HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

トムヤム酔拳登場! 『Thao Huay Lai Liew』

2009年01月28日 | タイ映画

 以前よりそのジャケット画の奇妙さで一度観たいと思っていた、タイ製『酔拳』パロディ映画(別名・トムヤム酔拳)こと『Thao Huay Lai Liew』をついに紹介できる日が来ようとは…う~ん非ハリウッド娯楽映画収集を諦めないでよかった。

 話は、悪道場の師範代に父を殺された主人公が、復讐のため伝説の老武芸者の下に弟子入り、酔拳を会得し敵討ちを見事果たすという典型的なクンフー映画のフォーマットに則っているが、ここでカン違いをしてはいけないのはこの映画はコメディであるという事だ。えっ、『酔拳』だってコメディじゃないかって?あれはアクションがメインでコメディは味付け程度でしょ。このタイ版酔拳は基本がコメディでクンフー・アクションが味付けなんです。

 とにかく主人公たち低所得層に住む中華系住民の描写が汚らしい。映画の開巻、いきなりバキュームカーを持ち出しての汚物ネタから始まったり、主人公が好意を持つヒロインがとにかくやかましく、観ていて感情移入しづらく生理的に受け付けないのはどういう事か?バンコクの人は地方出身者を馬鹿にするが(映画の中では)、この映画を観るかぎりでは中華系住民もかなりキライなのかも。

 こういった苦行のようなギャグ場面を耐えれば、あとは夢のような楽しいクンフー・アクションの数々が待っている。観て驚いたのは、結構本格的なアクションが演じられているという事。香港映画が時差なしで数多く入ってくる国ゆえ、こういったアクションを真似るのもお手の物ってか。

 トムヤム酔拳、っていうくらいだから『酔拳』のパロディシーンもちゃんとあります。お約束の蘇化子じいさんはちゃんと登場するし、山中のあばら家で身の回りのものを使用しての特訓シーンはちゃんと常備されていて文句は言わせない。ただ、やってる事はムチャクチャだけど。そして憎き仇には会得した酔拳でBANG!だ。ちゃんと酔拳映画ではお約束の「将軍令」がバックで流れるというこの徹底ぶり。思い出したけど主人公たちが使う拳法って猴拳なんですね。南方系出身者が多いのかな?タイ華僑って。

 とまぁ、『マッハ!』以前のタイ式マーシャル・アーツ映画捜索は始まったばかりで(タイ式西部劇は3~4本観たけど)、圧倒的に鑑賞できる作品が少ないし、マーシャル・アーツ映画かどうかが判別不可なのが現状だ。ついこの間も女の子が蹴り足上げているジャケットのVCDを注文したのだが、こいつがビンゴだったら言うことないんだけどな…。

          

          

          

          

 ※補足 この映画の悪拳士役で、香港クンフー映画好きには名が通っている唐偉成(ウィルソン・タン)が出演しているとの情報を「超級龍熱」の龍熱さまよりいただきました。ご教示どうもありがとうございました。
 という事は本作の武術指導も兼ねている可能性もありですね。


あ~、ちくしょうっ!

2009年01月15日 | 雑記

 現在、名古屋の丸善にて古書市をやってるんだけど、そこでSOMETHING WEIRD VIDEOの怪奇・SF映画予告編集を2000円で購入し、ルンルン気分で家に帰り再生していて、ふとよそ事をやっていたら何かの拍子でビデオのリモコンの録画ボタンが押されてしまい途中20何分間が次元の彼方へと旅立ってしまった…

 だぁ(怒)!「2時っチャオ!」なんか撮る趣味はねぇ!!

 でも、これが予告編集だからまだ良かった。それに消えた時間も短かったし。これが1時間パーだったら泣いちゃうよ、ホント。

注意:海外製ビデオはビデオの爪が折ってない場合があるので、すぐに折っておく事。  


 2000円か。不景気のご時世には高い授業料だなぁ…(涙)

“神の子”ミスティコ、ついに日本来襲 !!

2009年01月07日 | ルチャリブレ
 日本のルチャリブレ・ファンが長い間待ち望んでいた“最後の”大物ルチャドールの来日がついに実現した。

 メキシコの老舗団体・CMLLが産み出した21世紀型スペル・エストレージャ、ミスティコが先日行われた新日本・東京ドーム大会のオープニング・マッチを華やかに彩ったのだ。対戦カードは田口隆祐、プリンス・デヴィットとトリオを組み、相手はメキシコでもタイトルを廻って激しい闘いを繰り広げているアベルノ邪道&外道である。
 内容はミスティコの一人舞台で、仲間である田口、デヴィットの個性が完全に消されていた。同じチームにベビーフェイスの大物が一人いると大変だ。まだ田口は独特のヘアスタイルという“個性”がある分まだ救いがあるが、見た目普通のデヴィットは可哀想。終盤に見せた鉄柵越えの急角度トペ・コンヒーロは彼の精一杯の“抵抗”なのかもしれない。
 そして彼独自の持ち技(雑誌や動画サイトでおなじみの技)も名刺代わりにドンドン見せてくれて、うがった見方をすればミスティコを日本でも認知させる為のPR的色合いが強い試合である。だから対戦相手はミスティコの動きを十二分に引き出してくれるアベルノ、そしてどんなスタイルにも対応できる“プロレス職人”の邪道&外道で正解なのだ。こういうときヒールって得だよね。ただし、いつもの定番の攻防(対アベルノ)だけでなく、違った面も見たいのでもっと邪道&外道とは絡んでほしかったと正直思う。

 何だかんだいってもミスティコのすばらしいムーブの数々を目撃できたのだから新日本には感謝をしなければならない。以前ビザの不手際で来日が流れてしまっただけに尚更だ。IWGPジュニア王座を奪取したタイガーマスクに対戦表明をしたりと日本における地盤固めも行っているようだし、当分は彼からは目が離せない。ただ、新日本が間違ったマッチメークをしなければね(笑)。

        

相手の力を利用してモルタル(空中回転)を切る。

         
スワンダイブからのティヘラ(ヘッドシザース・ホイップ)。投げた後に着地するのが凄い!

         
日本のファンが待ちに待った、ミスティコの必殺技・ミスティカ(旋回式脇固め)。これを見れた東京ドームの観客は幸福者だ !!

初春気分にもってこい 『老夫子』

2009年01月05日 | 中華圏映画

 今日から仕事始めの方も多いことでしょう。そんなわけでこのHIMAGINE電影房も活動を再開したいと思います。
 さて今年最初の紹介作品は正月にふさわしくアニメ作品といきましょう。1979年(81年表記もあり)の香港アニメーション映画『老夫子』です!

        

連載開始が1964年という長寿連載ユーモア漫画である王澤・著の「老夫子」であるが、日本ではあたりまえだが知名度はとても低い。過去にツイ・ハーク製作、ニコラス・ツェー主演『恋のQピット』(01)が公開された程度でしかないが、現地では何度も映像化(実写)されており、日本でいえばまるで「サザエさん」か「あんみつ姫」みたいな状況である。この映画は数ある「老夫子」映画の中で最初のカラー・アニメ化作品なのだ。

        

 ストーリーはちょいと説明が難しい。元が4コマ(複数コマの場合もある)漫画なので話があっちへ行ったりこっちへ行ったりと統合性がないのだ。(この辺も「サザエさん」と同じですね)何せこの映画、監督が三人もいるんですからアタリ前です。
 簡単にいうと主人公・老夫子がドジをして働いていたレストランを追い出され途方にくれているとき、ひょんなことで強盗団に手を貸す羽目になってしまい警察には追われ、戦利品のダイヤを奪ったとして強盗団にも追われてしまうという典型的な香港流ドタバタ喜劇なのだ。「香港市民の生活を描写」する『ミスター・ブー!』シリーズやこの時期話題を呼んでいた新浪潮(ニューウェーブ)派の作品とは根っこは同じなのである。

        

 この作品の注目ポイントは画像でも分かるとおりブルース・リー(と思われるキャラクター)を代表するクンフー・武侠映画ネタである。
 給仕として働いていたレストランで、老夫子がインネンをつけるヤクザたちと武侠映画ではお約束の“腕試し”(客棧戯)を行ったり、ブルース・リー(風キャラクター)の武館で道場破りと闘ったり、挙句の果てには擂台戦でアントニオ猪木風レスラーと対決までしてしまうというすばらしさ。あぁ!結局クンフー・武侠映画というのは香港市民にとって「あって当たり前」な存在なのかもしれない。

        

 この映画、実はラストが2通りあって、広東語版では老夫子とその仲間たちが強盗団と失われたダイヤをめぐって倉庫内での対決で(まるで『五福星』だね)、一方の北京語版では擂台戦のリングで強盗団に絡まれているときに、師父であるブルース・リー(風キャラクター)が助けに入り、それを見た各国の武芸者たちが彼を倒そうとリングに殺到するが、難なくこれを退け観客の大声援に答えエンド、というものだ。
 どちらもそれなりにいいが、スタンダードな香港喜劇を堪能したいのならば広東語版、クンフー映画的興奮に酔いたいのであれば北京語版、といった楽しみ方がベストかも。