再掲載です。庭のモクレンが脱皮の場所で、多くの抜け殻があります。高さは1メートルぐらいの場所です。
漆工作業を行う方が困るのは、素地の選択もその一つである。地方の漆工産業があればよいが、木地やという製材所が有ればそこで分けて貰うのも良いが、椀や、丸盆等が多く、箱類は漆工専門の加工所でないと漆工の塗膜厚まで考えた作りとなっていない。
インターネットでの注文に応じるサイトもあり、価格は意外と高価である。インターネットのオークションで、一度、古美術のサイトで注文したところ、落札して我が家に品物が届いてみると、プラスチックの成型品に、シルクスクリーンで印刷した蒔絵と称するモノであった。返品無用との但し書きが付いていて、見事にだまされた。製品の写真からでは品質までは分からずに失敗したことがある。しかし、リサイクルショップや古道具屋に行ってみると思わぬ掘り出し物がある。
毎晩、晩酌する関係で、それを知っている知人や兄弟から日本酒が届くことがあり、高価な酒は木箱に入り、丁度塗り物にする素地には最適である。今取り組んでいるのは、八角形の桐の箱である。高さの1/3の所に斜めに切り口があり、一応蓋が閉まる様にはなっているが、通常の立ち上がりではないため、新たに立ち上がりを必要とした。大きさからすると、斜めの部分は八角柱として不要であり、丈を縮めるために切り取った。切り取った部分の内側に立ち上がりを作る算段である。
桐箱で蓋モノもあるが、一升瓶の長さが入るモノで、どうも使い勝手が悪い。暫く考えているがこれといったアイデアがない。金属の蓋モノのケーキや、キャンディーが入っていた容器も工夫次第では乾漆に向くかも知れない。家庭の中を見渡せば意外なモノが目にはいる。花瓶台であり、盆栽台であり、塗り替えてみるのも良いであろう。
知人に会津出身者がいて、会津塗りの製材所から箱物や椀類を送ってもらったことがあり、十分楽しめた。現在では知人も病死し、製材所は高齢のため、仕事場をたたんで、風の便りでは他界されたと聞いている。現在でもいろいろなルートを通じて相談することはあるが、素地は自らが出向き、手にとって確かめないと満足出来ないモノも含まれるため、希望通りのモノを手に入れるのは難しくなっている。下町には江戸指物や、木箱を専門に作り、販売している店舗もあると聞いているので、時間に余裕が有れば、一度探索したいと思っている。