落葉松亭日記

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石平氏「人民日報『勝利宣言』は根拠無し」

2014年11月10日 | 政治・外交
APECで行われる日中首脳会談の条件として、中共は上から目線で「首相の靖国参拝、尖閣領土問題など」条件付けを出していたようだが、日中両政府が会談についての合意文書では一致しなかった。当然の話。
しかし、中国のメディアは「外交勝利」の宣伝をした。日本でもこれに則った評論があったという。
いずれにせよ10,11日APEC首脳会議に併せて行われる日中首脳会談が注目される。
日中合意文書、3つの火種  産経新聞2014年11月9日(日)07:59
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20141109053.html

 ■歴史 重い「靖国」明記の回避
 ■領土 尖閣めぐり宣伝戦懸念
 ■危機管理 揺れる連絡メカニズム

 10、11日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われる日中首脳会談。日中両政府は7日、その地ならしとして合意文書を発表した。だが、日中間の懸案である「歴史」「領土」「危機管理」について、双方の立場が完全に一致したわけではない。約2年半ぶりに行われる首脳会談では表向き“友好ムード”が演出されるとみられるが、3つの火種はどうなるのか。

 安倍晋三首相と習近平国家主席の会談実現に向けて水面下で行われた交渉では、中国側が、(1)安倍首相が靖国神社に参拝しないと確約(2)尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権問題が存在-の2点を認めるよう強く迫った。

 靖国問題について、日本側は合意文書に「靖国」と明記することを拒否。首相が外国に強制されて靖国参拝をしないと明言する可能性がないことは中国側も認識しているとみられ、最終的に「政治的困難を克服」との表現に落ち着いた。

 「政治的困難」に靖国問題が含まれていることは、日本外務省幹部も認めているが、首相は7日夜のBSフジ番組で「これは個別の問題を含むものではまったくない」と説明。中国側の意向に関係なく、靖国神社に参拝するかしないかを判断する考えを表明した。

 首相が今後参拝すれば、中国政府が今回の合意文書に「違反」していると批判する可能性もあるが、合意文書に「靖国」の文言が入らなかった事実は重い。外務省幹部は同日夜、文書で「若干の認識の一致をみた」と表現されていることについて「そこがいいところじゃないですか。この万感の思いをかみしめてほしい」と語った。

 一方、尖閣諸島の領有権問題に関しては、文書の中に「尖閣諸島」と明記された。
 ただ、日本側は「変な妥協は一切していない」(交渉担当者)としている。文書で「異なる見解を有していると認識」としている点についても、首相は7日夜、「日本の領海に(中国の)公船が入っていることについて中国側に抗議している。そうしたことが『緊張状態』となっているという見解となる」と述べ、あくまで安全保障問題について立場を異にしていることが文書に反映されているとしている。

 とはいえ、首相自身が「中国側はおそらく中国側の考え方があるわけだが…」と認めるように、尖閣諸島領有権問題の棚上げを主張し続けてきた中国側は、日本側が歩み寄ったと評価している。国際的な宣伝戦で「日本が棚上げを認めた」と触れて回る可能性が高い。

 こうした事態を見越してか、日本側は合意文書の解釈をめぐる発信に余念がない。首相や外務省幹部が7日夜に日本の立場を繰り返し説明したほか、8日には石破茂地方創生担当相も読売テレビの番組で「(尖閣に)領土問題があることを認めたわけでない。日本の姿勢はまったく変わらない」と強調した。

 米国を含む国際社会が最も関心を寄せているのが、日中間における軍事的緊張の緩和。中国軍による射撃管制用レーダー照射や、中国軍機の異常接近などは、世界第2位と第3位の経済大国が偶発的に衝突しかねない危険をはらむからだ。

 この点について、合意文書には「危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた」と明記。日中両政府が大筋合意したまま、棚ざらしとなっている「海上連絡メカニズム」の早期運用開始に期待が集まる。

 ただ、連絡メカニズムに関する協議再開は9月に中国・青島市で開かれた高級事務レベル海洋協議で合意されているが、2カ月以上経過しても作業部会の日程は固まっていない。9月の海洋協議は日中双方の外務省幹部が団長を務めており、慎重姿勢を崩していない中国人民解放軍が日程調整に応じていないためだ。

 日本政府内には「中国軍部は首脳レベルのお墨付きがなければ動けない」(日中関係筋)との観測もあり、谷内正太郎国家安全保障局長と中国の楊潔●(ようけつち)国務委員との間で取り交わされた合意文書が膠着(こうちゃく)した現状を動かす保証はない。

 このため、首相は7日夜、日中首脳会談で習主席に連絡メカニズムの運用開始を働きかける方針を明言した。これに対し、習主席がどのように応じるか。これが首脳会談における焦点の一つとなる。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

日中合意文書 中国各紙、1面トップ報道 領有権見解明文化 産経新聞2014年11月9日(日)07:56
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20141109052.html

 ■外交交渉の“勝利”
 【北京=矢板明夫】8日付の中国各紙は、日中両国政府が双方の関係発展のための4項目で7日に合意したことを1面トップなどで大きく伝えた。
 発表された合意文書には、中国が日本に要求してきた「(尖閣諸島の)領有権問題の存在を認める」「首脳は靖国神社に参拝しない」といった内容は盛り込まれなかった。しかし、国際情報紙の環球時報は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)について『異なる見解を有する』ことを初めて明文化した」などとし、中国側が外交交渉で日本側に“勝利”したとの印象を読者に与えようとしている。

 また、国際問題研究院の曲星院長は中国メディアに対し、「双方は歴史を直視する」の文言について「靖国問題で日本が正しい対応をするという意味だ」との解釈を示した。「4項目合意は中国が過去2年間、日本に対して妥協せずに闘争した成果だ」と主張するメディアもあった。

 共産党機関紙の人民日報は、「両国関係を良好な発展の軌道に踏み出させる必要な一歩だ」などと評価した。

 一方、日中首脳会談が行われることについて、ネット上では「国のトップ同士が会うことは良いことだ」「貿易を促進して景気を良くしてくれ」といった賛成の意見がある一方、「弱腰外交しかできないのか」「日本人は信用できない。交渉すれば必ずだまされる」などの批判的な声も少なくなかった。

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~ 石平(せきへい)のチャイナウォッチ  http://www.seki-hei.com

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■ 日中合意文章、中国側の「勝利宣伝」に乗せられた日本の論評
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  近日、日中両国間で交わされた「合意文章」について、 日本国内の一部メディアや論者は、 「日本は尖閣の領有権にかんする中国の言い分を認めて譲歩した」 との論調を展開しているが、 それはどう考えても、まったく根拠のない曲解である。

問題となっている合意文章の原文はこうである。
「双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域で、近年、 緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識」である。

この文を素直に読めば、「異なる見解」の対象となっているのは 「近年、緊張状態が生じていること」であるとは一目瞭然である。
つまりここでは、日本が認めたのは 「領有権にかんする中国の異なる見解」ではまったくなく、 「緊張状態が生じていること」について「異なる見解」なのだ。
しかも、「近年」という言葉も付けられているから、 それはますます「領有権問題」とは関係が遠くなる。
というのも、領有権にかんする中国側の主張は決して 「近年」から始まったわけではなく、数十年前からそうなっている。

要するに、最低限の日本語解読力があって 問題の文章を素直に読めば、それはいくらなんでも、 「日本が領有権にたいする中国の見解を認めた」 とのことにならないはずだが、 それでは一部の論者たちは 一体何を根拠を持ってそう断じているのだろうか。

その一例として、筑波大学名誉教授の遠藤誉氏が ヤフーニュースで掲載した 「日中合意文書──習近平の戦略を読み解く」を取り上げてみよう。

この論評の中では遠藤氏は 「今般の日中合意文書は、結果的に “中国と日本の間に領有権に関する主張の違いがあることを認識した” ということを意味しているのである。」との結論を出しているが、 問題は彼女は一体どうやってこのような結論に達したのか。

遠藤氏の論評の全文を読んでまず分かったのは、 彼女がその中で、日中合意文章の原文を引用して それを解析する作業をいっさいしなかったことだ。
合意文章の意味を解説するのに、 原文に対する解析をいっさいしないというのは、 学者としてはまったくの無責任というしかない。 というよりも、彼女はむしろ、 わざわざと原文を無視しているのではないか。

それでは、原文を解析せずにして 一体どうやってその内容にたいする結論を引き出したのかといえば、 遠藤氏の文章を読めばすぐ分かるように、 彼女が冒頭に持ってきて自分の結論の最大の根拠としているのは 実は、11月8日の人民日報の出した「勝利宣言」である。

そして遠藤氏がとりわけ引用したのは、 人民日報が合意文書について 「日中が尖閣問題について初めて文字で明確にした」との一言である。

しかし前述のように、合意文章が明文化したのは 「尖閣問題」ではなく「緊張状態」であるから、 そもそも人民日報の「勝利宣言」は根拠のない自己宣伝であるにすぎない。
しかし、中国の人民日報が中国のために行った このようなデタラメの「勝利宣言」はそのまま、 日本の知識人の遠藤誉氏の論評の最大の根拠となったわけである。

それはすなわち、日本国内で流布されている 「日本が中国に譲歩して中国の言い分を認めた」 との論調の実体なのである。
彼たちはただ、中国による 一方的な「勝利宣言」にまんまと乗せられたのではないか。
( 石 平 )



宍粟市波賀町 笠ヶ城山(669m)・原不動滝

2014年11月07日 | 散歩・山歩き
11月4日(火) 晴

宍粟市波賀町皆木 笠ヶ城山(かさがじょうやま669m・宍粟50名山) / 原不動の滝 

笠ヶ城山は宍粟50名山にあげられている。
地味で、余り高くなく、皆木村落に入っても山容がよく判らなかった。
尾根に上がるまでが距離は短いが急斜面、下りも同様だった。
お目当てのモミジ谷の紅葉だが、時期がだいぶん早く、青々としていた。
先月後半、大山などを紅葉巡りをしたので同じように考えていたが、こちらは標高も低くこれから。十一月後半から十二月にかけて見頃になるのではなかろうか。



山登りの後訪れた、原不動滝


 山歩記




中国密漁船団は海上民兵

2014年11月06日 | 政治・外交
小笠原諸島沖で煌々と灯りを付けて珊瑚の密漁をする船団の写真があった。
実はこの密漁船団は中共海上民兵と見られている。
中国のサンゴ密漁船団、日本の海上警備挑発か 専門家「単なる密漁と思えぬ」  産経新聞2014年11月3日(月)08:03
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20141103036.html

 200隻以上に膨れあがった小笠原・伊豆諸島沖での中国のサンゴ密漁船団について、専門家からは「単なる密漁目的ではなく、日本の海上警備態勢への挑発ではないか」といった見方が浮上している。
 小笠原諸島沖で今秋増加した中国漁船によるサンゴ密漁は、中国近海での採取禁止や沖縄周辺での海上保安庁の警備強化が背景にあるとみられる。海保の佐藤雄二長官は「一獲千金を狙った違法な操業だ」と述べ、中国公船の航行が常態化している尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での海洋権益拡大に向けた動きとは別との認識を示す。

 ただ、小笠原諸島沖では約30年前にも台湾漁船によるサンゴの密漁が横行した時期もあったが、古参のサンゴ販売業者は「今回は船団が異常に多い。取り合いになって行き帰りの燃料代が回収できないリスクもあるのに…」と船団の急増に首をかしげる。

 東海大の山田吉彦教授(海洋政策)も「数十隻ならまだしも、200隻以上に増えれば単なる密漁目的とは考えにくい」と指摘。中国漁船が領海に侵入し、島から見える距離まで大胆に近づいている状況などから「日本の海上警備態勢への挑発の意味合いもあるのでは。現状を国際世論に訴え、中国側にサンゴ密漁をやめさせるよう圧力をかけるべきだ」と話している。

 漁業関係者の間では、小笠原諸島沖で中国漁船が領海侵入を繰り返すことで、尖閣諸島の領海警備態勢に揺さぶりをかける狙いを指摘する向きもある。

サンゴ密漁 自民が決議採択「蛮行に憤り」 監視態勢・罰則強化求め  産経新聞2014年11月6日(木)07:59
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20141106107.html

 自民党は5日、小笠原・伊豆諸島(東京)周辺で中国のサンゴ密漁船が急増している問題をめぐり、外交部会などの合同会議を開いた。中国政府への対応や密漁船に対する罰則の甘さに批判が集中し、政府に警戒監視態勢や罰則の強化を求める決議を採択した。
 決議文は、日本政府が中国側に再発防止を要求しているにもかかわらず、密漁船が激増していることを踏まえ、「根こそぎサンゴを奪い取る蛮行を繰り返していることに、激しい憤りを禁じ得ない」と強調。「政府の総力を挙げて厳正な対処と厳重な抗議を行うことを要望する」と明記した。
 排他的経済水域(EEZ)内での密漁は、船長が漁業主権法違反で逮捕されても担保金(罰金)を支払えば釈放され、漁船や押収物も返還することになっている。このため、会合では「担保金の額を引き上げるべきだ」との批判も出た。

 一方、菅義偉官房長官は5日の記者会見で「海上保安庁は大型巡視船や航空機を集中的に投入し、特別態勢を取っている。やりくりして対応しているが、非常に無理があるのは事実だ」と述べ、対応に苦慮していることを明らかにした。
 政府は平成26年度補正予算などで態勢を強化する考え。西川公也農林水産相は5日の参院本会議で、釈放時の担保金に関し「抑止力の観点から引き上げが可能かどうか、関係省庁と早急に協議したい」と述べた。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)11月4日(火曜日)弐
     通巻第4382号    
http://melma.com/backnumber_45206/

小笠原で珊瑚を密漁する中国漁船団の本当の目的は第二列島線突破だ
遠洋漁業はレーダー搭載、かならず海軍の管轄下に入らなければならない


 2010年、尖閣諸島海域で不法操業の中国漁船を警戒していた海上保安省の船に中国の暴力船長が体当たりしてきた。おりしも民主党政権、弱腰の日本は船長の取り調べもそこそこに釈放し、衝撃のヴィデオ公開をふせた。
一色正春氏の勇気ある行動でテレビに流れ、日本の世論は激高した。

この前後から『漁船』が同海域をうろつきまわり、その周囲を中国海監の艦船が取り巻く、領海侵犯は数限りない。いったい何が目的か?
尖閣諸島は中国領土だとぬけぬけと主張したが、2012年9月に野田政権は国有化を宣言した。

すると中国は『反日暴動』を組織化して全土で日本企業を焼き討ちした。日本の反中感情に火が付き、93%が『中国が嫌い』とする世論調査結果が出た。
日中関係の悪化はすべて中国側に責任がある。

しかし軍事的視点から言えば、尖閣諸島海域への出没目的は「漁場」ではない。ずばり、第一列島線突破の訓練である。『漁船』を装った「海上民兵」であり、日本側の警備、スピード、その規模を計測しているのである。
西太平洋に覇権を打ち立てるのが中国の大戦略である以上、尖閣も小笠原における行動も、そうした戦略に基づいた戦術行使である。

五島列島でも深刻な問題がすでに起きている。
▼五島列島に「台風避難」を名目に数百隻が寄港、現代の「元寇」を思わせた

 以下に拙著から引用する。
「平成二十四年(2012)7月18日だった。平戸から近い五島列島の南端・福江島の南のはずれに位置する玉之浦港に突如、『元寇』を思わせるほど夥しい中国船が、整然と隊列を組むかのように入港した。台風避難が目的であるとされた。合計106隻。
 日中漁業協定で確認された避難ポイントは、この玉乃浦港から100キロ先であり、台風を名目にわざわざ福江島の南端、警備の薄い日本の港を狙っての集団避難は異様な光景、なにか軍事的目的があると考えられた。玉之浦は緯度的には長崎と佐世保の中間、大村飛行場と緯度が同一線上にある。
 「入港後日本の海上保安庁の巡視船が監視にあたりましたが、百六隻の漁船に対して、海上保安線は150トンクラスが一隻と巡視艇というボートが一隻の計二隻だけ」(遠藤浩一編『日本文明の肖像2』所載、山田吉彦論文)
 おもわず背筋が寒くなる光景だった。

 玉之浦の人口は1800人、中国側は各船に20人から50人が乗っていたと推定すると、合計3000名となる。つまり台風避難を名目に玉之浦港は中国に占領された格好だった。漁船といっても遠洋航海の船は魚群探知機を装備している。こうした漁船はすべて中国海軍の管轄下にある。山田吉彦(東海大学教授)は、『この漁船は海上民兵』と推測し、第一列島線の内側を『中国は海洋領土とすることを目指してきた』から、こうした行為に及んだとする。すでにそのときまでに中国は西沙諸島ミスチーフを占領し、2010年8月には『270隻もの漁船団が日中中間海域に出没』し、しかも『そのうちの一隻が海上保安庁の巡視船に体当たりした』。
そして推定される中国の『海上民兵』を駆使した海洋軍事作戦とは、『百メートルおきに横に並ぶと10キロ、二列で間を埋めて50メートルおきに並んでも5キロのエリアで海底を詮索できまる。だから漁船団が動き出すと(日本と米軍の)潜水艦は動けなくなる』」(同前掲論文)』(拙著『吉田松陰が復活する』より抜粋)。

  ▼赤珊瑚盗掘の中国漁船は、じつは漁民ではなく海上民兵である。

 そして小笠原諸島周辺海域に中国漁船が大挙して出没し、珊瑚の密漁を行っている。  2014年九月半ばから十月までの一ヶ月半だけでも出没した中国漁船は211隻におよび、中国人富裕層に人気の高い赤い珊瑚礁を盗んでいくのだ。
自然保護、環境保護を大事にする日本の隙をついてカネになるときけば、中国人は公私の見境なく、だぼはぜのごとくやってくる。

しかし、この密漁団には裏の目的がある。
珊瑚密漁は表向きのこと、実態はまさに第二列島線突破のための『海上民兵』の下訓練、レーダー搭載の漁船は、繰り返しになるが、すべて中国海軍の管轄下にある。

第二列島線(Wikipedia)
第二列島線
第二列島線は、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインである。近年に至るまで、中華人民共和国の海洋調査は、第一列島線付近までに留まっていたが、このところは第二列島線付近でも調査を行っている。海洋調査は、他国の排他的経済水域内では行えないため、第二列島線付近にある沖ノ鳥島問題が持ち上がっている。

この第二列島線は、台湾有事の際に、中国海軍がアメリカ海軍の増援を阻止・妨害する海域と推定されている。中国海軍は、従来、沿岸海軍であったが、第二列島線まで進出することは即ち、外洋海軍への変革を目指していると考えられ、その動向が注目されている。

中国海軍は、第二列島線を2020年までに完成させ、2040-2050年までに西太平洋、インド洋で米海軍に対抗できる海軍を建設するとしている。
現在、中国海軍は、インド洋においてはミャンマーと軍事協力関係にあり、ミャンマー西端のバングラデシュ国境近くのシュトウェと、アンダマン諸島に接する大ココ島の港湾を借りて、海軍基地にしている。シュトウェには通信施設を設置し、主にインドに対する情報収集を行っていると言われる。また、パキスタン西部のオマーン湾の入口に当たるグワーダルでは、現在、パキスタン国内及びカラコルム山脈を越えて中国新疆ウイグル自治区へと通じる物流ルートの起点とすべく中国の援助で港湾整備を行っているが、港が完成した暁には、グワーダル港を間借りして海軍基地を置く見込みであるといわれる。



中共「真珠の首飾り戦略」

2014年11月03日 | 政治・外交
 文化の日
軍拡著しい中国の潜水艦がスリランカに寄港した。
シーレーン防衛のためとしている。
中国潜水艦、スリランカに寄港 「真珠の首飾り」戦略 妖しく輝くインド洋 産経新聞2014年11月3日(月)07:56
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/asia/snk20141103049.html

 【ニューデリー=岩田智雄】中国の潜水艦がスリランカに寄港したことが初めて確認され、南アジアでの中国の軍事的台頭を警戒するインドを刺激している。中国は、自国のシーレーン防衛に向けてインド洋沿岸国の港湾整備を支援する「真珠の首飾り」戦略を進め、インドは、この戦略が中国海軍艦船の寄港につながるとみてきた。2日付のタイムズ・オブ・インディア紙は、中国潜水艦が近くスリランカに再び寄港するとの見通しを伝えた。

 中国国防省報道官によると、潜水艦が寄港したのは9月15日。通常動力型の宋級潜水艦で、ソマリア沖やアデン湾で海賊に対処している中国海軍に合流する途中、コロンボ港に入った。報道によれば、同7~13日には別の中国艦船も同港に停泊した。習近平国家主席は同16日、国家主席としては28年ぶりにスリランカを訪問しており、この時期の寄港に政治的意図があったことは間違いない。

 中国は、スリランカのコロンボ港やハンバントタ港の整備を支援してきた。インド政府は中国潜水艦のインド洋での活発な動きも確認しており、いらだちを募らせている。

 インドのジャイトリー国防相らは10月20日、訪印したスリランカのラジャパクサ大統領の弟、ゴタバヤ・ラジャパクサ国防次官と会談し、寄港問題を提起した。インド政府は公式には抗議の意思を表明していないものの、インド政府高官はヒンズー紙に「寄港はインドの安全保障にとり、深刻な懸念だ」と述べた。

 習主席はスリランカを訪問後、インドも訪れた。ニューデリーでの演説で「中国と南アジア諸国は重要な協力パートナーだ。地域の国々との協力を楽しみにしている」と述べ、スリランカを含む南アジア諸国への関与を強めていく決意をあらわにした。インドが嫌う南アジアへの影響力行使を堂々とインド側に突きつけ、中国の台頭を認めるよう迫る意図を、演説に色濃くにじませた形だ。

 インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団のラジャ・モハン研究員は10月29日付のインディアン・エクスプレス紙で、「インドは、(南アジアに)中国の影響力が及ばなければいいと、単に思っているだけではいけない」と指摘。「南アジアで中国の安全保障の範囲と構造を限定する唯一の方法は、すべての近隣国に対し、国防分野を含めたインドの協力を拡大することだ」と提言した。

インド政府高官はヒンズー紙に「寄港はインドの安全保障にとり、深刻な懸念だ」と述べたが、日本にとっても安倍内閣の「価値観外交」麻生氏の「自由と繁栄の弧」とバッティングし外交戦となる。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成26年(2014)11月3日(月曜日。明治節)通巻第4380号
http://melma.com/backnumber_45206/

中国潜水艦部隊も強力に推進、インド洋へ進出した
対潜哨戒能力だけは高い日本だが、あとは米軍の攻撃待ちしかない


 13年12月だった。
 中国海軍は原子力潜水艦がマラッカ海峡をくぐり抜けてインド洋へ達し、スリランカへ寄港したと発表した。そして「航海の安全ルールを守り、国際法に準拠したもので、これにより中国はエリート倶楽部入りを果たした」と言い放った。

 呉勝利(中国人民解放軍海軍司令員)は「これは戦略的なシンボルであり、中国は偉大な国家としてのステイタスを得たのだ」といった。
 事実、空母、ステルス戦闘機に続いて中国は米国、ロシアにつぐ攻撃型ミサイル搭載潜水艦を保有したことを意味し、大変な脅威の出現といえる。

 ちなみに列強が保有する攻撃型潜水艦を一覧すると、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 国、級別     全長       乗員数   搭載ミサイルと射程
 ~~~~~~   ~~~~~~~  ~~~ ~~~~~~~~~~~
 米国      561フィート  155 24基トライデント(7000マイル)  オホイオ級
 ロシア(デルタ型) 548      130 16基 シネバ(7100)
 英国(バンガード) 492      135 16基 トライデント(7000)
 フランス     453       111 16基 M57(5000)トリオムハン
 中国(94JIN) 443      120 12基 JL-2(4600)
 インド       367       95 12基 サガリカ(4350)  (アリノハント)
―― ただしインドの就航予定は2015年になる

 小笠原近海に珊瑚を盗みに来ている中国漁船、すでに200隻以上。これは第一列島線をすでに突破し、第二列島線すれすれに迫る中国の民間を装った、「軍事演習」と見るべきで、密漁は演技である。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成26年(2014)11月4日(火曜日)通巻第4381号    <前日発行>
http://melma.com/backnumber_45206/

中国海軍初の空母「遼寧」にまつわるスキャンダルが発覚 自称「空母の父」=軍出入り山東商人=徐増平が拘束されている

 それにしても数々の曰くが付いた、所謂「空母」である。
 ウクライナ所属だった出来損ないの鉄艦を買いたたき、大連まで曳航して、十年間、杳として外海に姿を現さなかった。ようやく姿をみせた中国海軍初の空母「遼寧」は、訓練航海のあと、ふたたびドッグ入りして消息を絶った。

 もともとソ連が経済的困窮を来して、67%まで仕上がっていた空母の建造を中断し、ウクライナに処分を任せたのは90年代初頭のことである。電気信号系統を取り外し、カタパルト装置を除去し、鉄のかたまり(スクラップ)として処分する予定だった。鉄くずの値段は500万ドルを提示した。

 おりしも中国は空母建造を決めていた。1985年に「中国海軍の父」と言われる劉華清がトウ小平の命令一下、空母戦略を立案し、1989年には国家として正式に建造を決定していた。 軍の造船所で空母建造に着手したが、うまくいくはずがない。空母プロジェクトは中断に追い込まれていた。そんなおりにウクライナに鉄艦の元空母ヴァリヤーグが売りに出されることを知ったのだ。

 ソ連が建造していた頃の名称はヴァリヤーグ号だった。ソ連時代に「黒海艦隊」の艦船をつくっていたソ連国有企業「黒海造船」は民営化され、資金不足に陥っていた。

 買い手の名乗りを上げたのは英国、スペイン、フランス、そしてインドだった。
 英国の業者は「浮かぶ監獄に改造する」と言った。フランスは「空母ホテル」にして地中海に浮かべるアイディアをだした。
ここへマカオの謎のビジネスマンが登場し、「マカオに浮かべてカジノ・ホテルに改造する」と言った。買値は2000万ドルだった。

 香港商人を名乗った男は、徐増平。山東省生まれで、退役軍人。皮革ビジネスであて、香港でホテルも経営し、不動産開発もやっているという触れ込みだった。実際にはおりからの不動産ブームにのって建材をあつかう業者で香港に豪邸を持っていた。
広州軍管区に強いコネがあり、一説に息子は劉延東の娘と結婚したという。劉延東といえば、なく子も黙る政治局員である。真偽の程は未確認。

 ▼マカオのカジノ・ホテルという最初の触れこみは消えて
 1998年4月、契約が成立した。マカオでカジノ・ホテルへ流用するというのが表向きの商談の中味だった。
 しかし問題は五万トンもの鉄のかたまりを15200海里、曳航してゆく運搬ノウハウだった。強力なタグボート三隻で引っ張り、バランスをとりながら、黒海、ポス歩ラス海峡、マルマラ海、地中海、ジブラルタル海峡を越えて、アフリカ喜望峰を回航し、インド洋からマラッカ海峡を越えてようやく南シナ海へたどりつくのだ。

 3年近い年月が黒海の通過のためにだけ費やされた。
 NATOの一員であるトルコが通過許可を出さなかったのだ。
2001年11月、ようやくポス歩ラス海峡を通過、ところがギリシア沖で暴風雨に遭遇し、タグボードが遭難、16名の水先案内人と250名の水兵らはひやり肝を冷やした。

ギリシアの港でタグボードの編成替えを行い、同年12月にようやくアフリカ沖、翌2002年二月にマラッカ海峡を通過し、同年3月、ほうほうのていで大連へ入港したのだった。
運搬費用は3000万ドル。艦の購入資金より高くなった。

 以後、大連で艤装工事が開始され、2005年には「事故」で15名の犠牲がでたというニュースも流れた。じつに大連入港から十年の歳月を経て、「空母」が初公開された。当初予定された「毛沢東」号は取りやめとなり「遼寧」と命名された。

初公開をみて、西側軍事筋は密かに笑った。空母とは移動する空軍基地である。遼寧甲板には艦載機がたったの一機(最近、やっとこさ、二機)。速度20ノット、ディーゼルエンジン駆動。「これじゃ、空母の役目は果たせない」と米国軍人が評価するていどのシロモノだった。ちなみに米軍の空母は原子力駆動、速力30ノット、艦載機80-120機である。艦載機は一分ごとに発着艦を行い、敵地攻撃へ向かう。

 問題は、ほかにもあった。
 自称「空母の父」を名乗った徐増平は、この間にますます軍に取り入って、機材調達などで軍のビジネスに食い入った。巨額の収賄が云々された。
香港に数軒の豪邸をかまえ、ベンツなど十数台を所有し、あげくに福建省厦門を舞台とした空前の密輸事件「遠華事件」や軍汚職事件の谷俊山事件にも徐増平がからみ、当局の取り調べを受けて身柄を拘束された。
 自称「空母の父」はこうして自滅した。

なにかすれば巨額の贈収賄がついて回るのが中共。


加瀬英明氏「日本の新聞は再生できるか」

2014年11月01日 | 世相
朝日新聞は従軍慰安婦問題で虚偽報道を認めたが、いまだ営業中だ。
多くの日本の読者を騙し、韓国はこの記事を根拠としていわれのない中傷を世界中にばらまいた。NYTも慰安婦を日本軍の性奴隷と広めた。真に受けた米国の単細胞某市民が慰安婦像を建造するに至った。韓国大統領は「千年の恨み」と国民を指導している。
これが食品会社なら保健所から営業停止を命令されたり、店頭から商品が撤去されるところだ。

朝日だけではない。毎日新聞も日本の母子のありもしない変態記事を英文で世界中にばらまいた。
新聞だけではない。NHKを始めとするTVも偏向報道が後を絶たない。ネットで検索すればたちどころにずらずらと出てくる始末だ。

どうしてこんなことが起こるのか・・・
評論家加瀬英明氏によれば、メディアの問題だけではなく、日本人の特質ではないかと論評しておられる。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2014年11月1日
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

日本の新聞は再生できるか

 新聞界に王者として君臨してきた、朝日新聞の落日が始まった。
 朝日新聞社は8月に、いわゆる従軍慰安婦について、32年間にもわたって読者を騙して、虚偽報道を行ってきたことを認めて、撤回した。社長が逃げ隠れしていたが、何日もたった後に、謝罪記者会見を行った。

 私はもう50年にわたって、雑誌の紙上を舞台として、朝日新聞が亡国的な報道を行ってきたことを、攻撃してきた。
 昭和50年に、月刊『文芸春秋』に「最近朝日新聞紙学」という題で、27ページにわたる長文の批判を寄稿したところ、朝日新聞社が名誉毀損で、私と文芸春秋社を訴えるといってきた。裁判は望むところだった。
 福田恆存氏をはじめ保守派知識人が、私の応援団をつくってくれることになった。ところが、著名な財界人が仲介に入ったために、裁判は実現しなかった。

 日本の新聞は先進諸国のなかで、民主社会を脅かす、もっとも遅れた面をつくっている。
 欧米の新聞が民衆のなかから生れてきたのに対して、日本の新聞は明治に入って、藩閥政府に不満を持つ武士がつくった。これらの武士はエリート意識が強く、蒙昧な民衆を導くという、使命感に駆られていた。

 日本の新聞の読者に対する目線
 今日でも、日本の新聞は誰に頼まれたわけでもないのに、「社会の木鐸」であることを、自負している。欧米では新聞が読者と対等な関係を結んでいるが、日本では読者を上からみる目線で、見降ろしている。
 日本の新聞は「これを読め」という態度で、読者に接してきた。32年間にもわたって、虚偽の報道を撤回しなかったのは、読者を大切にしてこなかったからだ。

 欧米紙と日本紙の投書欄は何と違うことか
 アメリカや、ヨーロッパの新聞でもっともおもしろい欄は、投書欄だ。その新聞の記事や、論説に対する読者の批判を、率先して掲載している。なかには、辛らつなものもある。
 ところが、日本では産経新聞も含めて、投書欄は愚にもかない内容のものばかりで、批判をいっさい受けつけない。
 もし、カレントの読者のなかに、朝日新聞を購読されている会員がおいでだったら、孫や、子供に読ませないことを、お勧めしたい。次代の日本人が嘘つきに育ったら、たいへんだ。
 今回の朝日新聞社社長による謝罪記者会見が、日本国民の目を覚ますきっかけとなることを、期待したい。

 聖書から学ぶこと
 私はキリスト教信者ではないが、旧約、新約聖書に親しんできた。
 新約聖書の『ヨハネの福音書』のなかに、妙に気にかかる言葉がでてくる。キリストの「私が来たのは、彼らがいのちを得、またそれを豊かに持つためです」(10―10)という言葉だ。
 いったい、英語ではどういうのか、英語の聖書をあたってみた。I have come that men may have life and may have it in all its fullness.と、なっていた。
 しばらく後に、ドイツ語の聖書もめくってみた。Ich bin gekommen, damit sie Leben haben und es in Fulle haben. とあった。
 これは、キリストの言葉のなかでも、有名なものだ。

 生きる心と生かされる違い
 キリストがやって来たことによって、人間が罪から解き放されたので、生き生きと生きることができるという、痛烈な叫びである。
 英語や、ドイツ語で読むと、人間は眠っていないで、生命力の限りにいっぱいに生きろという、血が滾(たぎ)るような響きがある。ところが、日本語になると、このように燃えるようなところがない。どうも弱々しいのだ。
 英語とドイツ語とでは、人間が生命(いのち)を持つというのは、have it / Leben habenであるのに対して、日本語では「それを‥‥持つため」といって、生命を持つというよりは、「持たされている」という感じが、強い。
 英語やドイツ語であると、個人が生命を持つのに、日本語では共有のものを持たされているようなのだ。

 自己意志の表現の力
 I haveというと、きわめて強い。「持つ」対象となっている物にも、「私」の強い執着がこめられている。そして、自分の行為まで持つことができる。I have comeとI came、I have seen、I sawとでは、同じ「私は来た」と「私は見た」のであっても、強さがちがうものだ。

 自己存在と所有価値との接点
 日本語で「私は鉛筆を持っている」といっても、鉛筆があたかも共有物であって、私が預かっているようにきこえる。自分だけの鉛筆だ、という叫びがない。
 「私は金を持っている」「傘を持っている」といっても、共有物である金を、一時、預かっているような感じが強い。I have moneyとか、my umbrellaというより、弱い。
 日本人の生活のなかから、haveが欠落してしまっているように思える。それだけ、自我が希薄なのだろう。

 日本では、ほんとうは不十分なものであるのに、そのものにあたかも大きな力が備わって、権威があるかのように、まわりから作り上げてしまうことが、しばしばみられる。戦前、戦時中の神国思想や、軍国主義のように、まったく得体の知れないようなものが、コンセンサスとして権威をふるって、横行する。

 日本では、人々が得体が知れないものに、寄りかかりやすい。

 “暗愚な帝王”と“暗愚な新聞”

 私たち日本人には、どこか無意識に満場一致を求める心情が、働いている。コンセンサスに従おうとする力が、強く働いている。
 このようなことは、ほとんどの日本人が成熟した自己を持っていないことから、起ると思う。大多数の日本人が不十分な、中途半端な自我形成しか、行われていない。多くの日本人にとって、自我の中心が自分のなかにあるよりも、集団のなかにある。
 自分を1人ぼっちの人間として、意識することがなく、自分が属している集団の部分としてみる。しっかりした自分を、確立することがない。そのために、得体が知れないコンセンサスによって、支配されてしまうことになる。
 日本では、首相にせよ、大企業の社長にせよ、周囲が作ることが多い。本人が自分の力によって、その地位を勝ち取るよりも、まわりがそのように作るということが、みられる。集団が中心を探り合ううちに、その人にコンセンサスの中心としての役割が、与えられる。
 かつて、鈴木善幸首相がそう呼ばれたが、宇野宗佑首相や、鳩山由紀夫首相や、菅直人首相のような“暗愚な帝王”が担がれることが、起こる。

 朝日新聞が擁護してきた日本国憲法が、よい例だ。日本国憲法は「暗愚な憲法」なのだ。
 日本国憲法は、今日の世界の現実にまったくそぐわないものと、なっている。
 人間生活では、あらゆるものが相対的であって、流動しているために、人が状況に合わせてゆかねばならないはずである。
 憲法も道具の1つであり、人間生活の手段であって、目的となってはならない。道路交通法と同じような、生活の道具だ。道交法を時代にかなうように、しばしば改めなければならないのと、同じことだ。

 現行憲法を墨守するのは、中世的で不合理な不動の宇宙観を、持っているのに均しい。
 日本人はなぜ動かない物に対して、憧れを持つのだろうか。いったん、怪しげなコンセンサスが固定化してしまうと、全員が寄りかかってしまうために、壊すことがきわめて困難になる。
 朝日新聞は戦後の自虐史観を支えてきたが、「暗愚な新聞」であってきただけではなく、日本の国家としての存立を、脆いものとしてきた。
 日本の新聞は、反社会勢力であってきた。“木鐸”という気取りを、捨ててほしい。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2014年10月25日
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

日本の独立を危うくする朝日新聞の中国報道

 朝日新聞社が8月に、いわゆる従軍慰安婦について、32年間にわたって読者を騙して、虚偽報道を行ってきたことを認めて、撤回した。
 社長が逃げ隠れしていたが、何日もたった後に、謝罪記者会見を行った。
 私はもう50年にわたって、雑誌の紙上を舞台として、朝日新聞が亡国的な報道を行ってきたことを、攻撃してきた。
 昭和50(1975)年に、月刊『文芸春秋』に「最近朝日新聞紙学」という題で、27ページにわたる長文の批判を寄稿したところ、朝日新聞社が名誉毀損で、私と文芸春秋社を訴えるといってきた。裁判は望むところだった。
 福田恆存氏をはじめ保守派知識人が、私の応援団をつくってくれたが、著名な財界人が仲介に入ったために、裁判は実現しなかった。

 私にとって朝日新聞ほど、怒りを駆り立てられてきた相手はなかった。
 なかでも、朝日新聞の中国報道は、日本の独立を危うくするものだった。
 外交は内政の延長だといわれるが、国防は国内世論に依存している。

 中国で昭和41(1966)年に、人民文化大革命が、吹き荒れていた。毛沢東によって、大量の血が流され、文化を破壊した、狂気の沙汰だった。
 朝日新聞は社説で、「そこには、いわば『道徳国家』というべきものを目指す、『世紀に挑む実験』といった意欲が感じられる」と、説いた。
 昭和57(1970)年に、中国の周恩来首相が佐藤内閣による沖縄返還交渉、日米同盟堅持、防衛力強化を、「日本軍国主義復活」といって、激しく非難した。
 朝日新聞は社説で、周首相が「『日本軍国主義はすでに復活し、アジアの侵略勢力となっている』とか、『沖縄返還はペテンだ』と主張した。われわれは、日本軍国主義がすでに復活したとまでは考えない。だが『復活』の危険な情勢にあることは、認めざるを得ない」と、論じた。
 翌年、日米間で沖縄返還協定が調印され、昭和52年に沖縄が祖国に復帰した。

 昭和50年は、1960年に日米安保条約が改定されてから、自動延長か、改定の期限を迎えて、新聞が“70年安保危機”をさかんに煽った。
 朝日新聞は社説で、「日中関係の正常化こそ、わが国の恒久的な安全保障の条件なのであり、“選択の70年代”の課題は、対米関係の調整にたった安保条約の解消と、日中関係正常化への努力を並行して進めて行くことである」と、訴えた。
 “70年安保危機”は、警視庁機動隊員の努力によって、回避された。

 昭和47(1972)年に、日中国交正常化が行われた。
この時の朝日新聞の「日中新時代を開く田中首相の訪中」と題した社説も、憤飯物だ。
 「日中正常化は、わが国にとって、新しい外交・防衛政策の起点とならなければならない。日米安保条約によって勢力均衡の上に不安定な安全保障を求める立場から、日中間に不可侵条約を結び、さらにその環をソ連にもひろげる。あるいはアジア・極東地域に恒久的な中立地帯を設定する。そうした外交選択が可能となったのである」
 朝日新聞は、中国報道も検証してほしい。