大きな餌なので捕食後の体形を見てください。
中でも、漆に変わるポリウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料、合成漆のカシュー樹脂塗料等の合成樹脂塗料の出現は、元来漆の需要の中心であった食器等塗り物の低価格化をもたらし、また素材も大量生産の可能なABS樹脂成型品が出回り、品質が一定しない木材とは異なり、工場で廉価に生産できる。漆の持つ性能が他の塗料より優れていたとしても、悪貨は良貨を駆逐するではないが、施工に手間を要し、代用品が廉価で販売されている中では需要はなくなるのも当然で、時代の流れに合わなくなってきたといえよう。用途が生活用品から離れれば、高級品に向かわざるを得ず、美術工芸品等に推移する。手間を考えてみると納得がいく。
例えば、製品制作に3ヶ月を要したとすれば、手間賃だけで1時間千円としても1日8千円、月25日働くとすると20万円、3ヶ月なら60万円となる。材料費や利益を入れると製品価格100万円のものを作らなければならない。制作した物が売れて初めて生活が出来るのであるから、余程の名人か、手厚い保護がなければ産業として成り立たない。
美術学校を卒業した若手の今後の成長に期待したいし、この業界が伝統産業として復活するには、解決しなければならない多くの課題がある。
漆が英語でJapanまたはJapanese lacquer(ジャパンラッカー)という。我が国そのままの名称である。陶磁器のことをチャイナ・チャイナウエアーと呼ぶのに等しい。高級品であるデュポンのガスライターやパイロット万年筆の蒔絵シリーズなど海外でも人気が高いといわれている。最近は携帯電話器に漆を使った高級品も出回っているようだ。一部製品には漆の良さが高級感とマッチしたことにより、発展性もあるが、その量は微々たるものである。
岩手県と青森県の県境に近いところに二戸(にのへ)町があり、ここの浄法寺(浄法寺という寺はない)という場所に天台宗の天台寺がある。浄法寺漆器の発祥の地で、作家でここの住職ともなった瀬戸内寂聴氏で有名である。古くは奈良時代に聖武天皇の命を受け、僧行基が彫ったと伝えられている観音立像が祀られている。浄法寺塗りは大変素朴な椀や箸等の寺で使う食器や仏具等に塗られていた。(次回へ続きます)