気温が上昇し、出てきたジョウビタキ♀です。
過激化集団のイスラム国がイラクのハトラ遺跡、古代メソポタミアの文化遺産等を破壊しているという。偶像崇拝を禁止するイスラム教義に反するということが理由らしいが、定かなことは判らない。ユネスコの世界文化遺産は歴史を知る上でも未来に残す人類の宝として大切にされなければならないと誰しも思っていたところである。アルカイダが数年前に行ったとされるミャンマー、バーミヤン遺跡の石仏破壊は記憶に新しいが、同様な破壊行為は決して許されることではない。破壊すればその遺産の復元は難しく、残すべき文化は再現できないからである。
文化とは人間集団の構成員に共通する価値観を反映した物心両面にかかわる活動の様式や総体のことで、それによって作り出されたものである。狭義では、生産活動と必ずしも直結しない真善美の追求、知識や知恵の伝達、感動を与える等の高度な精神活動も含む。すなわち、学問・芸術・宗教・教育・出版などの領域をいう。いわゆる精神文化である。広義では日本猿が海岸で芋を洗う行為など、高等動物が後天的に特定の生活様式を獲得することも含める場合がある。
文化が人間にとって如何に大切で、日常と係わりがあるかがよく分かるが、人類は文明の物質的な恩恵を最大限利用してきていて、文化生活、文化住宅等快適さ、至便な状態のことを指すこともある。
宗教活動の一環とされる偶像崇拝の禁止をどのように捉えるかは判断の分かれるところであり、二律背反(同一の前提から導き出される二つの判断が矛盾して両立しないこと)として何処かに矛盾性を持つと考えられる。アラビア語で偶像のことをサナム・ワサンというが、イスラム教では偶像崇拝を禁止している。サナムは石材、木材、金属素材を持った身体を持つ偶像をいい、ワサンは画像などを含める。
ムハンマドがメッカを征服する前のアラビアには多くの部族がいたが、中には偶像を崇拝していたようで、理念的なイスラム法では異教徒の中に偶像崇拝者や多神教徒に対し、改宗するまでがジハード(聖戦)とされている。遺跡等を破壊する行為が、偶像崇拝を戒める聖戦であるとする排他的な宗教観が排除できなければ、今後も破壊行為が正当化される危険性がある。
穏健派といえども宗教を指導する立場にある者や、法学者がどのように判断しているのか破壊行為だけを制する話ではないことは自明の理である。