引き続きキセキレイをご覧ください。
食通にはたまらない北海道の海鮮は、誰しも話を聞くだけで垂涎の的である。思い浮かぶ代表は、烏賊(スルメイカ、マイカ、剣先イカ)、鮭(時知らず、銀鮭(銀毛・めじか)、紅鮭、鮭児、白鮭、マスノスケ(キングサーモン)、サクラマス、樺太ます等)、ソイ、オヒョウ、マダラ、シシャモ、ホタテ、蝦夷アワビ、マコガレイ、ゴッコ(布袋魚)、カジカ、ニシン、サンマ、イクラ、筋子、タラコ(スケソーダラの卵)ウニ、ボタンエビ、タラバガニ、毛蟹、花咲蟹等である。
魚種や漁獲は時期によって異なるが、種類も多く、市場には取れたての新鮮な海鮮が廉価で手にはいるのも魅力的である。
当時よく利用した居酒屋は、今でいう炉端焼きの走りだったようだ。炉端の天井にカレイやニシン、ホッケ、一夜干しのイカ等が吊してあり、客の注文でそれを炭火で焼き、提供してくれていた。燻された食材は何とも香ばしく、食欲をかき立てる。酒は北の誉か男山に決まっていた。
常温で飲むとふくよかな酒の香りと熱々のつまみが良くマッチした。時間を経つのも忘れ、ほろ酔い気分で店を出ると、シバレた寒さに一変で酔いが覚めた記憶がある。舟歌にはツマミは炙ったイカがよいと歌っているが、取れたてのイカの刺身、それも氷の上に乗せたイカの姿で饗される「作り」は絶品である。函館の早朝はイカ売りの声で始まる。「イカー、イカー」といって荷車を引いて売り歩く光景が浮かんでくる。夜の漁り火や朝のイカ売りはご当地で暮らしてみないと判らない。イカが最盛期には町全体がイカの焼いた匂いに包まれる。函館在住の人が、イカは函館でしか捕れないといっていたが、そのようなことはない。世界各地で捕れるし、相模湾でも時期には大きなスルメイカや剣先イカが釣れる。アルゼンチン沖やマダカスカル沖で捕獲されるイカが冷凍にされ、空輸で函館の水産物加工業者(例えば、布目水産)に回され、調味料や着色されてサキイカや塩辛になる。(次回へ続きます)