落葉松亭日記

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中国毒ギョーザ事件

2008年02月07日 | 日常・身辺
 5日、町村官房長官は中国製冷凍ギョーザによる中毒は人為的に薬物が混入された「事件」との疑いが指摘されていることに関し「そういう大胆な推測をする人もいるが、まだ事実関係がはっきりしない時点で、事件うんぬんと軽々に言うことは不可能だ」と述べたそうだ。

 即刻輸入禁止にすべきだろうが余りにも食品の輸入品目が多岐にわたり、また中国依存度が高いので簡単なことではないのだろう。この辺がBSE問題のように牛肉を輸入禁止にしたときと異なり、前のような発言になったかと推測する。
 中国国内では「中毒発生は日本人による自作自演」とか「日本人は虚弱体質」などという者もいるとか。そんな国に命のつぎに大事な食品をここまで依存するようになっていたかと思うと情けない。食糧自給率を上げよという声が出るのももっともだ。

 今朝のTVで小倉某キャスターが岸田内閣府国民生活担当大臣とのインタビューの中で「中国側の心証を害さないよう調査するのも難しいでしょうね・・・」等と云っていたが、中毒で重体に陥った方もいるというのに、官房長官の発言と同様生ぬるい発言だった。

 それにしても冷凍食品というのはパックされ日本に来るまで1ヶ月以上もかかり、検疫所での検査対象も1割程度でほぼ素通りという。昨年夏にはかば焼きなどウナギの加工食品で基準以上の抗菌剤が検出され輸入禁止になった。他にも煮ホタテのくし焼き、カニの冷凍食品、水煮キノコ、乾燥ナシなどが含まれている。かば焼きからは発がん性が指摘されるマラカイトグリーン、水煮キノコと乾燥ナシからは二酸化硫黄の残留物が、イカの串焼きからは大腸菌が検出された。
 輸入食品の安全がこの程度かと思い知らされたことだった。

 事件の解明はこれからだろうが、背景には中国食品安全のモラル欠如と指摘する記事もあった。
中国製ギョーザ中毒事件 安全のモラル欠如 「何でもあり」蔓延 産経 2008/02/04 10:40

 中国製ギョーザ中毒事件で、製造元の「天洋食品」(中国・河北省)では、調理から梱包(こんぽう)に至る主要な工程が手作業だった。健康被害を出した3件の商品すべてに有害な有機リン系薬物が付着しており、ギョーザの製造・包装までの段階で混入した可能性が高い。中国の「食」は衛生面や農薬・添加物などが問題になっているが、事件の背景に中国の「何でもあり」の風潮を指摘する専門家もいる。
 ■拝金主義に
 「私は中国で外食をしない。食材は自分で選び、自分で洗って調理します」。昨年10月、「中国の危ない食品」の日本語翻訳版の出版にあわせて来日会見した北京在住のジャーナリスト、周勍さんは、5年余りの食品取材で得た「教訓」をこう語った。
 ぜんそく薬成分で肉を赤身に変えた豚、ホルモン剤で急成長させたスッポン、地下道の生活汚水油を再生した食用油、人の頭髪を分解したアミノ酸で調製した醤油(しようゆ)…など具体事例を列挙し、子供の異常な早熟化、男性の生殖能力の低下、女性のがん多発など、食に起因するとみられる深刻な問題を投げかけた。
 周さんは「中国政府は北京五輪に向けて食の安全を訴えているが、実態は違う。政府の汚職と同様に、庶民も拝金主義にまみれ、金もうけのためなら何をやってもかまわないという風潮がはびこっている」と話した。

 ■すべて手作業
 天洋食品の工場では、原材料のチェックに始まり、具をギョーザの皮で包む作業などを約700人が手作業で実施。機械化されているのは、野菜などを刻んだり、具を練ったりする一部に限られていたという。被害の出たギョーザの一部は、包装紙の裏側にも有機リン系殺虫剤の成分、メタミドホスが付着していたが、同工場は袋詰めや梱包も手作業だった。
 国立医薬品食品衛生研究所の山本都室長は「中毒者が意識不明になるなど、残留農薬による中毒のレベルを飛び越えている。そばにあった殺虫剤がこぼれて直接かかってしまうなどのアクシデントが起きた可能性がある」と推測。中毒者が一時的に意識を失っていることから、相当多量に摂取したとみられる。
 農水省の農業資材審議会長を務める千葉大園芸学部の本山直樹教授は、昨秋、北京で開かれた中国の農業団体の研修会に講師として招かれた際、「農薬の管理制度は整いつつあるが、現場ではまだ『何でもあり』という印象を持った」。

 ■コピー農薬も
 農水省は1月31日、中国国内における農薬・殺虫剤の登録や使用状況について、在京の中国大使館を通じて同国政府に情報提供を要請した。
 問題のメタミドホスは中国でも禁止されているが、農家の間では「安くて何にでもよく効く」と評判という。正規品よりも毒性の強い粗悪な「コピー農薬」も多数出回っており、食を取り巻く深い闇が事態を深刻にしているという。
 日本では害虫防止に、弱毒性の薬剤を使うが、「中国の場合、どこのだれがつくったかわからない殺虫剤を深く考えずに使えば、今回のような混入が起きる可能性はある」(本山教授)。

 警察当局は、ジェイティフーズや輸入を仲介した商社「双日食料」など日本国内の関係者から事情を聴くなどしているが、中国での製造過程の捜査は困難とみられる。警察庁の吉村博人長官は31日の会見で「事実関係の解明は警察だけでやるべきことがらではなく、関係省庁と連携して行う」と話した。

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2 コメント

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しょうた様 (落葉松亭)
2008-02-09 12:43:28
中国からの食料品輸入統計(Jetoro)を見ると2007年11月累計では2006年同期と比較すると僅かに減っていました。7分類のうち3分類(魚介類、野菜果実、加工食品)が中国からの輸入が1位なっています。
中国の環境汚染が知られるようになってか、魚介類、野菜果実は減っていますが、加工食品は25.3%の伸びです。混ぜたり切り刻んでしまえば分からないというと言い過ぎでしょうか。しかしこんなものでも日本は輸入せざるを得ない状況になっているのかと思うと将来が危ういですね。彼の国の衛生観念、モラルがこんな状態では自国で食べるものは自国で生産するに越したことはないと思います。
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Unknown (しょうた)
2008-02-09 10:32:51
今日こちらの新聞には、町村氏が「常識的には商品の密封前に混入されたということであれば、現地の工場で(混入した)と普通考えられる」と述べたと出ていました。中国当局も、内心は今回の事件の発端は自分の国で起きたものだと思っているのではないでしょうか。しかし、先日来日した中国検疫担当者は「中国の食品は安全です」と言い切っていましたね。まだ操作も終わらず、原因も究明されていないのに、なぜそんなことを言うのだろうかと常識を疑います。こんなことを言うと「実はその反対です」と言っているようなものですね。しかし日本の輸入業者ももっとしっかりしてもらわなければ駄目です。日本の食料需給率が先進国最低の40%と低いのだから、当面は輸入に頼らざるを得ないので、輸入体制をしっかり整えなくてはいけないことは分かっているはずなのに、今回のような事件がおきたことに関しては充分反省してもらいたいものです。特に中国の食料品は今まで何回も問題を起こしているのだから輸入については特別に関心を払うべきだったと思います。
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