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釜石三陸博(3回シリーズその3)

2013年10月26日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 今回の震災でリアス式の海岸線は壊滅的な被害にあった。

[以下はコラム 釜石港湾口防波堤の損壊と減災効果から引用した。]
 岩手県の釜石港では、ギネスブックにも登録された世界最大水深(63m)の湾口防波堤が31年の歳月をかけて2009年3月に完成していた。中央の開口部300mを大型船の航路として確保し、その両面に北堤990mと南堤670mの2本の防波堤をハの字型に配置したもので、明治三陸地震津波規模の大津波に対して湾内の防潮堤の天端高(おおむね4m)より低い水位に減水させることで市街地への浸水被害の拡大を防ぐ機能が期待された。

 しかしながら、東日本大震災では、設計外力を超える大津波の威力により、防波堤は大きく損壊し、津波は湾内の防潮堤を越え、ハザードマップで想定していた浸水域を大きく越えて被害が広がった。今後、防波堤の被災要因を詳しく検証し、今後の災害対策に活かしていく必要があるが、その検討過程において、今般の大津波においても、津波防波堤が無かった場合に比べ、一定の減災効果を発揮したことが認められた。

 釜石港の沖合約20kmに設置していたGPS波浪計では最大6.7mの津波の高さが観測された。この観測をもとにした数値計算により、防波堤が無かった場合と有った場合を比較した結果、釜石港内の験潮所での津波の高さは13.7mから8.1mに約4割低減し、釜石港須賀地区の大渡川沿いにおける津波の最大遡上高は20.2mから10.0mに約5割低減している。この計算結果は、現地調査における痕跡高や浸水域とおおむね一致している。また、計算結果では、防波堤により、津波が湾内の防潮堤を越え浸水が始まった時間が6分間遅れており、水位上昇を遅延させる効果があったとみられる。
[以上はコラム 釜石港湾口防波堤の損壊と減災効果から引用した。]

 釜石港陸地側には高さ4メートルある防潮堤を施工されているが、この堰堤を乗り越えて津波が来たという。チリ地震の時にも津波は高さ30メートルに達したといわれている。
 小高い山の中腹には30メートルに達した津波の到達線(赤い線)表示があるが、海岸線近くには津波の怖さを知らない人々が徐々に自宅を構え、沖合側に防波堤があるから大丈夫という思い込みもあったようで、便利さが優先した結果、高台への避難が遅れ、多くの方が津波に飲み込まれて死亡している。我々も平田地区でイベントを行っていたときに津波が来れば今の自分はない。今になってリアス式の三陸の危険性を思うと背筋が寒くなる。
(このシリーズ最終回です)