HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

『新桃太郎』を久々に観た

2011年09月12日 | 中華圏映画
 この映画は、現在30~40歳代の方であれば懐かしさと共に思い出されるタイトルであろう。無論ワタシもそうですが…

 『霊幻道士』(1985)に端を発した、日本に於けるキョンシー・ブームが末期を迎える頃、『霊幻~』の二番煎じ的作品である『幽幻道士』を放映し、あまりの高視聴率にキャストをそのまま使って30分枠のTVドラマまで製作(台湾のプロダクションが下請け)させたりして、ほぼ独占的にブームを牽引していた某TV局が「『幽幻~』のキャストとカブってるし、一応流しとくか」(妄想)とばかりに突如放映されたのがこの『新桃太郎』(1987)だった。

 この映画は誰でも知っている日本の童話『桃太郎』を基本ベースに、いろんな面白要素(SFX、アクション、ギャグ等)を盛り込んで作られた結構な娯楽大作なのだが、放映当時(15~6歳)に観た時には「随分安っぽいなぁ」と思っていた。中華圏特有のクンフーベースのアクションシーンは面白く観れるが、光学合成中心の特撮やベタなギャグ、そしてラストに登場するワイヤー繰演の桃ロボットのチープさに幼心(って歳でもないけど)に安っぽさを感じたのだが、今見れば鬼ヶ島(悪魔島)のセットなんかはよく出来てるし、赤鬼大魔王率いる鬼軍団による村焼き討ちのシーンも、火を使ったりして迫力があってなかなか良い。こんなジュブナイルな内容にも関わらす結構金掛かっているのだ。20年以上経つと観る側も《寛容な気持ち》になっちゃうのかも知れないけど、おっさんになった現在の目で観ても充分に面白かった、っていうのは正直な感想。

 逆に今でも「凄ぇ!」と感心したのは主演のリン・シャオロウ(林小楼)の激しすぎるアクション。立ち回りはもちろんの事、相手から攻撃を食らった際、ワイヤー+コマ落としによる効果により《凶悪》と思える程のスピードで吹き飛ばされていく様は何度観ても凄まじい。きっと彼女自身初の大作という事で相当気合いが入っていたと思う、それは劇中に見せる表情からでも充分に伝わってくる(ワタシだけ?)。そんな彼女の頑張りがあってこそ、20年以上経った今でもこんな色物的映画がワタシや同世代を生きた人たちの心に、鮮烈な記憶として残っているのだろう。

 この『新桃太郎』という作品はワタシら世代の日本人だけでなく、本国台湾の人たちにとってもノスタルジーの対象として受け止められいるようだ。先日、動画サイトで台湾で製作放映された林小楼の現在を追ったドキュメンタリー番組を見ていたら、番組司会者に「桃太郎、林小楼です!」なんて紹介を受けてスタジオに登場していた。今でも林小楼=桃太郎なんだなぁとちょっとだけ衝撃を受けた。ワタシたちと同じ時間を生きた台湾の人たちも、あの時彼女が演じた《桃太郎》が忘れられないんだな、やっぱり。ちなみに番組内で紹介された彼女の現在の肩書きは“演員工作人”。字面からはどんな仕事かよくわからないが、舞台の振り付けをしてる姿が画面に映っていた。見た目はすっかりおばちゃんになってしまったが、それでもあの可愛らしい笑顔は健在だった…!

あれ、ジージャって可愛いじゃん? 『Juk-Ka-Lan』

2011年09月10日 | タイ映画

 ついこの間、主演第2作目の『チョコレート・ソルジャー(Raiging Phoenix)』がリリースされたばかりのジージャ・ヤーニンの最新作が遂にタイで発売となった。マム・ジョクモック(『マッハ!』『ダブルマックス!』他)が監督&出演する『Juk-Ka-Lan』(2011)である。

 タイ映画関係のブログでその存在は知ってはいるものの、正直今回はスルーしちゃおうか?なんて思っていたが、周りの知り合いからは「パンナー師匠関連のタイ・アクション映画ならHIMAGIMEが買うから心配ない」と思われているので、半ば義務的に購入した次第。ま、これでひとつブログのネタが出来たからヨシとしよう!


 映画は、ジージャ演じるメッセンジャー(自転車宅配業者)が、配送依頼物である麻薬(だと思う…)を巡るギャング同士の抗争に巻き込まれる騒動をメインに、彼女と育ての親である叔父との疑似親子関係(実はこれが基本ライン)や淡い恋愛模様などを散りばめたコメディで、『チョコレート・ファイター』ではヤクザとその愛人との間に生まれ、修羅の人生を歩まざるを得ない自閉症の少女、国際的売春組織に拉致→脱出し、仲間たちと組織壊滅に繰り出した『~ソルジャー』の前2作のように、ジージャが《闘う》事を前提に作られたストーリーとは違い本作では(極論を言ってしまえば)、 彼女自身が無理矢理にでも闘わなくてもいいような流れなのだ。

 今作に置けるアクションシーンの比重はすごく軽い。それはマム監督が《コメディ映画》を撮っているからに他ならない。
 だけど《可愛い》だけのジージャでは満足しない客がいる。そこで彼女の最大の売りである格闘アクションの登場となる。これも前2作のような殺伐としたものと違い、とにかく明るいのだ。


 見せ場となるアクションシーンは3つ。まずはギャングの構成員たちを乗っていた自転車を武器に蹴散らす場面。ジージャの持つ体技と自転車の特性を生かしたアクロバティックなアクションが見事である。

 次は自転車便の事務所に攻め込んできたギャングたちを一人で迎え撃つ場面。ここでは自転車ではなく、自転車の部品を武器に大格闘する。タイヤチューブやギア部品、ナットを駆使し襲い来る敵を倒す。この格闘シーンには女子高生ルックに身を包んだ、中華系ギャングのボスの情娼兼ボディガードが登場(モデル体型で制服コスが似合わないのなんの)。ジージャと短いながらも激しいシバき合いを見せてくれる。

 最後はジージャ&メッセンジャー仲間、敵対する2組のギャングたちとが倉庫内での大乱戦。銃を撃ち合ったりと殺伐とした中、キャラクターが個性的なギャングたちのギャグ合戦が行われて、血みどろでありながらも何故か楽しい場面に仕上がっている。そんな中ジージャは決してブレる事なく、ゴチャゴチャとした倉庫内を縦横無尽に駆け回り、敵を一人また一人と片付けていき、先程登場したモデル風制服コス女戦士との決着戦を迎える。果たしてジージャの運命や如何に…?


 まるてマンガ的なアクの強すぎる登場人物たちが繰り広げる《笑い》に押されてしまって、いつもの《強い》ジージャを期待する御仁には、きっと物足りなく感じる映画だろうと思う。だけど《戦い》はあれども、今作ほどジージャが表情豊かで可愛く撮れている作品はなかったハズだ(個人的には)。1カットだけ見せるストレートヘアの彼女は本っ当に魅力的なのだ。しかもカメラに向かってキス顔ですよ、キス顔。いやぁマム監督、えぇモン観させて貰いましたわ。だけど一言いいですか?…ギャグシーン長すぎですぜ、コレだけはいただけなかった。

 でもやっぱり「強いジージャが観たいんだいっ!!」という貴方、本作を編集&追加撮影した海外版『The Girl is Bad Ass』の発売を楽しみに待っていようではないか!