終身雇用と信じていた。
が、今はとてもそんな時代ではない。
三人に一人は非正規雇用だそうだ。
第一次安倍内閣では「労働ビッグバン」を提唱し、「長期デフレ等による就職難、経済的困窮等からの再チャレンジ」が企図されたが、「既得権益を失う労働組合や、保険や年金の負担増を嫌う財界の反対で頓挫した」らしい(WikiPedia)。
アベノミクスではどうなったのか。
サラリーマン年収増加も格差拡大 9月30日 14時20分
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_0930.html

去年1年間のサラリーマンの給料の額が発表されました。
国税庁によりますと、平均年収は414万円で、3年ぶりに前の年を上回りました。
一方で、非正規労働者の年収は下がり、格差が広がりました。
浮き彫りになった格差の実態を、社会部の都築孝明記者、榎園康一郎記者、友澤聡記者が取材しました。

3年ぶりの給料アップ

国税庁が9月26日に発表した、去年1年間を通して民間企業で働いた会社員やパート従業員などの給料は、平均年収で約414万円。 前の年を6万円上回りました。 ピークだった平成9年の467万円には及びませんが、平均年収が増えたのは3年ぶりのことです。

業種別では、「電気、ガスなど」が前の年より22万円減ったものの696万円と最も高く、次いで、「金融、保険」が617万円、「情報通信」が592万円となっています。
最も低かったのは「宿泊、飲食サービス」の233万円でした。

年収別では、1000万円を超える人が前の年より14万人増えて186万人、全体の4%となり、高い給料の人が増えています。
一方で、年収が200万円以下の人も増えました。
200万円以下の人は、前の年より30万人多い1120万人に上り、全体の24.1%を占めています。
格差が広がった形です。

正規と非正規で大きな格差
正社員と派遣社員などの非正規労働者を比べると、格差はより鮮明になります。
役員を除く正社員の平均年収は、男性が527万円、女性が356万円、全体では473万円で前の年より5万円増えました。

これに対して、非正規雇用の労働者は男女とも年収が減りました。
男性が225万円、女性が143万円、全体では前の年より2000円少ない168万円でした。
正社員と比べると、300万円以上の差がありました。
臨時ボーナス100万円

アベノミクスの恩恵を受けた証券業界では、好調な業績を反映して、給料が大幅に増えた会社もあります。
東京・千代田区にある、社員120人の証券会社は、昨年度、社員全員に平均100万円の臨時ボーナスを支給しました。
この会社はインターネット取り引きに特化していて、社員数が大手証券会社に比べて少ないため、思い切って社員に報酬を出すことができたということです。
好調な業績を反映して通常のボーナスも上がったため、社員の年収は平均で前の年度より30%増えたということです。
入社4年目の女性社員は「素直にうれしかったし、仕事のモチベーションも上がりました。ボーナスを使ってハワイ旅行に行きました」と話します。
松井道夫社長は「アベノミクスで株式市場が好調だった影響で、昨年度の決算は、過去2番目の水準になった。社員の頑張りに報いるのは経営者として当然だと思う」と話していました。

取り残される非正規
一方、アベノミクスの恩恵を感じられない人もいます。
非正規のパート社員としてビルの清掃の仕事をしている東京・新宿区の50代の男性は、給料が上がらず将来に不安を感じているといいます。
男性は、都内の大学を卒業後、広告代理店などで正社員として働いてきましたが、バブル崩壊後、仕事を失い、非正規の仕事を転々とせざるをえませんでした。
昼の仕事だけでは生活が苦しいため、2つの会社をかけもちし、昼間は週6日、夜も週3日働いています。
200時間以上働く月もあり、労働時間は正社員のときより増えたといいます。
しかし、時給はそれぞれ920円と1000円のため、月の手取り収入は合わせても20万円に届きません。
正社員と違ってボーナスや昇給もなく、ことしの契約更新でも時給は上がりませんでした。
去年の年収は200万円余りで、退職金もなく蓄えも少ないため老後に不安を感じています。
男性は「自分の周りで非正規労働者として働く人は時給が上がったという話をする人がいない。
消費税は上がるなど生活は苦しくなる一方だ。学生のアルバイトや主婦のパートと違い、自分のように生活を支えている非正規労働者については、正社員に転換を進めるなど、政府には待遇の改善に取り組んでもらいたい」と話していました。

景気の好循環はなるか
給料が上がった一方、広がる正社員と非正規労働者の格差。
雇用の問題に詳しい慶応大学の樋口美雄教授は「サラリーマンの年収が3年ぶりに上がったことは好ましいことだと思うが、それが短期間で終わらないよう、持続する状況を作り出していくことが必要だ。正規雇用に移りたいのにしかたなく非正規になっている『不本意非正規』と呼ばれる人たちを正社員に転換する仕組みを作っていくべきだ」と指摘します。

景気回復の恩恵が、賃金の上昇や正社員への登用として労働者全体に行き届き、さらに景気が拡大する。
そうした景気の好循環が生まれるのか、注目していきたいと思います。

業種比較では製造業などがなくなり、金融、情報、飲食などサービス業主体になっているのが自分のような年代とは大きく違うところ、世の中様変わりしたのだ。
非正規雇用が増え、年金保険の原資が減り、年金生活も先行き不安だ。


年金デモ(1952年イタリア映画「ウンベルトD」より)