先の選挙では党利党略、野合で希望する政党には投票できなかった。
××チルドレン、刺客など人気取り選挙がまかり通った結果、政治の劣化をまねいた一因と思う。
利権に執着、国家観のない政治家ばかりになり、一年も満たず首相が交代し、国際的にも信用を落としている。
民意が正しく反映される選挙制度になってほしい。
××チルドレン、刺客など人気取り選挙がまかり通った結果、政治の劣化をまねいた一因と思う。
利権に執着、国家観のない政治家ばかりになり、一年も満たず首相が交代し、国際的にも信用を落としている。
民意が正しく反映される選挙制度になってほしい。
【金曜討論】選挙制度改革 成田憲彦氏、鳥居泰彦氏 2011.8.19 07:39
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110819/plc11081907440003-n1.htm
「一票の格差」を是正するため、衆参両院の選挙制度改革が急務となっている。特に衆院では、格差が最大2・30倍だった平成21年衆院選は違憲状態という今年3月の最高裁判決を受け、与野党各党が改革案作りに乗り出しているが、一部では現行の小選挙区制に対する見直し論も浮上している。政治の劣化が指摘される中、どのような制度改革が望ましいのか。現状の問題点などを含め、元慶応義塾塾長の鳥居泰彦氏と、前駿河台大学学長の成田憲彦氏に意見を聞いた。(原川貴郎)
◇
≪鳥居泰彦氏≫
中選挙区制が望ましい
--政治の現状をどう見るか
「最近も岩手県陸前高田市など東日本大震災の被災地を訪れたが、復旧は一向に進んでいない。本当に日本の政治は無策だ。領土・領海も侵犯されっぱなし。国民は自民党に絶望して民主党を選んだが、選んでみると、こんな最悪の政権はないと言わざるを得ない惨憺(さんたん)たる状況が生まれた。しかし、政治家を代えようと思っても、今のままでは現状と似たようなことになるとしか思えない」
○小選挙区制に利点なし
--政治の劣化の原因は
「小選挙区制と比例代表の並立制の結果だ。小選挙区制の導入後、良かったことは何一つない。まず、1人区に各党が1人の候補者を立てる小選挙区制では、何とか当選させたいばかりに、○○チルドレンやタレントで勝負しがちだ。選挙民は、選択の余地の無い『おしきせ候補』に投票せざるを得ない。デモクラシーの崩壊だ」
--ほかに問題点は
「選挙区で落選しても、比例代表で復活できる。いったん有権者から否定された人が平気で国会の議席を占めるわけで、それが保障される制度は間違いだ。また、小選挙区制では、A党がB党に僅差で勝つと、ほぼ半数が死に票になる。死に票を救う策として、比例代表との並立が導入されたが、これはごまかしでしかない」
--どのように改めるべきか
「国家の問題、世界の変化、国民の悩みや苦しみを理解する能力と優れた政見を持つ人物を、複数の候補者の中から選ばせてほしい。比例代表は廃止し、1人区はやめ、各党が3人程度の候補者を擁立する中選挙区制が望ましい。同じ党内で競うことで、候補者は国内外に抱える諸問題について勉強し、国民の民意を反映できるよう努力する。政治家として本来必要な学習のプロセスが生まれる」
--抜本的な選挙制度改革は、現実にはなかなか難しそうだ
「その通りだ。民・自どちらが与党になっても、改革はしないだろう。そこでまず、次の選挙で各候補者は必ず政治改革と選挙制度のあり方について公約を示す。そして、その次に3人区制を実現し、お仕着せではない選挙で国会議員を選び、民意をくみ上げられる制度に改革していく」
○多党並立で民意をくめ
--二大政党にはならないのではないか
「極めて幼稚な主張やマニフェストを国民が見抜けないなら、二大政党は必ずしも国を正しい方向に持っていくとは思えない。安易にポピュリズムに走ってしまうだけなら、政治の成熟のためのプロセスとして、多党並立状態の中から次第に民意が収斂(しゅうれん)し、それをくみ上げる政党が育つことが必要なのではないか」
◇
≪成田憲彦氏≫
比例代表の要素強化を
●政権交代を実現
--衆院は小選挙区比例代表並立制の下で5回選挙を実施した
「細川護煕(もりひろ)首相は政治改革の審議の際に国会で『政治改革をして3回総選挙をするか、または10年たてば政治は変わる』という答弁をした。実際はそれより時間がかかったが、基本的には『政界再編、二大政党化、政権交代』という想定通りの方向に進んだ」
--細川内閣の政治改革が目指したものは
「政権交代可能な政治、そのための中選挙区制の廃止だ。中選挙区制は分配の政治の時代の選挙制度で、背景に冷戦構造を基盤とした保革対立があった。補助金や公共事業、予算などが与党議員の地盤型選挙によって再配分されるなど、政治に求められるものと選挙制度がマッチしていたときもあった。しかし、冷戦と高度成長が終焉(しゅうえん)し、政策中心でない利益誘導型政治の弊害が強くなっていた」
--小選挙区制はチルドレン政治家が生まれるなど批判も多い
「今あるいろんな批判は、『民主党を選んでみたが、何だかうまくいかない』という小選挙区制がもたらした政権交代に対する批判だ。頭だけ代えても、官・行政などの胴体が代わっていないため、ちぐはぐな部分はある。しかし、それは長い間政権交代をしていなかったつけで、政権交代のコストとして、長い目でみなければならない」
--中選挙区に戻すべきだとの意見もある
「個人単位の中選挙区制、つまり分配の政治の時代の選挙制度に戻すのは時代錯誤で歴史の歯車を逆転させることであり、日本の政治の改革には役に立たない」
--民主党は比例定数を削減する考えだが
「比例定数を減らすことによって小選挙区制を強化するのは、日本の現状にはマッチしない。それによって政治が強くなると考えるのは、私は『小選挙区制のわな』だと言っている。参院が非常に強い力を持つ既存の政治システムの中では、二大政党での衆参の『ねじれ』が政治の停滞の大きな原因になる。小選挙区制を強化すると、抜き差しならぬねじれ問題に行き着いてしまう」
●小選挙区制は維持
--現行制度に問題は
「これからは国内の結束力で世界と渡り合っていかねばならない時代だ。サッカー女子日本代表に学んだ『なでしこ型』の政治が必要で、ある程度、多党化させたコンセンサス型の政治を形成していくべきだ。それには小選挙区制を維持しつつも、多様な民意を反映できるよう、比例代表の要素を少し強化した方がよい。むろん、参院の選挙制度改革と一体に進めなければならないが」
【プロフィル】鳥居泰彦
とりい・やすひこ 元慶応義塾塾長、交詢社理事長。昭和11年、東京生まれ。74歳。慶応義塾大学経済学部長、慶応義塾塾長(2期8年)を歴任。旧日銀法改正のための橋本龍太郎元首相の私的諮問機関・中央銀行研究会座長、中央教育審議会会長などを務めた。主な著書に「経済発展理論」。
◇
【プロフィル】成田憲彦
なりた・のりひこ 前駿河台大学学長。現在、駿河台大法学部教授。昭和21年、札幌市生まれ。65歳。東大法学部卒業後、国立国会図書館に入館し、調査局政治議会課長などを歴任。衆院の中選挙区制を廃止し、小選挙区制を導入した細川護煕内閣で、首相首席秘書官を務めた。主な著書に「官邸」。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110819/plc11081907440003-n1.htm
「一票の格差」を是正するため、衆参両院の選挙制度改革が急務となっている。特に衆院では、格差が最大2・30倍だった平成21年衆院選は違憲状態という今年3月の最高裁判決を受け、与野党各党が改革案作りに乗り出しているが、一部では現行の小選挙区制に対する見直し論も浮上している。政治の劣化が指摘される中、どのような制度改革が望ましいのか。現状の問題点などを含め、元慶応義塾塾長の鳥居泰彦氏と、前駿河台大学学長の成田憲彦氏に意見を聞いた。(原川貴郎)
◇
≪鳥居泰彦氏≫
中選挙区制が望ましい
--政治の現状をどう見るか
「最近も岩手県陸前高田市など東日本大震災の被災地を訪れたが、復旧は一向に進んでいない。本当に日本の政治は無策だ。領土・領海も侵犯されっぱなし。国民は自民党に絶望して民主党を選んだが、選んでみると、こんな最悪の政権はないと言わざるを得ない惨憺(さんたん)たる状況が生まれた。しかし、政治家を代えようと思っても、今のままでは現状と似たようなことになるとしか思えない」
○小選挙区制に利点なし
--政治の劣化の原因は
「小選挙区制と比例代表の並立制の結果だ。小選挙区制の導入後、良かったことは何一つない。まず、1人区に各党が1人の候補者を立てる小選挙区制では、何とか当選させたいばかりに、○○チルドレンやタレントで勝負しがちだ。選挙民は、選択の余地の無い『おしきせ候補』に投票せざるを得ない。デモクラシーの崩壊だ」
--ほかに問題点は
「選挙区で落選しても、比例代表で復活できる。いったん有権者から否定された人が平気で国会の議席を占めるわけで、それが保障される制度は間違いだ。また、小選挙区制では、A党がB党に僅差で勝つと、ほぼ半数が死に票になる。死に票を救う策として、比例代表との並立が導入されたが、これはごまかしでしかない」
--どのように改めるべきか
「国家の問題、世界の変化、国民の悩みや苦しみを理解する能力と優れた政見を持つ人物を、複数の候補者の中から選ばせてほしい。比例代表は廃止し、1人区はやめ、各党が3人程度の候補者を擁立する中選挙区制が望ましい。同じ党内で競うことで、候補者は国内外に抱える諸問題について勉強し、国民の民意を反映できるよう努力する。政治家として本来必要な学習のプロセスが生まれる」
--抜本的な選挙制度改革は、現実にはなかなか難しそうだ
「その通りだ。民・自どちらが与党になっても、改革はしないだろう。そこでまず、次の選挙で各候補者は必ず政治改革と選挙制度のあり方について公約を示す。そして、その次に3人区制を実現し、お仕着せではない選挙で国会議員を選び、民意をくみ上げられる制度に改革していく」
○多党並立で民意をくめ
--二大政党にはならないのではないか
「極めて幼稚な主張やマニフェストを国民が見抜けないなら、二大政党は必ずしも国を正しい方向に持っていくとは思えない。安易にポピュリズムに走ってしまうだけなら、政治の成熟のためのプロセスとして、多党並立状態の中から次第に民意が収斂(しゅうれん)し、それをくみ上げる政党が育つことが必要なのではないか」
◇
≪成田憲彦氏≫
比例代表の要素強化を
●政権交代を実現
--衆院は小選挙区比例代表並立制の下で5回選挙を実施した
「細川護煕(もりひろ)首相は政治改革の審議の際に国会で『政治改革をして3回総選挙をするか、または10年たてば政治は変わる』という答弁をした。実際はそれより時間がかかったが、基本的には『政界再編、二大政党化、政権交代』という想定通りの方向に進んだ」
--細川内閣の政治改革が目指したものは
「政権交代可能な政治、そのための中選挙区制の廃止だ。中選挙区制は分配の政治の時代の選挙制度で、背景に冷戦構造を基盤とした保革対立があった。補助金や公共事業、予算などが与党議員の地盤型選挙によって再配分されるなど、政治に求められるものと選挙制度がマッチしていたときもあった。しかし、冷戦と高度成長が終焉(しゅうえん)し、政策中心でない利益誘導型政治の弊害が強くなっていた」
--小選挙区制はチルドレン政治家が生まれるなど批判も多い
「今あるいろんな批判は、『民主党を選んでみたが、何だかうまくいかない』という小選挙区制がもたらした政権交代に対する批判だ。頭だけ代えても、官・行政などの胴体が代わっていないため、ちぐはぐな部分はある。しかし、それは長い間政権交代をしていなかったつけで、政権交代のコストとして、長い目でみなければならない」
--中選挙区に戻すべきだとの意見もある
「個人単位の中選挙区制、つまり分配の政治の時代の選挙制度に戻すのは時代錯誤で歴史の歯車を逆転させることであり、日本の政治の改革には役に立たない」
--民主党は比例定数を削減する考えだが
「比例定数を減らすことによって小選挙区制を強化するのは、日本の現状にはマッチしない。それによって政治が強くなると考えるのは、私は『小選挙区制のわな』だと言っている。参院が非常に強い力を持つ既存の政治システムの中では、二大政党での衆参の『ねじれ』が政治の停滞の大きな原因になる。小選挙区制を強化すると、抜き差しならぬねじれ問題に行き着いてしまう」
●小選挙区制は維持
--現行制度に問題は
「これからは国内の結束力で世界と渡り合っていかねばならない時代だ。サッカー女子日本代表に学んだ『なでしこ型』の政治が必要で、ある程度、多党化させたコンセンサス型の政治を形成していくべきだ。それには小選挙区制を維持しつつも、多様な民意を反映できるよう、比例代表の要素を少し強化した方がよい。むろん、参院の選挙制度改革と一体に進めなければならないが」
【プロフィル】鳥居泰彦
とりい・やすひこ 元慶応義塾塾長、交詢社理事長。昭和11年、東京生まれ。74歳。慶応義塾大学経済学部長、慶応義塾塾長(2期8年)を歴任。旧日銀法改正のための橋本龍太郎元首相の私的諮問機関・中央銀行研究会座長、中央教育審議会会長などを務めた。主な著書に「経済発展理論」。
◇
【プロフィル】成田憲彦
なりた・のりひこ 前駿河台大学学長。現在、駿河台大法学部教授。昭和21年、札幌市生まれ。65歳。東大法学部卒業後、国立国会図書館に入館し、調査局政治議会課長などを歴任。衆院の中選挙区制を廃止し、小選挙区制を導入した細川護煕内閣で、首相首席秘書官を務めた。主な著書に「官邸」。