再掲載です。一昨年は約200羽が孵ったそうです。今年は1/10ぐらいしか居ません。
加飾について考えてみたい。デコレーションのことで、色や光を加えることによって、素材を一層艶やかにするものと捉えると、消費者の好みや、華やかさ、意外性等による方向を探ることになる。素材が何を目的に制作され、使われるかによって、一定の範囲があると思われる。
以前から加飾の対象を広げる努力はされているが、定着していると考えられるのは、使用頻度に影響するが、年に数回しか使われないものは贅沢の部類に入り、宝の持ち腐れとなりやすい。漆工でよく制作対象となっている屠蘇用品(杯、調子、盆、重箱等)正月用品は将に年1回のものである。和室が新築住宅からに消えて久しいが、あってもひと間で、座卓を使うことも殆ど無くなった。
食に関していえば、お椀類、塗り箸、菓子器、お盆、抹茶入れの棗(なつめ)、拭き漆のサラダボールくらいであろうか、これも取り扱い等色々注文がある様で、敢えて漆器に拘っている理由はない。塗り物であっても、結婚式の引き出物で頂く程度で、自らが購入することは殆ど無かった。
文房具は文書入れや万年筆、硯箱等である。日用品となると、敢えて漆塗りが好まれているわけではないが、定番のオルゴール、宝石入れ、手鏡等であり、携帯電話やパソコンにも塗られているものを見たことがある。珍しいといえば、車いすを木製で作り、漆を塗った例や、自動車のダッシュボードやハンドルもあった。バイクのガソリンタンクやヘルメットに漆ではないが加飾したものある。
建築物では、神社の鳥居、城郭の廊下、神社、寺院、仏壇・仏具等は箔貼りした物もあるが、文化財の修復で使われるぐらいで、総てではない。漆塗りと称しているのは極僅かで、カシュー等の合成漆やポリウレタン樹脂塗料が殆どと思われる。
工芸品は多くの作家がいるし、地域の民芸品等も継続して制作されているので、そのすそ野は広いと感じられる。この分野はピンキリで、金、銀、螺鈿、バチル(象牙)、珊瑚、真珠、貴石や宝石類を加飾に施せば、価格の上限を知り得ない。変わり塗りといわれる技法もあり、多くは伝統として継続されている手法である。
こうして製品の加飾を見ると意外と現在使用頻度が高いと思われているものが少ないことが分かる。これでは先細りといわれても仕方がないが、我が国の森林で生育している多くの木材の利用が進めば、光明が見えてくるが、産業としての存続には、消費量の問題も解決しなくてはならない。