鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

通訳は縁の下の力持ち(3回シリーズその3)

2013年01月17日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 バイリンガルや多言語を操る方の脳の構造がどのようになっているのか普段から疑問に思っていたが、今回様子を見ることにした。日本語の文脈のポイントとなる語や語句をフランス語に変換した語を階層構造のように素早く筆記し、頭の整理をしていた。変換した階層構造は殆ど見ずにフランス語を話し、フランス語から日本語へは筆記もせずに私へ伝えてくれた。
 階層構造は通訳が知らない日本の状況や専門用語を自ら理解するための記述であったのかもしれない。板書に日本語か英語で解説用に書くことはままあるが、これはフランス語に変換することで研修員に単語で伝えるためで、女史の頭に日本語―フランス語の辞書が入っているようであった。 自分には到底出来ない芸当である。

 普通、通訳者が同席する環境では、コースの運営の詳細について、事前の打ち合わせがもたれる。その時点で講義の内容を伝えるが、専門分野になると、用語の意味の説明からはいるため、コーディネータの経験と力量が要求される。集団コースの場合は講師が各国の事情や、状況まで短時間で把握することは通常、困難で(場合によっては来日前にカントリーレポートが手元に届くことがあるが決してすべてが揃うわけではない)、集団コースの難しさである。
 研修の最後はアクションプランの作成である。このセクションが研修員の帰国後に各自が展開する我が国の技術移転の研修成果で、今後の二国間援助やフォローアップ等のベースとなるものである。

 我が国の技術協力に高い賛辞が送られている背景には、研修を成功裡に導くコーディネータの存在と、広範な業務をこなす能力があって始めてなし得るものである。どの研修であっても、コーディネートすることの大変さを実感し、その実態にふれてきたが、自分の能力以上の行動がとれたのもコーディネータの介在があったおかげで、成功できたのであり、そのことに今でも感謝している。(このシリーズ最終回です)

通訳は縁の下の力持ち(3回シリーズその2)

2013年01月16日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 研修員の職務経歴は国によって相当異なっていて、JICAが事前に各国機関に送るジェネラルインフォメーションである程度の縛りはあるが、行政長官や次官から学校長、公共部門の専門家等多様である。それぞれのおかれている背景は当然異なっており、関心事項も千差万別である。来日直後に2~3日のオリエンテーションがJICA本部で行われ、我が国の紹介は受けている。同時に表敬訪問も行われる。
 しかし、経験することによって初めて理解できるものであるが、異文化ショックは受けたそのときに疑問点を解決しないで積み重なると違和感が助長され、ホームシックになるなど精神的な不安定さが現れる。そのようになる前に研修員の個別ケアを行う。この状況をいち早く察知し、対応を取るのもコーディネータの仕事で、文化大使としてのコーディネータのサポートは欠かせない。

 コーディネータと講師との関係は、通訳業務が殆どであるが、研修員にとっては講師そのもので、講師の分身といえる。通訳を通すと、翻訳する時間で講義内容は半減するが、この間合いは、講師にとっては研修員の理解度を判断するための大切な時間であり、通訳が正しく専門用語を理解しているかをも見ることにしている。講義の初期段階では三者の共通認識と信頼関係の醸成が必要となる。
 経験からいえば、コーディネータの介在の下で、研修員の自主性を最大限発揮できるよう、役割を与え、発表や、演習をさせ、疑問点については誠意を持って答えさせる方向を確認し、講義の流れによっては一定の区切りで質問を受ける。研修といっても我が国の事例は、参考になってもすぐに参加国に導入できるモノではないので、成功例は極力少なめにし、失敗例は、成功例以上に参考となるため、我が国が経済大国に躍進できたのは、現在のシステムに至る過程での先進国からの制度移入や試行や模索があり、成功の連続で達成できたわけではないことを強調することを講師とコーディネータの調整事項としている。
(次回へ続きます)

通訳は縁の下の力持ち(3回シリーズその1)

2013年01月15日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 国際協力機構(JICA)が企画実施する、開発途上国等の要望に応じて行う技術協力は、我が国の国際貢献が高く評価される源泉ともなっている。数年前の2月初旬から3月の上旬にかけての約1ヶ月間、アフリカフランス語圏を対象とした、「雇用創出のための職業訓練」セミナーに参加する機会を得た。参加者は9ケ国13名で、全員、政府行政機関の管理職であった。コース内容は紙面の関係で省略するが、研修の最終日に行われた研修員からの満足度評価の点数が高かったことは、このコースが成功裡に終わったといえる。

 さて、閉講式ではコースの受講証明書がJICA緒方貞子総裁から授与されるが、セレモニー後の研修生代表からのスピーチでは、コースの開始から携わったコーディネータの働きに対し、高い賛辞が送られたことである。コーディネータはこの分野の研修は初めてで、フランス語の通訳である。 通訳というと同時通訳を思い浮かべるが、研修における通訳は若干趣を異にする。同時通訳ではない。講師の話す専門分野の日本語をかみ砕き、研修員の反応を見て講師に伝える双方向の役目を果たすので、単なる言葉の変換を行っているわけではない。

 コーディネートするという職務はコースの運営管理をすべて行う。超人的業務で、研修員の来日から帰国までの間、気を休める暇もなく、研修員の生活面や健康管理、コースの運営、講師との調整、資料の準備、講義室の予約、プロジェクターやパソコンの準備、カントリーレポート(ジョブレポート)の取り纏め、企業訪問や施設見学の同行、通訳、アクションプランの作成支援、研修評価シートの取り纏め、日報作成等実に幅広く、ハードな仕事である。(次回へ続きます)

有償運送について考える(2回シリーズその2)

2013年01月14日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 利用者の増加は、対応する運転ボランティアや、事務を行うボランティアの増員が見込めず、増加分の業務は、現在のボランティアの負担になること。また、福祉・一般車両の手配等に混乱を期すとの考えや、社会福祉協議会の構成員であるタクシー業界への配慮が必要との消極的な見方もあり、計画的な受け入れ体制を作るため、広報と同時に、運転ボランティア講習会の回数を増やす努力や事務ボランティアの増員等の現状の改善や工夫が求められる。

 収支では、社会福祉協議会の保有する福祉車両(ほとんどは慈善団体からの無償提供である)を利用する移送サービスが赤字で、赤字発生の内訳は駐車料金や車両保険代等である。一方、運転ボランティアの提供する一般車両(セダンタイプ)を使って行う送迎サービスは収支が均衡し、福祉車両を増やすことが赤字の発生に拍車をかけているようである。

 世の常で、誰しもが高齢化し、不幸にも障害を持つ。自らの能力だけでは移動に支障を来す方には、生活圏の行動範囲を広げ、困難打開に資する事業でもあり、地域あげての支援は欠かせない。 利用者の生活環境に便宜を与える福祉制度として、本来、公的な施策であり、この事業だけで輸送主体が採算を取ることは不可能であろう。強化すべき事業であるにもかかわらず、現状維持か衰退する原因がここら辺にあるとすれば、改善の余地がある。個人や団体の寄付金の控除が可能になるとの朗報もあり、活動の成果や利用者のメリットを大いに宣伝し、寄付を募り、福祉充実の施策として、かつ、効果の増す制度改革を期待したい。(今回で最終回です)

有償運送について考える(2回シリーズその1)

2013年01月13日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 福祉有償運送の旅客は、他人の介助によらずに移動することが困難であると認められ、単独では公共交通機関の利用が困難なものとして規定されている者である。また、利用者は事前に輸送主体において作成された名簿に記載されていなければならない。
 有償としているのは、営業タクシーとの違いを明確にするという意味のようである。つまり、この制度自体、白ナンバーでも旅客を運送できるようにした苦肉の策でもある。事実、輸送主体は旅客から運送にかかる規定に従った料金(チケットによる金券の場合もある)を徴収する。
 有償の金額設定は運用規定にガイドラインがあり、申請に基づき決定されるが、ほぼ、タクシー料金の半額を超えない範囲である。範囲があるのは、輸送主体が独自に設定できる付き添い介助料金や、待機料金などの加算料金があるからで、旅客の限定によっても異なるからである。

 自分が所属するボランティアグループに限り、申し上げれば、福祉車両による有償運送制度を知ったほとんどの利用者が人づてに聞き、中には通院6年目に制度を知り、現在は経済的に助かっているとのことである。ボランティアの会合の折りに、この制度の周知を提言したが、特段の措置がないまま現在に至っている。利用者への便宜の公平性から見て、広報は十分とはいえないようである。ではなぜ改善されないのかその理由は、広報は社会福祉協議会の方で行うことであり、現在の規模を維持することが妥当との考えのようである。

 利用者への周知は、制度利用が限定されているため、選択的に行われなければならず、民生委員やケアマネージャーには機会あるごとに、積極的に行うべき時期にきていると思っている。
 福祉サービスの広報では、区役所等の公共の施設に制度を周知するパンフレットを置いたとしても、たまたま手に取った方が利用対象者を抱えていた場合に限りヒットするのであって、これだけでは十分周知しているとはいえない。個人情報の保護の問題もあるが、地域で支えることから考えれば、個人情報保護も特例があっても良い。対象者自らが公共施設に出向くことが困難であればこそ、アウトリーチといって、担当者自らが対象者宅へ足を運び、制度の周知を徹底すべきと思っている。(次回へ続きます)

不可能な課題への挑戦(3回シリーズその3)

2013年01月12日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 このことと併行して問題解決手法による分析法を提示してみる。例えば、命題は何であっても良いのであるが、命題が環境汚染防止であれば、多数あるニーズを抽出する。トップの要請、精密分析機器の導入、代替え原材料の可能性、廃棄物処理体制、環境分析員の配置、社内の対策組織の設置等が考えられる。その中で最優先課題を探ることになるであろう。幾つかあるニーズとは組織経営陣の立て直しや、新技術の開発などで、それぞれに重み付けをして、優先順位を決める。更に成果の出しやすさや、経費や開発期間のかかり具合、解決策の難易度などの項目ごとに、スクリーンにかけた後、実行対象が抽出され、時系列に当てはめた実行計画を決定する。

 実際にはもう少し詳細に煮詰めることが必要となるが、PDCAサイクルとの並行処理によって、問題点や解決策が鮮明になるには、こうしたステップを着実に踏むことであり、成果を上げる近道となる。各企業の問題解決戦略は様々であり、今回、そのことの是非を問うつもりは毛頭ない。唯、いえることとして、上部からの指示がないから何もしない、何もできないなど、できない理由を探す時間的な余裕はないはずである。我が国は唯一、意志決定の仕方がトップダウンでなく、ボトムアップが可能な国であり、長所であることに誇りを持って紹介できるシステムである。

 人材育成にもISOでの推奨基準として、ISO10015品質管理部門に訓練のガイドラインが設定されている。多くの品質管理基準は、ご承知のように、JISに於いても規定されており、これら基準の達成が、忠実に実施された結果、我が国の経済発展の原動力となり、成功の原因となったと思われる。海外研修員に胸を張って誇れる提言であったことと、品質管理の重要性とともにお伝えした次第である。(このシリーズ最終回です)

不可能な課題への挑戦(3回シリーズその2)

2013年01月11日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 今振り返ってみると、時同じくして、洞爺湖に於いて、先進8カ国による環境サミットが開催された。
 我が国の首相が会議のリーダー役となり、環境問題は地球温暖化の影響を削減する方策を見いだし、先進国が協調して削減化に取り組み、合意を得る重要な会議である。会議結果の動向は、多くの業界の存亡にかかる問題として、業界全体が注視したが、今日どの業界も環境問題に無知でいられる時代ではないことは、当然とまで思われるようになった。

 数値目標が掲げられ、それも実現不可能と思われていてもである。数年後までの目標達成は、容易ではないことへの挑戦が課せられ、達成できない理由を公表されるなど、手厳しい状況を生んでいる。反面、出来ないことを可能にしていく叡智は、新たな挑戦への機会でもある。そのことは我が国が、戦後の経済成長に費やした時間であり、投入した人材の成果であったともいえる。

 ひらめきが大切であることは否定しないが、ことをなすのによく用いられている手法は、PDCAサイクルを回すことであり、ニーズ調査から、企画・計画段階を経て実行に移り、実行した結果を評価し、モニタリングする。改善点は、アクションとして次の計画にフィードバックされるというサイクルのことである。(次回へ続きます)