水色との対比がよいキセキレイです。
日本人の生活とサクラとの関係は大変深く、日本を代表する樹木であることは間違いない。精神性を含めて、季節を感じさせる。精神性で、開花して散っていく様は生死感にも繋がり、不幸な戦争で多くの若者が散っていった歴史を忘れることが出来ない。
全国を北上する桜の開花は、同一種のソメイヨシノであることに他ならないが、気候条件が開花に直接影響するために、沖縄から北海道までの日本列島が縦長で、気温の差が北上するという現象を起こしている。これと共に、桜が植えてある場所があたかも動いているかのように感じるのであろう。
その地域で一斉に開花するのは、サクラが持つ情報発信とでもいえる何らかのメカニズムが働いている。気温だけではなく一斉に開花するのは、日向や日陰には関係なく、何らかのホルモンが発散され、受粉時期を同じくしているといわれている。他のサクラ種との交雑を防ぐ意味や、サクラの葉や花を食料とする食害を防ぐこと、受粉を仲介する昆虫との関連もあるのであろう。
生活として利用してきたサクラは、お目出度い席で飲まれる桜茶、道明寺粉を使って塩漬けした葉でくるんだ桜餅は馴染み深い。茶筒や民芸品に利用されるカバ細工は樹皮を使っている。製材した桜の板や角材は変形が少ないために家具に利用されてきた。大変硬い材質で、加工はそれなりの困難さはあるが、緻密な組織は美しい。
徽章として、桜が利用される。これは花びらの形であり、家紋や、良くできましたとの意味で、判子に使われていたことを思い出す。100円硬貨にも桜のデザインが使われている。言葉ではうば桜があり、花が咲くときに葉がないため、歯がないにかけて老女をイメージした言葉で、出っ歯のことも八重桜といい、これは葉が花より先にでるため、歯が鼻より先に出るからきている。
サクラの樹木は余り剪定しない。切り口から黴菌が入りやすく枝が枯れるためである。「桜切るバカ、梅切らぬバカ」などといわれるが、余り繁茂すると電線に架かるなどのために切らざるを得ないが、切り口を専用薬品で処理しておけば大丈夫である。他にもあると思うが、お花見は最大の行事であり、丁度、入学式や新入社員の入社時期に当たり、満開の桜の下での宴会は先の明るさを愛でているようで、サクラが如何に幅広く日本人の生活に馴染んできたのかがよく分かる。