再掲載のコサギ飾り羽根です。
漆工産業が、伝統工芸の一翼を担ってきたことは十分理解しているが、一部の富裕層以外の商機を模索するとなると、ハイブリッド化しか考えられないが、伝統産業として継続すれば、二極分化は避けられない。従来から、従来の専門分野が、他の業界との境界領域との相乗りの道は、左官と室内装飾としてのインテリアデザインとが競合する例や、建築塗装が、サイジングと合体化する、ブロック建築と土建とが一体的に行う例がある。この傾向は、広い意味での技術の進歩が、作業工程を簡略化し、施工技術の進歩、改善等が影響している。
漆工製品がほぼ永遠に使えるとの誇大宣伝があるが、確かにその利点は多いに利用すべきである。しかし一般の消費者は何世代も漆工製品を果たして利用するであろうか、文化財以外の日用品は、その世代が使えればよく、そこまでの耐久性を求める必要はない。
自家用乗用車の外面に塗装されている焼き付け型のウレタン樹脂塗料は、自動車の寿命が長くても10年であり、10年以上の寿命を持たせる必要はない。マニアの中には相当年数を経過した車を所有しているが、実用に供しない。外面ばかりが長寿であっても他の部品に耐久年数がなければ意味がないのである。鋼板腐食の限界を5~6年に置いているのも納得出来る。
従来、漆器や仏像、霊廟等の産業は、漆工職人を育てる環境があり、生計を営むための生活基盤が出来上がっていたからで、注文施主である城主や、大名、寺社仏閣の所有者等の膨大な資金があったお陰で、産業として成り立っていた。しかし、今や、バックボーンとなるこれらのユーザーがいなくなったため、存続の危機を迎えたのである。流通について考えると、現在ではではどこで生産しても、大差なく、全国に張り巡らされている流通網を使えばよいのであって、地域性に依存する意味は相当薄れているといえよう。
世界遺産となった、和食、健康志向で、抹茶に人気があるとか、食の文化は食物の味覚や作法等も影響するので、果たして漆芸によって制作された食器まで及ぶかどうか予測不可能な点もあるが、商機として捉えることが出来る。2020年の東京開催が決まっているオリンピックで来日する外国人も多いと思われる。下作な漆工製品を流布しない様に気を付けたい。漆芸が文化としてどれだけ受け入れられるかはこれからの対応に委ねられる。一過性のイベントとしてだけに終わらせないためにも、宣伝等工夫されたい。