懐かしのTV番組特集では必ずといっていいほど紹介され視聴者の笑いを誘う人気漫画の実写作品だが、当時の方はともかくその作品を全編通して観たという人は多くないはずだ。
今回はそんな実写作品のなかでも最高の知名度とショボくれさのギャップが魅力の『鉄腕アトム』(59~60)の第1部『ZZZ(スリーゼット)団の巻』を紹介していこう。
世界の要人を次々と毒牙にかける国際的陰謀団ZZZ団は、国際平和会議に出席するために来日した平和活動家リヨン氏を自分たちの陣営に引き込もうと同伴した娘のミシェルを誘拐しようと企む。しかし悲鳴を聞きつけて駆けつけた少年ロボット・アトムにより救われる。しかしZZZ団はその隙にリヨン氏を拉致、アジトである要塞島に搬送する。
「父親を救いたければ我々の言うとおりにしろ」
ミシェルは愛する父の元へ向かうためZZZ団の案内で要塞島へ赴くが、アトムも彼女を救うためその後をつけていた。機銃の集中砲火にもビクともせずアジト内に潜入したアトムであったが、ZZZ団の総統はアトムに交換条件を突きつけた。リヨン親子を無事返す見返りにスクラップになれ、と。
嫌がるミシェルを横目にアトムは自分で電気ショックを浴び塔の上から落下するが、奇跡的にアトムは無傷だった。その頃日本では平和会議出席の為某国大統領が来日しようとしていた…
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YOUTUBEからとはいえ初めてちゃんとした形でこの作品を鑑賞したのだが、なかなか作りはマトモでこの当時の少年TV映画の定番である《連続活劇形式》に則って、危機→救出の繰り返しで当時の子供はハラハラして観た事だろう。
私が観た(YOUTUBEでアップされていた)のは後年になって90分前後に再編集されたものだったが、それでも観ていてアトムやミッシェルのピンチとチャンスに一喜一憂できた。とはいってもアトムはロボットなので何やっても平気な顔してるのだが。
あの義体チックなアトムのボディスーツ(代第2部以降は変更になったが)もストーリーと一緒に観れば気にはならず、本編の方に目を向けると、バイオレンスな場面は影の演出で処理したり、ZZZ団の使用する空飛ぶ自動車の変形シーンをコマ撮りでやったりと作品的にみればなかなかの傑作じゃないかと思う。
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ただ最後、ZZZ団の総統が謝罪して泣き叫びところで終わるエンディングはどうかなぁ~。リヨン親子の今後は?、国際平和会議は?? 見事にエンディングが丸投げ状態なのでした、
クスン(哀)。
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