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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その11

2015年07月10日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 治具(ジグ)は補助具のような物で、工作機械の刃物を正しく当てる働きをする道具であるが、一般に、個人によって工夫して、作られている。漆工作業においても、作業を正確に行うために制作物の局面を同じにする、角度を持った箇所、例えば、合い口の立ち上がりの角度を均一にさせるための定規や特殊な形状を持つへらなどに使われる。強度を必要とする場合は、ブリキ板を金切りばさみで切って作る。

 

 四角形や円形の造形物を作る場合は、最終的には、石膏型を作るのであるが、手っ取り早いのは、油粘土や粘土を使う。仏像などの脱乾漆と呼ばれている造形物は、木型に粘土を用いて造形物を作り、麻布に生漆と糊を混ぜた下地を張り重ねて、乾燥すれば、さらに下地にとの粉や、地の粉(珪藻土)を加えて、彫刻へらを使って、整形する。乾燥すれば研ぎを行いこれを繰り返して一定の厚みを作る。バケツに水を入れて造形物を浸すと、水に粘土が溶けるため、粘土は除去でき、漆と麻布が張り合わされて乾漆造形物が作れる。 

 

 油粘土を使った造形物は、精密な加工は難しく、限界はあるが、円筒形や立体造形等比較的単純な形状に向く。複雑な石膏型から乾漆が抜けないと離形材を使っても抜けなくなる。油粘土を整形するときには治具を作る。両手に入るぐらいの調理用ボールを伏せたイメージを例として考えることにする。アクリル板(3mm)を加工して寸法の台を作る。その前に、アルミ板(0.5mm)か塩ビシート(1mm)を準備し、設計図の1/4の形状を作製する。円形では、90度を持つ型が出来るので、4方向同じ外形を確定することが出来る。この治具を使って正確なアクリル台を作製する。同じ曲率の外形を持つ台となるアクリル板が出来る。中央に直径3mmφの穴をあけ、同径の真鍮チューブを差し込む。アクリル定規のガイドとなるものである。

 

 アクリル板定規を先にこしらえたアクリル板台に沿って、回転させることによって、粘土の形状を作る。逆L字型の曲率を持つ定規を作り、中央の真鍮棒を挟む形にする。曲率がボール型の丸みとなる。中心に立てた真鍮棒が横ぶれしないように固定する必要がある。油粘土を掻き取るため、アクリル定規へらの片方に刃をつける。

 

 複雑な形状であっても台の加工によって、様々な形状、楕円であれ、花びら型であれ制作が可能となる。台のアクリル定規や加工したアクリルへらなども治具である。