東映の戦隊シリーズがアメリカで『パワーレンジャー』として放映している事は周知の事実だが、わざわざビデオやケーブル放送、輸入DVD等で現物を観たことのある人はよほど気合の入ったファンぐらいしかいないはずだ。
私も家に幼い甥っ子がいるのでパワーレンジャーの吹替え版ビデオを観せられる事があるのだが、ストーリーが学園青春ドラマっぽかったり、各人種でメンバーが分けられていたりしていて、毎週日曜の朝にやっている本家とは違う雰囲気で「あぁ、アメリカらしいな」と感じる。しかし特撮素材は本家のものを使用しているのに何かイマイチ好きになれないのは幼い頃からずーっと本家・戦隊シリーズを観ていたからなのだろう、きっと。
ただ、パワーレンジャー人気に乗じて製作された劇場版『パワーレンジャー』(95)は正直凄いと思った。だって20世紀フォックスが配給だよ?しかも制作費がなんと40億円ときたもんだ!東映ヒーローフェアに上映する戦隊シリーズの劇場版が何本作れるんだろ?
話はパワーレンジャーに変身することのできる6人の高校生たちが6000年前に地下に封印されたがビル工事の影響で再び甦った悪の帝王アイヴァン・ウーズの間の手から街を守り、パワーレンジャーの保護者であるゾードンを瀕死の状態から救うために戦うというもの。
本家の劇場版は上映時間が40分そこそこなのでアクション等見せ場で繋ぐ作り方をしているが、本作も95分もある大作なのにもかかわらず次から次へと用意されるファイトシーンに、観てる方はどんどん映画に引きずり込まれてしまう。早い話がテンポ良く無駄なものが無いって事で、日本みたいに子供だけの作品、というだけではなく一般映画ファンにも十分アピールできる作品になっている。
この映画でまず最初に観て驚いたのがレンジャーたちのボディスーツだ。本家(パワーレンジャーTV版も)のスーツは特殊繊維で作られた極めて平面的な感じだが、こちらの劇場版では「強化服」なイメージの立体的な造形になっていてカッコいい。それでもってTV版以上の激しいアクションをこなすんだから惚れない訳はないっ!
次に戦隊もののラストバトル定番・ロボット同士の格闘シーンがCGで描かれているのも画期的で驚いた。一部スーツは使用しているというものの、『トランスフォーマー』(08)よりも早くCGロボットバトルを行ったという事実は賞賛に値されるのではないか?!
レンジャーたちの格闘アクションも、香港スタイルよろしく蹴られてクルクル回ったり大勢がワイヤーで吊られて跳んだりと賑やかだし、何よりアクション映画としてもレベルが高く、亜州アクション映画を見慣れた私ですら普通に楽しめるのだ。主人公たちが高校生のくせにマッチョなのは許せんが…
「ジャリ向き映画なんて…」と不満気味の同伴者のお父さんにも、露出度の高い服(ほとんどビキニ)を着た女戦士が登場してサービスしてくれるし、
あぁ、なんて素敵な映画なんだ『パワーレンジャー』は!!