鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

APSDEPの組織と活動(7回シリーズその7)

2013年04月23日 00時00分01秒 | 紹介

6.APSDEPにおける我が国の役割
 我が国は、APSDEP創設以来のメンバーであり、かつ先進国として、APSDEPを通じて地域の職業訓練の推進、向上のための積極的な貢献をすることが期待されている。これまでの活動としては、まず、年々の理事会の会議を通じての運営協力があり、1984年には Technical Committee の第3回会議を東京で開催した。APSDEPの事業活動が拡大するに伴って、協力活動も多様になり、ネットワークの中ではフォーカルポイントである労働省能力開発局を中心として、OVTA(情報システム)、職業能力総合大学校(指導員訓練)、及び中央職業能力開発協会(技能検定)がそれぞれのネットワークを構成すべき期間として指定されている。

 日本で刊行された文献の翻訳では、多くの指導員が一度は手にしたことがある「職業訓練の理論と実際」が、”Theory and Practice of Vocational Training in Japan” として1982年に刊行され、好評を博したが、これに続いては、日本産業訓練協会編の職業訓練指導法マニュアルが翻訳されている。これらの活動の他、昨年の秋、筆者も参加したタイでのセミナーを契機に、OVTAの組織としての情報ネットワーク作りへの参加が進められることになったし、この4月には、国内の技能競技大会を機に、このテーマに関するセミナーが、支援事業としてOVTAの施設を利用して開催された。これらはこれまでの活動の一部であるが、今後我が国の果たす役割はますます大きくなるであろうし、その一翼を担う同僚を含め関係者も、一層の努力を重ねて、域内諸国の期待に応えていきたいと思う次第である。(このシリーズ最終回です)

ゴイサギ

2013年04月22日 00時00分05秒 | 画像

以前ゴイサギの幼鳥(ホシゴイ)をお見せしましたが、今回多摩川で成鳥の写真を撮りました。この変身ぶりはすごいですね!じっくり撮ってみたかったですが、直ぐに飛んでいきました。



洗足池で撮ったゴイサギの幼鳥ホシゴイです。






















APSDEPの組織と活動(7回シリーズその6)

2013年04月22日 00時00分01秒 | 紹介

5.APSDEPのネットワーク活動
 先に述べたように、APSDEPはフォーカルポイントを結ぶネットワークを中心とし、更に個々の事業分野ごとのネットワークを作っていくという多重構造が予定されているが、その一つとして最近活動を始めたモノに地域内の情報ネットワーク(APSDIN)がある。

 APDSDINとは Asian and Pacific Skill Development Information Network の頭文字を取って名付けられた域内の情報ネットワークのことで、この名称は、タイ国で開催された第1回の情報交換と提供に関するAPSDEP地域セミナーで合意が得られた。この計画の目的は、職業訓練に関する諸資料の収集、蓄積とその拡大、職業訓練情報の利用度の向上APSDIN加盟国の担当職員の情報処理技術の向上、及び、情報の流通、活用が効果的に行われるかどうかの評価といったことが目的とされている。進められている事業としては、地域内で職業訓練教材を組織的に利用するための標準分類システムの開発及び、域内用の特別な職業訓練用語集の作成がある。このうち、分類システムの第一次草案は本年5月完成し、フィリピン及び韓国でプリテストが行われている。また、訓練教材、技能標準、調査研究、参考文献、報告書などの目録も完成し、APSDEPの加盟国に配布中である。

 APSDINのネットワークに関する日本の担当機関としては、財団法人海外職業訓練協会(OVTA)が指定されている。活動はまだ鬼ついたばかりで、今後一層の努力が必要である。
 APSDEPの事業活動によって生産される各種情報は印刷物の形で加盟国に配布される。定期的に刊行されているのは、事務局の編集にかかるNewsletter である。これには、APSDEPの事業活動、域内各国の職業訓練に関する主要な出来事、域内を含めた国際ニュースなどが掲載され、1984年までは季刊であったが、85年からは隔月刊となった。その他の刊行物としては、アプレンティス制度とか監督者訓練に関する調査研究の報告書、種種のテーマで実施されるセミナーの報告書などがある。域内の使用言語は英語とされているので、刊行物は全て英語である。英語以外の国語で書かれた文献や資料などについては、適切なモノを選定して英語に翻訳、配布するというサービスも行われている。
(次回へ続きます)

APSDEPの組織と活動(7回シリーズその5)

2013年04月21日 00時00分01秒 | 紹介
c.先導機関(lead institutions)
 特定の活動分野の専門業務を担当し、APSDEPの行う訓練相談及び調査研究の連携組織を確立する任務を持つ機関で、将来は、これを中心として加盟国の関係機関を結ぶ専門分野ごとのネットワークを作ることが構想されている。主導機関及びこれと連携する専門機関は、各加盟国がしてしたものをAPSDEPが承認するという形で定められている。現在指定されている先導機関は次の4つである。
◇インド、マドラスのAVTI(Advanced Vocational Training Centre)上級職業訓練所、指導員訓練担当
◇インド、バンガロアのFIT(Foremen Training Institute) 職長訓練所、監督者訓練担当
◇マレーシア、クアラルンプールのNITTCB(National Industrial Training and Trade Certification Board)全国産業訓練・技能検定委員会、技能標準の設立、検定及び証明担当
◇フィリピン、マニラのNMYC(National Manpower and Youth Council)全国労働力・青少年問題委員会、訓練教材開発担当

4.APSDEPの内部運営
 APSDEPの事業活動などについて審議し、方向付けを与える機関として理事会(Policy and Programme Committee)が置かれている。発足当初は“Technical Committee”と呼ばれていたが、改称された。理事会の構成員は、加盟各国政府代表及びILO理事会のメンバーである使用者及び労働者グループが、それぞれ指名する各4名の労使代表である。理事会は、通常年1回開催され、APSDEPの新しい事業領域について提案したり、活動方針、事業の優先順位を決定し、更にその裏付けとなる予算について勧告し、また、計画の実施及び管理運営の状況を監査し、評価する機能を果たしている。
 APSDEPはILO事務局長の責任下にあるわけであるが、ILO事務総長が加盟国の政府と協議して任命する事務局長が統括する。事務局長は、アジアと太平洋地域におけるILOの活動の責任者であるILO事務局次長に対し、その活動を報告することになっている。事務局長の下にフルタイムの専門スタッフが置かれ、情報管理、情報システム、農村地域訓練、訓練教材、技能検定などをそれぞれ担当するアドバイザを置いている。この他、若干名の現地スタッフが、経理、事務、計画作成、情報整理、出版などの業務に当たっている。
 次に予算であるが、APSDEPの資金源はいくつかある。最大の拠出先は、ILOの予算及び、技術協力プロジェクトとしてのUNDP並びに、多国間または二国間の資金供与機関である。また、APSDEPは加盟国からの任意の拠出金や物品または役務提供を期待している。事務局長は、毎年、業務計画を作成し、収入見込みと支出を照合して、業務の優先順位を定め、年間業務計画と予算を理事会に提出している。我が国政府も、APSDEPに対して毎年拠出金を提供しており、その額は年間9万米ドルに達している。(次回へ続きます)

APSDEPの組織と活動(7回シリーズその4)

2013年04月20日 00時00分01秒 | 紹介
 
(4)訓練教材の交換と開発
 APSDEP地域内外の情報源を利用し、加盟国の訓練サービス期間が行う訓練教材の開発及び交換を援助することを目的とする。

(5)技能基準、技能検定
 諸職種の技能基準モデルを開発し、技能検定試験問題のアイテムバンク(Item Bank)をもうけた。このプロジェクトの仕事の大部分は、現在マレーシアのクアラルンプールにあるNITTCB(National Industrial Training and Trade Certification Board 全国産業訓練・技能検定委員会)に委託されている。このプロジェクトには、APSDEP地域において、技能競技会を開催する計画も含まれている。

(6)アプレンティス制度を含む事業内訓練の促進と評価

(7)フォアマン訓練、婦人訓練、指導員訓練への援助と促進

(8)高度技術のための訓練
 この問題に関する情報の収集と提供。この活動に近い将来、プロジェクトとして発足する予定である。

以上のような事業がAPSDEP活動の中核であるが、これらの他、労働者の国際的移動と職業訓練という問題も現在手がけつつある。APSDEPの主なプロジェクトは、地域内の訓練発展の実情に合わせて随時変更することがある。

3.APSDEPの組織
 APSDEPは、加盟国間の相互協力のための組織網であり、次のもので構成されている。
a.中央事務局
 パキスタンのイスラマバードに置かれ、APSDEPの行う調査研究、開発及び訓練に関する活動を総合調整するとともに、組織網のための方針、計画の立案、技術援助を行い、活動資金を調達する。事務局はまた、各国フォーカルポイントからの援助要請と供与とを結びつける交換所の役割を果たし、職業訓練に関する地域の情報ネットワークを管理する。事務局は、APSDEP理事会事務局の役割も果たしている。

b.加盟国のフォーカルポイント
 APSDEP加盟国の窓口をフォーカル・ポイント(Focal Point)と呼び、通常、政府機関の中で職業訓練に関する行政を司る部局ないしは類似の機関が担当することになっている。(次回へ続きます)

APSDEPの組織と活動(7回シリーズその3)

2013年04月19日 00時00分01秒 | 紹介

2.APSDEPの目的
 APSDEPの主な目的は、全ての経済分野及び技能と職責レベルについて職業訓練及び訓練を受ける機会を促進することである。具体的な目的として次の3つがあげられる。
1)職業訓練システム及びプログラム並びに開発目的に対するそれらの寄与に関し、効率及び効果を向上させること。

2)各国政府職業訓練機関及び労使団体の間の種々の技術協力の確立を促進、奨励し、それによってこれら機関や団体が地域内で利用可能な職業訓練資源を確認し、開発し、活用し得るようにすること。

3)各国政府の訓練機関及び労使団体相互間において、職業訓練の経験、専門知識や情報を交換できるように促進すること。
 APSDEPの主な事業活動は、情報交換、助言サービス、訓練コースの設定、研究開発などである。以下それらの内容について簡単に述べる。

(1)訓練情報の収集・整理・供与サービス
 加盟国関係施設の訓練情報化の能力を高めるための援助を行い、国別の情報センターを結んでアジア太平洋地域の情報ネットワークを構成し、これがさらにILOの地域間訓練情報システム(IRTIS)の地域窓口(フォーカルポイント)として、機能するようにする計画である。

(2)方針決定・実行計画と評価に関する訓練
 訓練方針の策定、訓練ニーズの把握、訓練資源の活用計画、及び訓練効果の評価に焦点を置き、加盟国の訓練機関に対し方針決定と企画の方法に関する指導相談及び訓練のサービスを提供する。

(3)農村地域訓練の振興
 農村地域の農業以外の訓練に関する国家政策の決定と実施のための一連のガイドラインの上に立って、農村地域訓練の企画調整のための国家基盤の整備を助け、農村地域の訓練の必要点の把握と技術開発の種々の手段を探求する。(次回へ続きます)

APSDEPの組織と活動(7回シリーズその2)

2013年04月18日 00時00分01秒 | 紹介

 1975年、オーストラリアのメルボルンで開催されたアジア太平洋地区労働大臣会議では、この結果をふまえて、ILOが、出来るだけ早く、計画を実施に移すことを要請した。それに応じて、1977年、ILO事務局長は、この準備のための費用をILO事務局の通常予算から支出することを決定し、かくして翌1978年9月、パキスタンのイスラマバードで準備会議が開催されることとなった。この会議では、日本を含む18カ国の代表の出席の下に、当面の事業計画及び運営機関としての技術委員会(Technical Committee)の設置を決定し、ここにAPSDEPの活動がスタートしたのである。1979年1月には、UNDPが、APSDEPに対し、予備的支援とともに、1986年までの事業活動資金を提供することに同意し、財政上の基盤も固まることになった。その後、毎年1回開催される技術委員会の議決を経て、APSDEPの事業活動は、逐次拡大していったが、1983年5月、APSDEPのネットワークを公式なものにすることが決定された。この措置によって、TCDC(Technical Cooperation among Developing Countries 開発途上国間の相互技術協力 )の考えに基づいた各国の職業訓練関係部局による協力事業活動の体制が確立された。1984年10月、参加諸国の行った勧告に基づき、ILOは1985年3月にAPSDEP規約を承認し、これによって、APSDEPネットワークの構造、方針決定、及びプログラム開発の手続きが明確にされることとなった。因みに当時のAPSDEPには次の28カ国が加盟している。

 アフガニスタン、オーストラリア、バングラデシュ、ブータン、ビルマ(ミャンマー)、クック諸島、フィージ、ホンコン、インド、インドネシア、イラン、日本、キリバチ、韓国、マレーシア、モルジブ、ネパール、ニュージランド、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、タイ、トンガ、バヌアツ及び西サモアである。(次回へ続きます)

春の囀りガビチョウ

2013年04月17日 00時00分05秒 | 画像

冬の間は殆ど聞かなかったガビチョウの囀り(さえずり)、近づいてみると枝にとまっていました。逆光でしたが何とかカメラに収めました。以前にも紹介しましたが、野鳥には分類されて無く、籠抜け鳥というそうです。東南アジア等で旅行者が購入し、声の大きさで近所迷惑となり、放鳥したものが野生化して全国に分布しています。






















APSDEPの組織と活動(7回シリーズその1)

2013年04月17日 00時00分01秒 | 紹介
 
我が国職業訓練関係者の目が、現在ほど開発途上国に対し、広く注がれている時代はない。その中でも、アジア太平洋地域は、地理的にも文化的にも我が国とは親近性の高い地域であり、この地域の諸国との協力活動は今後一層強まるモノと思われる。本稿では、この地域の諸国間の協力組織として成立しているAPSDEP(アジア太平洋地域技能開発計画)の概要とその中での我が国の果たしている役割を紹介することとしたい。本稿は28年前の専門誌に掲載したモノであるが、ASEANと太平洋地域のニーズに対応した組織活動の一端を紹介する。

1.APSDEPの沿革
 APSDEP(Asian and Pacific Skill Development Programme)は、1979年に国際労働機構(ILO)および国連開発計画(UNDP)の協力の下に設立され、その事務局をパキスタンのイスラマバードに置いている。現在は、パキスタンの政変後にタイのバンコックへ移転している。設立当初はARSDEP(アジア地域技能開発計画)と呼ばれていたが、1980年12月に太平洋地域の諸国が参加したことによって、現在の名称に改められた。

 APSDEPの設立は1971年9月、韓国のソウル市で開催された第1回のアジア労働大臣会議の要請に源を発している。その要請とは、職業訓練に関する情報及び専門的知識を収集・分析・提供する地域的な機構が必要であるので、そのための地域計画について、ILOが技術面及び財政面から、その実行可能性を調査し、各国政府の意向を打診することを内容とするものであった。
 この要請を受けてILOは、UNDPの協力の下に、フィジビリティスタディを実施し、その結果、この計画に対し、広範な指示があり、関係国政府はその実施に協力する意思のあることが確認された。(次回へ続きます)

教材雑感(4回シリーズその4)

2013年04月16日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 家庭、職場、専門性、教科書と自らが限定すればするほど、学習の関連性が分断され、相互関係の複雑さを徐々に産むことになります。とはいっても、学習する場は主として家庭にあるので、一ヶ年近くも緊張を保つことは大変なことです。いかにして、少ない努力で最大の効果を生むか、つまり、決められた期間の中でしかるべき課題を履修し、資格を取得するか、いくつかの気のついた点を述べてみますと、まず、資格試験で試されることの中に、その職種を規定する法規があります。もちろん、安全衛生を含めますが、いくら技能が高く、高度の技術力を持ったとしても、法規つまり、ルールを逸脱していては技能士として失格です。次に、原因と結果とを理解していることです。物事には全て原因があり、正常に作動していた機械や現象が、突然何の理由もなく止まったり、壊れたりすることはありません。全ての現象は何らかの原因と結果とがあります。

 技能士試験の学科では、作業の標準的な仕様、使用材料、作業方法が原因と結果の集約として理解されているかが試されます。通信訓練では面接試験で代替えされますが同様です。技能士試験の目的は、試験内容を難しくした入試試験のような選抜試験ではありません。技能の水準を全国的に高め、技能者としての自覚と埃を与えるための資格制度です。

 もう一つ大切なことがあります。それは、全ての職業は効率を求め、より安く、早く品質を良くという原則があることです。このことを原点としてしっかり押さえておき、迷路に入って出口を見いだせないときには、原点に帰ると良いでしょう。この他にも多くの要素があると思います。物事には必ずポイント(へそ)があります。どの蛇口をひねればどんな水が出るのか、自分の希望する色の水はどの蛇口か、選択できるためには、関連する内容を出来るだけ多く知り、判断力を養うことが大切でしょう。また、扇には要(かなめ)がついています。学習する際にも要を見落とさないことが大切です。教材の要を発見し、正しく理解することが出来れば、資格が手中に入ったと言っても良いでしょう。教材の持つ限られた条件を如何にカバーするか、また、如何に利用するかは学習する側の立場によって、相当変化することがお解りいただけたでしょうか。教材の持つ一面性についてではありましたが、制作者側の意図を知ることの何らかのお役に立つと思い執筆致しました。(このシリーズ最終回です)