以前、香港のコミック誌を集めていた時期があった。あの迫力ある画と未知のものに対する興味でつい転んでしまったのだ。ちょい古いのから最近のものまでいろいろ読んでみたが、行き着くところやっぱり「古い」香港漫画が欲しくなってしまう。
前々回紹介した『小流氓』のように復刻されているものならまだ入手できるのだが、日本やアメリカと違い古コミックの流通状態がどれほどのものかよく分からない香港の事、どうやって探したらいいのか困ってしまう。実際に現地に行って古本屋で探せばいいと思うが、そんな経済状態もよくないし…
私が香港漫画の指南書としている『Hong Kong Comics: A History of Manhua 』という書物にはいろんな香港(および中国)の漫画の表紙絵がカラーで掲載されている。武侠ものから日本のものを明らかにパクッた空想科学ものまで読んでみたいものはいっぱいあるのだが、そのなかでも「これは!」と思った漫画がある。それは上官小寶・著の『李小龍』だ。
なんだか黄玉朗の『小流氓』に雰囲気が似てませんか?絵柄といい、キャラクターといい。もう、このソックリさ加減で興味がグーンと湧いた。『李小龍』というタイトルだからブルース・リーが主役だと思うでしょ?実は名前が李小龍というだけで、全然本人とは関係ないのだ(顔も違うし)!ジークンドーも使わないしね。
これを書いた上官小寶という人物はこの作品で当時、黄玉朗と人気を二分してたそうな。しかし、80年代に入ると自らの出版社まで興すぐらいにまで成長した黄玉朗により、漫画ごと引き抜かれたそうである(その後独立、2001年に引退)。いかに“香港漫画界のキング”黄玉朗が彼を、そして『李小龍』をライバル視していたかがよく分かるエピソードである(邪測が入ってるかもしれませんが)。
現在持っているのは最近の号のやつで、絵はキレイすぎるし(こればっかり)荒唐無稽さが感じられず少々寂しい。私としては是非昔のヤツが見てみたい。主人公が目ん玉潰したり、腹から内臓ひり出したりするような残酷描写が見てみたい!(そういうスプラッター描写が大好きってワケじゃないのだけどね)
●左が昔のもので、残りは最近のもの。昔のほうが味があっていいと思いませんか?