6月28日(火曜日)【岡山県】矢掛高校
6月29日(水曜日)【山口県】鴻城高校
6月30日(木曜日)【岡山県】高梁城南高校
7月 1日(金曜日)【兵庫県】姫路北高校
6月28日(火曜日)【岡山県】矢掛高校
2019年に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演、『Touch』は2022年に公演予定でしたが、延期となりました。
12:30開場 炎天下、10分弱の道のりを歩いて生徒のみなさんがやかげ文化センターへ。もう汗だくです。
「暑いですね」とごあいさつすると、ご担当の先生は「でもセットをみて、ワッすごい!と喜んでくれていたのでよかったです」とのことでした。
図書委員の生徒さんの諸注意とあいさつで開演。
「全員が芸術鑑賞を楽しめるようにルールを守りましょう」
2階席も含めて、ひとつ置きの座席はほぼ満席。
開場したとたんから、ものすごい集中力で舞台に向きあってくれました。
カーテンコールでは。図書委員の生徒さんがあいさつ。
「生の演劇、迫力のある演技に引き込まれました。
最後にトリートとフィリップが抱き合うシーンが一番印象に残っています。僕も目標をもってこれからの学園生活を送っていきたいと思います。」
彼に応えて、ハロルド役の柳瀬は「生徒のみなさん、三年間お待たせしました。」とはじめ、
「客席はさまざまなことを受けとっていることをひしひしと感じながら本番をやってました。おかげでいい舞台をつくり出せたと思います。」
その後、舞台裏見学には30数名の生徒さんが参加。あちらこちらでいろんな写真も生まれました。
座談会には、16名の生徒さんが参加してくれました。
6月29日(水曜日)【山口県】鴻城高校
山口県鴻城高校は2016年に『ジャンヌ・ダルク~ジャンヌと炎』、2019年には『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演しました。
2020年以来、全校生徒が集まるのは今回がはじめてということです。
会場となった維新ホールは2021年5月に完成、オープンは7月という真新しい劇場でした。
「Touchの意味を考えながら、リラックスして楽しんで見てください。」
ご担当の先生のあいさつと拍手で開演。
始まりとともにシーンと静まりかえる客席、静かな熱が伝わってきます。
少し高い2階席には保護者の方も。
兄弟の部屋をのぞき込むと同時に生徒のみなさんの真剣な姿が見えています。
カーテンコールでは生徒会長からお礼の言葉がありました。
「普段、なかなか観ることのできない舞台を実際に間近で観ることができて感動しました。」
校長先生からは
「日本で一流の劇団がはるばる山口まで来てくださり、PCR検査を重ねて、綱渡りをしながらのこのような熱演。すばらしい舞台でした。ハロルドがトリートのすさんだ心を少しずつ溶かしていく姿に私も涙が出ました。あらためて演劇のもつ学校教育への有効性を感じました。」というごあいさつをいただきました。
そして、11名の演劇部のみなさんの舞台裏見学は『Touch』の舞台をくまなく観察しながらこの場を背景にして魅力的な写真が残りました。
6月30日(木曜日)【岡山県】高梁城南高校
高梁城南高校は2020年の上演予定が延期となった学校です。
高梁市文化センターまでは歩いて3分、まずは一年生から入場。
「入ってくる顔、みんないい顔をしている。楽しみにしていたんだと思いますよ。」
と受付にいらした先生が話してくれました。
開演と同時にやわらかな空気が場内に流れ舞台を注視していく、
一刻一刻を静かに吸い込んでいくような客席でした。
カーテンコールでは、一瞬の間のあと、あたたかく大きな拍手が起こりました。
生徒会長は「二年間待っていました。『Touch』はすばらしい劇でした。迫力ある演技に心奪われました。有意義な時間となりました。ありがとうございます」と語ってくれました。
柳瀬も「二年間お待たせしました」と始め、
「黙って息を止めるようにして舞台を鏡として、自分をあるいはだれかを写し出し、思い起こしているのだと感じられました。みなさんのおかげでいい舞台をつくることができました。」
と感謝を述べました。
また、当日の呼びかけで希望者の方がたくさん舞台裏見学に参加してくれました。
しばらくして、さらに生徒さんが集まってきました。
学校でのHRを終えて戻ってきてくれたそうです。先生も集まってくれた生徒さんの多さにびっくりされていました。
7月1日(金曜日)【兵庫県】姫路北高校
姫路北高校は定時制の学校です。風ははじめて上演します。今年の『Touch』春ツアーの最後の体育館での公演です。夜の公演のため昼13時から設営作業に入り、姫路北高校の演劇部の生徒さんと隣の姫路東高校の演劇部の生徒さんが手伝いに集まってくれました。
荷物の運び入れから鉄骨の舞台の組み立て、≪体育館を劇場にする≫プロセスを汗だくで共有してもらいました。道具の仕組みやねらいを説明する柳瀬の話も同じつくり手として、熱心に耳を傾けてくれました。
18:30一幕開演
扇風機をつけ、窓を開けカーテンを閉めた場内は蒸し暑い。それでも前を見てしっかり舞台をとらえていきます。
ハロルドがロープで椅子にくくりつけられた時には客席の前方の女の子たちから笑いが起こり、椅子のまま移動・・・口にはられたガムテープを手を使わず外してしまうハロルドの動きに感心しつつ楽しんで見ていました。
そして、少し不思議な感じがしたのがハロルドがフィリップの肩に触れる場面―――照明の変化と音楽に合わせるかのように外からさわやかな風が体育館に流れ込んできました。
19:40 二幕開演
外もうす暗くなり、客席側のカーテンを開け放しての上演です。
(ギャラリーから外を見ると姫路城が大きく浮かび上がっています。)
終盤ハロルドが死んでトリートが「俺、デッドエンドキッドだよ、デッドエンドキッドだってば、、、」と叫ぶシーンでは、客席の空気が濃く重みを増して、舞台に向かっていました。
カーテンコールでは、演劇部の男の子が「今までの高校生活の中で一番感動しました!」と語ってくれました。
そして、トリートとハロルドには花束を、フィリップには<世界地図>をプレゼントしていただきました。
柳瀬は「客席と舞台をつないでくれた、先生方に感謝」を述べ、
「暑い体育館で熱い視線に支えられていい本番を迎えることができました。これはみなさんのおかげです。」とさらに感謝を伝えました。
5月上旬から始まった『Touch』の巡回公演も早6月を終え、7月に入りました。不安定な天候も心配でしたが公演はありがたいことに順調に続いています。
2020年から延期となった学校、そしてまた、はじめて上演する学校・・・
先生も生徒のみなさんも期待を込めて待っていてくださったことを本当にうれしく感じました。
そして、カーテンコールで座長の柳瀬太一が言うように
「ひとりひとりの中にTouchが生まれている」と実感します。
私はふと作者のライル・ケスラーが今、この客席に座ったらどんなに喜ぶだろうと思いました。2001年に来日、レパートリーシアターKAZEでの公演後「今回の風の上演は今まで上演された舞台、映像の中で私の心の中に一番近いものを感じました。」と語ってくれました。
あれから21年『Touch~孤独から愛へ』の旅はこれからも続きます。
文:スタッフ 保角淳子