HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

対決っ!ルチャマニアVS怪獣マニア

2008年04月29日 | ルチャリブレ
 『KAIJU BIG BATTEL』というプロレス団体をご存知だろうか?
 ボストンを本拠地に活動する団体なのだが、怪獣&日本プロレスオタクのスタッフが運営してるだけあって、日本怪獣風のコスチュームを着たレスラーたちがミニチュアを敷き詰めたリングでそれこそ往年の特撮番組みたいに戦うというもので、日本でもDVDが販売されているので耳にしたことがあるかもしれない。間違っても週刊プロレスなんかでは扱ってもらえないが。
 
 その怪獣ビッグバトルがこれまた日本プロレス&ルチャ風のファイトスタイルでその筋の人たちに支持されている団体CHIKARAプロが開催したトリオチームのトーナメント・イベント『KING OF TRIO'08』に出場した。他の顔ぶれは皆レスラーって感じの風貌だが(インディー団体ばかりなので身体のほうは?のヒトもいるが) 怪獣ビッグバトルチームは思いっきり違和感ありまくりで、そのギャップがかえって面白い。
 CHIKARAプロはルード(悪役)のウルトラマンティス・ブラック、ハイドラ、クロスボーンが出場。巨体のクロスボーンやボス面したウルトラマンティスはいいとして、肉襦袢みたいなボディスーツを着たハイドラはちょっといただけない。肝心の怪獣ビッグバトル側はナマコみたいなウニボウズ、触手がいっぱいのD・W・サイクロトプスⅢ、見た目ポケモンに出てきそうなコール・ミー・ケヴィンが出場した。そして入場の際には怪獣ビッグバトル側のリングアナがセレモニーを行うなどして団体対抗戦の雰囲気をかもし出している。でも、この面子で団体の優劣を決めるのって何かおかしくないか? 

 試合結果はちゃんと普段からプロレスをしているCHIKARAプロが文句無しの圧勝なのだが、この試合の見所は勝ち負けなどではなくて怪獣ビッグバトル側が自分たちのスタイルを貫き通せるかにあったので(個人的見解)、その点では文句なかったと思う。ウニボウズの毒針を触って痛がるハイドラやクロスボーン、サイクロトプスの触手旋回アタックで吹き飛ばされるCHIKARAのレスラーたち…あぁ、みんないい人たちだなぁ。

              
              
              
              
              
              

SF映画のグローバル化 『RESIKLO』

2008年04月25日 | フィリピン映画

 

 以前も書いたように映像技術の低コスト化が進むと、以前であればありえない地域から「なぜこんな映画が?」というような作品が出現する。
 特にSFX(今じゃVFXか)を駆使したSF映画なんかは欧米はともかく怪獣映画の伝統がある日本以外の国で製作されるなんて10年前じゃ考えもつかなかった(情報が入ってこなかった、というのもあるが)。ファンタジーはともかく欧米式のSF映画となると想像つかないでしょ?

 今回紹介するのは“アジアで最も西側に近い国”フィリピン製作のSF映画『RESIKLO』(07)だ。
 話は近未来の2021年の外宇宙からの侵略者との闘いにより興廃した地球が舞台。大事な家族を侵略者に殺された主人公は人類最後の砦である《パライソ》を守る為己の肉体や巨大人型兵器を駆使して闘うというもの。アニメなんかでは何十回と観たような話だが、実写映画だとまた違った新鮮さを感じる。一応この作品のテーマは《リサイクル》(タイトルはタガログ語読みか?)で荒れた地球環境を元に戻す研究をしている女科学者なんかがそのテーマに沿って登場したりしているのだが、ボンクラ映画好きとしてはやっぱり《ロボット》ですよ、見所は。本作のロボットの雰囲気としては『ザブングル』のウォーカーマシン、または『ロボジョクス』みたいな感じで侵略者側のロボットがヒューマノイド型なのと対になっているのが素敵である。

 フィリピン娯楽映画(ビックバジェット)の典型と言おうかこの作品でもハリウッド(や、その他の)映画の《引用》が多々見受けられられる。等身大の宇宙人兵士はまるで“プレデター”だし、侵略者のボスキャラはなんと巨大な“エイリアン”だった。ガンアクションはジョン・ウー的でロボット同士の格闘シーンは『トランスフォーマー』みたいである。…いや、別に悪口で行ってるんじゃないんですよ。微笑ましいなぁと思って。
 監督やスタッフが「オレはこういう画が撮りたい!」とばかりに自分の好きなものを全部取り入れちゃって、観客の側からすればなんだかよく分からない映画になってるぞ、てな感じ。おかげで話のキーマンである瞬間移動ができる少女が中盤になってその技を見せて「なんで今頃?」と思わせたり、眼の見えないコミューン内の女性が出てくるんですけど、最後ら辺でいきなり強いところを見せたりと
「もうちょっと前にそういう事言ってくれませんか?」
と思うくらい説明が足りない。
すべてはカッコいい画作りのためか?!

 何だかんだ言っても、こういう映画が撮れるフィリピン映画界は正直うらやましい!こういう話はロボットアニメ先進国である日本が撮るべきじゃないのか?韓国なんかじゃ『テコンV』を実写でやるとかいう話だし、日本もロボットアニメの実写化をするべきだ(鉄人はコケたけど)。
マジンガーだ、ゲッターだ!弾は何発でもあるぜ!!

              
           
  
           
   
           
 
           


ルチャ対空手、仁義なき闘い?! 『La Llave Mortal』

2008年04月17日 | ルチャリブレ

 ルチャ映画は数多くあれど、一度はお見受けしたいと思っていた作品が今回紹介する作品『La Llave Mortal(必殺技)』(90)だ。昔、週刊ゴングでウルティモ・ドラゴンになる前の浅井嘉浩がチョイ役で出演したという事でチラッと紹介されていたので年季の入ったルチャマニアは覚えている方もいらっしゃるだろう。
 厳密に言えば全編通して観たわけではない。毎度お世話になっているYOUTUBEでオイシイ部分と、見せ場のルチャドール対空手家の軍団対抗戦がアップされてたのでそれを観賞したという事なのだが。

 話はメキシコ空手界の大物が、コミッショナーを通じてルチャドールに対戦表明し、一旦はルチャ側に拒否されるものの空手家の妨害などにより業を煮やしたルチャリブレ界の大物マスカラスが5対5の軍団対抗戦を提案、これにより無観客の体育館の中ルチャと空手、互いのメンツを賭けた死闘が開始された…というもの。犯罪組織や怪人・怪物と闘うことの多いルチャ映画に比べてすごいマットウな内容である。マスカラス自身が製作を手がける作品にはこういったルチャ自体を扱う内容の物があるようだ。日本でも劇場公開された『ミル・マスカラス/愛と宿命のルチャ』(88)もそうだし。
 この作品のすごいのは有名ルチャドールたちがこぞって出演している事。ドス・カラスブラック・シャドーJrブルー・デモンJr、試合には出てないがブラックマンなどの姿も拝見できた。一方の空手家軍団の出演者も本職の俳優&空手家なんて一人もいなく、東洋キャラで人気があったカト・クン・リーを大将に、クン・フーや日本人ルチャドールのパイオニア・グラン浜田や冒頭に書いた浅井まで何だか意味なく豪華である。
マスカラスの頼みじゃきっと断れなかったんでしょうね(笑)。

                            
                             
                          
                          

 肝心のルチャ対空手軍団対抗戦だが、デモンJr vs 浅井、クン・フー vs シャドーJr、女子同士の2試合に続きドス vs グラン浜田、そして大将戦のマスカラス vs カトとルチャ好きなら卒倒しそうな好カード揃い。女子選手の名前が分からないのがちょっと残念だが、とにかく試合内容はこうである!


ブルー・デモンJr vs 浅井

 浅井のキック攻撃に戸惑うものの、カニ挟みでテイクダウンさせての膝固め、ロープに振ると見せかけての脇固めなどサブミッションで次第に圧倒。最後はノーザンライト・スープレックス→プルポ(蛸固め…変形グランド卍固め)でギブアップ。


クン・フー vs ブラック・シャドーJr

 最初は若いシャドーがドロップキックやアームホイップなどで攻め立てたが、次第に試合の流れはクン・フーのペースに。リングの角に相手をぶつけるラフ殺法を織り交ぜながらキック攻撃で圧倒、シャドーの首を両足に挟みこんでの首折りで決着。


ドス・カラス vs グラン浜田

 この試合は終始ドスが体格差で圧倒するという展開。リフトアップで浜田を軽々と持ち上げたり力の差をアピールするが、浜田もショルダースルーを回転着地してのドロップキックなどいいところを見せる。 しかし流れは変え難く、場外へ落ちた浜田にペスカリート(プランチャ)で痛めつけ、ケブラドーラ・コン・ヒーロ(風車式バックブリーカー)2連発、ブレーンバスターからバックドロップと大技が続き、最後は河津掛けからのグランド卍固めでキッチリギブアップを奪う。


ミル・マスカラス vs カト・クン・リー

 テコンドー高手であるカトの独楽のような回し蹴りや、ロープを使ってのキック、得意技のコロ・クエルダス(ロープ渡り)まで披露しマスカラスを攻め込むが、ドスvs浜田戦と同じく体格差が勝負を左右した。 ニードロップの失敗を見計らってマスカラスがラリアート、そしてフライング・クロスチョップと攻撃は続き、場外へのダイビング・ボディアタック!リング内に戻ったカトにサイド・スープレックスで投げつけ、胴絞めフルネルソンで最後まで抵抗したカトを絞め落とす。

 浅井のキック技は試合でも使用しているので本格的なのだが、浜田の空手家役はいただけなかった。純正レスリングで試合している浜田なので空手の型が全然板に付いてなく殆ど普段の試合通りの動きだった。 クン・フーの空手技は見よう見まねのインチキなのでアレだが、カトの蹴り技はテコンドー仕込みだけあって蹴りに迫力がある、とは言ってもかなりの年齢なのでそう脚は上がらないけど。

                          

                            

 試合を総括するとルチャの試合です、これは。空手家らしかったのは浅井と女子選手だけで、あとは普通に自分の試合をしております。ただ、幾百のルチャ映画と異なるのは相手がルチャドールなので、マスカラスたちいい者役の選手も思い切ってアクションできるという所です。普段ならパンチやドロップキックなど攻撃に制限があるルチャドールのアクションも、この作品ではリング上が舞台なのでロープを使った攻撃や関節技、はたまた危険な投げ技までも見せてくれるのだ。こんな過激な(普段の試合通りの)アクションなんてスタントマン相手では出来ないでしょ?  

 あ~いっぺん全編通して観てみたい。でもきっとここだけが面白いんだろうな…

合言葉は「ハホハ~」だ! 『アマゾネス対ドラゴン』

2008年04月07日 | その他の映画、テレビ

 ジャンル映画をより多く観ようとするには、道標となるガイドブックが必要である。特にクンフー映画など特殊なジャンルの場合には。
 小学生高学年でジャッキー・チェンのファンとなりクンフー映画ファンの扉を開いた時、最も活用したのは秋田書店から出されていた日野康一・編の『ドラゴン大全科』だった。この本によりブルース・リャン&倉田保昭の『帰ってきたドラゴンを観る事ができたし、フレッド・ウィリアムソン&風間健の『ドラゴンを消せ』はつまらないと感じたし、とにかくクンフー映画の取っ掛かりには最適の書籍だったのだ。
 そんな中、正統派クンフー映画の中に混じって一際目に付いた作品があった。それが今回紹介する(前置長いなぁ)マイ・フェイバレット・ムービー『アマゾネス対ドラゴン』(73)だ。

 猛女集団アマゾネスに襲われるある村を救う為、超人的な身体能力を持つ自称・神の使いが道々で知り合った黒人の怪力男と中国のクンフー使いとで、知恵と勇気と個々の技術で立ち向かうという、これ以上無い王道パターンで、それプラス物語の所々に小悪党の盗賊団が絡んでいい具合にかき混ぜてくれるので世の東西問わず楽しめちゃう娯楽アクション映画になっているのだ。
 日本ではちょうど第一次クンフー映画ブームの真っ只中に公開されたので"ドラゴン”の文字が入っているが、原題はおろか他の公開題にもクンフーを匂わす単語は入っていない。だから最初観たときに(子供だったので)「あれ、ドラゴン主役じゃないの?」と思って多少がっかりした記憶がある。
 しかし、いろいろな映画を観てそれなりに成長した現在の眼でみてみればこの作品にはそれなりに見所はあるもので、多数の馬を走らせる場面なんかはローアングルや俯瞰で撮ってみたりしてかなりの迫力だ。さすがアクション史劇やマカロニウェスタンで培った技術は伊達じゃないよ、と言わんばかりだ。
 時代がクンフー映画ブームだというので香港からわざわざ『大酔侠』などで有名な岳華(ユェ・ホァ)を招いて美青年中国剣士役をセッティングしたのも心憎いポイントだ。国際的知名度からいえば多分この当時、羅烈がキャスティングされてしかるべきだが、きっと他の作品に出演していて岳華にお鉢が回ってきたに違いない(事実、羅烈は同じイタリア合作の『東洋のスーパーメン』(未)に出演している)。
 すげぇ胡散臭いタイトル(内容も)であるが、クンフー映画が好きな方も、イタリア娯楽アクション映画が好きな方も一度御覧になっては如何かな?…っていうかその両方のジャンルの好きな方限定で喋っているな、こりゃ。普通の映画好きの方も是非。

               合言葉は「ハホハ~!」だっ!!

             
                           
            

DV野朗をぶっとばせ!『パンチレディ』

2008年04月03日 | 韓国映画
 今回は当ブログでは久々の韓国映画『パンチレディ』(07)を紹介します。

 格闘技チャンピオンの夫・チュチャンに13年も暴力を受けてきたヒロインのハウンはある日夫の試合終了後、報道陣の前で「リングで私と勝負しろ!」と宣戦布告してしまう。
 今まで絶対君主の旦那の下、平凡に生きてきた彼女には勿論格闘技の経験などない。早速ジム探しを始めるがどこも断られてしまうが、冴えない風貌の館長スヒョンのジムだけは彼女を迎え入れてくれた。実はスヒョンは元数学教師でこれまた格闘技経験がない。
 ハウンの話を聞き同情して彼女を何とかしてやろうとスヒョンは夜にほかのジムで傷だらけになりながら格闘技やトレーニング法を学習し、翌日自分のジムでハウンに教えるという方法で彼女をコーチする。
 周囲の、そして夫から試合棄権の勧告を受けるがあくまでリング内で13年間の決着を付けたいハウン。そしていよいよ夫婦の運命を賭けたゴングが打ち鳴らされた…!

             

             

             

 ネット上でジャンルが[コメディ・アクション]と書いてあったので、まぁ、喧嘩して仲直り?みたいなイメージで観てみたのだが、これが全然シャレにならないくらいハードな映画だったのだ。

 妻が夫に格闘技で挑戦する

だけだったらただのコメディ映画なのだが、この映画の重要な要素となっているのがドメスティック・ヴァイオレンス(DV)だ。
 開巻冒頭からこれでもかとチュチャンのハウンに対する暴力シーン(流血あり)を見せられて気の弱い私としてはもうここだけでゲンナリしてしまう。これがあってこそハウンのがんばりに心揺さぶられるポイントにはなってるんだけど、ここまでしなくちゃいけないのか?映画内バイオレンスは許容できるのだが、こういったリアルなバイオレンスはまったく受け付けないワタクシめであります。
 同じ韓国系アクション映画で『相棒/シティ・オブ・バイオレンス』でもそう。蹴り技を使った見せ場の殴りこみシーンは好きでも、他のバイオレントな場面はつい目を背けちゃう。

 結局この映画で何が印象的だったか?と問われると、今まで内向的だったヒロインのハウンが闘うことで(夫にも、世の中の偏見にも)自分というものを発見する姿かなぁ。

"自分"を持った女性は美しいです、ホント。