中国が「世界の工場」と云われて久しい。
家電製品やパソコン、精密機器までも中国製が目立つが、
近年、衣料品などは東南アジア製が多いように思う。
中国の経済成長に陰りがでているらしい。
家電製品やパソコン、精密機器までも中国製が目立つが、
近年、衣料品などは東南アジア製が多いように思う。
中国の経済成長に陰りがでているらしい。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)7月21日(木曜日) 通巻第7411号
http://miyazaki.xii.jp/
中国、住宅ローンの支払いボイコット。深刻な経済危機に直結
銀行のローン残高は720兆円、業者への債権は260兆円
中国のマンション取引は完成後、物件引き渡し時の契約ではない。まだ建物の影もない、広告とイメージ想像図で、取引は行われ、銀行は購入者へのローンを組ませる。現場にあるのは「建設予定地」の看板くらいだ。
バブル華やかな時は、それでも誰も文句を言わなかった。契約さえ済ませれば、べつに住むわけでもないので、あとは値上がりをまって別の人に転売する。空室は、ようするに博打の用具であり、マンション価格は右肩上がりが続くとテレビではエコノミストたちが声高に推奨していた。「危ない」と警告していたのは著名なエコノミストの朗喊平くらいだった。
あまりの投資熱に習近平は「マンションとは人間の住むところである」と発言していたほどである。
コロナに前後して人の流れがとまった。恒大、碧桂園、世茂集団など有名なデベロッパーがデフォルトの連鎖に陥った。建設現場でクレーンが止まり、労働者がいなくなり、完成のめどがたたないまま風雨にさらされはじめた。これは2019年からの中国各地の現象だった。足で歩かないジャーナリストたちが公共データだけをたよりに中国各地のマンションは値上がりが続いていると虚報を流していた。
上海都市封鎖によって深刻な次第が表面化した。
消費者が敏感なのはショッピングモールの落日だ。全土に8000近い巨大ショッピングモールのテナントが三割以上埋まっていない。テナントの空きが20%を超えると、そのモールは経営が成り立たない。
人口の少ない地方都市にも大都市並みの豪華ショッピングモールができて、客が殆どいない。売り子があくびしている風景が中国全土に展開されている。
マンションの購入者等は引き渡しもないのに、いや完成のメドも立たないのに、ローンの請求書だけは届く、銀行口座から勝手に引き落とされる。
ならば支払いをボイコットしようという動きとなって、この抵抗運動はSNSで中国全土に波及した。
銀行の住宅ローン残高は720兆円、業者への債権は260兆円。深刻な経済危機に直結している。
令和四年(2022)7月21日(木曜日) 通巻第7411号
http://miyazaki.xii.jp/
中国、住宅ローンの支払いボイコット。深刻な経済危機に直結
銀行のローン残高は720兆円、業者への債権は260兆円
中国のマンション取引は完成後、物件引き渡し時の契約ではない。まだ建物の影もない、広告とイメージ想像図で、取引は行われ、銀行は購入者へのローンを組ませる。現場にあるのは「建設予定地」の看板くらいだ。
バブル華やかな時は、それでも誰も文句を言わなかった。契約さえ済ませれば、べつに住むわけでもないので、あとは値上がりをまって別の人に転売する。空室は、ようするに博打の用具であり、マンション価格は右肩上がりが続くとテレビではエコノミストたちが声高に推奨していた。「危ない」と警告していたのは著名なエコノミストの朗喊平くらいだった。
あまりの投資熱に習近平は「マンションとは人間の住むところである」と発言していたほどである。
コロナに前後して人の流れがとまった。恒大、碧桂園、世茂集団など有名なデベロッパーがデフォルトの連鎖に陥った。建設現場でクレーンが止まり、労働者がいなくなり、完成のめどがたたないまま風雨にさらされはじめた。これは2019年からの中国各地の現象だった。足で歩かないジャーナリストたちが公共データだけをたよりに中国各地のマンションは値上がりが続いていると虚報を流していた。
上海都市封鎖によって深刻な次第が表面化した。
消費者が敏感なのはショッピングモールの落日だ。全土に8000近い巨大ショッピングモールのテナントが三割以上埋まっていない。テナントの空きが20%を超えると、そのモールは経営が成り立たない。
人口の少ない地方都市にも大都市並みの豪華ショッピングモールができて、客が殆どいない。売り子があくびしている風景が中国全土に展開されている。
マンションの購入者等は引き渡しもないのに、いや完成のメドも立たないのに、ローンの請求書だけは届く、銀行口座から勝手に引き落とされる。
ならば支払いをボイコットしようという動きとなって、この抵抗運動はSNSで中国全土に波及した。
銀行の住宅ローン残高は720兆円、業者への債権は260兆円。深刻な経済危機に直結している。
「世界の工場」がコケたら、みんな道づれ──中国に果たしてもらう役割とは CHINA SHOCK?
2022年7月20日(水)14時32分 Newsweek
クラーク・パッカード(ケイトー研究所研究員)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/07/post-99148.php
<ゼロコロナ政策の影響で、15日発表の中国実質成長率は0.4%と、大失速の中国。しかし、世界が中国経済に依存している今、その崩壊を喜ぶのは自分の首を絞めるも同然>
もう間違いない。今の中国経済には強い逆風が吹いている。その原因は、ほぼ中国政府にある。強引なゼロコロナ政策で、経済活動を広い範囲で止めてしまった。
毛沢東主義への回帰を急ぐ習近平(シー・チンピン)政権が民間企業への締め付けを強めたので、景気の牽引役だった情報技術部門が麻痺してしまった。放置していた不動産バブルがはじけて経営破綻が相次ぎ、市場の混乱も招いた。
そこへロシアのウクライナ侵攻が起こり、輸入に頼る食料やエネルギーの価格が一気に高騰した。だからIMFは4月に、今年の中国経済の成長率予測を4.4%に下方修正した。2%程度という見方もあり、そうなればほぼ半世紀ぶりでアメリカの成長率を下回る可能性がある。
しかも、そこに長期の逆風が加わる。生産性の伸びの鈍化や人口減少、ハイテク部門の頭脳流出などだ。こうなると、中国経済は無敵どころではない。西側諸国の一部から歓喜の声が上がるのも無理からぬところだ。しかし、中国経済の崩壊を期待するのは間違いだ。
第1に中国が景気後退に陥った場合、その打撃を受けるのは中国共産党ではなく、党とは何の関係もない13億超の一般国民だ。1978年の改革開放以来、中国では8億人以上が貧困から脱出できた。もしも経済が崩壊すれば、この素晴らしい成果が無に帰してしまう。
またアメリカと中国の経済は今や相互依存の関係にあるから、アメリカ人の暮らしも脅かされる。前政権以来の貿易戦争で高率関税を課しても、アメリカ人は猛烈なペースで中国製品を消費している。
ゼロコロナ政策により中国の製造業が失速して供給が減れば、アメリカの物価はさらに上昇する。成長なきインフレの不気味な予感が現実になりかねない。
中国はアメリカ製品の輸出先としても、カナダとメキシコに次ぐ第3位の重要な存在だ。中国経済の失速でアメリカ製品(自動車や電化製品、医療機器や燃料など)への需要が減れば、中国への輸出で稼いできた米企業や労働者に打撃となる。
最後に、中国共産党はもっぱら経済成長と生活水準の向上を持続することでその正統性を維持している。深刻な景気低迷でその権威が揺らぐ恐れが生じれば、彼らが今まで以上に攻撃的で民族主義的な外交政策を採用する可能性が高まる。
どこの国でもそうだが、内政面の不満から国民の目をそらすには好戦的な愛国主義と戦争を持ち出すのが一番だ。
ウクライナでの戦争が続き、アメリカ経済が軟化しつつあり、中国経済の抱える問題がこれまで以上に明らかになってきた今、世界的な景気後退のリスクは高まっている。
ハーバード大学の経済学者ケネス・ロゴフが指摘するように「ある地域の経済が破綻すれば、破綻の連鎖が起きる確率も高まる」のだ。
補助金漬けの不公正な競争政策や国際貿易のルールを平気で無視する体質など、中国政府の経済運営に重大な問題があり、しかるべき対応が必要なのは事実だ。
しかし中国には、今の世界経済でもっと建設的な役割を果たしてもらわないと困る。だから問題があるなら、中国経済の破綻を歓迎するのではなく、前向きに対処すべきだ。
中国経済の急激な失速は世界中に重大かつ予測不能な影響をもたらす。喜んでいる場合ではない。
From Foreign Policy Magazine
2022年7月20日(水)14時32分 Newsweek
クラーク・パッカード(ケイトー研究所研究員)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/07/post-99148.php
<ゼロコロナ政策の影響で、15日発表の中国実質成長率は0.4%と、大失速の中国。しかし、世界が中国経済に依存している今、その崩壊を喜ぶのは自分の首を絞めるも同然>
もう間違いない。今の中国経済には強い逆風が吹いている。その原因は、ほぼ中国政府にある。強引なゼロコロナ政策で、経済活動を広い範囲で止めてしまった。
毛沢東主義への回帰を急ぐ習近平(シー・チンピン)政権が民間企業への締め付けを強めたので、景気の牽引役だった情報技術部門が麻痺してしまった。放置していた不動産バブルがはじけて経営破綻が相次ぎ、市場の混乱も招いた。
そこへロシアのウクライナ侵攻が起こり、輸入に頼る食料やエネルギーの価格が一気に高騰した。だからIMFは4月に、今年の中国経済の成長率予測を4.4%に下方修正した。2%程度という見方もあり、そうなればほぼ半世紀ぶりでアメリカの成長率を下回る可能性がある。
しかも、そこに長期の逆風が加わる。生産性の伸びの鈍化や人口減少、ハイテク部門の頭脳流出などだ。こうなると、中国経済は無敵どころではない。西側諸国の一部から歓喜の声が上がるのも無理からぬところだ。しかし、中国経済の崩壊を期待するのは間違いだ。
第1に中国が景気後退に陥った場合、その打撃を受けるのは中国共産党ではなく、党とは何の関係もない13億超の一般国民だ。1978年の改革開放以来、中国では8億人以上が貧困から脱出できた。もしも経済が崩壊すれば、この素晴らしい成果が無に帰してしまう。
またアメリカと中国の経済は今や相互依存の関係にあるから、アメリカ人の暮らしも脅かされる。前政権以来の貿易戦争で高率関税を課しても、アメリカ人は猛烈なペースで中国製品を消費している。
ゼロコロナ政策により中国の製造業が失速して供給が減れば、アメリカの物価はさらに上昇する。成長なきインフレの不気味な予感が現実になりかねない。
中国はアメリカ製品の輸出先としても、カナダとメキシコに次ぐ第3位の重要な存在だ。中国経済の失速でアメリカ製品(自動車や電化製品、医療機器や燃料など)への需要が減れば、中国への輸出で稼いできた米企業や労働者に打撃となる。
最後に、中国共産党はもっぱら経済成長と生活水準の向上を持続することでその正統性を維持している。深刻な景気低迷でその権威が揺らぐ恐れが生じれば、彼らが今まで以上に攻撃的で民族主義的な外交政策を採用する可能性が高まる。
どこの国でもそうだが、内政面の不満から国民の目をそらすには好戦的な愛国主義と戦争を持ち出すのが一番だ。
ウクライナでの戦争が続き、アメリカ経済が軟化しつつあり、中国経済の抱える問題がこれまで以上に明らかになってきた今、世界的な景気後退のリスクは高まっている。
ハーバード大学の経済学者ケネス・ロゴフが指摘するように「ある地域の経済が破綻すれば、破綻の連鎖が起きる確率も高まる」のだ。
補助金漬けの不公正な競争政策や国際貿易のルールを平気で無視する体質など、中国政府の経済運営に重大な問題があり、しかるべき対応が必要なのは事実だ。
しかし中国には、今の世界経済でもっと建設的な役割を果たしてもらわないと困る。だから問題があるなら、中国経済の破綻を歓迎するのではなく、前向きに対処すべきだ。
中国経済の急激な失速は世界中に重大かつ予測不能な影響をもたらす。喜んでいる場合ではない。
From Foreign Policy Magazine