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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その17

2015年07月18日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 漆工作業の生まれる前には、縄文や弥生土器がある。粘土を整形して素焼きにし、器や穀物や飲料水の保存に用いられた壺や瓶(甕)がある。現在の壺を作るのに、細長く伸ばした粘土を渦巻き状に重ねて壺状にし、表面を平らにする方法が使われる(板状の粘土を重ねても良い)。これは縄文時代から続いている方法である。他の方法では、壺の大きさにもよるが、心棒となる木材や鋼製パイプに荒縄を巻き付けて立体造形を作り、粘土を周りに塗りつけて乾燥させ、そのまま素焼きにすれば、上下に穴の空いた壺が焼き上がる。(片方の穴にそこを付けるか、予め粘土でこしらえておけば後から作ることはない)

 

 通常は半分にした大きさの油粘土型を作り、石膏型を取って雌型→雄型→雌型、左右の分二つを作る。後は乾漆の方法で、雌型の内側に下地材と麻布を塗り重ねて胎とし、合体させる。乱暴な方法でもあるが、油粘土に離形剤(グリース、パラフィン、ワックス等)を塗っておき、直接、合成樹脂下地材(ポリエステル樹脂パテ)を塗って、補強のためのガラスクロス(グラスウール)を貼り付ける場合もある。乾燥後粘土を取り去り胎とするもの(この場合粘土表面に接した部分が壺の内側になる)。

 

 心棒に荒縄を巻き付ける方法は、現在でも使われている。予めベニヤ板に図面で描いた半分を描き、定規(あて板)とし、荒縄を巻いた心棒が回転する様に水平に置いて、粘土で整形する。定規のカーブが得られる。乾燥後、離形剤(膠等)を塗っておく。透明な膠に弁柄(ベンガラ)を加えて色づけする場合もある。

 

 塗装方法は、乾漆胎を作る要領である。

中塗り→炭粉蒔→生漆固め→さび付け2回→地の粉下地2回→水研ぎ→布張り2回→地の粉下地2回→布張り→地の粉下地2回→切り粉下地2回→水研ぎ→さび付け2回→水研ぎ→中塗り2回

 

 上記工程を経ると、7~8mm の膜厚を持つ塗膜が出来る。心棒を抜き、縄を取りだし、水で粘土を溶かして流し出す。すると、乾漆となる漆胎が完成する。底は別途作製すればよい。丸く石膏型を作り、それに乾漆胎の制作要領で作成する。

 

 漆の代わりにカシュー漆といわれる合成漆を用いて同様の工程を簡略化して行う方法もあり、経費のことを考えると漆と遜色のない同様な製品を作成することが可能である。当然、下地材や、多くの種類の製品が市販されている。