基本的には北海道が他の都府県と異なる訓練を行っているわけではない。職業訓練は都道府県が行うものと国が高齢・障害・求職者支援機構(前身は雇用促進事業団→雇用能力開発機構)に業務を担当させる二本立てとなっているが、事業主等に業務を委託して実施する委託訓練がある。
北海道では冬季間に離職に追い込まれる出稼ぎ者等、失業者に対し、機動職業訓練と呼んでいた一種の委託訓練が実施されている。多くは建設業組合等が実施する短期の職業訓練を公共職業安定所(以下職安と記す)が把握している出稼ぎ者等に対し、訓練受講を促し、当時雇用促進事業団の事業内援助課や開発援助課が受け皿となって、委託先との契約により、訓練施設として委託訓練を実施していた。
最近の北海道庁のホームページでは、機動職業訓練と速成訓練等の計画や実施要項が掲載されており、道立の職業訓練施設(○○高等技術専門学院)で実施されている。機動職業訓練については冬季間ばかりではなく年間を通じて実施されている。雇用状況によってこの訓練が年間を通じ、それこそ機動的に実施されることについては理にかなっているといえよう。
函館の職業訓練校(函館職業能力開発促進センター)では、委託訓練として長年、経理事務科の訓練を私塾に頼んでいた。
3ヶ月間の訓練期間で、対象は失業保険の被保険者(受給者)である。職安で募集し、訓練校に入校させる形を取る。母子世帯については道からの訓練手当が支給されるため、少数であったが寡婦も含まれていた。
函館は湯ノ川に代表されるホテル・温泉旅館が多数あり、接客サービスや、外国人客等に対する英会話等、宿泊管理でパソコンの操作などの技量を身につけた従業員が必要とされており、在職時、函館職安と相談の上、委託訓練を考えていた。初めに、委託先として可能かどうか、あたりをつけておかないと募集を開始してからでは遅いので、湯の川温泉組合の専務理事の所へ出向き、実施可能性を含め、状況をお聞きした。(次回へ続きます)