カワセミ、エナガ、アオバトです。
川崎区の多摩川河川敷における中学生殺害事件が起きた。現在、真相解明、原因究明、再発防止策等は警察の調査中であるので、その結果を待つことになるが、誠に悲惨で、犯行に携わった個人又はグループは若年者といえども、厳正な処分が下されることであろう。そうでなければ、死亡した子供が浮かばれない。
死亡した生徒は13歳。地方からの転校生である。この辺りに歪な村社会の痕跡を見ることが出来ると思った。転校生がいじめのターゲットにされるのは今に始まったことではない。自分も親の仕事の関係で、小・中学校時代に何度か転入、転出を経験した一人である。都会であれ地方であれ、転勤が無くならない以上、義務教育中では、転校生の件数は人事異動しない企業に比べ、転勤する家庭は少ないが、全くなくなることはない。
人事異動という制度は、多くの国家公務員・企業や、全国的な組織を持つ企業では採り入れている制度である。県内であっても学区が異なれば移動しなければならない。親に扶養されている生徒は自分の意志にかかわらず発生するわけで、転出や転入を拒否できない立場にある。
しかし、転校した後の環境の中で起こった今回の事件はどう考えればよいのであろうか。制度はあっても、転校生の身の安全まで配慮されているとはいえない状況にあることを知る必要がある。今回の事件は残念であったとされるのは転校生が置かれている村社会の閉鎖性や村八分が多いに関係していると思えるからである。よそ者というラベルを貼られ、頼れる仲間を見つけられ、与えられた環境へ溶け込めればよいが、そうでなければ、いじめに遭うか、登校拒否となり、引きこもるしかない。
今回の事件では、対立するグループ同士の闘争に巻き込まれた可能性も否定できない。地域社会が平穏であれば問題発生も少ないであろうが、仮に、地域内で対立していた場合には大人同士の対立感情は子供にも及び、子供へのいじめも極端になる可能性もある。対立の連鎖は警察沙汰になる場合もあるし、偏見を生み、差別に繋がる感情問題も発生する。
不良グループが、対立している構図では、大人の冷静な行動の余地は少なく、弱肉強食関係を産み、間違った治外法権の中で、仲間意識を増長させ、暴力闘争を繰り返すのである。組織的な暴力は、エスカレートし、殺人事件まで至ってしまう。今回の事件の根底にある村社会の閉鎖性にも、考えを広げて欲しい。犯罪に手を染めた者の断罪と共に、隔離、排除、または更正だけで解決できる類(たぐい)の問題ではないのである。