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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その14

2015年07月14日 00時00分01秒 | 提言

 3Dプリンターの出現によって、漆芸の世界も飛躍的な変化が期待される。既に仏像の制作、複製の制作、保存の世界においても、実用化が試みられているとの放映があった。国内の廃寺に安置されていた、ご本尊や他の仏像が盗難に遭っていて、苦慮していたところであるが、複製を作製して、本物の代わりに安置するといったニーズである。勿論、本物は安全な倉庫や博物館に収めるわけであるので、盗難等の被害から避けることが出来る。

 

 仏像等は精神性が内在している関係で、偽物の安置は興ざめの所も残るが、そこは知恵で、良くしたものである。仏様の魂を抜き、複製に魂を移入することが可能という。そこら当たりは漆芸とは直接関係しないが、乾漆像などの複製は、容易に作成可能となる。

 

 現在ではまだ、3Dプリンターの持ちうる機能の面で、十分ではないところもあるであろうが、採算性や使用する樹脂などの材料の強度、上塗り塗料の質感等は、代用品で本物にどれだけ近づけるかの問題は残る。しかし解決不可能な事柄ではない。

 

 データさえ準備出来ていれば、3Dプリンターを使った加工は、大きい物でも2~3日で出来上がる。コンマ数ミリ単位の積層構造で作製されるため、精度を上げれば、表面の粗さも変化させることが出来、本物により近くなるであろう。これは成型装置の問題であるが、日々性能は上がっている。最大の特徴は何といっても、人手を必要としないメリットである。

 

 漆芸の乾漆は、被塗物となる素材加工が難しい曲線や、複雑な形は加工し難いとして、粘土で原形を作り、石膏型を使って求めるデザインに近づけた結果であった。同様に、鋳物も同じ考え方で、砂型を使った成型方法である。ブロンズ作品も同様である。写真撮影可能なオリジナルさえあれば複製も容易で、不要な部分の削除、新たな追加は、パソコンの画面で容易に加工出来るため、新たなオリジナル製品も大量生産が可能となるであろう。一大革命である。

 

 もはや手作りの良さは3Dプリンターの登場で、漆芸の衰退は吹き飛んだ感じがする。それでも漆芸にどれだけ魅力があるのだというのであろうか。3Dプリンターはただ単なる加工機械ではない、道具でもない、情報と結びついた再現性を具現する万能性を期待出来る、神機登場である。

 

 実物大の臓器を再現した透明のアクリル樹脂が臓器の外形を表し、内部の各組織が寸分も狂いが無く形作られた模型を神宮球場近くの科学未来館で見たことがある。これさえも今まで作られてこなかったが、医療分野への応用は将に始まったばかりであり、手術を担当する医師の訓練に利用されるとのことであった。3Dプリンター技術が無限の可能性を持つと考えられる。