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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

水琴窟

2015年03月04日 00時00分01秒 | 紹介

 江戸時代初期の作庭家で、小堀遠州が考案したとされている。小堀遠州は、徳川家康に仕え、近江小室に1万石を与えられた大名であり、茶の湯を古田織部に学び、遠州派を開いたことでも知られている。また庭園としては、大徳寺の孤蓬庵や桂離宮も手がけている。

 

 水琴窟という名称の語源は確かな記録はないが、洞水門(とうすいもん)伏鉢水門などと同じ使途で、庭園で使われている。手水鉢や蹲踞(つくばい)の水はけ構造物のことで、そこに風流を入れて考えられたのが水琴窟である。素焼きの甕(かめ)を逆さに伏せ、地中に埋める。底が上面になり小さな穴を中央に開けて、水滴が落ちるようにし、伏せた甕には水面が出来るように工夫したもので、水滴が水面に落ちた音で反響して良い音を奏でる。

 

 この原理は、鍾乳洞の中で、水面に落ちた水滴が反響するのと同じである。水琴窟では甕の容量が小さく、音が小さいため、甕を二重にし、竹筒等で音を地上に誘導することもある。甕の側面に水面を作るため穴を開けて、溜まった水に水滴が落ちるようにし、オーバーフローした水を外に流す。土に埋めてしまうため、数年に何回かは埋まった土砂等を取り除く必要があり、メンテナンスの必要性もある。

 

 手水鉢や蹲踞は俗世を離れて茶室に入る前に必ず露地である茶庭で口をすすぎ、手を清め、心を正すために用いるが、蹲踞は、「そんきょの姿勢:相撲の力士が取り組む前に行う姿勢、旅人が世話になる一宿一飯の挨拶に使われる姿勢、おひかえなすって!」人が膝を曲げてかがみ込む姿勢となるためこの名前が付いている。蹲踞には清水を、割竹を使って引き込む筧(かけい)が付いている。

 

 最近では愛好家も多いようで、我が家の庭に水琴窟を埋め込む御仁も多いとか、京都では屋敷の中に坪庭を作るが、そこにも簡易な水琴窟やししおどしを設置していると聞いている。春節で中国、台湾、東南アジア等から観光に来日される外国人が多くなっているようであるが、海外に誇れる我が国の生活習慣、文化、伝統等も知って貰う良い機会でもある。

 

 水滴の醸し出す音色や竹筒が水の作用によって、石に当たる響きは、何とも心を落ち着かせる効果があるようで、一時の清涼感を味わうことが出来る。多分これも日本の伝統文化であり、後世に残したい芸術といえるかも知れない。