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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その6

2015年07月02日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 意匠はデザインのことであるが、建築物や絵画等意匠のオリジナリティを高め、気に入った意匠に出会うと、感動し、人生を楽しくさせてくれる。意匠は形であり、機能であり、斬新性であり、創造の賜である。工業デザインではよいデザインは付加価値を高めることが出来る。意匠は今に始まったことではなく人類誕生と共に生まれたものだろう。

 

 漆工作業においても、通常分業化されていて、効率を高めている。一方、芸術家にはいると思うが、塗り物を素材から加飾までの総ての工程を個人で行う漆芸家も多い。最初に取りかかるのは意匠デザインである。建築でいえば設計書作成である。イメージ作りは平素からの意識がもたらす物であるが、直ぐによいイメージが湧くわけではなく、花鳥風月をモチーフにする漆芸家は、日頃より、デッサンに心がけ、実際に目で見て想像を膨らませ、デフォルメ(対象や素材の自然の形を作者の主観を通してそのイメージに合う様に捉えて表現することの意)するのである。

 

 意匠は、用と美が共に備わっていることが基本であるが、始めに制作する目的をはっきりしておく必要がある。しかし、市販されている素材を使用しては、オリジナリティに欠ける。漆工技巧にのみに走る場合には市販品でよいが、例えば、鎌倉彫をするための盆型に挽いた素地やお椀類は市販されている。分業として木地職人に素材となる造形物のデザインを依頼しても身近にいなければ、計画倒れとなってしまう。漆工を知らない木地職人は塗り代(しろ)を考慮しないため、箱物等は任すことが出来ない。轆轤(ろくろ)を使えない複雑な形状の物も不可能であろう。

 

 そこで登場するのが乾漆技法で好きなデザインを形にすることが可能であり、漆芸家に多用される所以でもある。とはいえ、粘土で型を作るため、粘土型が出来たとしても、石膏を流して固め、型抜き出来ないような形状は分割するか、無理と考えるべきであろう。

 ブロンズ像も同様で、簡単に言えば、石膏型が、砂型に変わるぐらいで、溶解したブロンズの取り扱いは高熱を伴うため、専門家に依頼しなければならない。

 

 デザインに戻るが、温故知新で、漆芸のデザインの多くが中国から伝来した物で、仏教の影響も強い。国宝である正倉院の御物の中にも多くの漆芸品が残されている。その中に唐草文様、宝相華(ほうそうげ)文様がある。