今回はちょいとインド映画から離れて、久々にタイ映画などを紹介してみようかなと思う。とはいうものの当ブログの更新自体が不定期なもので何を書くにしても“久々”になっちゃうんだよなぁ…(哀)
てなわけで、今回は今年8月に(タイで)公開されたばかりのホヤホヤの新作アクション映画『HANUMAN : THE WHITE MONKEY WARRIOR』(08)を紹介。
主人公は古より超人的な力を発動させる護符を人体に彫る事を許された魔術師の息子で、自身も神猿ハヌマーンの護符を父の手により身体に彫られている。しかし、敵対する悪の魔術師の配下によって父は胸に彫られた護符を剥ぎ取られ殺されてしまう。彼は父の仇を討つために配下たちと闘い、悪の魔術師と対決し勝利する事ができたが、同時に配下たちの怒りに火をつけてしまい、主人公の隠れている村を襲いたった一人の肉親である妹を奪われてしまった。果たして主人公はこの危機をどう切り抜けていくのであろうか…?
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魔力を持つ護符を身体に着けていると霊的なパワーを使う事ができるというギミックはタイ映画では結構使われていて、日本でもDVDで発売された『マハウット!』(03)でも見受けられる。香港クンフー映画でいうところの“神打”に近いか。でもあれは別の術者がいてこそ力が発揮されるので、最初から身体に彫ってあるこちらの登場人物のほうが使い勝手がいいかも。
肝心のアクション面はといえば「普通」の部類に入るだろう。タイ・アクション映画お得意のムエタイ的動きも無ければ、目を見張る危険度の高いスタントも無い、本作の特異な題材がなければスルーしてしまうような内容だ。
だが、逆にこのスピリチュアルなイメージを得た事によって、ガチなアクション映画では不要と思われるワイヤーワークやVFXは効果的に映り、ハヌマーンの力を持つ主人公は仮面ライダーに、それぞれ虎・鰐・豹の力を持つ悪役たちはショッカーの改造人間に見えてくるのだ。まぁ、護符を彫っている時点で改造人間と言えなくも無いか。
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ただ、残念な点が一つ。それぞれの力を発揮している時、劇中にイメージで1カットだけその動物の姿で登場しているのだが、出来れば霊的パワーを発動してる時はずーっとその姿でいてほしかった。せっかく主人公がハヌマーンの力を発動させてもチラリチラリとしか見せてくれないんだもん、もったいないっ!そうすれば完璧なヒーロー映画になったのに…
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