HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

昭和の遺産・めんこグラフティー 其の五

2009年09月30日 | レトロ

 前回は思いっきりSF未来戦争ものだったので、今回は日本人の心の支えというべき《時代劇》を扱っためんこを紹介します。


 1990年放映の『参上!天空剣士』を最後に子供向けオリジナル時代劇ヒーローが絶えて久しいが、めんこ全盛の昭和30年代には映画はもちろん、テレビ、漫画、絵物語にいたるまでジュブナイル時代劇というべき物が存在していた。
 講談を題材にした昔ながら物のもあれば、伝奇趣味に走ったものまで実に多種多様。同時期にテレビで人気を博していた『ローンレンジャー』などに代表されるチャイルド・ウエスタンの日本版みたいな感じ。


          
 先ほど亡くなられた山城新伍の代表作である『白馬童子』と作品名不明の市川雷蔵の写真めんこ。写真ものだけどコピーライトマークがないんですが…おおらかな時代である。

          
 こちらは図柄不明の時代劇めんこと横山光輝『伊賀の影丸』めんこ。左側の図柄不明ものは当時の絵物語がテキストでしょうか?前の持ち主がマジックペンで顔に縁取りしちゃってます。あー、私もよくやりました。

          
 「はやぶさ剣士」「三日月天狗」と書かれた謎のめんこ。
 「はやぶさ剣士」は昭和31年に小島剛夕『おもしろブック』(集英社)に描いていた絵物語…というが実際の絵柄・キャラクターと似ても似つかないので名前だけ拝借したのでしょうか?「三日月天狗」はこちらも同時期に『少年画報』(少年画報社)に連載していた絵物語(植木金矢・作)

          
 最後は写真(実写)版と原作版(これも『少年画報』連載)の『天馬天平』(堀江卓・作)めんこと、武内つなよしが昭和32~3年に『幼年クラブ』(講談社)に連載していた『どろんどん助』めんこ。
 いやー、とりあえず人気のあったモノはめんこ図版になっているのね。それが売れたかどうかは別として。

 

 


昭和の遺産・めんこグラフティー 其の四

2009年09月29日 | レトロ
 めんこをお持ちの方なら一度は目にしたことがあるでしょ?、裏面を見るとグー・チョキ・パーなどのじゃんけんやトランプ札などと共に実際あるものから空想科学的な兵器が印刷されているのを。
 小さい頃は「何だろうな~?でもカッコイイじゃん」と思っていただけで、何を意味するものか全然知らなかった。


 しかし、これが立派な遊び札だったのだ。名称は《軍人合(あわせ)》といい、兵器の図柄が多いことから別名《武器合せ》ともいうのだそうだ。
 遊び方は2人で行い、それぞれトランプのように札を出し合い、札の図柄によって勝敗が決まり勝った者が相手の札を頂戴することが出来るのだという。

 懐かしの玩具などを紹介したサイト『昭和の名玩具100選』によれば…

元帥・大将・中将は、スパイ・MPに負け他は勝つ
●軍用犬・傳書鳩は、各将官類に勝ち其他は負け
●水素爆弾は、円盤に負け其他は全部勝つ
●遊撃機・B29・B36・ジェット機・偵察機は、元帥・ 大将・中将・少将に負け其他は勝つ・・・

のだそうだ。面白そうですか、これ?


            

 戦前から存在した軍人合も戦後(昭和30年以降?)には『ゴジラ』や海外SF映画の影響、小松崎茂の『地球SOS』に代表される少年誌掲載のSF絵物語の影響により、空想科学な図柄が登場する。この何ともいえないタッチ、容赦ない終末観が好きモノのハートを鷲掴みにするんですな、これが。

            

 時代は今や原子力っスよ!とばかりにあちらこちらで《アトム》の文字が踊っている。エコが叫ばれる現在ではとても考えられない…

            

 かつて巻頭グラビアや映画などで胸躍らせたSF兵器もこの通り!でも右の札、どう見ても人工衛星ではありませんね。自分で飛んでるし。

            

 おぉ、宇宙人まで来ちゃいましたか!某大映製作のSF映画に出てくるあの方ですね。呼んでもいないのに怪星ボシーまで地球に接近ですか?安いネーミングですな。

            

 どひゃぁー!怪獣、かいじゅうまで出現ですよ。ゴジラさん、何だか踊っているように見えますね。ヒマラヤ雪男は口から怪光線発射です…って雪男って光線出せたっけ?

            

 《放射能》に《ABC戦争》ですか…ネガティブな札だなぁ。今じゃとても考えられない単語が子供向け玩具の中で踊っています。

            

太陽が燃え盛り、地球が悲鳴を上げている!なんてSFなシチュエーションなんでしょうか?あっ、Sの字が裏返ってますよ。

            

 何だかんだ言っても地球は終わっちゃうんですね、あぁ何というデストロイかつノーフューチャーな札なんだ。今頃神様が来ても遅いと思うんですがね…? 

街で見つけたこんなもの

2009年09月28日 | ひまじん秘宝館

 久々に出かける用事があったので外出したのだが(ホント、仕事がないと外へ出たくなくなるもんですよ)、その際駅の近くに古本屋を発見したので中に入ってみた。

 店内は最近特に多い新古本を扱う店のように綺麗で、品数は少ないがゲームやCD、DVDなども置かれていた。「面白そうなものはないかなぁ~?」なんてあまり期待もせずに物色していたのだが、雑誌コーナーの一角になつかしの『STARLOG』のバックナンバーが!おお、珍しや!!


 私はそこで1981年の1月号と7月号を購入した。1冊500円。たしか専門学校時分に(17年ぐらい前)よく授業をサボって学校近くの古本屋でスターログを購入していたのだがその時も500円前後じゃなかったっけかな?別冊とか人気のあった特集が掲載されている号以外はずーっとこのレートなのだろうか?

                               
                                      

 中身を読んでいると80年代初頭のSFブームの熱気が伝わってくるようで懐かしい。別にこのブームを体感してるわけじゃないけど雰囲気として、ね。
 へぇ~、この当時のスターログは無線綴じだったのね。私が本屋で立ち読みしてた頃のスターログは中綴じだったので意外でした。そんなわけで糊がきつ過ぎて思いっきりページが拡げれないのがツライです。

 巻末のコミックでは『静かなるドン』の新田たつおがSF(ギャグ)マンがを描いていたり、あの大友克洋が新春企画のSF合作マンガで参加していたりとなんて贅沢な!これを専門学生時代に大友克洋やメビウスに心酔していた友人に見せたら狂喜乱舞してただろうに、う~ん。


昭和の遺産・めんこグラフティー 其の三

2009年09月27日 | レトロ
 はい、今回の紹介物件はなんとクンフー映画ものです。

 YAHOOオークションなんかではブルース・リーとか倉田さんの『闘え!ドラゴン』の写真めんこなどが出品されていますが、イラスト図版のクンフー映画関係のめんこは珍しいのでは?と思っています。

 正直これを見て、第一次ドラゴンブームの波は紙玩具の世界にも影響を及ぼしていたのだなぁと感心しました。私が直接体験したジャッキー映画の全盛期の頃にはポスターなどの“紙もの”こそあれ、めんこなどの紙玩具は存在しなかったのでは?と記憶しています、不確かなものですが。

 これは当時の熱気をうかがい知る事の出来る貴重な資料ですね。

            
            

 最初に見たとき、
 「池上遼一の『男大空』?でも辮髪のキャラクターなんて出てなかったような…」
とあれこれ考えていたのですが、もう一度じっくりと絵を見ていると
 「これ、『復讐のドラゴン』じゃない?、倉田さんとモン・フェイの」
とようやく気付きました。ただこの絵は元のテキスト(映画のコミカライズ作品)があったのか、めんこ屋さんが独自で描いたのか分かりません。でも、もしコミカライズ作品があったら見てみたいなぁ。

『MIL MASCARAS VS THE AZTEC MUMMY』を観る

2009年09月26日 | ルチャリブレ

 ずいぶん更新を滞らせてしまいまして申し訳ありませんでした。言い訳がましいのですがなかなか腰を落ち着けてブログを書こうと思える環境ではなかったので、ハイ。

 今回は久々に映画レビューなんかでご機嫌を伺おうと思い、用意したのはなんと“仮面貴族”ミル・マスカラスの最新作『MIL MASCARAS VS THE AZTEC MUMMY』(07)です。まだ映画作ってたんですね、マスカラス。

            
              
 
 ここ数ヶ月の間にとある街で吸血事件が多発していた。有名レスラーであり政府のエージェントであるマスカラスは早速地元警官と調査に乗り出す。事件は古代アステカ遺跡を中心にして起こっており、その遺跡の中には古代アステカ王朝を再興させようと企むカルト集団の手によってによって蘇った邪悪なパワーを持つ古代の吸血鬼がいた。マスカラスの行動に気付いた吸血鬼は彼を亡き者にしようと次々と配下の吸血鬼を送り込むが次々と失敗、ついに吸血鬼はマスカラスの友人である科学者の娘を人質に取って遺跡に誘い込む。果たしてマスカラスの運命は…?

            
            

 これまで数多くのルチャ映画を観てきたが、この作品は映画としてよく出来ている!というのが素直な感想。超自然的なパワーを持つ敵に腕力で挑み勝っちゃうのはいつものパターンだが、ヒーロー映画としてみればこれ以上痛快なモノもないだろう。さすがはアメリカ映画というべきか、どんなチンケな題材でも「映画」として成立させてしまう手腕には感服だ。

 この作品を観て思ったのは「製作者、相当ルチャ映画好きなんだろうな」という事。アステカミイラ女吸血鬼、と聞けばルチャ映画のお約束。彼らを扱った作品がどれほどあることか。この作品でもマスカラスは、ちゃんと対戦相手に偽装したミイラと闘い、色仕掛けを武器に襲い掛かる女吸血鬼たちと闘った。そして『ROBOT VS THE AZTEC MUMMY』(57)『THE SHIP OF MONSTERS』(59)(これはルチャ映画じゃないけど)のロボットをイメージさせるデザインの人型ロボットまでも登場となればもうこれは完璧に「ルチャ映画マニア」以外の何者でもない。

 過去のルチャ映画では問題点だったアクションシーンも今作ではバッチリ改善されていた。
 かつてはスピード感もなくただ黙々と殴り合っていただけの殺陣もレスラーらしい技(ヘッドシザースやクローズラインなど)がキチンと織り込まれ、パワフルかつスピーディーな物となっていて格段の進化を遂げていたのだ。これも編集や受け手のスタントマンの技量によるものであろう。

            
            
 
 ルチャ映画といえば当然ルチャドールが付き物。この作品ではイホ・デル・サントがマスカラスのパートナーとして試合シーンのみ登場する。かつては親父さんの映画に子分役で出演していたのに今では立場が逆…時代の流れを感じますなぁ。
 他にもブルー・デモンJrドスカラスニュートロンなどの著名ルチャドールやこの映画限定のインチキ覆面レスラーたちがが顔を見せており、最後の対ミイラ軍団のシーンで華を添えています。みんなマスカラスの一声で集まったんでしょうね。

            

 この作品にはかつてのNWA世界ヘビー級王者であるハーリー・レイスが、マスカラス&サントの試合の解説者という心憎い役で特別出演をしている。マスカラスのオファーなんでしょうか?思い出しますね、レイスVSマスカラスのNWA戦。

            


 というわけで、この『MIL MASCARAS VS.THE AZTEC MUMMY』、近年稀にみる傑作でした…ってそれはルチャ映画ファンからの視点でしょうに。
 でもこれぐらいのクオリティーなら日本でもDVDレンタルされていても不思議じゃないと思いますけどね。ただこれを観て「マスカラスの映画、面白いじゃん」と思われても困りますけど。他の作品はこれよりもっとヒドいものばかりですから。過去の作品を何十本も観た後にこの作品を観れば良さがきっとわかりますって。