1960年代に入るや、あっという間にコミックス市場を席巻したマーベル・コミックス。スーパーヒーロー自体の魅力はもちろんですが、多くの読書を魅了したのは、編集長スタン・リーによるストーリーでした。
スーパーヒーローを「常人とは異なる存在」でなく、自身の存在意義や、ヴィランではなく世間から向けられる悪意に苦悩する、等身大のヒーローを描く事で、ただの低年齢層向けの読み物だったコミックブックを、ランクアップさせる事に成功しました。
そしてその「新しい波」に乗ろうと他の出版社は、自社のヒーローに「一般人」要素を付け加えて、魅力的なコミックスを生み出そうとしたのでした。
1940年代の「忘れかけられた」スーパーヒーローであるザ・ウェブが復活したのはまさにこの時期で、マーベルで65年からスタートした古の愛国者ヒーロー、『キャプテン・アメリカ』の成功が引き金になったと思われます。60年代のウェプはかつては恋人、今や妻である、彼との平安な生活を望むローズとその母からの「いびり」に耐えながらも、スーパーヒーローとしての自我を捨て切れないジレンマに苛まれる「マーベル風」キャラクターへと改変されました。ただ、この改変は必ずしも成功したとは言い難く、ファンからは不評で再び長い「休暇」を送る事になるのでした…
初出:『マイティ・コミックス』1967年2月号
初出:『マイティ・コミックス』1967年2月号