鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

自浄能力その2

2015年10月24日 00時00分01秒 | 緑陰随想

  組織の自浄能力が試されているが、組織が持つ閉鎖性は、良い部分と悪い部分があるが、表裏一体のようであり、そこで働く構成員のモチベーションに依存するといえる。組織が構成員に求める忠誠心(ロイヤリティ)や、不祥事に対する隠蔽性は、組織にとってはそのことを遵守すべき行為としている面があり、構成員からしても生活の糧を得るための収入源ということからして、一蓮托生的な側面があり、自己の存在を無視、理由のない「はずし」や濡れ衣など、よほどのことがない限り、内部告発や上部との諍いを積極的に行うことはない。

 

 ガス抜きという行為があるが、危険分子とされる一部の集団や個人に対する融和措置の形態として酒宴や会食が行われる。早朝ミーティングなども一種のガス抜きとしている組織もあるが、良いこと、悪いことの判断は胸襟を開くことで解消される場合もあり、雰囲気として分かるものである。ほうれん草(報告・連絡・調整)が組織内の情報共有において大変重要であり、業務上の問題点、意見の違い等を摺り合わせる機会でもある。

 

 業務上で生じた不祥事は、対人交渉や、クレーム処理などではケースバイケースであり、両者が満足行く答えはそう多くはない。上司の意見や組織の判断の限界を知った上であっても結論がすぐに出ることもまれである。業務上の監査役や、会計検査役などは結果についての考察が主であり、現場の第一線でのタイムリーな判断は当事者に先決させている。つまり、組織的な判断は当事者の判断ということになる。

 

 仕事の仕方で述べたことであるが、我が国の業務の進め方は通常ボトムアップであることであり、組織の決定があって行われている。最終的な責任は組織のトップが持つが、仕事の当事者は責任を負わないわけではない。そのことの自由度が、不祥事の原因にもなり得る。組織人は自分は歯車の一つであっても、組織全体を背負っているといっても過言ではない。その認識不足は、管理部署(チェック機能)の介在があろうがなかろうが仕事を行うということの根底にあるもので、モラル(倫理)といえる。

 

 不祥事に対する責任は組織全体に及ぶが、第三者委員会や、社外取締役などの外部組織を活用することによって、解決する・改善できるとする考えは妄想であり、外部組織を活用してもすぐに行き詰まる。その理由は、再構築機能と司法権を持つことはないため、自浄能力を強化する方向には向かわず、唯一不祥事を起こさせないようにするためには、構成員のモラル向上以外にはないと考えるが如何であろうか。


自浄能力

2015年10月23日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 最近の紙面は企業の不祥事が目立つ。内部のチェック体制が十分機能しなくなってきたのか、はたまた、以前からその兆候があったが、際だった報道性に乏しく、秘密裏に処理されたのか不明である。事件性があり、明らかに企業側に瑕疵があるらしきことが表沙汰となり、その火消しに躍起となり、記者会見を開く。代表となる代表取締役、社長等がひな壇に並び、深々と頭を下げ、陳謝する姿は、どう見ても絵にはならない。その中でいわれることの多くは、第三者委員会を立ち上げて、原因の究明に当たり、一刻も早く改善を行い、ご迷惑をおかけした関係者にお詫びするというものである。

 

 その後の追跡についてはほとんど明らかにされていない場合がほとんどで、時間が経ち、忘れた頃に社長等の首のすげ替えが行われ、代表者は顧問や会長へ退く。自分もあまり興味がないことなので、深く追求することはないが、当事者にすれば補償問題や場合によっては裁判沙汰で、まともに生活のペースやリズムすら崩れてしまう。今回大問題になっているマンション基礎工事の手抜きなどはその例で、今後の調査によることが大きいが、どのような補償を誰がどのように行うか、住民も心配であろう。

 

 大手の建設会社が手抜き工事を見過ごすことの重大さは信頼関係を崩壊し、業界全体への飛び火は無視できない状況を生む。業界特有の下請けを複数持つ重層構造が原因しているともいえ、管理監督が機能しなかった理由も次第に明らかにされてきている。

 

 いつも申し上げている会社組織のチェック機能が今回も問題発生の根本にある。内部告発が内部でもみ消され、外部には出ないまま、また、組織ぐるみの隠蔽工作は、たとえ、隠し続けても、建築物等では建物の外壁面に現れてきて、補修だけではすまない状況を生む。建物が崩壊すれば多くの人命が犠牲となり、重大事故となり、もはや犯罪に等しい。

 

 第三者委員会は公明正大であり、たとえ開催主催者が企業側であっても、企業側に立っていれば、真相は究明できない。第三者委員会は、法的な義務づけがあるわけでなく、世間体を良くする。むしろ、原因究明を加速させ、再建に関わる株主への配慮が大きいようである。内部のチェック体制が出来ない中で、どれほどの効果があるのかは疑問で、構成メンバーや、権限等委員会が持つ能力が問題となる。

 

 省庁や、業界等で、ガイドラインも出ているようであるが、調査一つをとっても資料の改ざんや、契約書類等の紛失等で、実態に迫るにはクリアしなければならない多くの障壁があるのは間違いない。


台所の清掃

2015年10月22日 00時00分01秒 | マニュアル

 毎日利用する台所は清掃に時間が掛かるところである。食器や調理器具は使えばその都度中性洗剤等を利用して、洗い、乾燥させて直に使うことを考えて収納している。食料品は冷蔵庫へ収納しているが、乾物や調味料等は、棚や収納場所においてある。年に数回行う大掃除では、台所全体を対象にする。集中して行うのは換気扇やダクト周りであるが、ほとんどは油汚れである。調理に利用する油は、加熱により水分と反応してはじき飛ぶ。そのときに細かい霧状となって空気中に放出される。

 

 フードで集め、ダクトから排気線でフィルターを通して室外へ出すが、換気扇の能力にもより、空気中に浮遊する細かい油まで完全に除去することが出来ない。空気中の油は台所の細部に入り込み、埃とともに固着する。食用油は乾性油ではないが、不乾性油であっても空気中の産により参加する。酸化が進めば固化してゲル状になる。吊した調理用具はもちろん、冷蔵庫の上部、開き戸がついていても扉全体に付着する。室内壁、天井に至るまで、付着するため、その除去を行う清掃はあらゆる場所といった方がよい。

 

 油汚れ専用の洗剤でも良いが、除去効果は一概にはいえず、完全に落とす強力な洗剤は、素手で行うと炎症を起こす場合もある。皮膚に優しいといわれている洗剤は洗浄、脱脂効果が低い。いくつか試してみると良いが、混合すると有毒ガスを発生することもあるので、取り扱いには十分注意し、取扱説明書を熟読する。

 

 キッチンハイター等の名称で使われる台所用漂白剤が効果のあることが多い。この漂白剤は、除菌・漂白・消臭効果を唱っていて、次亜塩素酸ナトリウム・水酸化ナトリウムが主成分であり、アルカリ性で塩素系の漂白剤である。油のほとんどは脂肪酸なので、油を中和する働きもある。ただし、メラミン食器、ステンレスを除く金属製品、天然石の調理器具へは使用しない。漂白効果が高いため、服に液が飛び散らないように注意する。規定量を守り、使用後は規定時間経過すれば水洗を行う。

 

 バケツ等に水を入れて液を薄めて使うが、直接原液を使わないため、浸す時間を汚れの除去具合を見ながら確認し、長時間浸けておかない。頑固な油汚れは液体クレンザーを使うこともあるが、強くこすりすぎると、塗装面や、素材面を傷つけるので、注意が必要である。傷を気にするのであれば、洗濯用洗剤を濃いめにして豚毛の刷毛でその部分に塗り、湿らせたベーパータオルで覆っておくと除去できる。


市民アカデミー15後期第2回目(大学連携)

2015年10月21日 00時00分01秒 | 日記

平成27年10月20日

  本日の市民アカデミー第2回目の狼教授の講義は、「最先端化学の知られざる自然科学史とエピソード」であった。前回の予定では、函館戦争後の榎本武陽や勝海舟の話となっていたが、それは次回となり、和算の話と、鎖国時代の情報収集であった。

 

 アカデミー失跡確認は受付で名簿に丸を付けるだけであるが、講義の運営については参加者のボランティアで行われていて、次回は当番になっていた。資料の配付や資料印刷代の徴収、会場の機器操作等の雑用である。数名が担当している。毎回メンバーが異なり、主として2年会員が担当するようである。

 

 我が国の近代史であるが、高校では日本史と世界史の選択であり、履修するが、日本史をとれば世界史が分からない。この弊害を最近では統合することになったようである。本来はその方が良いであろう。狼教授の専門は、宇宙科学とのことであるが、やはり根元を知るには歴史を遡ることが必要となり、世間でいわれていることとは異なる事実に遭遇してきたようである。

 

 鎖国時代における海外との接点は長崎の出島であるが、鎖国令なるもの江戸幕府から出たのは、幕府が貿易の利権を一手に握ることから行われたことや、一部商業は許されていたが、宗教上の弊害を押さえるための措置であり、我が国を植民地化する野望に対処するには情報網を張り巡らし、主として通事(通訳)を身近においたという説を繰り広げられた。参勤交代も大名の蓄財を消費させる以外に、情報収集であったようである。明治政府の発足も多くの通事が採用されていて、江戸幕府においても幕臣がその役に当たった。

 

 現在もそうであるように、各省庁においても情報収集、分析、加工が提言や政策につながる。世界各国における領事館や大使館では赴任地の情報収集が主たる任務であることは公然の事実である。自分もその通りだと思うし、CIA,KGB等の諜報機関が政治の世界でも暗躍する。スパイ映画ではないが、ネット社会でもサイバー攻撃はエスカレートしている。

 

 今回は鎖国によって断絶した世界においてもあらゆるルートを通じた情報収集が幕府の元で行われていたことに、現在の我が国の根元がある思いを強くした。また、和算の関孝和の円周率発見は偉業であり、日本人の血の中に拘り(こだわり)が物作りの正確性を助長したとの話は同感したところである。


仕事の達成感

2015年10月20日 00時00分01秒 | 緑陰随想

  先日に引き続きやり残した窓ガラスと網戸サッシの掃除を行った。網戸は小窓を含めて1階に18枚、2階に15枚あり、計33枚を洗ったことになる。幸い、網を張り替えるまで悪くなった網戸はなかった。午前中と午後にかけての仕事で、秋晴れの晴天に恵まれ、作業をするのには丁度良い気温であった。網戸がきれいになったせいか、外からの風も気持ちがよい。網戸が汚れているとその汚れが風に混じって室内に入ってくるような気がして、気色が悪い。

 

 この年齢になると仕事を休みながら行うが、誰も頼んでくれない。自分が計画する以外はやりたくても、出来ないことが多い。周りが大切にしてくれるからであろう。それはそれで有り難いのであるが、体を動かすことも大事なことである。フィットネスクラブや、スポーツ団体等に所属していれば、あえて自宅で運動する必要はない世の中である。ガラスとサッシをきれいにすることは、プチワークで、結構多くの運動が含まれていると思っている。今日の気温だと汗をかくほどで、この汗は運動とは異なる満足感が得られる。

 

 元気なうちはこれぐらいのことは自分で済ませ、わざわざ業者に頼むほどではないが、いずれは他人にお願いしなければならないかもしれない。ご自宅で介護を受けている高齢者や障害者では思うようにはいかないであろう。自分で出来ることは探せばいくつでもあり、仕事をすることで体調も良くなるという恩恵もあると思う。

 

 おそらく地域の社会福祉協議会や、シルバーボランティアでは積極的に支援を行っているのであろうが、知らないのは自分だけかもしれない。今回は自分の家屋は自分でメンテナンスを行うごく普通のことであり、特段申し上げることはないが、自分で手がけることによって、作業が終わるとそれなりの達成感があり、晩酌も進むという物である。

 

 仕事はある部分は単調で、辛いことが多い。どのようなことでもそれを生業にするにはそれなりの工夫や、仕上がりの程度を求められる。単調の中にも工夫が生まれ、短時間で無駄な動きがなくなる。また目が肥えて、仕上がり基準というか完成度も高くなる。無理な姿勢で行うことも減り、平均したスムーズな段取りが生まれてくるものである。もちろん専門業者に聞いてみることで、新たな発見もあるし、道具についても参考になる。

 

 特に自宅の作業であれば少々失敗してもあきらめがつくし、次回は同じ間違えをしなくてすむ。フィットネスクラブも良いが、年末には早いが大掃除はやってみると結構楽しく、家族への労働提供でもある。


成功体験

2015年10月19日 00時00分01秒 | 紹介

  ラグビーのフルバックでキッカーの五郎丸歩選手のポーズが話題となっている。スポーツ選手によく見られる行動である。大リーグのイチロウ選手、相撲では琴奨菊など試合に臨む前に行っているポーズで、平常心を保つ、精神を集中させ、勝敗につながる行動が、成功へのきっかけとなって、成功体験がポーズとなって現れたのであろう。ルーティンという言い方もする。

 

 意味や使い方は異なるが、「験(げん)を担ぐ」という言い方がある。験とは何かをするに先立って、その前途の善し悪しを示すような出来事をいう。縁起がよい場合にも験がいいという。験は確かめるという意味を持っていて、効き目や効果(霊験)などををいうが、不確かなことに対し、もっともらしい意味づけを行う行動をとるなどの場合に使われる。

 

 例えば、鬼門に当たるため、その方向へは行かないなど。また、修行を積んだ人でなくては治せない不思議な働きについても(難病を治す等)使われる。加持、祈祷には関係ないと思うが、修験道などにも通じるのかもしれない。

 

 ジンクス(jinx)縁起が悪い物事で、ルーティンとは逆の意味になるのであろう。ある物事と他の物事との間に、偶然かもしれないが、動かしがたい対応関係があると認められることである。通常はジンクスを破るなどと言い表される。

 

 ポーズにしろルーティンにしろ、精神性と関係している。成功体験は、実際には失敗を克服する段階での工夫なのであるが、五郎丸選手がラグビーというスポーツの中で行われたことが、どこか滑稽で、場違いと思ったことは自分一人ではなかったのであろう。早速このポーズを取り入れる笑いの世界や、動物が行う仕草に似ているとのこと等でその人気は広がる一方である。、どこか憎めない、ほほえましいポーズが多くの人の心を動かしたのであろう。

 

 仕事のできばえはその取り組む姿勢に影響してくるのは事実で、おいしい料理には作り手の精神性まで求められて来るが、目に見えない力が込められるのであろうか。このあたりは科学的に証明されていないが、おそらく、愛情がこもった料理やおいしくなれと願う気持ち、今回の五郎丸選手のポーズは、丁寧な仕事に繋がり、成功へと導くのかもしれない。ただ単に上手に出来ればよいだけではない世界があるのも事実である。


いとこ会の集まり

2015年10月18日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 親父の兄弟姉妹は多く、若くして鬼籍に入った者を含めると8人の兄弟・姉妹であった。現存している叔父や叔母はすでに全員他界していて、いとこの一番若いのは66歳である。年長は80歳以上になる。今回の発案は、すでに昨年からあったが、集まることが出来ず、本日となってしまった。いとこが在住している場所は都内がほとんどであり、交通の便がよい二子玉川となった。一番遠くは長崎県から飛行機で羽田まで来て、会場に着ていた。

 

 しばらくぶりに会う方々であるが、この2~3年は年賀状のやりとりで終わっていた。参加したのは11名で、女性は6名、男性は5名であった。前回お会いしたのはたぶん10年前である。いとこの中でも他界した者もいる。今回が最後かなという雰囲気もあるが、再会すると予定した2時間はとっくに超え、5時間という長時間は瞬く間に過ぎ、多くの話題で、盛り上がったところである。若い頃の思いでは走馬燈のように頭をよぎる。いとこのうちの長兄はルーツの研究をしており、興味深い話は尽きることがなかった。自分の家族にどのようにして伝承するのか大きな宿題をもらった。

 

 人にはルーツがある。遡れば、世界各国の人々はアフリカの一人の女性にたどり着くとの話を聞いたことがあるが、そこまで戻らなくても、顔見知りの親戚縁者は知っておく方がよいと思う。最近は個人情報を入手するのがはなはだ困難になってきている。一定の時間がたてば、戸籍も抹消されるようである。膨大なデータを管理することの意義は薄れてきたのであろうか。正式な書類においても本籍地は記載しないようになり、またどこを本籍地にしても良いわけであるので、世の中の趨勢と思うほかはない。

 

 今回のいとこ会は、お互いの生活や経験を披露するもので、一種の血縁関係の確認であった。本人ばかりでなく子供についても左利きが多く、世代にわたってDNAの不思議さを知ったところである。ルーツを知ることによって、偉業をなしえた先祖の功績をたたえることもあった。それぞれ生きた環境は異なるし、はっきりした根拠も乏しい中、収集し、それをまとめたことに対しては敬意を持っている。約一世紀まで遡ることが出来たのは長兄が図書館業務に精通していたというバックグラウンドがある。

 

 後生の血縁者がどのように評価するのかはわかり得ないが、自分という存在が突然生まれてきたわけではなく、偶然を超える縁を感じざるを得ない。


市民アカデミー15後期第2回目別コース

2015年10月17日 00時00分01秒 | 日記

平成27年10月16日

 前回NHK特集シルクロードの団長で撮影責任者鈴木 肇氏の講義で、今回はその2回目である。「再現、古代キャラバン~シリア砂漠を行く」と題しての講演である。NHK取材班は古代キャラバンを再現して、シリア砂漠を8日間の旅で、経験した苦難の挑戦物語を通してのロマンを語った物であった。最近の話題はシリアのアサド政権と突如登場し、その実態がよくつかめていない過激派組織「イスラム国」の動向である。有志連合ロシアのプーチン大統領はアサド政権を支援しているとのことで、イスラム国に敵対する臨戦態勢にある。そこに米国がシリア政権に反対する反政府勢力に加担していて、米国がアサド政権とは不仲であるため、四つ巴の戦況となり、泥沼化している。

 

 普段はあまりなじみがない中央アジアの各国は古い歴史を持っているものの、多くの遊牧民が暮らす地域でもあり、様々な文化も往来してきた。常に自然の驚異と、民族紛争に明け暮れているように見えるが、その実態は実のところ日本人にとってはよく分からなかった世界でもある。

 

 IS「イスラム国」が宗教上の極端な偶像崇拝から、古代都市パルミラのベール神殿等を破壊したが、シリアや世界各国にとっては歴史上の遺跡破壊がもたらした損失ははなはだ大きいといわざるを得ない。破壊ばかりではなく、遺跡から出土した多くの貴重品が、保管している博物館からの強奪まで及んでいるようである。当時、パルミラにある墓から出土した遺体を包んだ布が中国産のシルクでありフランスの博物館にあるといっていた。古のシルクロードの交易が事実であったことに講師も感動したといっていた。

 

 講師が取材した頃は40年も前のことで、ユーフラテス川沿いにあるドゥラ・ユーロボスからパルミラまでの500kmを隊列を組んで、200頭のらくだとともに砂漠を旅した経験は、現在ではほとんど行われていないため、経験者探しから、了解を得るまでは苦労されたようである。遊牧民ベドゥインとの交渉から始まり、実現するまでのご苦労話は特に印象が残った。そこにはダマスカス在住の故日本人獣医折田ドクターが果たした役割が大きく、国防軍のヘリコプターのチャーターを可能にし、アサド大統領との面会も出来たといっていた。

 

 ラクダでの隊列を目的地まで行くには、水の確保と、取材用のジープのガソリンが必要で、水の在処をしていなければならない。古くからあるローマ軍が設営した井戸である。ガソリンは軍隊の給水車2台をチャーターし、水とガソリンを予備に持っていたようであるが、200頭もいるラクダの水は井戸に頼るしかない。貴重な体験を通じて語る講師の話に今回も引き込まれた。