風のBLOG

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2022年『Touch~孤独から愛へ』秋ツアー その1

2022-09-12 16:47:44 | 全国巡回公演

9月5日(月) 【高知県】清水高校

  7日(水) 【高知県】佐川高校

  9日(金) 【広島県】松永高校・沼南高校合同公演

 10日(土) 【岐阜県】公益財団法人岐阜県教育文化財団TASCぎふ

             バリアフリー公演

 

9月5日 清水高校

この秋の『Touch~孤独から愛へ』巡回公演、初日は高知県立清水高校です。

2020年に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演する予定でしたが、延期になり今回ようやく『Touch』で風は初めて清水高校のみなさんとお会いすることができました。

当日は台風11号の心配もなく少々蒸し暑い気候で、学校から歩いて15分程の土佐清水文化会館くろしおホールに入ったみなさんは、ホッと一息といった様子でした。

芝居が始まるとすぐにその場の空気が凝縮していくような濃い時間が流れていきました。そして、最後まで、静かだけれどひとりひとりがしっかりと舞台を受け止めてくれていることを感じました。

カーテンコールでハロルド役の柳瀬太一も「みなさんのおかげでいい舞台を作ることができました。良い初日になったことを感謝します。」とお礼を述べました。

その後、先生から「とても良い演劇でしたね。この感動を忘れないうちに感想を書いて金曜日の朝までに提出してください。」と呼び掛けておられました。

 

9月7日 佐川高校

6日に予定していた公演が台風のため順延となりました。

1日過ぎ、当日は台風一過できれいな晴天です。

今回の『Touch』の公演が創立100周年記念の行事の幕開けとなるそうです。

終演後、文化部長の生徒さんから、「心に残る公演をありがとうございました。すてきな舞台を間近ではじめてみて、最初は緊張していましたが、だんだん引き込まれて行きました。本当にありがとうございました。」とお礼のことばをいただきました。

そして、花束をおくられた柳瀬から「創立100周年の幕開けとしていただいたことを光栄に思います。この2時間を一緒につくり、食い入るようにみてそれぞれがそれぞれの感じ方をしてくれたと思います。誰かと重ねたり、歴史や社会を感じとりながら、見ているのかもしれません。みなさんにとって大きな思い出の一つ、大切な思い出の一つになってくれたら幸いです。」

 

 

当日の呼びかけで、たくさんの方が舞台見学と座談会に参加してくれました。

9月9日 松永高校・沼南高校合同鑑賞会

2017年には、両校合同で『ヘレン・ケラー』を上演し、2021年に『Touch』の公演を予定していましたが、延期となり今回の公演となりました。

開場にさきだち、両校生徒会のみなさんが舞台監督の佐田と打ち合わせを行いました。打ち合わせが終わり会場まで少し時間があったので、開演前に舞台を見学していました。

始めに松永高校の生徒会長さんがあいさつに立ちました。

「第9回目の合同芸術鑑賞会になります。今日の日を楽しみにしてきました。2年ぶりの開会です。前回の『ヘレン・ケラー』は感動の連続だったと聞いています。感染症にも注意しながら、楽しんで鑑賞しましょう。」

2階席のうしろからでもみなさんが真剣に舞台と向き合っている姿が見えました。

最後にフィリップがトリートを抱き、「トリート!!」と叫ぶシーンで客席の集中が頂点に達するのをみました。

カーテンコールでは、まず松永高校生徒会長さんが

「『Touch』という題名を聞いた時、何か引き込まれるものを感じました。他人同士という立場でも何かが築かれる。死んでしまったハロルドに対して、号泣しているトリートに感動しました。兄弟の大切さを感じました。」と話してくれました。

続いて、沼南高校の代表の生徒さんが、「今日は生徒の為に演劇を見せていただきありがとうございます。高校三年生にとってもはじめての鑑賞会でした。相手と向き合うことの大切さをあらためて感じました。これからの人生に生かしていきたいと思います。」と話してくれました。

そして、花束と記念品をいただき

柳瀬が「この2時間一緒につくりあげてくれた、みなさんひとりひとりの『Touch』です。心の中にできあがった『Touch』を大切にしてください。」とあいさつしました。

そして、鑑賞会の締めの言葉として、沼南高校の生徒会長さんが「このコロナ禍で開催が心配されていましたが、こうして合同鑑賞会ができたことを本当にうれしく思います。ありがとうございました。」

とあいさつし、会場が大きな拍手に包まれました。

 

終演後、セットをバックにして松永高校の生徒会と演劇部のみなさん、沼南高校の生徒会のみなさんで一緒に記念撮影をしました。

舞台の撤去作業と並行して、客席では柳瀬が松永高校演劇部の生徒さんら4人と座談会を行いました。生徒さんの活発な質問に答えている様子を校長先生と担当の先生が最後まで見守っていました。

 

9月10日 公益財団法人岐阜県教育文化財団TASCぎふ主催 バリアフリー公演

13:00から障害を持った方やサポートが必要な方が優先的に入場されました。

座席を決めてから、希望する方の舞台見学が始まりました。小道具に見て触れてみたり、階段のセットを上って裏を覗いてみたり……と楽しんでいただきました。

13:10から一般入場が始まり、同じく座席を決めてから舞台見学を希望する方々に自由にみていただきました。

障害のある方もない方も、そして、就学前の子ども達から年配の方まで幅広い方々がおられる客席となりました。

13:40から

バリアフリー演劇研究会のメンバーであり音声ガイド監修者である全盲の大河内直之さんと、岐阜ろう劇団いぶきの代表で舞台手話通訳監修者でもあるろう者の河合依子さんからバリアフリー演劇の説明がありました。

 

次に出演者にバトンタッチし、登場人物の衣装や髪型、舞台の構造、サインネームなどを説明しました。

 

ベルとともに開演し、静かな中に時折小さな子のかわいい笑い声が聞こえてきます。

私もいい時間をともに過ごせ、マスクのしたで鼻水をすすっていました。

「一緒になってみる。一緒になって楽しむ。一緒に喜びを味わえる社会が垣間みえたらいいなと思っています。みなさんとまたどこかでお会いできることを願っています。」と柳瀬のあいさつに客席から熱い拍手をいただきました。

終演後の舞台見学もしばらく続きました。たくさんの笑顔をありがとうございました。

 

いよいよ、秋の巡回公演が始まりました。感染症はもとより、台風の行方も気がかりな旅立ちです。それでも次の日には公演できホッとしました。

春の公演でもみてきた『Touch』ですが、毎回少しずつ印象に残る具合も変わる気がします。初日の舞台、ラスト近く散歩から帰ってきたフィリップが家を出る決意を兄トリートに伝えていく場面では、自分からどんどんと離れて行ってしまう弟への呼びかけが痛く切なくじわじわと涙が溢れてきました。

また、ハロルドが死の間際まで兄弟を元気づけていく姿――それも明るく――「心配ない。俺はいつも一緒だから……」。フィリップが「一緒?」と聞き返すと、「いつまでも、永遠に。あてにしていいぞ。」と二人に呼びかけ、動かないトリートに「もう見つけられるだろう。」と希望を託すハロルドの言葉がひびいてきます。

そして、今週特に強い印象を残した言葉はフィリップがトリートに語る「誰にも権利があるんだよ。誰にも侵すことのできない権利。生命と自由と幸福をもとめる権利。」でした。

これからの一回一回客席とつくり出していく『Touch』を注視していきたいと思います。

 

スタッフ:保角淳子