風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』2021年春 東日本ツアー最終週

2021-08-12 15:13:08 | 全国巡回公演

5月から始まった『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』春の旅公演は、関東、東北各地を巡り、最終週は岐阜県からのスタートです。

 

7月21日  岐阜聾学校

 
文化庁 子どものための文化芸術鑑賞・体験支援事業による公演です。学校創立90周年を記念して、かつて学校を訪れたことのあるヘレン・ケラーの物語をぜひ観劇したいと、校長先生が申し込みされました。
事前学習でヘレンの生涯について話すと、生徒さんたちはとても興味を持ってくれたそうです。「うちの学校にヘレン・ケラー の写真が飾ってある!」と気付き驚いていたとか。
公演前日に担当の先生から「たくさん壁にあたってきた生徒たちです。今回の観劇はきっと心に響くと思います。」とメールをいただきました。
 
 
長良川国際会議場という会場での公演。学校の皆さんは貸し切りバスに乗ってきました。会場がとても大きいので、生徒の皆さんは驚いている様子。保護者の方々や、県の職員の方々もこの公演に期待し見に来て下さいました。
公演が始まると、客席の皆さんが真剣な眼差しを舞台に向けてくれました。
 
カーテンコールの中で生徒たち全員が舞台に上がり、皆を代表して生徒会長さんが声と手話で挨拶してくれました。輪になり聞いている私たち劇団員はとても感動しました。
短い時間でしたが、バスの時間まで舞台を見学してもらいました。小道具のお皿に触ったり、ポンプの水を出したり、背景幕の絵について話したり…。良い思い出になっていることを願います。
 
演劇を見る機会のない生徒たち。とても良い経験になったと校長先生。また近いうちに再会できますように。
 
 
 
 
 
 

7月22日 佐久穂町・佐久穂町教育委員会主催


『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』千秋楽の公演は、【佐久穂町夏の子ども劇場】の公演でした。
この公演は2017年『ジャンヌ・ダルク』の公演以来、二回目の公演です。

開演前のバックステージでは、多くの子どもたちが舞台上に上がりました。
全身で舞台を感じるように縦横無尽にお父さん、お母さんと一緒に舞台を見て回ったり、「4年前にジャンヌ・ダルクを観て、楽しみにしてきました!」と4年ぶりの再会を歓喜する場面もあり、これからどんな本番になるんだろうと役者もスタッフもみんなワクワクしていました。

公演中はジッと舞台をみつめながら舞台上で起こる出来事に反応し、時には子どもたちの活き活きとした笑い声で会場を包み込み、一緒にヘレン・ケラーを創ってくれました。

終演後には送り出しとバックステージを行いました。
バックステージでは開演前には見れなかった衣装を身にまとい役者になりきる子どもたちがいたり、自分たちなりに工夫をした小道具の使い方をして遊び、真剣にそして夢中になって時間ギリギリまでたっぷりと舞台を楽しんでいました。
送り出しの際には劇団員に泣きながら「すごく楽しかったです。絶対にまた来てください」と伝えてくれた方もいました。

 

2021年の春、コロナウイルス感染予防対策を各学校の先生方や教育委員会の方々と綿密に話し合いながら、一人の感染者を出すことなく無事に全27校32ステージの公演を行うことができました。
公演実施を決断していただいた先生方や悔しくも苦渋の決断で公演の延期を決断せざるを得なかった先生方。一人一人の想いや配慮があって実現した『ヘレン・ケラー〜ひびきあうものたち』のツアーです。

そして人と人とが繋がり、様々な出会いやたくさんの再会に恵まれた旅だったと感じます。

風はこれからまた、新たな出会い、再会に向けて一歩一歩進んでいきます。

 

文 : ジェイムス・ケラー役 蒲原智城  パーシー役 稲葉礼恵

 

 

 
 
 
 

 


『Touch〜孤独から愛へ〜』2021年春西日本地域巡回公演最終週

2021-08-01 22:42:01 | 全国巡回公演

5月から始まった『Touch~孤独から愛へ』のツアーもいよいよ最終週を迎えました。

 

7月17日・18日 【兵庫県】姫路市文化国際交流財団主催 一般公演

      19日 【香川県】香川大学教育学部付属高松中学校

      20日 【京都府】京都府立城陽支援学校

      22日 【高知県】高知県内演劇部合同公演

 

姫路市文化国際交流財団主催 一般公演

今回開催された会場となったキャスパホールは、姫路駅からすぐそばのキャスパビルの7階にあります。

今回の公演では、公演の前に舞台技術講習会を行うというものでした。御担当の方が以前、風の公演を見た時に演劇部の生徒さんが、仕込のお手伝いをしてくれている姿を見て思いついたそうです。

1日目はまず、講習会に参加してくれた皆さんと舞台設営から始まりました。

一緒に舞台を設営していく中で、一つ一つの作りに興味を持ち、そこから話が『Touch』のことにまで広がっていくあの空間は、皆さんにとっても劇団員にとっても、この後の公演につながる良いひと時でした。

1日目の公演は、このコロナ禍にもかかわらず30名ほどの方々が観劇してくれました。

2日目は午前中、照明・音響によるワークショップから始まりました。

まず照明・音響とは、というところから始まり、設置されている照明・音響の説明、そして参加者の皆さんには『Touch』始まりのシーンを3チームに分かれ思い思いに作っていただきました。

短い時間の中で一つのシーンに音響・照明を入れていくのは、皆さんの想像力が見えて面白かったです。台本も見ず芝居も知らない中で作った皆さんの発見する力には驚かされます。楽しい時間をありがとうございました!

2日目の公演は、昨日より少し多い40名の方々に観劇していただきました。

この二日間、再会や新しい出会いがあり劇団員にとってもツアー最終週の幕開けとして多くの元気をもらう良い時間となりました。新型コロナウイルス感染症の影響でどうなるのかわからない状況が続いていた中、実施を決断してくださった姫路市文化国際交流財団の皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございました!

 

香川大学教育学部付属高松中学校

香川大学教育学部付属高松中学校は2011年『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち~』以来、3年に一度公演を行っている学校でしたが、昨年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、残念ながら延期になってしまいました。

今回は文化庁事業の「文化芸術による子ども育成事業 子供のための文化芸術鑑賞・体験支援事業」により、やっとの思いで実現した公演です。

 

3年に一度の公演、毎回体育館で行っていたのですが、今回はコロナウイルス感染症拡大対策として体育館より広い会館での公演となりました。市松模様で客席をにつく子供たちもワクワクが止まらないのか、開演前から舞台上をのぞく子供たちがちらほら。舞台の隅々まで観察し「クローゼットの中に写真貼ってる」、「マフィアの家かな」と想像を膨らませつつ開演を今か今かと待っている子供たちの姿には、期待がにじみ出ていました。

公演中も舞台上の一つ一つを拾い、笑ったり、時には真剣に客席から舞台を支え続けてくれていました。

カーテンコールでは、生徒会の生徒さんから「このように集まって感動を共有する機会はまだまだ先になると思っていました。フィリップやとリートに共感し、フィリップが肩を抱かれるところでは自分の周りの人のことを思い出しました。」とみんなの前で堂々と感想を言っていただきました。生徒さんが感じたものは、その子の中で作り上げた『Touch』の一端です。仰っていたように、是非クラスメイトや先生方と共有し、いろいろな『Touch』を話してみてください。

公演の次の日は終業式だそうです。皆さんにとって1学期最後の大きな行事として思い出に残ってもらえれば幸いです。

京都府立城陽支援学校

城陽支援学校は文化庁事業 「子供のための文化芸術鑑賞・体験支援事業」で行われた公演です。この公演は先生方が、子どもたちが集まる行事も新型コロナウイルス感染症の影響で行えていない中、少しでも本物の芸術に触れさせてあげたいと、終業式後夏休み最初のイベントとして行われました。

今回は新型コロナウイルス感染症対策として、広い会場である文化パルク城陽で高等部ビジネス総合科のみの観劇です。

入口には体温計と消毒液を設置。万全の態勢で子どもたちを迎えます。

本番中、子どもたちの様子を覗いてい見ると、食い入るような視線がとても印象的でした。カーテンコールでは、代表の生徒さんが『今日はお忙しい中僕たちに素晴らしい演劇を見せていただき本当にありがとうございました。僕はこういう会場で初めて劇を見てすごいし、感動もして、尊敬もしました。一つ一つの演技に迫力があって、すごいなと思って、機会があればまた見に行きたいなと思いました。』と挨拶してくれました。そしてなんと、子どもたちが普段学校で作っている、さくらと銀杏の形のコースター、車の形のメモ写真立て、スマホ・タブレット立てを記念品として頂きました。ありがとうございます!

終演後に行われた舞台裏見学も、皆さん興味津々。舞台の仕組みや窓の造りなど自分が気になるところの自由に見て回っていました。それを見ていたご担当の先生も「最初はめんどくさいと言っていた子が、大いに喜んでいてしてやりましたよ!」と今回このような機会を持てたことを喜んでいました。

最後には役者も交えてみんなで記念撮影。良い夏休みをお過ごしください!

高知県内演劇部合同公演

この公演は、毎年行われていた高知県内演劇部合同の舞台講習会が、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年から行えていないこともあり、文化庁事業 「文化芸術による子ども育成事業 子供のための文化芸術鑑賞・体験支援事業」で午前中に『Touch~孤独から愛へ』の公演を午後にはワークショップをやってあげたいという先生方の強い思いから実現した公演です。

入口では先生方による検温が行われ、一人一人記録を取っていました。

会場中、そわそわしている生徒を見つけた顧問の先生が生徒に、「待ちどおしいね。あと3分だから、トイレすませてゆったり見れるようにね。」と声をかけている姿もあり、この日を楽しみにしてくれていたのだと、改めて実感しました。

開演前代表の先生から「色んな行事やることが厳しい状況ですが、今回の行事のために先生方がいろいろな調整をしてくれました。おかげで演劇の、芸術の灯火を消さないように継続できてよかったです。是非楽しんでください。」と演劇に対する思いを感じるメッセージが送られました。

公演中、最初は緊張していた空気も、芝居が進むにつれて笑いが起こったり、時には真剣に客席と舞台とが徐々に一体になっていくのが伝わるとてもいい空間でした。

午後からはまず舞台裏見学と座談会が行われました。演劇部ならではの視点で舞台を見て回った後、役者との座談会は大いに盛り上がっていました。

その後、多目的室に移動してのワークショップです。他校の生徒さんとの交流も交えながら、皆さん楽しんでくれていました。

まだまだ、状況は激しい移り変わりを見せています。皆さんが安心して演劇部の活動を再開できること、心からお祈りいたします。

 

 

昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響は終息の目途が立たない状況です。状況悪化に伴い、延期を余儀なくされた学校もありました。そんな中、せめて子どもたちには少しでも思い出を残してあげたいという、先生方の想いがあって実現した2021年 春の西日本地域巡回公演です。ここにかかわって下さった皆様に深く感謝を申し上げます。

そして今回出会った皆さんのエネルギーを胸に、体調に細心の注意を払いながら、これから出会う皆さんにこのエネルギーを繋いでいけたらと深く感じます。

まだ見ぬ観客と出会うために、私たちは走り続けます。

 

文:スタッフ 石岡和総